文芸(単行本)作品一覧

青く滲んだ月の行方
文芸(単行本)
「ここからどうすればいい?」僕がこう思っている時、きみは。
若者の真実を描く感動共作!!
何かを「好き」と言える人を眩しく感じる隼人、
「女の子との遊びはクレーンゲームみたいなもの」と言ってみせる大地、
高校時代までは、周囲から認められて自信を持っていた和弘、
仲間が何に苦しんでいるのか分からず、寄り添えない自分に絶望するBーー
「なりたい自分」に向かってひとり藻掻く、"大人未満"の4人の物語。
『茜さす日に嘘を隠して』(真下みこと)と繋がる世界ーー
●ニシダ(ラランド)
あの頃の感受性が戻ってきて痛くて気持ちいい。
●瀧井朝世(ライター)
どんな人間にも、その人だけの真実があるのだと改めて気づかされた。
<第1話 端正な夜>
恋人の咲良に別れを告げられた隼人。1年半付き合っていたはずなのに、胸は痛まないことに動揺する。サークル同期の皐月は、自分の好きなことを活かせる業界に就職したいらしい。それに比べて隼人は、手堅い企業ばかり受けていた。恋人と別れて「悲しい」、サークル活動が「楽しい」、あの会社に「就職したい」。それは、本当に自分の感情なのかーー?
<第2話 街の地球人たち>
大学2年生の大地は、女の子を絡め取って過ごしている。友達の俊也は最近また、彼の人生を狂わせた女と連絡をとっているらしい。サークルのあの子も、マッチングアプリで出会ったあの子も、幼なじみの俊也のことさえも、全然わからないーーそうもがく大地がとった行動とは?
<第3話 途方>
留年続きで三回目の大学3年生となってしまった和弘。ついに実家に帰らなくてはならない――。喫煙所で出会った綾香が、なぜか和弘の帰省に付き合うと言い出し、一緒に海沿いの故郷へ向かうことになった。大学に入ってからずっと「何かが違う」と感じていた和弘。過去と現実の間で揺れる、二人の逃避行が始まる。
<第4話 αを待ちながら>
クラスメイトのAが自殺した。放課後、校舎の三階から飛び降りたらしい。演劇部のBは、それからなぜか脚本が書けない。空想の悲劇とは違う、本物の悲劇。今まで書いてきた不幸な出来事について、自分は何を思っていた? 無自覚な残酷さについて思い悩むBは、非常階段でαと出会う。どうやら、彼女もAの自殺について考えることがあるようでーー
<第5話 逆三日月>
就職して2年半、隼人は後輩の大地と大学の学園祭に顔を出した。いつまでも続くと思っていた学生生活が今となっては遠く、当時心に秘めていた自分に対する葛藤や悩みも、すっかり過去のものになってしまったと気がつく。一方で、最近の大地は特別な女性との付き合いを続けているらしくーー

茜さす日に嘘を隠して
文芸(単行本)
「誰かに言えるわけない」私がこう思っている時、あなたは。
若者の真実を描く感動共作!!
就活面接でうまく話せず、彼氏とも疎遠な日々に思い詰める皐月、
寂しさを埋めるため、急に人と会いたくなる衝動を抑えきれない愛衣、
自分の経験を切り売りして曲を作り、シンガーとして活動する文、
大切な友達に言えない秘密を抱えながら過ごす智子ーー
誰かに理解してほしい葛藤をひとりで抱える、"大人未満"の4人の物語。
『青く滲んだ月の行方』(青羽悠)と繋がる世界ーー
●カツセマサヒコ(小説家)
教室の隅で捻くれてた自分に、この物語を読ませたかった。
●本間悠(うなぎBOOKS)
友人でも恋人でもないあやうい関係性。
みんな、誰かと繋がりたくて、もがいている。
<第1話 さんざんな朝>
就活生の皐月は、ある面接で「あなたを売ってください」という質問を受ける。うまく答えられず落ち込んでいると、大学の先輩のSNSで、恋人の浮気場面らしき写真を見つけてしまう。社会人の彼とは最近うまくいっていない。自分の気持ちに正直に生きたいけれど、私だけが、取り残されてしまうのかーー?
<第2話 砂が落ちる>
「好き」は終わりの始まりだ。パパもバイト先の先輩も、彼氏も、マッチングアプリで出会った男の子たちも、みんなあたしの元からいなくなった。わかっているはずなのに、愛衣は新たな誰かを探す衝動が抑えられない。砂時計の砂が落ちていくように、人間関係にもタイムリミットがある。それでも、と願う愛衣が出した答えとは?
<第3話 手紙>
井ノ坂文は、SNSで人気のシンガーソングライター・ふみとして活動している。自分の経験をひとつずつ切り出して楽曲を作り、誰かの「自分のための曲」を作ることはできても、楽曲を通して誰とも繋がれないことに不安を感じていた。新曲の制作が進まない文は、ふと男子高校生の自殺のニュースを目にして――。
<第4話 あと1歩>
「男女の友情なんて成立しない」。男同士、女同士だって、友情が成立しないことはあるのに、どうして男女の間だけーー? 智子が、愛衣と涼太と飲む場所は、ラブホテルが定番だ。恋バナをしたり、就活の相談をしたり、定番となった三人で飲む時間だったが、その中で智子はある思いを抱えていてーー
<第5話 色を変えて>
大学4年11月、先が見えない毎日を送る皐月。キャリアセンターでの面談を終えてスマホを見ると、サークル仲間の奈美から卒業旅行の誘いの連絡が。「私は皐月のこと、大事な友達だと思ってるよ」。友達って何なのか、そして、私って一体どういう人間なんだろうーー?

短篇七芒星
文芸(単行本)
僕の両目は舞城王太郎の言葉を駆け抜けるためにある。
ーー木下龍也(歌人)
遠くで小さく光るあの七つ星は世界が爆発して出来た超新星。
ドカンって音は、読み終わるころにやってくる。
言葉が並んで爆発した星を、七つ並べてもっかいドカン!
<収録作>
奏雨 「人は空想なんかしない。連想するんだ」と雨の日の名探偵。
狙撃 俺はマークスマン。弾は当たる。時々消える。
落下 「や…ヤブヘバス!」と父が慌てふためき、飛び降りは続く。
雷撃 積乱雲と呼ばれた女の子。石につきまとわれる男の子。
代替 俺がお前になって、お前はどこいったんだよ?
春嵐 ストーミー・エヴリデイが素敵な散歩を招くまで。
縁起 妻の海の邪悪な豚が息子をさらいにやってくる。

湯布院奇行
文芸(単行本)
死にたいは、遠くに行きたい。
都会に消費され、導かれるようにたどり着いた湯布院の宿。
美しい二人の女と湯けむりに幻惑され、
男は、日常との境界を見失っていくーー
「百日滞在してしまったら、君は綺麗さっぱりこの世界から
溶けてなくなってしまいますからね」
朗読劇と小説が溶け合い、響き合い、不思議の世界に迷い込む。
『ボクたちはみんな大人になれなかった』『あなたに聴かせたい歌があるんだ』が映像化!
話題の作家・燃え殻が誘う、ミステリアスな物語。
成田凌、黒木華(出演)、コムアイ(歌唱)による
豪華朗読劇のDVDと原作小説がセットになった完全限定版!

ザ・ベストミステリーズ2022
文芸(単行本)
ミステリーの最前線を見逃すな! どれを読んでもハズレなし、珠玉の短編推理小説が詰まった一冊!
第75回日本推理作家協会賞短編部門受賞作も収録!
2021年に発表された短編推理小説の中から、プロの読み手たちが熟練の目で選び抜いた作品を収録。
長年の愛好者に向けたコレクションとしても、ミステリーの入門書としてもぴったりの一冊。
新鋭からベテランまでキャリアに関係なく、「とにかく面白くて優れた」短篇のみを集めました。
巻末には昨年のミステリー界の動向を記した「推理小説・二〇二一年」に加え、推理小説関係の受賞作を完全網羅したリストも収録!

セカンドチャンス
文芸(単行本)
50歳を過ぎても、敗者復活の大逆転!
麻里、51歳。長い介護の末母親を見送った。
婚期も逃し、病院に行けばひどい数値で医者に叱られ、この先は坂を下っていくだけと思っていたが……。
親友・千尋の「自分ファーストにしな。一生、利用されっぱなしで終わるよ」で一念発起。
水泳教室に飛び込んだら、人生がゆるゆると転がり出した。
ほろ苦く、やがて元気の出る応援歌
謎の上級者・伊津野「あたしさぁ、命かけてんだよね、全国大会に」
イケメン・イケボディの岸和田コーチ「タイムから言えば、俺が社長だ!!」
元文芸編集者・古矢「接待接待で太って、デブキャラに」
人生、まだまだ捨てたもんじゃない。

爆発物処理班の遭遇したスピン
文芸(単行本)
第165回直木賞作家 異次元レベルの最新短編集
創造と破壊のエンタングルメント
この面白さ、解除不能
「ミステリ×SF×怪物」が開くのは「世界」の扉
小説の最前線、ここから前人未到、読み逃し厳禁
きっとアナタも究中毒になる―
爆発物処理班の遭遇したスピン…鹿児島県の小学校に、爆破予告が入る。急行した爆発物処理班の駒沢と宇原が目にしたのは黒い箱。処理を無事終えたと安心した刹那、爆発が起き駒沢は大けがを負ってしまう。事態の収拾もつかぬまま、今度は、鹿児島市の繁華街にあるホテルで酸素カプセルにも爆弾を設置したとの連絡が入った。カプセルの中には睡眠中の官僚がいて、カバーを開ければ即爆発するという。さらに同時刻、全く同じ爆弾が沖縄の米軍基地にも仕掛けられていることが判明。事件のカギとなるのは量子力学!?
他に、日本推理作家協会賞短編部門候補「くぎ」、「ジェリーウォーカー」「シヴィル・ライツ」「猿人マグラ」「スマイルヘッズ」「ボイルド・オクトパス」「九三式」を収録。
あなたは、物語の転換点に立たされる

文学2022
文芸(単行本)
日本文藝家協会が毎年編んで読者に贈る年間傑作短篇アンソロジー。2021年の1年間に文芸誌などの媒体に発表された全短篇のうち12篇を厳選。あらゆる境界線を相対化し、人間存在の根本を問おうとする、この国の文学状況を1冊で俯瞰する。
解説:磯﨑憲一郎
休学(国産のため) 高瀬隼子
部屋と喫水 山尾悠子
もふとん 酉島伝法
マジックミラー 千葉雅也
消滅 藤野可織
時計と船 田中慎弥
川のある街 江國香織
永遠年軽 温 又柔
ハジケテマザレ 金原ひとみ
はこのなか 紗倉まな
行かなかった旅の記録 宮内悠介
フィリフヨンカのべっぴんさん 乗代雄介

オリーブの実るころ
文芸(単行本)
恋のライバルは、白鳥だった!?
結婚と家族と、真実の愛をめぐる劇的で、ちょっぴり不思議な6つの短編集。
(吉川英治文学賞 受賞第一作)
「家猫」
バツイチの息子が猫を飼い始めたらしい。でも、家に行っても一向にその猫は姿を現す様子もなくーー。
「ローゼンブルクで恋をして」
父が終活のために向かった先は、小柄ながらも逞しい女性候補者が構える瀬戸内のとある選挙事務所だった。
「ガリップ」
わたしたちは、どこまでわかり合えていたんだろう。男と女とコハクチョウとの、三十年にわたる三角関係の顛末。
「オリーブの実るころ」
斜向かいに越してきた老人には、品のいい佇まいからは想像もできない、愛した人を巡る壮絶な過去があった。
「川端康成が死んだ日」
母が失踪して四十四年。すでに当時の母の年齢を超えてしまった私に、母から最後の願いが届く。
「春成と冴子とファンさん」
宙生とハツは、結婚報告のために離婚した宙生の両親を訪ねることになった。二人は思い思いの生活をしていて。

鷹の系譜
文芸(単行本)
警察小説の旗手による大河シリーズ「日本の警察」平成編。
「公安は常に同じ相手の仕事だ。だが捜査一課の仕事は毎回、違う相手なんだ」
「捜査一課は目先の事件を追う。公安は、未来を見据えて仕事をしている」
捜査一課と公安一課。同じ警察でありながら相容れない二つの組織に身を置き、昭和を駆け抜けた二人の刑事。
その息子たちは、父と同じ道を歩んでいる。
昭和天皇が崩御し、60年余にわたる昭和の時代が終わりを告げた日に起きた殺人事件。高級マンションに住みポルシェを乗り回す被害者に見え隠れする、極左の過去。
バブル景気の拝金主義に浮かれる世で、思想活動は衰退の一途をたどる。その交錯点で起きた事件を、二人の刑事が追う。
刑事は地べたを這いずる仕事だ。だが、空から全体を見る鷹の目を持て。
父の道を継ぎ鷹となった息子たちの物語が、いま幕を開ける!

予測不能の1秒先も濁流みたいに愛してる
文芸(単行本)
黒木渚、ベストアルバムと同名小説、ついに発売!
不純な動機から始まった音楽は、私のすべてになった。
「私の歌で、こんな世界ぶち壊してやる!」
誰にも話したことがないけれど、私は光と共に生きてきた。
未来について想像するとき、私の頭の中には必ず白い光のイメージが浮かぶ。
高校二年の「シッポ」は中学時代からの片思いの相手、森園太陽に接近するために軽音部に入る。
好きな音楽はパンク、好きなバンドはクラッシュ、セックスピストルズ、ダムド、ニルヴァーナ……
これ、全部嘘。
だけど太陽に近づくためにシッポが周到に用意した「設定」は、徐々に彼女の中にあった「音楽の光」をとらえて、
追い越していく。
眩しくて白いーーあの光はスポットライトか、それとも恋か。
音楽を始める動機なんて、不純だっていいじゃないか!
音楽×小説×青春
歌手兼小説家・黒木渚が初めて描く青春と音楽。
青春はエゴイスティックで汚くて、生々しい。それでも眩しい一瞬の光だ。

掟上今日子の忍法帖
文芸(単行本)
ニューヨーカー憩いの場・セントラルパークで殺人事件が発生! 凶器は、忍者の暗殺道具『手裏剣』。目撃情報からニューヨーク市警の刑事が訪ねたのは、忘却探偵・掟上今日子(おきてがみ・きょうこ)が新たに構えた「置手紙探偵事務所ニューヨーク支局」だった。憧れのニューヨーク市警に容疑者として目を付けられてしまった今日子さんは、自らの疑いを晴らし、事件を解決することができるのか? 彼女の過去を知るFBI捜査官ホワイト・バーチも暗躍し……? 忘却探偵、謎解きの舞台はついに世界へ!

忍者に結婚は難しい
文芸(単行本)
第10回静岡書店大賞小説部門 第1位!
フジテレビ系ドラマ木曜劇場「忍者に結婚は難しい」原作!
1月5日(木)夜10時スタート!
伊賀市、甲賀市公認の本格忍者小説!
互いの正体を知らずに結ばれた二人
離婚寸前の夫婦に託されたのは、日本の命運!?
「ルパンの娘」シリーズ著者横関大が送る、現代の忍者活劇!
伊賀と甲賀。消えたはずのライバル忍者一族は、令和の今も人知れず暗躍していた。手裏剣術などの古き伝統を守りつつ郵便ネットワークを牛耳る大組織・伊賀、麻酔銃やドローンなどを積極的に活用する少数精鋭の実力派集団・甲賀として。
お互い忍者だと知らずに結婚した悟郎と蛍。燃え上がったのは最初だけで、悟郎の男尊女卑的役割分担に辟易した蛍が三行半(みくだりはん)をたたきつけようとしていた。
ある日、伊賀系の大物政治家が暗殺された。現場を去るあの後ろ姿は見慣れたあいつ?
忍者ラブコメディー開幕!

神薙虚無最後の事件
文芸(単行本)
人の数だけ、真実はある。
多重解決&作中作ミステリの新たな金字塔がここに誕生!
【本格ミステリ界激震!】
活殺自在に読者を手玉にとるミステリセンス ーー辻 真先
多重推理の果てに現れる新たな景色 ーー麻耶雄嵩
虚構であろうと虚無ではなく。虚無ではなく。ただ、万雷の喝采を ーー奈須きのこ
読み進めるうち、この謎に本気で挑戦せずにはいられなかった ーー今村昌弘
論理遊戯【パズラー】生まれ、戯言拳闘【メフィスト】育ち。擦り切れ方を忘れかけた、ぼくらのための物語 ーー青崎有吾
名探偵の信念と贅沢な趣向。これは、懐かしくも幸福な玩具【おもちゃ】箱だ ーー阿津川辰海
何と技巧と細工に満ちたデラックスな探偵小説世界か ーー城平京
粗削りながら燦然と輝きを放つ才能の原石。瑞々しく魅力的な多重解決ミステリをご堪能あれ ――知念実希人
【あらすじ】
大学二年生の白兎(はくと)は、アパートの隣に住む一つ年下の後輩・志希(しき)に淡い恋心を抱いていた。二人が自宅に向かう路上、体調を崩し倒れこむ女性、唯(ゆい)と出会う。彼女が手にしていたのは、唯の父、御剣大(みつるぎ・まさる)が著した20年前のベストセラー『神薙虚無(かんなぎうろむ)最後の事件』だった。「神薙虚無」シリーズは、実在した名探偵・神薙の活躍を記したミステリで、シリーズ最終巻では解かれるべき謎を残したまま完結となり、ミステリ好事家の間では伝説となっているという。
白兎と志希は、唯の依頼で大学の「名探偵倶楽部」に所属する金剛寺らとともに、作品に秘められた謎を解こうとするのだがーー。
過去と現在、物語の中と外、謎が繋がり、パンドラの箱が開くとき、目にするのは希望か絶望か!?

あきらめません!
文芸(単行本)
結婚して三十数年。共働きかつワンオペ育児を卒業し、節約を重ねて住宅ローンも返済完了。定年退職を迎えた霧島郁子がやっと手に入れた夢のセカンドライフは、夫の田舎へ移住したことをきっかけに音を立てて崩れていく。閉鎖的な地域社会、染み付いた男尊女卑――時代遅れな現実を前に打ちのめされる郁子だったが、ある日出会った銀髪の女性議員・市川ミサオの強烈な後押しで、なぜか市議会議員に立候補することに……!? この土地で生まれ育った落合由香も巻き込み、ミサオ(80代)、郁子(60代)、由香(30代)は世代をこえて「私たち」を取り巻く問題に立ち向かう!

新しい声を聞くぼくたち
文芸(単行本)
変わっていく世界と、ぼくたちのいらだち。
与えられた剣と鎧はどうやって手放したらいい?
映画や漫画など様々なコンテンツから、近年のフェミニズムの興隆の中で男性はどう生きるべきかを読み解く、画期的な文芸批評。
【目次】
はじめに
第一部 ぼくらは何を憎んでいるのか
第一章 能力と傷──ポストフェミニズム時代の男性性
第二章 やつらと俺たち──階級と男性性
第三章 助力者と多文化主義ーー男性性のいくつかの生き残り戦略
第二部 男性性、コミュ力、障害、そしてクリップ
第四章 「のけものたち」の時代
第五章 コミュ力時代の男たち
第六章 「個性としての障害」と治癒なき主体のユートピア
第三部 ライフコースのクィア化、ケアする男性
第七章 母の息子のミソジニー、母の息子のフェミニズム
第八章 ぼくら、イクメン
第九章 老害と依存とケア、そしてクィアな老後の奪還
おわりに──ケアする社会と共通文化としての「新たな男性性」

猫弁と幽霊屋敷
文芸(単行本)
累計40万部突破、大人気「猫弁」シリーズ!
冴えない容貌、天才的な頭脳……自分のことは後回しで人の幸せを第一に考える稀代のお人好し弁護士、百瀬太郎。
婚約者である大福亜子ととうとう同居を開始したものの、忙しさからすれ違いに拍車がかかって……。
相続した家を持て余す男性恐怖症の千住澄世、その代理人として奔走する百瀬は毎日目の回るような忙しさ。
そんな中、亜子がホテルのラウンジで別の男性とお見合い……!?
そして世にも珍しい「ペットホテル立てこもり事件」まで勃発!
悲しい過去がある人も、今までうまくいかなかった人も、新しいことにチャレンジしている人も……登場人物それぞれが幸せの扉を開けて未来への一歩を踏み出す物語。
今まで「猫弁」を読んだことがない人でも大丈夫!
今作からでもお楽しみいただける、そんな優しくあたたかい作品です。

レーテーの大河
文芸(単行本)
運命の車輪は回り始める。日本を揺るがす“危険な積み荷”とともに。
江戸川乱歩賞作家が時代の闇に挑むノンストップ・サスペンス!
終戦時の満州、そして五輪開催直前の東京。二つの「昭和」を貫いて走り始めた機密列車の後ろ暗い任務とは。
楔になろうとした男たちの、捨て身の作戦とは。
終戦間際の混乱で親を失った三人の戦災孤児。関東軍の機密物資を日本に運んだ2人の陸軍中尉。
焼け野原から復興へーーオリンピックを目前に急ピッチで東京の整備が進む中、日銀の現金輸送担当者が線路に転落死を遂げた。
事故として処理されるはずだったその死を合図に、二度と交わるはずのない人生が再び交差する。
そして、運命の列車は走り始める。
俺たちは駒だ。だが、駒だって逆らう。

平成転向論 SEALDs 鷲田清一 谷川雁
文芸(単行本)
選考委員からレベルが高いとの指摘があった第65回群像新人評論賞候補作、その中から優秀作に選ばれ、「群像」誌上に発表されると大反響と共に話題となった傑作批評に大幅加筆した増補改訂完全版。シールズの運動とその後を総括、我々と鷲田清一の平成における転向の軌跡、後続する臨床哲学の担い手たち。日本社会のひずみに鋭く切り込み、コロナ禍に顕在化したケアの問題にまで発展する極めてアクチュアルかつクリティカルな論考である。
目次
序 論駁するということ 射影の方法をめぐって
第一章 二〇一五年の鷲田清一
第二章 〈戦前〉から〈戦後〉へ
第三章 〈ふれる〉ケアと加害の反転
第四章 平成の転向者たち
第五章 〈戦中〉派としてのSEALDs
第六章 鷲田清一から臨床哲学へ
第七章 軸と回転 谷川雁vs.鶴見俊輔
第八章 〈地方〉と〈中央〉
第九章 〈旗〉と〈声〉 臨床哲学再論
第十章 SEALDsとその錯誤
終論 待兼山の麓から エッセイストたち

競争の番人
文芸(単行本)
弱くても戦え! 『元彼の遺言状』著者、注目の新鋭が放つ面白さ最高の「公取委」ミステリー。
ウェディング業界に巣食う談合、下請けいじめ、立入検査拒否。市場の独り占めを取り締まる公正取引委員会を舞台に、凸凹バディが悪を成敗する!
公正取引委員会の審査官、白熊楓は、聴取対象者が自殺した責任を問われ、部署異動に。東大首席・ハーバード大留学帰りのエリート審査官・小勝負勉と同じチームで働くことになった。二人は反発しあいながらも、ウェディング業界の価格カルテル調査に乗り出す。数々の妨害を越えて、市場を支配する巨悪を打ち倒せるか。ノンストップ・エンターテインメント・ミステリー!
「デビュー2年目の勝負作です。わくわくドキドキ、ちょっぴり身につまされ、不思議と力が湧いてくる。理屈抜きで面白い王道エンターテインメントを目指して書きました。エンタメの幕の内弁当、どうぞ召し上がれ!」―新川帆立