講談社現代新書作品一覧

世界史の中の戦国大名
講談社現代新書
ポルトガルインド総督に使節を派遣した大友氏。アユタヤ国王との接触を図る松浦氏。カンボジアとの「国交」樹立を目論む島津氏。さらには天正遣欧使節や伊達政宗による慶長遣欧使節。あるいは、その本拠地で花開いた国際色豊かな「コスモポリタンシティー」ーー国の「王」として、狭い冊封体制の枠組みを越え、東南アジアから南アジアへ、そしてヨーロッパへと、対外活動を地球を俯瞰する広範囲へと拡大してゆく戦国大名たち。日本史の文脈を越え、世界史のコンテクストの中から見えてくる、戦国大名のこれまでとはまったく異なった新たな姿を提示する。

高学歴難民
講談社現代新書
学歴があれば「勝ち組」なのか?
月10万円の困窮生活、振り込め詐欺や万引きに手を染める、博士課程中退で借金1000万円、ロースクールを経て「ヒモ」に、日本に馴染めない帰国子女、教育費2000万円かけたのに無職……
「こんなはずではなかった」
誰にも言えない悲惨な実態!
【目次】
序章 犯罪者になった高学歴難民
第1章 博士課程難民
第2章 法曹難民
第3章 海外留学帰国難民
第4章 難民生活を支える「家族の告白」
第5章 高学歴難民が孤立する構造

思考の方法学
講談社現代新書
自分の頭で考えるために、必要不可欠な技術を明かそう。
文系も理系も関係ない! まずは、モデルを考える。
課題の解決、目的の達成、本質の究明、将来予測、デマに騙されないために……。
日常生活から学問、ビジネスまで、現実世界での論理的な意思決定に一生役に立つ「モデル分析」の作法をわかりやすく解説する。
(数式は一切用いずに説明しています!)
<本書の内容>
●モデル分析とは「捨てる技術」
●個性的な個体を把握する代表的モデル「台風予測」
●東京圏の都心から郊外へ向けての人口分布モデル
●人口ピラミッドの予測モデル
●十干十二支というオカルトモデル
●店舗内の客の行動を記述するミクロモデル
●ウイルス感染伝播を予測するモデル
●在庫管理における静的モデルと動的モデル
●飛行機の座席数を決定するための最適化モデル
●「もったいないバイアス」に注意
●自宅における埋没費用とは
●スマートフォン買い替え候補の「パレート最適」
<「はじめに」より>
本書は「モデルづくり」のノウハウ本ではありません(いくつものモデルのつくり方を述べたので、もちろん参考になるとは思いますが)。
それよりも本書は、モデル分析の本質の理解に重点をおきました。加えて人間を取り巻く組織や社会に関するモデル分析を行う上で、是非とも押さえておくべき手法や概念の紹介につとめました。こうした知識は、モデル分析という思考の技術を豊かなものにするために大いに寄与してくれるはずです。
さらに本書において筆者は特に、文系と理系の垣根を飛び越えることの大切さをお伝えすることに力を注ぎました。(中略)
文系思考と理系思考というステレオタイプの区分けに左右されずに、文理の境界をまたいで方法論や概念を学び、実践することが大切です。

紫式部と藤原道長
講談社現代新書
『源氏物語』がなければ道長の栄華もなかった!
無官で貧しい学者の娘が、なぜ世界最高峰の文学作品を執筆できたのか?
後宮で、道長が紫式部に期待したこととは?
古記録で読み解く、平安時代のリアル
・紫式部は早くに生母と死別、父は後妻のもとに通う日々
・道長の権力獲得に欠かせなかった姉・詮子
・道長最大の政敵が失脚した「長徳の変」
・紫式部と夫宣孝の「痴話喧嘩」
・一条天皇は『源氏物語』の愛読者
・華やかな定子サロンと地味な彰子サロン
・「御物怪が……」彰子出産の記録『紫式部日記』
・三条天皇と道長の確執
・彰子と実資の間を取り次ぐ紫式部
・「この世をば……」が詠まれたとき
24年大河ドラマ「光る君へ」時代考証担当の第一人者が描く、平安宮廷の世界と、交差した二人の生涯!

日本の歪み
講談社現代新書
この社会の
居心地の悪さは
どこからきたのか?
明治維新と敗戦、憲法、天皇、
経済停滞、少子化、巨大地震…
「考えたくなかった」
戦後日本の論点を徹底討論!
<本書の内容>
右も左も、いまだに外圧頼り。
内発的に自分たちの価値を肯定し、守るということができていない(東)
天皇が生物学を勉強したのは、正気を保つためにやっていたんでしょう(養老)
日本人は戦争による被害も、人災ではなく天災のように捉えてしまう(茂木)
「シビリアン・コントロール」なんて、
自分の国の言葉にもできないようなものが身につくはずがない(養老)
戦後、この国は、人の心を安定させるものを、かなり潰してしまった。
新興宗教が強いのも、コミュニティの貧しさと関係している(東)
「九条」に限らず、日本は整合性をつけることへの欲望がない(茂木)
日本経済が30年も停滞している理由は、
もう作らなくていい、壊さなくていい、という暗黙の民意なんじゃないか(養老)
被害の記憶を伝えたいなら、震災の日だけでも実際の津波の映像を流したほうがいい(東)

中流危機
講談社現代新書
かつて「一億総中流社会」と言われた日本。戦後、日本の経済成長を支えたのは、企業で猛烈に働き、消費意欲も旺盛な中間層の人たちだった。しかし、バブル崩壊から30年が経ったいま、その形は大きく崩れている。
2022年7月内閣府が発表したデータでは、1994年に日本の所得中間層の505万円だった中央値が2019年には374万円と、25年間で実に約130万円も減少した。もはや日本はかつてのような「豊かな国」ではなく先進国の平均以下の国になってしまった。なぜ日本の中流階層は急激に貧しくなってしまったのか。「中流危機」ともいえる閉塞環境を打ち破るために、国、企業、労働者は何ができるのか。その処方箋を探った。
【プロローグ】稼げなくなった中間層
第1部 中流危機の衝撃
第1章 幻想だった中流の生活
第2章 夢を失い始めた若者たち
第3章 追い詰められる日本企業
第4章 非正規雇用 負のスパイラルはなぜ始まったのか
第2部 中流再生のための処方箋
第5章 デジタルイノベーションを生み出せ
第6章 リスキリングのすすめ
第7章 リスキリング先進国ドイツに学ぶ
第8章 試行錯誤 日本のリスキリング最新事情
第9章 同一労働同一賃金 オランダパートタイム経済に学ぶ
【エピローグ】ミドルクラス 150年の課題

テロルの昭和史
講談社現代新書
青年たちの「義挙」に民衆は拍手したーー。
血盟団事件、五・一五事件、神兵隊事件、死なう団事件、そして二・二六事件……。
なぜ暴力は連鎖し、破局へと至ったのか?
昭和史研究の第一人者による「現代への警世」。
【本書の内容】
・「安倍晋三銃撃事件」と昭和テロの共通点
・「正義を守るための暴力」という矛盾
・現代の特徴は「テロの事務化」
・ピストルではなく短刀にこだわった将兵
・「三月事件」と橋本欣五郎
・「血盟団」井上日召の暗殺哲学
・五・一五事件の「涙の法廷」
・昭和テロリズムの「動機至純論」
・愛郷塾の存在と「西田税襲撃事件」
・言論人・桐生悠々の怒り
・大規模クーデター計画「神兵隊事件」
・罪の意識がまったくない相沢一郎
・血染めの軍服に誓った東條英機
・「死のう団」のあまりに異様な集団割腹
・二・二六事件が生んだ「遺族の怒り」
・一貫してクーデターに反対した昭和天皇 ……ほか
【本書の目次】
序章:昭和テロリズムから見た安倍元首相銃撃事件
第一章:残虐のプロローグ――三月事件から血盟団事件へ
第二章:昭和ファシズムの形成――五・一五事件が歴史を変えた
第三章:暴力の季節への抵抗者たち――ジャーナリスト・桐生悠々と政治家・斎藤隆夫
第四章:「血なまぐさい渇望」のクロニクル――神兵隊事件から永田鉄山刺殺事件まで
第五章:国家暴力というテロリズム――死のう団事件の異観
第六章:テロから戦争への転換――二・二六事件の残虐さが意味すること
不気味な時代の再来を拒むためにーーあとがきにかえて

首都防衛
講談社現代新書
首都直下地震、南海トラフ巨大地震、富士山大噴火……
過去にも一度起きた「恐怖の大連動」は、東京・日本をどう壊すのか?
命を守るために、いま何をやるべきか?
最新データや数々の専門家の知見から明らかになった、
知らなかったでは絶対にすまされない「最悪の被害想定」とは――。
【本書のおもな内容】
●320年ほど前に起きた「前代未聞の大災害」
●首都直下地震で帰宅困難者453万人、6000人が犠牲に
●朝・昼・夕で被害はどれだけ違うのか?
●南海トラフが富士山噴火と首都直下地震を呼び起こす
●なぜ「足立区」が一番危ないのか?
●「7秒」が生死を分ける、半数は家で亡くなる
●大震災で多くの人が最も必要と感じる情報とは?
●国や都の機能が緊急時に「立川」に移るワケ
●そもそも地震は「予知」できるのか?
●「内陸直下の地震」と「海溝型の地震」は何が違うのか?
●エレベーター乗車前に「すべきこと」
●半年に1度の家族会議をする地震学者
●なぜ「耐震改修」が進まないのか?
●弾道ミサイルから逃げられない事情
●天気はコントロールできるのか……ほか
【目次】
はじめに 最悪のシミュレーション
第1章 首都直下地震の「本当の恐怖」
第2章 南海トラフ巨大地震は想像を超える
第3章 大災害「10の教訓」
第4章 富士山噴火・気象災害・弾道ミサイル

はじめての人類学
講談社現代新書
「人間の生」とは一体何なのか。今から100年前、人類学者たちはその答えを知ろうとしてフィールドワークに飛び出した。マリノフスキ、レヴィ=ストロース、ボアズ、インゴルドという4人の最重要人物から浮かび上がる、人類学者たちの足跡とは。これを読めば人類学の真髄が掴める、いままでなかった新しい入門書!

特捜検察の正体
講談社現代新書
「まさか、特捜検事が相手の話をまともに聞こうとせず、脅しやだましによって、あらかじめ用意した供述調書に無理矢理サインさせるとは思わなかった」(村木厚子・元厚労省事務次官)
村木厚子、角川歴彦、小沢一郎、カルロス・ゴーン、堀江貴文、鈴木宗男らの弁護を担当した、検察が最も恐れる「無罪請負人」が、冤罪を生み出す日本最強の捜査機関の「危険な手口」を詳細に解説する。
手口1 ストーリー優先の証拠集め
手口2 供述調書は検事が「作文」
手口3 別件捜査で相手の弱みをつく
手口4 客観的事実にはあえて目をつむる
手口5 不都合な証拠を隠蔽・改竄・破棄
手口6 マスコミ捜査で犯罪者に仕立てる
手口7 長期勾留で心身ともに追い込む
手口8 家族や部下を人質にして揺さぶる
手口9 ニセ情報を与えて、記憶を捏造
【本書の内容】
はじめに
序 章 特捜事件とはなにか
第一章 修正不可能! 検察官ストーリー強要捜査
第二章 裏司法取引
第三章 「人質司法」という拷問
第四章 マスコミ情報操作で「犯罪者」を作り出す
第五章 裁判所を欺く姑息なテクニック
第六章 特捜検察は変わっていない
第七章 さらなる暴走を食い止めるには
あとがき

黎明 日本左翼史 左派の誕生と弾圧・転向 1867ー1945
講談社現代新書
「左翼史」シリーズ累計16万部!
階級を生んだ松方デフレ、大逆事件の衝撃、弾圧と知識人の「転向」。
日本左翼の原点とは何だったのか?
社会運動の源泉を探る【戦前編】。
【本書の内容】
・右翼と左翼が未分化だった戦前
・絶大な存在感を示した大本教
・資本主義を確立させた「松方デフレ」
・太宰治が悩まされた「後ろめたさ」の正体
・近代史上最大の農民蜂起「秩父事件」
・キリスト者・内村鑑三と足尾鉱毒事件
・「平民新聞」が打ち出した非戦論
・無政府主義が日本で「ウケた」理由
・幸徳秋水と「アナルコ・サンディカリズム」
・社会主義者に打撃を与えた「赤旗事件」
・高畠素之が見抜いたロシア革命の本質
・「22年テーゼ」と第一次共産党弾圧
・第二次共産党の再建と「福本イズム」
・エンタメ性抜群のプロレタリア文学
・佐野・鍋山転向声明の衝撃
・疑心暗鬼を募らせた共産党と小畑達夫の死
・転向者が出た講座派、出なかった労農派 ……ほか
【本書の目次】
序章 「戦前左翼史」とは何か
第一章 「松方デフレ」と自由民権運動
第二章 社会主義運動と「大逆事件」
第三章 ロシア革命と「アナ・ボル論争」
第四章 日本共産党の結成と「転向」の問題

今を生きる思想 ジャン=ジャック・ルソー 「いま、ここ」を問いなおす
講談社現代新書
シリーズ「今を生きる思想」。
人民主権、近代民主主義の提唱者とされる思想家・ルソー。
そのラディカルな思考は近代の枠組みに大きな影響を与えた。
民主主義が機能不全に陥り、私たちの社会は閉塞感に覆われている。
行き詰まった近代社会を問い直すには、近代を準備した異端の思想家・ルソーに今こそ立ち返るべきだ。
『社会契約論』『人間不平等起源論』『エミール』『告白』……。
ジャンルを横断して刺激的な論考を残したルソー、そのラディカルな思想の核心。

なぜヒトだけが老いるのか
講談社現代新書
人間以外の生物は、老いずに死ぬ。
ヒトだけが獲得した「長い老後」には重要な意味があったーー。
生物学で捉えると、「老い」の常識が覆る!
【ベストセラー『生物はなぜ死ぬのか』著者による待望の最新作!】
・産卵直後に死ぬサケ、老いずに死ぬゾウ、死ぬまで子が産めるチンパンジー
・ヒトは人生の40%が「老後」
・長寿遺伝子の進化
・寿命延長に影響した「おばあちゃん仮説」と「おじいちゃん仮説」
・老化するヒトが選択されて生き延びた理由
・ミツバチとシロアリに学ぶ「シニアの役割」
・昆虫化するヒト
・不老長寿の最新科学
・85歳を超えたら到達できる「老年的超越」というご褒美
・老化はどうやって引き起こされるのか
・生物学者が提言する「最高の老後の迎え方」とは ……ほか
「老いの意味」を知ることは「生きる意味」を知ることだった。

未完の天才 南方熊楠
講談社現代新書
なぜ熊楠は完成を嫌ったのか?
驚くべき才能を多方面に発揮しながら、
その仕事のほとんどが未完に終わった南方熊楠。
最新の研究成果や新発見資料をとりあげながら、
熊楠の生涯を辿り、
その「天才性」と「未完性」の謎に迫る!
<熊楠をめぐる13の謎>
・十数年前にとったノートの内容をそらで思い出せる記憶力
・51篇も論考を発表していた「ネイチャー」への投稿を中止
・渡英後、熱中していた植物学の研究を停止
・大英博物館に迎えられてから、何をしていたのか
・語学の天才・熊楠の勉強法とは?
・「エコロジーの先駆者」だが、数年でフェードアウト
・なぜ「希少な生物」だけでなく「ありふれた植物」も守ろうとしたのか
・「人類史上、もっとも文字を書いた男」と呼ばれる理由
・どうして一度も定職に就かなかったのか
・ともに民俗学の礎を築いた柳田国男と喧嘩別れ
・変形菌(粘菌)の新種は発表したが、キノコの新種は未発表
・なぜ夢の研究を長年続けたのか
・集大成となるような本を、どうして出版しなかったのか

帝国と宗教
講談社現代新書
ローマ帝国やオスマン帝国、中華帝国やモンゴル帝国にいたるまで、世界の歴史は帝国興亡の軌跡に他ならない。そしてそれは東西の宗教が歩んできた道のりとも重なっている。帝国は領土拡大のため宗教を利用し、宗教は信者獲得のため帝国を利用してきた。「帝国と宗教」という視点から世界史を捉え直す、歴史ファン必読の一冊!
【本書の内容】
第1章 帝国と宗教はどう結びつくのか
第2章 なぜローマ帝国はキリスト教を国教にしたのか
第3章 中華帝国は宗教によって統合されていたのか
第4章 イスラムとモンゴルという二つの帝国
第5章 二つの帝都-ローマとコンスタンティノープル
第6章 オスマン帝国とムガル帝国
第7章 海の帝国から帝国主義へ

ハイデガーの哲学 『存在と時間』から後期の思索まで
講談社現代新書
「20世紀最大の哲学者」ハイデガーが生涯を賭けて問い続けた「存在への問い」とはどのような「問い」だったのか? 変容し続ける思索の跡を丹念にたどり、その最後にたどり着いた境地に迫る。また、近年「黒ノート事件」によってスキャンダルを巻き起こした悪名高い「ナチス加担」がいかなる哲学的見地からなされ、そしていかなる理由からナチス批判に転じたのかについても徹底的に解明する。「道であって作品ではない」――ハイデガー哲学の魅力と魔力を余すところなく捉えた力作。

出世と恋愛 近代文学で読む男と女
講談社現代新書
「青春とは何か」とは男女ともに簡単には定義できない命題だが、前提として必要なのは「精神的親離れ」である。しかし青春期は、自分の将来への不安に迷い、徐々に自分の世界を見つけるが、同時に好きな人ができる時期でもある。
日本の近代文学の主人公である青年たちは、恋を告白できず片思いで終わるケースが多い。たまに恋が成就しても、ヒロインは難病や事故などで、なぜか死ぬのだ。日本の男性作家には恋愛、あるいは大人の女性を書く力がないのではと著者は喝破する。
たかが文学の話ではないかと思うなかれ、近代文学が我が国ニッポンの精神風土に落としている影は思いのほか深い。
明治期の立身出世物語が青年たちの思想に与えた時代背景は見逃せない。同時に戦争が文学に与えた強い影響も。
しかし夏目漱石『三四郎』から20年、女性作家の宮本百合子『伸子』で、「新しい女性」が恋愛や結婚に縛られない「生きる価値」を見つける時代が近代にも到来する。男女ともに時代の変遷とともに成長するのだ。
近代文学で描かれた男女の生き方は、現代日本の「人生の成功と恋愛」にかける人々の思いを読み解く大いなる鍵となる。

「戦前」の正体 愛国と神話の日本近現代史
講談社現代新書
【新書大賞2024 第7位!】
「わかりやすい」「読みやすい」と話題沸騰のベストセラー!!
神武天皇、教育勅語、万世一系、八紘一宇……。
右派が誇り、左派が恐れる「戦前日本」の本当の姿とは?
「国威発揚」の物語を検証するーー!
「筆者はここで、同じく昨年、凶弾に斃れた安倍元首相が唱えた「日本を取り戻す」「美しい国」というスローガンを思い出さずにはおれない。それはときに戦前回帰的だといわれた。
だが、本当にそうだっただろうか。靖国神社に参拝しながら、東京五輪、大阪万博を招聘し、「三丁目の夕日」を理想として語るーー。そこで取り戻すべきだとされた「美しい国」とは、戦前そのものではなく、都合のよさそうな部分を適当に寄せ集めた、戦前・戦 後の奇妙なキメラではなかったか。
今日よく言われる戦前もこれとよく似ている。その実態は、しばしば左派が政権を批判 するために日本の暗黒部分をことさらにかき集めて煮詰めたものだった。
つまり「美しい国」と「戦前」は、ともに実際の戦前とはかけ離れた虚像であり、現在の右派・左派にとって使い勝手のいい願望の産物だったのである。(中略)
このような状態を脱するためには、だれかれ問わず、戦前をまずしっかり知らなければならない。」 (「はじめに」より)
【本書の構成】
第1章 古代日本を取り戻す 明治維新と神武天皇リバイバル
第2章 特別な国であるべし 憲法と道徳は天照大神より
第3章 三韓征伐を再現せよ 神裔たちの日清・日露戦争
第4章 天皇は万国の大君である 天地開闢から世界征服へ
第5章 米英を撃ちてし止まむ 八紘一宇と大東亜戦争
第6章 教養としての戦前 新しい国民的物語のために
【本書の主な内容】
・「新しい戦前」と「美しい国」の共通点
・「神武創業」に新政府がこだわった意図
・「建国記念の日」が生まれた背景
・君が代はなぜ普及したのか?
・明治維新は「中世キャンセル史観」
・神武天皇に似ている「あの人物」
・フェティシズムとしての教育勅語
・女子天皇・女系天皇を排した井上毅
・忘れられる神功皇后と理想の女性像
・神社参拝は軍国主義的なのか?
・「東京」の名付け親・佐藤信淵
・天地開闢とイザナミ・イザナギ神話
・「弱小国家コンプレックス」が生んだ妄想
・戦意高揚に貢献した北原白秋と山田耕筰
・実証なき物語は妄想、物語なき実証は空虚 ……ほか

日本の死角
講談社現代新書
いま日本はどんな国なのか?
私たちはどんな時代を生きているのか?
意外と見えていなかった「日本の謎と論点」
【本書のおもな内容】
●「日本人は集団主義」という幻想
●中国で見た「日本衰退の理由」
●なぜ若者は結婚しないのか?
●「ハーバード式・シリコンバレー式教育」の落とし穴
●日本の学校から「いじめが絶対なくならない構造」
●地方で拡大する「移動格差」
●「死後離婚・夫婦別墓」の時代
●「中国の論理」に染まるエリート学生たち
●若者にとって「個性的」が否定の言葉である理由
●なぜご飯は「悪魔」になったのか?
●「ていねいな暮らし」ブームと「余裕なき日本社会」
●災害大国の避難場所が「体育館」であることの違和感
●女性に大人気「フクロウカフェ」のあぶない実態
●性暴力加害者と被害者が対面したらどうなるのか?
●アフリカ人と結婚した学者が考える「差別とは何か」
●“褐色肌・金髪・青い眼”のモデルが問う「日本社会の価値観」
「『移動できる者』と『できない者』の二極化が進んでいる。かならずしも地方から出る必要がなくなるなかで、都会に向かう者は学歴や資産、あるいは自分自身に対するある種無謀な自信を持った特殊な者に限られているのである。
問題は、そのせいで地方社会の風通しが悪くなっていることである。学歴に優れ、資産を持つ『社会的な強者』だけが抜けていく地方になお留まる人びとには、これまで以上に地元の人間関係やしきたりに従順であることが求められる。
結果として、地方では『地域カースト』とでも呼べるような上下関係が目立つようになっている。移動の機会の減少は、それまでの人間関係を変え、ちがう自分になる可能性を奪う。その結果、親の地位や子どものころからの関係がより重視される社会がつくられているのである」――「日本人が『移動』しなくなっているのはナゼ? 地方で不気味な『格差』が拡大中」より

思い出せない脳
講談社現代新書
頭の中には「ある」のに、なぜ出てこない?
最新脳科学が明かす、記憶のミステリー
人の名前を思い出せないとき、ふっと思い出せたとき、
脳内ではいったい何が起きているのか。
日常的な「記憶の謎」のメカニズムから、
記憶という能力の本当の意味まで、
最先端の知識を分かりやすく解説する。
「記憶を食べる」脳細胞とは? 驚きの記憶研究最前線!
記憶とは、未来を決める「人格」であるーー
本書の内容
◎「思い出せない」5パターンで、記憶の全貌が分かる
◎記憶が消えるとき、脳の中で何が消えているのか
◎思い出そうと頑張るほど思い出せない理由
◎日中に学んだことを睡眠中に脳が「復習」している
◎お酒を飲みすぎると記憶を失う仕組み
◎思い出すたびに記憶は強化されるが必ず変容してしまう
◎なぜドラマの「記憶喪失」は重要なことだけ忘れる?
◎脳の「いい加減」さこそが人類を進化させた
◎認知機能を保持できる「認知予備能」とは何か
脳とは、こんなにも自由奔放だったのか!