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決断 そごう・西武61年目のストライキ
ケツダンソゴウセイブ61ネンメノストライキ
- 著: 寺岡 泰博
「池袋の街に、百貨店を残そう!」
「西武池袋本店を守ろう」
「日頃からご利用いただいているお客さまに、これからもお買い物を楽しんでいただきたい」
2023年8月31日、そごう・西武労働組合は、百貨店として61年ぶりとなるストライキを決行した。
日本国内で3番目の売り上げを誇り、年間6500万人もの人が来店するという巨艦・西武百貨店池袋本店は、この日全館シャッターを下ろし、終日営業をストップした。
このストライキを決断し、実行したのが寺岡泰博・中央執行委員長である。
西武百貨店に入社して30年。私的整理による会社再編、そごうとの合併、そしてセブン‐イレブンを経営するセブン&アイ・ホールディングスによる買収・子会社化と激動を経験した。
その間、相次ぐ店舗閉鎖によって、退職・離職する仲間たちを涙ながらに見送ってきた。
30代で労働組合の執行委員を経験したあと、池袋店の婦人服売り場ゾーン店長や、有名ブランドを担当していた。二度と組合の仕事はしないと決心していたが、在庫の大量廃棄など店頭の混乱を目にするうち、心が揺れる。
「君になら任せられる」という前任者のひと言に背中を押され、2016年に労働組合に復帰。中央執行委員長に就任する。
待っていたのは、外資系ファンドへの新たな「会社売却」交渉だった。
しかも、そごう・西武を支える中核店舗の池袋店の不動産をヨドバシカメラに売却し、店舗の半分を家電量販店に改装するという。
自分たちはこれまで、百貨店人としてのプライドを胸に働いてきた。驚きと喜びをもたらす商品を顧客に届け、新たな世界を体験していただくナビゲーターになる。それが「百貨店」という文化だと思っていた。
会社売却しても「雇用を守る」と経営者は言うが、百貨店で働くことと、ヨドバシカメラやコンビニで働くことはまったく意味が違う。
コロナウイルスの感染拡大のあとのリベンジ消費や、インバウンドで各百貨店がいよいよ上昇気流に乗ろうとしているいま、なぜ百貨店を売ってしまうのか。
「雇用」ではなく、「雇用の場」を守ってほしい。百貨店人としてのプライドを知ってほしい――。
5000人の社員の先頭に立ち、闘いつづけた熱い男の魂の記録。
ⒸYasuhiro Teraoka
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目次
プロローグ
第1章 「西武」と「そごう」
第2章 組合委員長
第3章 報道先行
第4章 スーパー弁護士登場
第5章 敵か味方か
第6章 百貨店という文化
エピローグ
書誌情報
紙版
発売日
2024年07月11日
ISBN
9784065364079
判型
四六
価格
定価:1,980円(本体1,800円)
ページ数
336ページ
電子版
発売日
2024年07月10日
JDCN
06A0000000000803752R
著者紹介
1993年4月西武百貨店(現そごう・西武)入社、西武高槻店(現高槻阪急スクエア)スポーツ課に配属。 2005年ミレニアムリテイリンググループ労働組合(現そごう・西武労働組合)中央執行委員として組合専従者に。そごうと西武百貨店の人事制度統一、セブン&アイHDとの経営統合などを経験する。 2008年西武池袋本店にて復職。婦人服飾部、婦人特選部でゾーン店長、商品部バイヤーなどを歴任。 2016年より中央執行副委員長として労働組合執行部に復帰、2018年10月から中央執行委員長(現任)。5店舗営業終了やそごう・西武株式譲渡による経営体制変更に伴い数多くの労使協議を重ねた。 UAゼンセン流通部門執行委員、セブン&アイグループ労連副会長(2023年10月株式譲渡により退会)も務めた。
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