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続 隠れたる事実 明治裏面史
ゾクカクレタルジジツメイジリメンシ
- 著: 伊藤 痴遊

本書はタイトルのとおり『隠れたる事実 明治裏面史』の続編です。
正編はじつは明治10年の西南戦争まで、ほんとうに明治初期のことしか述べられていません。当時の読者はさぞもどかしい思いに駆られたことでしょう。著者も同じだったとみえて、出版社の懇請に応じて世に出たのが本書なのです。
「序文に代えて」に曰く、
「明治裏面史を書いて、世に公けにしたのは、数前年の事であるが、存外に好評を博して、数十版を重ねたのは、私の光栄とするところである。/名は、明治裏面史と称しても、明治年間における、いっさいの事件を、この少冊子に悉す事は、もとより不能であるのみならず、私の寡聞浅学は、その任でない。しかしながら、その一端にだけは触れて居る、という自信はもっている。/明治九年までをかぎって、一冊に纏めたのであるから、その後の三十六年間を、無視しておる事はできぬ。したがって、続篇の起稿は、その当時から私の義務として、心にかけておったところである」
語られるのは西郷隆盛の挙兵から自由民権運動、日清・日露戦争の勝利。終わりはポーツマス条約に調印した小村寿太郎全権が横浜に帰港する場面です。あわせて明治の世を騒がせた数々の疑獄事件が扱われます。痴遊の「解説」からは当時の人びとが伸びゆく自国の政治と世相をどのように認識していたかが浮かび上がってきます……なんて理屈は抜きにしましょう。どうかこの名調子を心ゆくまでお楽しみください。
Ⓒなし
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目次
西郷隆盛の挙兵と最期
木戸の死と大久保の死
土佐派の陰謀
竹橋暴動
三菱会社の勃興
国会開設の請願運動
官有物払下事件
国会の詔勅と政党創立時代
自由党と改進党の軋轢
朝鮮事件の内秘
自由党の国事犯
福島事件
高田天誅党
加波山事件
静岡事件
名古屋事件
飯田事件
秩父暴動
特殊の国事犯
浦和事件と大阪事件
日清戦争の表裏
日露戦争の顛末
東京府市の疑獄
星亨中心の疑獄事件
市街鉄道事件
帝国議会と疑獄
教科書事件
水道鉄管事件
日糖事件
シーメンス事件
大浦事件
相馬家の騒動
井上馨と藤田組の疑獄
書誌情報
紙版
発売日
2023年08月14日
ISBN
9784065326848
判型
A6
価格
定価:2,420円(本体2,200円)
ページ数
544ページ
シリーズ
講談社文芸文庫
電子版
発売日
2023年08月11日
JDCN
06A0000000000683684E
初出
本書は、『続 隠れたる事実 明治裏面史』(大正13[1924]年6月、成光館出版部刊)を底本とし、講談社文芸文庫版として大幅に再編集したものです。
著者紹介
伊藤痴遊(いとう・ちゆう[初代]) 1867~1938。講談師、政治家。旧姓は井上、本名仁太郎。横浜に生まれる。1881年自由党に入り星亨門下の壮士として活躍する。加波山事件、静岡事件などに関係し処罰されたこともある。1887年からは双木舎痴遊と号して政治講談を創始(のち伊藤と改める)。卓越した話術で幕末維新の激動や政財界の裏話、人物譚などを巧みに談じて名声を得た。一方、東京府会議員などを歴任、1928年の最初の普通選挙で当選し、代議士となる(当選2回)。終生、話芸の向上発展に尽くし、話術倶楽部を創設、『痴遊雑誌』を創刊した。『伊藤痴遊全集』正続30巻がある。
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