文芸(単行本)作品一覧

ブラックガード
文芸(単行本)
きっかけは、謎の資産家からの依頼だった。
2億円の価値ある商品。
購入の条件はただ一つ。
最も危険な探偵を雇うこと。
小学三年生の娘と二人暮らしの私立探偵・矢能。久しぶりの仕事は「2億円の商品取引」の交渉人。
だが、なぜ彼が選ばれたのかは明かされなかった。
そして、取引現場で目的不明の殺人が起きる。
立て続けに起きる誘拐と殺人。
次々に現れる新たな依頼人と行方不明者。
シリーズ史上、最も難解な事件の幕が上がる。
元ヤクザの探偵×掟破りのミステリー
「なにが起こっているんです?」「俺にもわからん」
「矢能シリーズ」第5作!

毎日世界が生きづらい
文芸(単行本)
メフィスト賞作家の新境地。
小説家と会社員。二人の幸せを探す物語。
「やっぱり、小説を書きたいよ。自分の本が書店に並んでいるところを見たい。私、器用じゃないから、全部をやるのは無理。……子供を産んで、作家になれなくて、『子供がいなかったら作家になれたのにな』なんて言うような大人にはなりたくないの」――本文より
あなたの居場所もきっと見つかる。

OTOGIBANASHI
文芸(単行本)
小説家とアーティストが出会い、新たな「物語」が生まれるーー
小説家の「歌詞」から生まれた5つの小説と楽曲。
収録作品
<小説>
「みちくさ」彩瀬まる
「南極に咲く花へ」宮内悠介
「透明稼業」最果タヒ
「星野先生の宿題」重松清
「Lunar rainbow」皆川博子
<楽曲>
「光る野原」彩瀬まる×伊藤沙莉×横山裕章
「南極に咲く花へ」宮内悠介×坂本真綾×江口亮
「透明稼業」最果タヒ×崎山蒼志×長谷川白紙
「ステラ2021」重松清×柄本祐×トオミヨウ
「哀歌」皆川博子×吉澤嘉代子×世武裕子
作曲・Project Produce 水野良樹

近代を彫刻/超克する
文芸(単行本)
〈思想的課題〉としての彫刻を語りたい。
街角の彫像から見えてくる、もう一つの日本近現代史、ジェンダーの問題、公共というもの……。
都市に建立され続け、時に破壊され引き倒される中で、彫刻は何を映すのか。
注目の彫刻家・批評家が放つ画期的な論考。

真・慶安太平記
文芸(単行本)
各紙誌絶賛、即重版! 「本の雑誌」2021時代小説ベスト10選出!
「とにかく楽しめた。まさに手に汗握る、幕府を舞台とする大活劇である」本郷和人(東京大学史料編纂室教授)
「読むと驚く。本当に「真」だ。あっと驚く新解釈まで、一気読みである」北上次郎(評論家)
「破格の面白さ。よく知られた題材が真保によってまったく違った物語として生まれ変わった」杉江松恋(書評家)
「凄まじい謀略戦を活写。最後までスリリングな展開が楽しめる」末国善巳(書評家)
「本書は「作家活動30年」を記念するとともに、その新たなスタートを切る力作といえよう」縄田一男(書評家)
徳川の治世。戦世は遠くなり、政は将軍の意をくむ老中たちの掌中。度重なる改易によって主家を失い、幕府に恨みを抱く牢人があふれる江戸市中に一人の兵法者が現れる。名は由比正雪。その恐るべき企みとは。
夥しい血を流して平らげられた世を、命がけで守り抜こうとした男たち、女たち。
由比正雪の乱として知られる「慶安の変」の裏で、何があったのか。綿密な取材と大胆な仮説を元に歴史の脈動をあますところなく描ききった大河歴史小説。作家生活30年記念書き下ろし。
「慶安太平記」
慶安の変(由比正雪の乱)の実録本。のちに講談、歌舞伎の演目に脚色された。圧倒的な存在感を放つ乱の首魁・由比正雪が幕府へのクーデターを企て、天才的な人心掌握術を用いて人集めと金集めを着々と進め、計画を実行に移していく様を描く。異能の登場人物たちの躍動、壮絶なラストシーンが名高い。
〈目次〉
序章
第一章
将軍と弟/大御所の病/保科家相続/暗闘の果て
幕間
第二章
我が世の春/天地の違い/徳川の末
幕間の二
第三章
将軍の死/疑わしき男/変の真実
終章
後記

死にふさわしい罪
文芸(単行本)
一族のクリスマスパーティーの準備のため、和典は母方の伯父の別荘がある、神戸の須磨にやってきた。駅で出会った女性が隣家の住人であり、和典が愛読していたブログの作者の妻だと知る。そのブログの更新が昨年の秋から更新が途絶えていたことを疑問に思っていたのだが、彼女の夫はその日、十三夜の月が出ていた晩に失踪したという。彼女と同居している往年の人気漫画家の伯母が事件の鍵を握っているのではないかと考え、接触を試みるが……。

だんまり、つぶやき、語らい じぶんをひらくことば
文芸(単行本)
ことばを、
・だんまり
・つぶやき
・語らい
の三つの層で考えてみるというお話に入ろうと思います。
最初にひとつだけ質問させてください。
みんな、ことばって好きですか? 好きなひと、ちょっと手を挙げてくれます?
はい。ありがとう。
嫌いなひとは?
あら……。そうか、どちらでもないひとが圧倒的に多いみたいですね。
ことばが嫌いなひとがものすごく少ない。これ、ちょっと驚きです。
ぼくはですね……じつはことばが苦手、というか、嫌いな人間なんです(笑)。
それで、いまの若い世代の人って、ぼく以上に嫌いなのかなって思っていたんで、虚を衝かれました。
でも、みなさん。だれかとしゃべる、ひとと話すことって、読むとか書くよりしんどくないですか?
しゃべりたくないときでも、黙っていると場から浮いてしまうんじゃないか。
メールが来たらすぐ返さないと、なんか悪くとられてしまうんじゃないか。もうつきあってもらえなくなるんじゃないか
とか、いろいろありそうですね。
しゃべりたくないときには黙っている、しゃべりたくなったら口をひらくのがいちばんラクだと思うのに、なぜかいつもしゃべらないといけないような空気みたいなものがある。ぼくはそれを敏感に感じるほうです。
ことばって面倒くさいじゃないですか。
じゃないですかって、挙手をみるかぎり、みなさんのほとんどがそう思っていないようですから、ちょっと困るところではありますが(笑)、ぼくは、ことばってすごく面倒なものだと思ってきたんです。
というのは、たいていの場合、ことばのほうが過剰か過少であり、ピタリ、ズバリはまずない。……
2020年10月15日、コロナ禍のなか愛知県立一宮高等学校でおこなわれた講演の記録。碩学のあたたかい語りかけと生徒たちの真摯な応答に読者はいつしかわが身をふりかえることだろう。

鴨川ランナー
文芸(単行本)
日本と世界の狭間で生まれた中篇2本。
「鴨川ランナー」……外国から京都に仕事に来た青年の日常や、周囲の扱い方に対する違和感、その中で生きる不安や葛藤などを、「きみ」という二人称を用いた独特の文章で内省的に描く。京都文学賞受賞作。
「異言」……福井の英会話教室を突如やめる羽目になった主人公は、ある日同僚の紹介で結婚式の牧師役のバイトを紹介されるが……。

あさひは失敗しない
文芸(単行本)
あさひの母親は、心配事をあらかじめ避けたり、小さくしておいたりしてくれる人だった。
不安な時には「あさひは失敗しないから」というおまじないをかけてくれた。
そのおまじないはいつしか呪縛になってーー
大好きだったお母さんとも、大学での友達ともうまくいかなくなり、追い詰められたあさひがとる衝撃の行動とは?
第61回メフィスト賞受賞作家、待望の第二作目!

ラストシーンは崖のうえ
文芸(単行本)
二時間サスペンスのラストシーンで犯人が追い詰められる、お約束の崖。その上で繰り広げられる悲喜劇のみを題材にした、(おそらく)前代未聞の漫画が堂々の完成。喜国雅彦の本格ミステリ愛と一流のギャグが融合した奇跡をあなたに!
三十年来の親友であるみうらじゅんさんの4000字解説付き!
二時間サスペンスの帝王、船越英一郎さん「ファーストシーンから抱腹絶倒!!」
二時間サスペンスの裏女王、山村紅葉さん「絶対崖の上で読まないでください」

畏れ入谷の彼女の柘榴
文芸(単行本)
舞城王太郎がすくい取る、不条理で愛しい人間たち。『林檎』『檸檬』に連なる、作家デビュー20周年の記念短編集!

アスクレピオスの断罪 Condemnation of Asclepius
文芸(単行本)
医師が殺された。被害者は三年前に起きた強姦事件の加害者の一人。殺された医師が拷問とも思える傷を受けていたことが分かり、捜査一課の陽山承と真壁剛は、解剖医である楠衣春の協力を得ながら事件の真相を追う……。

四月の岸辺
文芸(単行本)
群像新人文学賞から現れた、揺らぐ時代の表現者。第63回群像新人文学賞優秀作を受賞した「四月の岸辺」と、それに連なる飛躍作「導くひと」を収録する第一作品集。
「四月の岸辺」評より――
「この小説でしか表せなかったなにかが読まれてほしい、この先を書いてほしいと思った」柴崎友香氏
「マイノリティであっても非マイノリティと同様に平穏な日常生活もある様子を丁寧に描きつつ、マイノリティ同士でもどちらかが加害者になってしまう瞬間を厳しく捉えた、たいへん頼もしい小説」松浦理英子氏
「導くひと」評より――
「信心とは洗脳の牢なのか、篤信と狂信の境は。入れ子構造を折々に反転させる語りが固定観念を揺さぶる。デビュー作からの大脱皮だ」鴻巣友季子氏(朝日新聞「文芸時評」2021年4月28日)
これは、つづきの物語。
「四月の岸辺」:三人の従姉妹たちと暮らす「私」は、スカートをはいて通った小学校を卒業し、ぶかぶかの詰襟を着て中学校に通い始めた。みずからを「森の子ども」と呼ぶクラスメイトの少女と、ささやかな交流が始まるが――。
「導くひと」:テロ事件を起こした教団を離れ、東京からひとり山梨の集落に移住した男は、子ども時代を「森の共同体」で過ごしたという青年と出会う。彼の眼はあまりに澄んでいた――。

エール 名もなき人たちのうた
文芸(単行本)
「申し訳ないが・・・」
窪塚夏樹、24歳。元プロ野球ピッチャー、元年俸500万円。
突然球団から戦力外通告を受けた夏樹は、決死の思いで合同トライアウトに挑むが、待てど暮らせど連絡は来ない。
専業主婦の妻、3歳の息子。おまけに母親が若年性アルツハイマーにかかり、実家も頼れない。
ヤバい、人生積んだ、そう思いかけたとき、夏樹に唯一救いの手を差し伸べてくれたのは、居酒屋を経営母体にした
社会人チームだった。昼まで練習、夕方からは居酒屋勤務、慣れない仕事に四苦八苦しながらも、あたたかく迎えてくれた
チームメイトと監督とともに都市対抗野球出場を目指しながらプロ復帰を狙う夏樹。
もしかして、ひょっとして。腐りかけた心に希望が芽生え始めた夏樹。ところが、そんな彼らに「コロナ禍」という未曽有の災いが忍び寄る。
悔しくても、悲しくても、負けたく、ない。
コロナ禍で苦境に立たされた元プロピッチャーの迷いと再生を描く、居酒屋社会人野球小説。
やりたいことができないもどかしい思いを抱くすべての人に届けたい、応援歌!

7.5グラムの奇跡
文芸(単行本)
国家試験に合格し、視能訓練士の資格を手にしたにもかかわらず、野宮恭一の就職先は決まらなかった。
後がない状態で面接を受けたのは、北見眼科医院という街の小さな眼科医院。
人の良い院長に拾われた恭一は、凄腕の視能訓練士・広瀬真織、マッチョな男性看護師・剛田剣、カメラが趣味の女性看護師・丘本真衣らと、視機能を守るために働きはじめる。
精緻な機能を持つ「目」を巡る、心温まる連作短編集。
『線は、僕を描く』で第59回メフィスト賞を受賞しデビュー。
同作でブランチBOOK大賞2019受賞、2020年本屋大賞第3位に選出された作者のデビュー後第1作。

北緯43度のコールドケース
文芸(単行本)
第67回江戸川乱歩賞受賞作!
「事件が面白い」「登場人物が魅力的」「警察の描写がリアル」と選考委員が称賛!
博士号を持ちながら30歳で北海道警察の警察官となった沢村依理子。
ある日、5年前に未解決となっていた誘拐事件の被害者、島崎陽菜の遺体が発見される。
犯人と思われた男はすでに死亡……まさか共犯者が……? 捜査本部が設置されるも、再び未解決のまま解散。
しばらくのち、5年前の誘拐事件の捜査資料が漏洩する。なんと沢村は漏洩犯としての疑いをかけられることに。
果たして沢村の運命は、そして一連の事件の真相とは。
組織に翻弄されながらも正義を追い求める沢村。
警察官として、ひとりの女性として葛藤し成長していくーー。

ルパンの絆
文芸(単行本)
泥棒一族、警察家族、探偵一家、全ファミリー集合!
今回、Lの一族がいただくのは、あなたの心です。
Lの一族の娘・三雲華の夫・和馬はホテルのバーで張り込み中、突如意識を失った。
目を覚ますとスイートルームにいて、浴室には女の死体。
そのころ華の元に、「娘を返してほしければ10億円を用意しろ」との脅迫電話がはいる。
二つの事件は交錯しながら、やがてLの一族の秘密が明らかに――。
これで本当におしまい? 映画とは異なるもう一つの「ルパンの娘」シリーズ最高傑作!
家族を決めるのは、血ではなく愛。

オリンピックにふれる
文芸(単行本)
香港、上海、ソウル、そして東京――分断された世界に、希望は生き残れるか?小説だから見えてくる、光と翳のオリンピック。
変貌をとげるアジアの街で、人生の岐路に揺れる若者たち。コロナ下の東京に、オリンピックの幕が上がる。
2021年夏、東京オリンピックと同時進行で新聞連載された話題作「オリンピックにふれる」をふくむ注目の最新小説集!
「香港林檎」
「この香港のどこかを、もう一人の自分が歩き回っているような気がして仕方ないんだ」
ボート選手枠で入社して10年、タイムが低迷する偉良はコーチから思わぬ宣告を受ける。
「上海蜜柑」
「私たち、上海に住んでるのよ。欲しいものは欲しいって、今、世界で一番言える街に」
ケガで体操選手を諦め、臨時体育教師になった阿青。結婚目前の恋人には初めてのチャンスが訪れていた。
「ストロベリーソウル」
「がんばるって、約束したじゃないか」
ソウルのスケート場で働くクァンドンは、三回転ジャンプに挑む赤い練習着の少女に心惹かれるが……。
「東京花火」
「誰も悪くない。なのに、誰も幸せじゃないのはなぜだ?」
東京五輪が始まった。開会式を前に失踪した部下を探す白瀬は、国立競技場の前に立つ。2021年東京オリンピックと同時進行で新聞連載された話題作。

賭博常習者
文芸(単行本)
「百万円を二百万円にするのはたやすい」
そう嘯いて他人様の懐に平気で手を突っ込み、
意表を突いたケントク買いで万馬券を掴み取る――。
ギャンブルの神様に魅入られた、“ろくでなし”の自伝的長編小説
「30年前の新人が、新人のまま現われた。
馬とデラシネの日々と、ギャンブルの陥穽と
黄昏の中に立つ影に、活路はあるのか。
この小説の放逸な人生の底にあるのは、書くという行為の業である。」
――北方謙三
「破天荒なこの男の物語世界はくやしいほどにまばゆい。
映画の嘘を凌駕した凄味があるからだ。
こいつとは簡単につき合わないほうがいい。」
――高橋伴明(映画監督)
ショウコから百万円を受け取り、(福島競馬場のメインレースの)3枠6番のソウルスピリッツの複勝に張った。
「見ていろ。6番の馬が三着にくれば金になる」
ショウコは府中の馬場をふりかえって戸惑う。
「どういうこと? 馬、走ってないじゃない」
「ここのレースじゃない」
(中略)
しばらくして東京競馬場の帯で束ねられた百万円が七束と、端数の三十万円を受け取る。JRAの手提げ紙袋にそれをしまってもらった。
ショウコはその場にへたり込んで紙袋に手を突っこみ、札束を数えながら、泣いた。
「なんで……なんでこんないい加減な男が簡単にお金を作れちゃうのよ……」
――本文より

居酒屋「一服亭」の四季
文芸(単行本)
鎌倉の路地裏でひっそりと営まれる居酒屋「一服亭」。人見知りな女将は、実はとんでもない名探偵! 2代目・安楽ヨリ子見参。「猟奇的推理」ではありません。「料理的推理」ですわ!