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夢の痕 古道具屋 皆塵堂
ユメノアト フルドウグヤ カイジンドウ
- 著: 輪渡 颯介

古道具屋皆塵堂は、小僧の峰吉で回っている。自在な客あしらい、目利きの確かさ、道具の修繕は職人並みの腕前、と釣り好きで店になかなかいない店主の伊平次に代わって、皆塵堂を切り回している。曰くつきの古道具を手に入れても、峰吉は幽霊を見ないから平気だ。向かいの油屋の小僧参太は、峰吉と違い、幽霊が見える。よその店の古道具の憑きものを見ては、いつも震えさせられている。
それが悔しくてたまらない参太は、一度くらい峰吉に幽霊を見せて、震え上がる姿を見てみたいと思う。幽霊話を仕入れては、峰吉に幽霊を見せようとするが、実際に見て怖い思いをするのはいつも参太ばかり。
そんな参太をご隠居の清左衛門たちも応援にまわる。大人の巳之助、茂蔵、円九郎がとっておきの幽霊話を引っさげ、峰吉に怖い思いをさせる刺客としてやってくるのだが……。
参太のまわりに集まってくるのは、夢がらみの幽霊譚。
夢はお告げか、誰かが救いを求める声か?
職人のじいさんが隠した櫛が気になって成仏できないばあさん。隠し先を峰吉は見破ろうとするが?
二階からあるいは草むらから自分の姿も見える夢を見る菊次郎、誰が夢を見せようとしているのか?
幸ちゃんとしか覚えていない幼なじみの夢を見る円九郎。やっと町名を思いだした円九郎は、峰吉と向かうが、蕎麦打ちに行き詰まり、首を吊ろうとしていた男と出くわした。
……などなど。他人の夢の話はつまらない、とうそぶきながらも、峰吉は、夢の謎を解く鍵を見つけていく。
皆が期待する峰吉が震え上がる日は来るのか?
ⒸSousuke Watari
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書誌情報
紙版
発売日
2025年04月15日
ISBN
9784065391624
判型
A6
価格
定価:770円(本体700円)
ページ数
304ページ
シリーズ
講談社文庫
電子版
発売日
2025年04月15日
JDCN
06A0000000000896452H
初出
本書は新聞連載作品に書下ろし作品を加えた文庫オリジナル作品です。「夢の、そのあと」…掲載紙:静岡新聞「週刊YOMOっと静岡」、紀南新聞、神静民報、いわき民報/掲載期間:2023年4月~10月に順次掲載(学芸通信社配信)。「そういう所」「逃げ道」「夢で見た町」…書下ろし。
著者紹介
1972年、東京都生まれ。明治大学卒業。2008年に『掘割で笑う女 浪人左門あやかし指南』で第38回メフィスト賞を受賞し、デビュー。怪談と絡めた時代ミステリーを独特のユーモアを交えて描く。憑きものばかりが集まる深川の古道具屋を舞台にした「古道具屋 皆塵堂」シリーズが人気に。「溝猫長屋 祠之怪」シリーズ、「怪談飯屋古狸」シリーズのほか、『ばけたま長屋』『悪霊じいちゃん風雲録』などがある。