講談社現代新書作品一覧

知能とはなにか ヒトとAIのあいだ
講談社現代新書
「AIは人類を上回る知能を持つか?」
「シンギュラリティは起きるのか」。
今世紀最大の論点に機械学習に精通した物理学者が挑む
チャットGPTに代表される生成AIは、機能を限定されることなく、幅広い学習ができる汎用性を持っている、そのため、将来、AIが何を学ぶかを人間が制御できなくなってしまう危険は否定できない。しかし、だからといって、AIが自我や意識を獲得し、自発的に行動して、人類を排除したり、抹殺したりするようになるだろうか。この命題については、著者はそのような恐れはないと主張する。少なくとも、現在の生成AIの延長線上には、人類に匹敵する知能と自我を持つ人工知能が誕生することはない、というのだ。
その理由は、知能という言葉で一括りされているが、人工知能と私たち人類の持つ知能とは似て非なるものであるからだ。
実は、私たちは「そもそも知能とはなにか」ということですら満足に答えることができずにいる。そこで、本書では、曖昧模糊とした「知能」を再定義し、人工知能と私たち人類が持つ「脳」という臓器が生み出す「ヒトの知能」との共通点と相違点を整理したうえで、自律的なAIが自己フィードバックによる改良を繰り返すことによって、人間を上回る知能が誕生するという「シンギュラリティ」(技術的特異点)に達するという仮説の妥当性を論じていく。
生成AIをめぐる混沌とした状況を物理学者が鮮やかに読み解く
本書の内容
はじめに
第0章 生成AI狂騒曲
第1章 過去の知能研究
第2章 深層学習から生成AIへ
第3章 脳の機能としての「知能」
第4章 ニューロンの集合体としての脳
第5章 世界のシミュレーターとしての生成AI
第6章 なぜ人間の脳は少ないサンプルで学習できるのか?
第7章 古典力学はまがい物?
第8章 知能研究の今後
第9章 非線形系非平衡多自由度系と生成AI

はじめての大乗仏教
講談社現代新書
日本の仏教はすべてここから花開いた――。
仏教哲学の碩学が巨大な思想の本質を平易に解説!
・縁起の関係主義的世界観とは?
・なぜ「他力」なのか?
・実体的存在を否定する「空の思想」とは?
・生死輪廻をどのように説くのか?
・菩提と涅槃とは何か?……
私たちはなぜ、自我とものに執着し、苦しむのか。
大乗仏教の世界観と人間観の核心がわかる入門書にして決定版!
日本では、聖徳太子以来、大乗仏教の研鑽が積まれてきました。奈良時代、三論宗(般若中観の教え)、法相宗(唯識の教え)、華厳宗(『華厳経』に基づく教え)などが研究され、平安時代には、『法華経』を所依とする天台宗と、『大日経』、『金剛頂経』を所依とする真言宗が成立し、鎌倉時代には、浄土、禅、法華の新仏教も誕生しました。それらは、日本人の精神史を支えたのみでなく、建築・庭園・絵画・工芸・音楽・文芸等、さらには、華道・茶道・武道等、あらゆる文化を形成しています。数々の優美な仏像は、今も人びとの心を捉えてやみません。仏教は日本の思想・学芸・文化に深く浸透し、大きな影響を与えています。――「はじめに」より

超解読! はじめてのフッサール『イデーン』
講談社現代新書
難解な哲学書をわかりやすく解説する「超解読!」シリーズ最新刊!
ヨーロッパ哲学の最大の難問=認識論の謎を解明した二十世紀哲学の最高峰をわかりやすくかみ砕いて解説。
「普遍認識は可能か」。ギリシャ哲学以来続く認識問題の難問。なぜフッサールは、この認識問題を解明するためには根本的な「視線の逆転」が欠かせないと主張したのか?
ヨーロッパ哲学にパラダイム転換をもたらし、人間と社会についての新しい「本質学」の道を開くこととなった現象学の核心に迫る!
フッサール現象学は、存在論哲学のハイデガー、言語哲学のヴィトゲンシュタインとならんで二十世紀哲学の三つの最高峰をなす。しかし現象学の根本動機、根本理念、根本方法は、ここまで大きな誤解に晒さらされ続けており、それは現在にまでいたっている。フッサール現象学の最大の功績は、ヨーロッパ哲学の最大の難問といえる認識論の謎、哲学的な普遍認識の可能性についての謎を完全に解明した点にある。にもかかわらず、ここまでのところ、フッサール現象学のこの根本動機が明確に指摘されたことはなく、したがって、その解明の方法のエッセンスが明示されたこともない。――「序論」より

睡眠の起源
講談社現代新書
私たちはなぜ眠り、起きるのか?
長い間、生物は「脳を休めるために眠る」と考えられてきた。
それは本当なのだろうか。
新発見!脳をもたない生物ヒドラも眠る――。
世界を驚かせた気鋭の研究者が睡眠と意識の謎に迫る
極上の科学ミステリー!
起きていることは、なんて特別なことだろうか――。
眠りの世界から見えてくる〈生物進化のふしぎ〉
【本書のおもな内容】
●人類は睡眠について何を考えてきたのか?
●眠りが「死の疑似体験」だと解釈された時代
●なぜ寝だめは無意味なのか?
●眠っている脳と起きている脳の違い
●睡眠は「脳を休めるため」ではなかった?
●睡眠を調節する「睡眠圧」と「体内時計」
●眠らない生き物は存在するのか?
●生物の“ほんとうの姿”は眠っている姿
●私たちが眠らなければいけない理由……ほか
【目次】
はじめに――生物はなぜ眠るのか?
第一章 クロアゲハは夜どこにいるのか
第二章 眠りのホメオスタシス
第三章 眠りと時間
第四章 ヒドラという怪物
第五章 眠りのしくみ
第六章 眠りの起源は何か
第七章 眠りと意識

老いを読む 老いを書く
講談社現代新書
「老い本」(おいぼん)とは、人々の老後への不安と欲望にこたえるべく書かれた本のこと。
世界トップクラスの超高齢化社会である日本は、世界一の「老い本」大国でもある。
昭和史に残る名作から近年のベストセラーまで、「老後資金」「定年クライシス」「人生百年」「一人暮らし」「迫りくる死」などトピック別に老い本を厳選し、日本の老いの精神史を鮮やかに読み解いていく。
老いを満喫中の方も、予習中の方も、老後をメタに考えることができる本!
先人・達人たちは老後をいかに乗り切ったか?
<「はじめに」より>
老い本を書く側の充実という現象も見て取ることができる。老い本を欲している読者に本を供給するのは、高齢者の気持ちを十分に知っている、高齢当事者の著者達。老い本が売れるということを知った出版社も今、老い本の執筆を高齢著者にどんどん発注している。日本では出版不況が長く続いているが、老い本の界隈に限っては、熱いブームが続いているのだ。
この現象は、日本独特のものであるらしい。海外の出版事情に詳しい著作権代理店の版権担当者に聞けば、高齢化が進んでいる先進諸国において、日本のような老い本ブームは発生していないとのこと。
老い本ブームは、一過性のものではなかろう。日本では当分の間、高齢化率も平均寿命も高水準で推移することが予測されているのであり、老い本への需要もまた、高いままであり続けるに違いない。
老い本、および老い本の著者達を検証することによって、日本の高齢者、および高齢化の今と今後が見えてくるのではないか。
<目次>
はじめに 「老い本」大国ニッポン
第一章 老いの名作は老いない
一 迷惑をかけたくない──『楢山節考』
二 いつか、自分も──『恍惚の人』
三 マンガが見つめる孤独──『いじわるばあさん』
四 古典の老いと理想──『竹取物語』 『枕草子』 『徒然草』 『方丈記』
第二章 老いをどう生きるか
一 百歳の人間宣言
二 定年クライシス
三 六十代──老人界のフレッシュマン
四 「乙女老女」は未来志向
コラム 老い本ブームの先陣を切った二冊の「新しさ」
第三章 老いのライフスタイル
一 一人暮らし
二 おしゃれの伝承
三 おばあさんと料理
四 田舎への移住
コラム 高齢者の「迷惑恐怖」を煽る終活本
第四章 老いの重大問題
一 金は足りるのか
二 配偶者に先立たれる
三 「死」との向き合い方
四 老人と性
おわりに 老い本は不安と希望のしるし──ぴんころ地蔵と姨捨山を訪ねて
老い本年表

現代日本人の法意識
講談社現代新書
日本を震撼させた衝撃の名著『絶望の裁判所』から10年
元エリート判事にして法学の権威が、日本人の法意識にひそむ「闇」を暴く!
本書は、書名から明らかなとおり、日本人に根付いている「日本人特有の法意識」をテーマとする。私は、裁判官として三十三年間に約一万件の民事訴訟事件を手がけるとともに、研究・執筆をも行い、さらに、純粋な学者に転身してからの約十三年間で、以上の経験、研究等に基づいた考察を深めてきた。この書物では、そうした経験をもつ者としての、理論と実務を踏まえた視点から、過去に行われてきた研究をも一つの参考にしつつ、「現代日本人の法意識」について、独自の、かつ多面的・重層的な分析を行ってみたいと考える。
法学者・元裁判官である私が、法律のプロフェッショナルですら満足に答えられないような曖昧模糊とした「法意識」に焦点を合わせた一般向けの書物を執筆したのは、日本固有の法意識、日本人の法意識こそ、私たち日本人を悩ませる種々の法的な問題を引き起こす元凶の一つにほかならないと考えるからだ。
そればかりではない。意識されないまま日本人の心理にべったりと張り付いた日本的法意識は、日本の政治・経済等各種のシステムを長期にわたってむしばんでいる停滞と膠着にも、深く関与している可能性がある。その意味では、本書は、「法意識」という側面から、日本社会の問題、ことに「その前近代的な部分やムラ社会的な部分がはらむ問題」を照らし出す試みでもある。
この書物で、私は、日本人の法意識について、それを論じることの意味とその歴史から始まり、共同親権や同性婚等の問題を含めての婚姻や離婚に関する法意識、死刑や冤罪の問題を含めての犯罪や刑罰に関する法意識、権利や契約に関する法意識、司法・裁判・裁判官に関する法意識、制度と政治に関する法意識、以上の基盤にある精神的風土といった広範で包括的な観点から、分析や考察を行う。
それは、私たち日本人の無意識下にある「法意識」に光を当てることによって、普段は意識することのない、日本と日本人に関する種々の根深い問題の存在、またその解決の端緒が見えてくると考えるからである。また、そのような探究から導き出される解答は、停滞と混迷が長く続いているにもかかわらずその打開策が見出せないでもがき苦しんでいる現代日本社会についての、一つの処方箋ともなりうると考えるからである。

ほんとうの日本経済 データが示す「これから起こること」
講談社現代新書
人手が足りない!
個人と企業はどう生きるか?
人口減少経済は一体どこへ向かうのか?
なぜ給料は上がり始めたのか、経済低迷の意外な主因、人件費高騰がインフレを引き起こす、人手不足の最先端をゆく地方の実態、年間労働時間200時間減のワケ、医療・介護が最大の産業になる日、労働参加率は主要国で最高水準に、「失われた30年」からの大転換……
10万部突破ベストセラー『ほんとうの定年後』著者がデータと取材で明らかにする、先が見えない今こそ知りたい「10の大変化」と「8つの未来予測」――。
【目次】
プロローグ――人手不足の先端を走る地方中小企業の実情
第1部 人口減少経済「10の変化」
変化1 人口減少局面に入った日本経済
変化2 生産性は堅調も、経済成長率は低迷
変化3 需要不足から供給制約へ
変化4 正規化が進む若年労働市場
変化5 賃金は上がり始めている
変化6 急速に減少する労働時間
変化7 労働参加率は主要国で最高水準に
変化8 膨張する医療・介護産業
変化9 能力増強のための投資から省人化投資へ
変化10 人件費高騰が引き起こすインフレーション
第2部 機械化と自動化――少ない人手で効率よく生産するために
建設 現場作業の半分はロボットと
運輸 自動運転は幹線輸送から
販売 レジ業務は消失、商品陳列ロボットが普及
接客・調理 デジタル化に伴いセルフサービスが広がる
医療 非臨床業務の代替と専門業務への特化
介護 記録作業から解放し、直接介助に注力する体制を
第3部 人口減少経済「8つの未来予測」
1.人口減少経済でこれから何が起こるのか
2.人口減少局面における社会選択

江戸の犯罪録 長崎奉行「犯科帳」を読む
講談社現代新書
江戸時代の「大都会」長崎。200年、全145冊の記録が明らかにする時代の素顔!
抜荷発覚を恐れて自害した犯人の死体を塩漬けで保存。死骸を磔/心中相手を刺殺するも自分は死にきれず、自首して斬首に/奉行所から障子を盗み出したところを見つかり死罪/漁師のはえ縄が引き上げた銀子から抜荷が発覚。犯人は全員死罪/偽銀作りで親が死罪・獄門。子どもは縁座で遠島/遠島先で人を殺して死罪/1人の女が3人の男と密通。女を巡って刃傷沙汰を起こした男2人は刎首獄門、もう1人の男は陰茎切、女は鼻そぎ/密通相手の男を斬殺した夫はお咎めなし。密通した妻は死罪。

人はどう悩むのか
講談社現代新書
日本は今、「人生100年」と言われる長寿国になりましたが、その百年間をずっと幸せに生きることは、必ずしも容易ではありません。特に人生の後半、長生きをすればするほど、さまざまな困難が待ち受けています。
長生きとはすなわち老いることで、老いれば身体は弱り、能力は低下し、外見も衰えます。社会的にも経済的にも不遇になりがちで、病気の心配、介護の心配、さらには死の恐怖も迫ってきます。
そのため、最近ではうつ状態に陥る高齢者が増えており、せっかく長生きをしているのに、鬱々とした余生を送っている人が少なくありません。
実にもったいないことだと思います。
その状態を改善するには、どうすればいいのか。
身体を鍛え、機能の低下を防ぐためにあらゆる努力を重ねることでしょうか。
ちがいます。老いに抵抗することは、どんどん数が増える敵と闘うようなものです。それならば老化予防に執着するより、早めの和平、すなわち実現可能な状態で満足するほうが理に適っています。
身体が衰えるのは致し方ないとしても、精神的に健康であれば、日々をよりよく生きられるでしょう。病気や障害があっても、経済的に恵まれていなくても、家族がいてもいなくても、精神的に満たされていれば、幸せを感じることができるはずです。
「幸せな老後」を実現するのに、何より大切なことは、精神的に満たされること、すなわち、「精神の健康」です。
私は精神科医ではありませんが、福祉系の大学で「精神保健学」を昨年(2023年)まで、15年間、学生たちに講義をしてきました。精神保健学とは、文字通り「精神の健康(メンタルヘルス)を保つ」ための学問です。「精神の健康」とは、言い換えれば「毎日を気分よくすごせる状態」です。悩みや不安もなく、社会人、家庭人、個人として、健全な生活をしていることです。すなわちそれは、「幸福」ということで、年齢や地位や財産などに関係なく、生きていく上でもっとも大事なものではないでしょうか。
そこで、本書では、各ライフステージに潜む悩みを年代ごとに解説していきます。ふつうは時系列に沿って、生まれたときからスタートしますが、今回は逆に高齢者の側からたどってみたいと思います。
というのは、今の超高齢社会では、高齢者うつなど、「精神の健康の危機」に直面している人が多いからです。お釈迦さんが唱えた「生老病死」の四苦のうち、「老病死」の三つが襲いかかってくるのが高齢者です。悩みは心に生じるもので、物質や事実のように客観的に存在するものではありません。それなら、事前に悩みのありようを知ることで、実体のない悩みを少しは抑えることができるのではないでしょうか。せっかく手に入れた長生きを、気分よくすごす。それが本書の目的です。

異次元緩和の罪と罰
講談社現代新書
日銀発「危機」の本質が明快にわかる! と絶賛の声が続々と!
藤巻健史氏(元モルガン銀行東京支店長)
「安倍元総理が、もし彼をブレインに選んでいたら、いまの日本経済はバラ色だったに違いない
高橋亘氏(元日本銀行金融研究所所長)
「異例の政策を見つめた元日銀理事による良識の書。簡明な説明で問題点がわかる」
(本書の内容)
2024年3月、日本銀行はついに「異次元緩和」に終止符を打った。前総裁氏の就任直後に導入して以来、11年近くもの歳月が流れていた。いま振り返って気づくのは、日本経済が世界に例をみない異形の姿となったことだ。日銀が保有する国債残高は約590兆円に上り、普通国債の発行残高の56%に達する(24年3月末時点)。中央銀行が政府の資金繰りの面倒をみることは、財政規律を維持するための人類の知恵として、世界的に禁じられてきた。市場経済を掲げる国の中央銀行として異例の事態である。
財政規律の後退も著しい。IMF(国債通貨基金)の世界経済見通し(2024年4月)によれば、政府の財政状態を示す「一般政府の債務残高対GDP比率(22年見込み)」は257%と、世界約190ヵ国・地域中第2位の高さにある。国と通貨に対する信認は先人たちの努力の積み重ねによって築き上げられてきたものだが、このような財政状態を続けていて、いつまで信認を保ち続けることができるだろうか。
外国為替市場では、2024年4月、円・ドル相場が37年半ぶりの1ドル=161円台後半まで下落した。24年春の時点の実質実効為替レートは、1971年8月のニクソンショック時よりもさらに円安の水準、すなわち当時の1ドル=360円をさらに下回るレベルまで下落している。多くの日本人にとって、円相場はいまや未知の世界に突入している。これらすべてが日銀のせいというわけではないが、異次元緩和が果たした役割は大きい。にもかかわらず、日銀や政府からはあまり危機感が聞こえてこない。
異次元緩和の総括なしにこれからの金融政策を進めていけば、将来再び物価上昇率が低下した際に同じ道を辿る危険性がある。あるいは、物価目標2%にこだわるあまり、さらなる円安など、インフレ圧力への対処が遅れるリスクも否定できない。
本書は、異次元緩和の成果を検証するとともに、歴史に残る野心的な経済実験が生み出したものと、それが日本経済と私たち日本人にもたらす痛みと困難、そして、そこからの再生を考えるための試みである。

従属の代償 日米軍事一体化の真実
講談社現代新書
「安全保障を専門とするジャーナリストとして20年以上活動してきた中で、
今ほど戦争の危機を感じる時はありません。」
日本がいつの間にか米国のミサイル基地になっていた……政府の巧妙な
「ウソ」を気鋭のジャーナリストが見破る!現代人必読の安全保障論。
「いま、人知れず大変な事態が進行している。米軍が日本全土に対中戦争を想定した、核を搭載可能なミサイルを配備しようとしているのだ! しかも今後、日米の軍事一体化が「核共有」まで進めば、米軍は密約により、その核ミサイルを自衛隊に発射させることも可能になる。この未曾有の難局に、私たち日本人はいったいどう対処すればよいのか? 第一人者布施祐仁による驚愕のレポートと提言に、ぜひ耳を傾けてほしい」
――矢部宏治氏(『知ってはいけない』)
「布施祐仁は、戦後日本の対米従属の戦慄すべき帰結を容赦なく暴き出している。世界の火薬庫と化しつつある東アジアで、我々は戦争屋のお先棒担ぎになるのか、それとも平和の架け橋となるのか、決断の時はいまである」
――白井聡氏(『永続敗戦論』)
● 「台湾有事」をシミュレーション 日本への影響は?
● 日本にミサイルが配備される可能性
● 自衛隊が「米軍の一部」に…「非対称」な軍事関係
● 広がる米中間の溝 核軍拡競争の時代に逆戻りか
● 政府による巧妙な嘘…「核持ち込み密約」の真実
● 「日本有事」を防ぐために――日本がとるべきミサイル・核政策とは?
「戦後安全保障政策の大転換」
その正体は、終わりなき軍備拡張と米国への従属だった――
現代を「新しい戦前」にしないために
【目次】
はじめに
第1章 南西の壁
第2章 中距離ミサイルがもたらす危機
第3章 米軍指揮下に組み込まれる自衛隊
第4章 日本に核が配備される可能性
第5章 日米同盟と核の歴史
第6章 米中避戦の道
おわりに
主要参考文献

生きることは頼ること 「自己責任」から「弱い責任」へ
講談社現代新書
助けを求めることは、「無責任」ではない!
気鋭の哲学者が、日本社会に跋扈する「自己責任」という名の怪物を退治し、
新たな「責任」の哲学を立ち上げる。
頼ることが、後ろめたくない社会へ!
新自由主義を下支えする思想として、日本に導入された「自己責任」論。
しかし、これは人々を分断し、孤立させる。
誰かに責任を押し付けるのではなく、
別の誰かに頼ったり、引き継いだりすることで、
責任が全うされる社会へ。
ハンス・ヨナス、エヴァ・フェダー・キテイ、ジュディス・バトラー、
3人の独創的な哲学者を手がかりに、
「利他」の礎となる、
「弱い責任」の理論を構築する!

トラウマ 「こころの傷」をどう癒やすか
講談社現代新書
自然に治癒することはなく、一生強い「毒性」を放ち、心身を蝕み続ける―
発達障害と複雑性PTSDの第一人者が、「心の複雑骨折」をトラウマを癒やす、安全かつ高い治療効果を持つ画期的な治療法を解説。イラストによる完全図解と動画を用いて、治療の一部始終を再現する。
あなたは本当にトラウマのことを知っていますか?
質問です。次の問いはYes or No?
(1) トラウマは日常的によく起きるものなので、だれでも1つや2つトラウマを持っている 。
(2)日本で一番遭遇する可能性が高いトラウマは、地震などの大災害である。
(3) トラウマは「こころの傷」なので、不安神経症と同様に脳波の異常とか脳の形の変化までは起きない。
(4) トラウマは分かりやすいイベントなので、精神科の他の病気に誤診されることは希だ。
(5) 深刻なトラウマでも、時間が経てば徐々に治ってゆく。
(6) 深刻なトラウマがあっても、それにいっさい触れず、本人も忘れるように努力すればやがて元気に生活ができる。
(7) したがって、トラウマがあっても一般的に体の健康には大きな影響はない。
(8) トラウマの治療には、共感し、傾聴するカウンセリングが何より有効だ。
(9) 深刻なトラウマを負った子どもたちであっても、しっかりと愛情を注ぐことでトラウマの傷を癒やすことができる。
(10) トラウマ治療は時間が大変にかかるので一般的な保険診療では実施できない。
答えはすべて No です。詳しい理由は本書にて
「まえがき」より
トラウマとは、抱えきれないほどの辛い体験によって受けたこころの傷をあらわします。重症なトラウマは、自然治癒が極めて困難で、心身に大きなマイナスの影響が生じてきます。この治療のためには、「トラウマ処理」と呼ばれる特殊な心理療法が必要になってきます。しかしこのようなことは十分に知られていないため、トラウマを抱えながら苦闘されている人々が多数存在します。
本書は、深刻な問題を生み出しているトラウマのあまり知られていない知識と、その治療法について書かれています。

モンゴル帝国 草原のダイナミズムと女たち
講談社現代新書
近年、モンゴル帝国に関する研究が文献、考古学ともに長足の進歩を遂げ、従来の「野蛮、残虐」といったイメージは大きく修正が迫られています。とくに遊牧民によってユーラシア世界が統一された結果、情報の伝達と交易が飛躍的拡大、それによってはじめて「世界史」が生まれたとみる考えかたは常識となりつつあります。
また、遊牧民の世界は定住農耕とはまったく別の論理に基づく社会システムであって、そこに優劣はありえないことを多くの人が理解しはじめており、なかでも女性の役割がきわめて大きかったことが注目されています。たとえば2010年に刊行されたアメリカの文化人類学者ジャック・ウェザフォードによるThe Secret History of the Mongol Queensは欧米人のモンゴルやユーラシアの遊牧民に対する偏見、ヨーロッパ中心主義を打破するために書かれ、ベストセラーとなりました。。
本書も同様にチンギス・ハーンの征服とその子どもたちによる勢力拡大がどのようになされていったか、武力だけに頼らない婚姻政策の実態、また権力闘争の舞台裏を描き出します。

老化と寿命の謎
講談社現代新書
ベテラン科学記者が研究の最前線をわかりやすく紹介!
「長い老い」を豊かに過ごすためにこれだけは知っておきたい最新知識!
・400年生きるサメと若返るクラゲ
・老化を引き起こす活性酸素
・「細胞分裂の回数券」テロメアとは?
・代謝と有害物除去を担う「オートファジー」
・寿命に関わる遺伝子の発見
・フレイル予防のポイント
・筋肉が衰えるサルコペニア
・転倒は結果でもあり原因でもある
・認知症と物忘れはどう違う?
・なぜ高齢者は眠りをそれほど必要としていないのか?――。
健康であっても、そうでなくても、老化と向き合うすべての人に贈る処方箋。
信濃毎日新聞の大好評連載を書籍化。

意識の脳科学 「デジタル不老不死」の扉を開く
講談社現代新書
驚愕の研究、最前線!
脳からコンピュータに意識を移す!!
意識はどのように生まれるのか?
生命科学最大の謎を解く、切り札がここに!
意識のアップロードを可能にする秘策とは?
永遠の命を得た意識は、何を感じ、何を思うのか?
科学者人生を懸けた渾身の書!
【本書の内容】
・なぜニューロンの塊にすぎない脳に「意識」がわくのか
・「意識の解明」と「不老不死の実現」一石二鳥の妙案
・右脳と左脳を切り離すと、二つの意識が現れる
・新型ブレイン・マシン・インターフェースで、脳半球と機械半球をつなぐ
・人工神経回路網に意識を移し替えることで、意識を解き明かす
・意識のアップロード後には、現実世界と見紛うばかりの世界が待つ
・アップロードされた「わたし」は「わたし」であり続けるか
【目次】
1章 死は怖くないか
2章 アップロード後の世界はどうなるか
3章 死を介さない意識のアップロードは可能か
4章 侵襲ブレイン・マシン・インターフェース
5章 いざ、意識のアップロード!
6章 「わたし」は「わたし」であり続けるか
7章 アップロードされた「わたし」は自由意志をもつか
8章 そもそも意識とは
9章 意識を解き明かすには
10章 意識の自然則の「客観側の対象」
11章 意識は情報か 神経アルゴリズムか
12章 意識の「生成プロセス仮説」
13章 意識の自然則の実験的検証に向けて
14章 AIに意識は宿るか
15章 意識のアップロードに向けての課題
16章 20年後のデジタル不老不死

AIは短歌をどう詠むか
講談社現代新書
短歌AIを開発しながら考えた、人間だけにできること、AIにしかできないこと。
「型」と「らしさ」を身につけるには?
AIが学んでいく姿から、短歌の面白さも見えてくる!
令和の世で、空前のブームとなっている「短歌」。
そしてもはや私たちの日常にも深く入り込んでいる「AI」。
感情を持っていないはずのAIが、
どうやって、まるで人のように短歌を詠めるようになるのか?
そこで見えてきたAIと人との幸福な関係性とは?
<短歌AI>の開発に心血を注いできた、気鋭の研究者がわかりやすく解説します。
短歌とAI、いずれもへの扉を開いてくれる本!

資本主義の宿命 経済学は格差とどう向き合ってきたか
講談社現代新書
社長と社員の給与格差、どれくらいならOKですか?
日本では、資産5億円以上の超富裕層は9万世帯。単身世帯の34・5%は資産ゼローー。
富裕者をより富ませ、貧困者をより貧しくさせる今日の資本主義。
アダム・スミスやマルクス、ケインズ、そしてピケティは、「富と貧困」の問題をいかに論じてきたか。
経済学の歴史に学びながら、経済成長か格差是正か、資本主義のジレンマについて考え、今後の進むべき道を提示する。
●先進国のなかでも所得格差の大きい日本
●日本の相対的貧困率は15.4%
●なぜ若者と高齢者の貧困率が高いのか
●最低賃金以下で働く人の割合は1.8%
●日本の生活保護の捕捉率は20%前後
●自由な経済活動がもたらす勝者と敗者――ヒューム
●アダム・スミスは経済学者か道徳哲学者か
●空想的社会主義者たちの格差是正策
●マルクスへの橋渡しをしたJ・S・ミル
●失業者の発生を明らかにしたケインズ
●福祉国家の先駆けはビスマルクのプロシャ
●ウェッブ夫妻のナショナル・ミニマム論
●税収を財源とするデンマークの福祉制度
●高所得者の動向を分析したピケティの衝撃
●逆進性が強いアメリカの所得税制
●所得格差の大きい共産主義国・中国
●日本の年収1000万円以上は5%
●アメリカ超富裕者たちの脱税率
●日本の所得税の最高税率はどう変わったか
●家族の変化と福祉国家への道

王墓の謎
講談社現代新書
「王墓はなぜ築かれたのか?」
本書のテーマは、この素朴な疑問である。
エジプトのファラオが築いたピラミッド、中国の皇帝たちが造った山陵など、
人類史には王の埋葬のためのモニュメントが数多くある。
それらは、王が自らの権力を誇示するために築造したと考えられている。
したがって、王墓の大きさは権力の大きさに比例する、
王墓は王の権力の象徴にほかならない、という理解が常識とされており、
教科書にもそう書かれている。
しかし、本書ではこの定説に真っ向から反論し、
新たな視野から王墓を理解することを目的とする。
本書では、王墓にまつわる次のような謎に挑む。
・「王墓=権力の象徴」説は、いかにして定説になったのか
・王墓は、権力者が命じた強制労働の産物なのか
・墓造りのエネルギーを、なぜ農地の拡大や都市整備に投下しなかったのか
・葬られたのは「強い王」か「弱い王」か
・高価な品々が、なぜ一緒に埋められたのか
・なぜ人類は、世界各地で王墓を築いたのか?
・「大洪水伝説」が残る地域と、王墓の誕生した地域が重なるのはなぜか
・王墓は、危機に瀕した社会が生き残るための最終手段か
・王が神格化され強大な権力を持つと、王墓が衰退するのはなぜか
この本は、「王墓=権力の象徴」というステレオタイプな理解で停止してしまっている
私たちの思考を根本から問い直すものである。
王墓は、王自らの権力欲のためのものではなく、
人々が自ら進んで社会の存続を王に託した時に、はじめて誕生する。
王墓は、王を神へ捧げるための舞台であり、
権力や富の集中を防ぐために、人類が発明した優れた機構なのだ!
古代史ミステリーの「定説」を覆す、必読の書!

哲学の世界 時間・運命・人生のパラドクス
講談社現代新書
人生に意味はあるのか?
私たちは自由なのか?
死は悪いことか?
運命は決まっているのか?
時間は流れているのか?
「あたりまえ」がひっくり返る、脳に汗かく哲学体験。
世界や人生の見え方がガラッと変わる!
いざ、<哲学的思考>の深みへーー。