福島第一原発事故の「真実」 ドキュメント編

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電子あり 受賞作

福島第一原発事故の「真実」 ドキュメント編

フクシマダイイチゲンパツジコノシンジツドキュメントヘン

講談社文庫

あなたはまだ本当の「フクシマ」をしらない!

東日本壊滅はなぜ免れたのか?  取材期間13年、のべ1500人以上の関係者取材で浮かび上がった衝撃的な事故の真相。
他の追随を許さない圧倒的な情報量と貴重な写真資料を収録した、単行本『福島第一原発事故の「真実」』は、2022年「科学ジャーナリスト大賞」受賞するなど、各種メディアで高く評価された。文庫化にあたっては、同書を「ドキュメント編」と「検証編」に分冊して刊行。ドキュメント編は、単行本の第1部をもとに、新たに判明した事実を加筆修正している。なお、同書第2部の「検証編」は、最新の調査結果を踏まえた取材成果を盛り込んだ新章を加えたうえで、文庫版「検証編」として同時刊行した。

ドキュメント編は、2011年3月11日の巨大地震を起点に、福島第一原発の事故現場と東京電力本店さらに総理官邸で、何が起き、人々がどう対応したかを、時系列に沿って分刻みで再現したものである。この13年の継続取材で突き止めた新事実や最新の調査・研究を踏まえて、当初、真相と思えたことがどんでん返しのように変わっていくさまも織り交ぜながら、現時点でできうる限り正確な事故像を提示することに努めた。

極限の危機。核の暴走を食い止めようと、吉田所長らは、爆発や被ばくの恐怖と闘いながら決死の覚悟で現場にとどまり、知恵を絞り出して、原子炉に水を入れ続けた。幸いにして、格納容器の爆発は免れたが、東日本壊滅のシナリオは現実になる可能性があった。

当時の政府のシミュレーションでは、最悪の場合、福島第一原発の半径170キロ圏内がチェルノブイリ事故の強制移住基準に達し、半径250キロ圏内が、住民が移住を希望した場合には認めるべき汚染地域になるとされた。半径250キロとは、北は岩手県盛岡市、南は横浜市に至る。東京を含む東日本3000万人が退避を強いられ、これらの地域が自然放射線レベルに戻るには、数十年かかると予測されていた。

長期にわたる取材で、この最悪シナリオが回避されたのは、消防注水の失敗や格納容器のつなぎ目の隙間から圧が抜けたりといった幾つかの偶然が重なった公算が強い。この事故では、当初考えられていた事故像が新たに発見された事実や知見によって、どんでん返しのように変わった例は枚挙に暇がない。この極限の危機において、人間は核を制御できていなかった。それが「真実」である。


ⒸNHKメルトダウン取材班

目次

プロローグ
第1章 想定外の全電源喪失
第2章 運命のイソコン
第3章 決死隊のベント
第4章 ノーマークの水素爆発
第5章 3号機水素爆発の恐怖
第6章 加速する連鎖2号機の危機
第7章 使用済み核燃料の恐怖
第8章 決死への報奨
解説

書誌情報

紙版

発売日

2024年02月15日

ISBN

9784065328170

判型

A6

価格

定価:935円(本体850円)

ページ数

384ページ

シリーズ

講談社文庫

電子版

発売日

2024年02月15日

JDCN

06A0000000000754728T

初出

本書は2021年2月に小社より刊行された、『福島第一原発事故の「真実」』所収「第1部 ドキュメント 福島第一原発事故」に加筆・修正のうえ、文庫化したものです。

著者紹介

著: NHKメルトダウン取材班(エヌエイチケイメルトダウンシュザイハン)

近堂靖洋 ドキュメント編「プロローグ」と1章から8章、検証編1章と「エピローグ」を執筆 藤川正浩 検証編3章、5章を執筆 山崎淑行 検証編9章とコラムを執筆 鈴木章雄 検証編7章、8章、10章から13章を執筆 花田英尋 検証編4章、5章などを執筆 大崎要一郎 ドキュメント編コラム「混乱の病院避難 失われた命」を執筆 岡本賢一郎 検証編2章、3章、6章を執筆 沓掛愼也 検証編4章を執筆 重田八輝 検証編9章、コラムを執筆 阿部智己 検証編9章、コラムを執筆 藤岡信介 検証編9章を執筆 長谷川 拓 検証編9章を執筆 右田可奈 検証編9章を担当

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