文芸(単行本)作品一覧

路地
路地
著:三木 卓
文芸(単行本)
愛する者を失ない、心に空洞を抱えて生きねばならぬ人々を古都鎌倉はやさしく包みこんでくれる。ささやかだが懸命な日常を温かいまなざしで描いた短篇連作。
アイデンティティ-ズ
アイデンティティ-ズ
著:リ-ビ 英雄
文芸(単行本)
書くということは、略歴との戦いである。 現代文学をリードするリービ英雄、日米中の文化を生きる作家の刺激的な声。
ざぶん
ざぶん
著:嵐山 光三郎
文芸(単行本)
名湯、秘湯? ふざけるなあ。温泉は文学だ、官能だ!鬼才・渾身の文士放湯小説。 文士が好んだ温泉は、ことごとくがひっそりと静かな天然純朴の湯ばかりであった。値段も安かった。川端康成が長期滞在した湯ヶ原の宿は、東京の下町よりも値が安かったから、一年も二年もいられた。いまはそんな温泉はほとんどなくなってしまった。(本文あとがきより)
幻花祭
幻花祭
著:勝目 梓
文芸(単行本)
関口苑生氏[文芸評論家]絶賛! “性”の描写は、現代文学に残された最後の未開拓地だと言われて久しい。事実、かつては慣習のタブーを破る形での性が一般的であったのに対し、現代は慣習を突き抜けたところで新しい生き方の選択として表現されているようにも思われる。だが、性の地平の開拓者である勝目梓は、本書でさらにそのもう一歩先の領域に挑んでみせた。ここに描かれるのは、性器の結合を伴う性交とは別の形の、情愛の極みから生まれる躯の交わりなのである。本書において、勝目梓は生と性の極限を見事に抽出したと言えよう。わたしは心底から震えた。恐るべきはこの作者の描写力だ。
頭弾
頭弾
著:樋口 明雄
文芸(単行本)
香港返還を前に人気を呼んでいる”中国小説”の1冊である。といっても、『三国志』のような歴史活劇ではない。第2次大戦前の満州を舞台にした戦争活劇だが、従来のそれともいささか違う。武侠世界に生きる女馬賊の数奇な運命を描いた本書には、中国伝統の”女侠小説”が、檀一雄『夕日と拳銃』が、アメリカ西部劇が息づいているのだ。多種多彩な冒険活劇要素を合体させた、その途方もないハイブリッド・パワーが読者を圧倒するのは間違いない。――香山二三郎
そして、風が走りぬけて行った
そして、風が走りぬけて行った
著:植田 紗加栄
文芸(単行本)
守安祥太郎こそは、日本最高のジャズピアニストだった。サンバ・クマーナを後手で弾きまくるという見世物的な超絶技巧で暮らしを立てながら、同時に前後ジャズ界の最先端を行くモダン派の巨匠として、たとえば若き日の渡辺貞夫の憧れの的だった。そして突然の、謎に包まれた悲劇的な死。 著者は5年にわたる綿密な調査と、呆れるほど根気のいい取材から、守安祥太郎の意外な生い立ちを、ショパンの難曲を難なく弾きこなしていた慶応普通部時代の優しい少年の面影を、さらに、伝説的な彼のステージを活き活きと浮かび上がらせる。中でも、死の遠因が、空襲時の死体処理にあったという発見は戦慄的だ。 いずれにもせよ、あの天才ジャズピアニストが伝説から蘇った。それも著者の熱気あふれる文章によって、考え得るもっとも理想的な形で。――井上ひさし
誰もわたしを愛さない
誰もわたしを愛さない
著:樋口 有介
文芸(単行本)
待望の“柚木草平シリーズ”新相棒小高直海と女子高生不可解ワールドに挑む! 肩に手をかけてみたが、直海は本気で寝込んでいて、寝息もいびきに変わり、ブルーの上着も左肩が半分ほど脱げかかっていた。俺はジンだけを濃く注いで一口喉を焼き、気合いと一緒に直海の躰をすくいあげた。(中略)骨細に見える躰も脂肪の質感は一人前で、若草のような体臭が一瞬俺を困らせる。俺は直海の躰をベッドにおろしてから、上着とスラックスをはぎ取り、肩の上まで布団をかぶせて、上着を壁のハンガーにセットした。それからスラックスを風呂場に持っていき、尻の泥汚れをシャンプーで洗い、タオルに水分を吸わせて物干しハンガーで部屋の中にぶら下げた。掃除も洗濯も俺の趣味、酔いつぶれた女を襲わないのも俺の趣味で、だからってそんな趣味を誰が褒めてくれるわけでもない。もともと趣味というのは、自分が満足すれば、それでいいだけのことなのだ。(本文より)
江戸は廻灯籠
江戸は廻灯籠
著:佐江 衆一
文芸(単行本)
江戸の息遣いを活写する“円環小説” 屋根職人、剣士、銀細工師、盗賊、目明し……。八百八町の片すみで懸命に生きぬく人々を鮮やかに描く、連作短篇集。
狐罠
狐罠
著:北森 鴻
文芸(単行本)
いやあ、おもしろい……というより、実に恐ろしい世界である。まさに百鬼夜行の骨董業界、その裏また裏が見事なまでに描かれている。何よりも、骨董の世界で生き抜こうというヒロインの熱い息づかいが行間から聞こえてくるのがいい。それはすなわち、ミステリの世界で生き抜こうという作者の熱い決意に他ならない。この一作で、北森鴻はミステリ界の最前線に参戦した!――真保裕一
路傍の熱血ポンちゃん!
路傍の熱血ポンちゃん!
著:山田 詠美
文芸(単行本)
ファン待望、『熱血ポンちゃん』シリーズ! 5冊目の熱血は路傍のワイルド・スタイル。12年に一度の幸運期を迎えたポンちゃんが、大好きなことだけ探求しました。いとおしいものたちで一杯のエッセイ集
萌え立つ山河 藩士堀修一郎の青春
萌え立つ山河 藩士堀修一郎の青春
著:藤井 素介
文芸(単行本)
深溝松平(ふこうずまつだいら)の藩政を救った堀修一郎の〈愛と誠〉 刈谷から福知山へ、そして島原へ。新封地での藩政の幾多の危機を救い、下級武士から側用人に登りつめた青年藩士の人間的魅力。書下ろし長篇時代小説。
恋愛空間
恋愛空間
著:髙樹 のぶ子
文芸(単行本)
女の恋、大人の愛はふたごころから。 人の一生には第一次恋愛期と第二次恋愛期がある。女の恋はふたごころから、そして大人の愛は再会がキ-ワ-ド。恋愛小説の名手が贈る心に響く恋愛エッセイ集。
蛮骨の剣
蛮骨の剣
著:鳥羽 亮
文芸(単行本)
民家に火を放ち、大店(おおだな)を襲う─。“閻魔党(えんまとう)”を名乗る一派が深川を恐怖に落とし入れた。深川の安寧を陰で支えてきた蓮見宗二郎たち始末人と、閻魔党の死闘が始まる。宗二郎の渋沢念流(しぶざわねんりゅう)、謎の老剣客が操る実貫流(じつかんりゅう)……。必殺の剣と剣が深川の闇を舞台に火花を散らす!
超・真・贋
超・真・贋
著:野崎 六助
文芸(単行本)
ツボで問われる〈サギ師〉のウツワ。 贋作騒動から30年、「世紀のツボ」が衆人環視のなか忽然と消えた!怪盗、その幼なじみの警官、往年の映画スターらが入り乱れる新感覚コン・ゲーム誕生!!
庭からの贈りもの
庭からの贈りもの
著:ジュディス・ハンデルスマン,訳:南野 茉莉
文芸(単行本)
ヒーリング・ガーデンへようこそ。植物とのふれあいを通して、人の心は癒されてゆく。園芸コンサルタントの著者が、心にしみるエピソードで綴る、植物たちの神秘的な力。
さくらんぼのお酒
さくらんぼのお酒
著:ヤニス・クサンスリス,訳:福田 千津子
文芸(単行本)
甘ずっぱくて、ほろ苦い。1957年クリスマス。10歳のふたごと15歳の姉は、互いに結婚しようと心に決めていた……。あのクリスマスの日、ぼくら3人は地下室の醸造所で結婚式を上げた。今でも覚えているが、ぼくらは2時間というもの、彼女の胸の上に唇をぴったりつけたままでいた……。 子供たちの愛と性の息吹をエロチックに描く異色作。
文章作法 小説の書き方
文章作法 小説の書き方
著:伊藤 桂一
文芸(単行本)
小説の構想はどうたてるのか? 小説の主事の要締は? 成功作と失敗作の分岐点は? 小説講座18年、新人育ての名手が、実作者としての体験を披露して綴るプロ作家への確かな道。
雨のなかの犬
雨のなかの犬
著:香納 諒一
文芸(単行本)
はぐれ人の彷徨を切なく描く著者初の短篇連作集。 親しかったヤクザのひとりがつまらない喧嘩で命を落とし、時代おくれのトップ屋がひとり、何日も音信不通だった。ヤバい事件に挑んでみるさ。そんなふうにいっていた男だ。ふたりとも、飲むと陽気な仲間だった。飲んでいないときの暮らしは知らない。私も知られたいとは思わなかった。ここ数週間の私はといえば、ろくな仕事もないままに、事務所ちかくの飲み屋で毎晩同じように酒を飲み、同じようにけだるい朝を迎えていた。そんな昼下がり、女がひとり、有楽町のガード下にある事務所を訪ねてきた。依頼人が女の場合、とりあえず歳格好に興味がいく。仕事をやる気がない昼下がりとなればなおさらだ。<本文抜粋>
天魔信長
天魔信長
著:高橋 直樹
文芸(単行本)
孤独と闇―― 内なる力に突き動かされ破壊の野を駆け抜けた若き日の信長。 時代小説の旗手が放つ新しい信長像。
ピアノの音
ピアノの音
著:庄野 潤三
文芸(単行本)
この数年前から夫婦の晩年を主題にした小説を書きたいという気持ちが私にある。 子供が大きくなり、みんな結婚して、家に妻と二人だけで暮らすようになって年月がたった。孫の数もふえて、賑やかになる。そんな夫婦がいったいどんなふうにして日常生活を送っているかを書いてみたい。──あとがきより