講談社現代新書作品一覧

学び直し高校物理 挫折者のための超入門
学び直し高校物理 挫折者のための超入門
著:田口 善弘
講談社現代新書
プロローグより 物理に挫折したあなたに この本は、高校物理の挫折者や、履修はしなかったが、あらためて学び直したいという初学者を想定して書かれたものだ。 基本コンセプトは天下りにしない、ということに尽きる。高校の物理の教科書はややもすると「世界はこうなってる」という法則や公式が「どん!」と与えられて「信じる者は救われる」とばかりに話が進んでいく。疑問を提示すると「じゃあ、実験で実際にそうなっていることを確認しなさい」といなされてしまう。しかし、実際に実験で確認できたからといって納得感があるかというとそれは別問題だろう(実際のところ、高校物理の教科書の立て付けでは実験をすることが推奨されているが、現実は教育の現場で実験が多用されることは稀である)。(中略) 「こうなりました。昔の人が考えた結果です!」じゃなく、「改めて一から考えたら今の公式や法則って自然な考え方ですよね」と納得できたら、物理に対する苦手意識が払拭できるのではないだろうか。 「なぜそのように考えるか?」の「理由」を説明することができれば、よいレシピを学ぶことで自作の料理を考案できるように、目の前の現実に対して「自分で考えて答えを出す」ことができるようになるかもしれない(中略)。 教科書というよりは楽しんで読めるように、たとえ話や歴史的なエピソードを交えて、随分とかみ砕いて解説した。高校物理の教科書にお馴染みの数式や無味乾燥な記述も極力控えた。 本書が想定しているのは、高校物理の挫折者や物理に対する憧憬を捨てきれない文系物理ファン、そして高校物理の無味乾燥で天下り的な記述に違和感を覚えている読者である。数式や計算式などをがっつり盛り込んだ本格的な高校物理の解説書を期待される方には、「思っていたのと違う」となってしまうので、別の成書をご覧になることをお勧めしたい。
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日本哲学入門
日本哲学入門
著:藤田 正勝
講談社現代新書
西洋哲学と出会って150年、日本の哲学者たちは何を考え、何を目指してきたのか。日本哲学のオリジナリティに迫る、第一人者による入門書の決定版! 【哲学を知るための10講】 第1講「日本の哲学」とは/第2講 哲学の受容第/3講 経験/第4講 言葉/第5講 自己と他者/第6講 身体/第7講 社会・国家・歴史/第8講 自然/第9講 美/第10講 生と死 【本書のおもな内容】 ・日本最初の哲学講義はいつ行われた? ・「哲学」という呼び名はこうして生まれた ・西田幾多郎の「純粋経験」を知る ・経験と言葉のあいだにあるもの ・言葉の創造性を考える ・人間の生のはかなさと死に迫る ・心によって生かされた身体とは ・田辺元が生み出した「種の理論」 ・「自然」という言葉の歴史 ・和辻哲郎の「風土論」 ・美とは何か、芸術とは何か ・移ろうものと移ろわぬもの ・光の世界と闇の世界
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心の病気はどう治す?
心の病気はどう治す?
著:佐藤 光展
講談社現代新書
「はじめに」より 本書は、精神医療界のオールスターチームによるメンタルヘルス向上のためのガイドブックです。回復に役立つ知識から社会的課題を解消するヒントまで、ありったけの情報を盛り込みました。  個々に主役を張れるほど著名な精神科医たちに、ウルトラ兄弟のように大集結してもらったのには理由があります。薬にばかり頼って来た精神医療が袋小路に入り込み、史上最大級のピンチに直面しているからです。このままでは患者が益々追い込まれてしまいます。(中略)  各章に登場する精神科医たちは、20世紀から続いてきた薬物療法偏重という生物学的精神医学の激流の中で、時に大波にのまれながらも踏み止まり、患者の「こころ」と向き合い続けた人たちです。葛藤の中で見出された精神療法などの叡知を、生きづらい自分や劣化する社会を変えるために共有し、「みんな」のものにしたい。それが本書の狙いです。 第1章 依存症「ヒトは生きるために依存する」 松本俊彦さん(国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所薬物依存研究部部長) 第2章 発達障害「精神疾患の見方が根底から変わる」 原田剛志さん(パークサイドこころの発達クリニック院長) 第3章 統合失調症「開かれた対話の劇的効果」 斎藤 環さん(筑波大学医学医療系社会精神保健学教授) 第4章 うつ病・不安症 「砂粒を真珠に変える力」 大野 裕さん(国立精神・神経医療研究センター認知行動療法センター顧問) 第5章 ひきこもり「病的から新たなライフスタイルへ」 加藤隆弘さん(九州大学大学院医学研究院精神病態医学准教授) 第6章 自殺「なぜ自ら死を選ぶのか」 張賢徳さん(日本自殺予防学会理事長/六番町メンタルクリニック院長) 第7章 入院医療「新時代を切り拓く民間病院」 堀川公平さん(のぞえ総合心療病院理事長・院長) 渡邉博幸さん(千葉大学社会精神保健教育研究センター特任教授) 成瀬暢也さん(埼玉県立精神医療センター副病院長/埼玉医科大学病院臨床中毒科客員教授) 秋山剛さん(世界精神保健連盟理事長) 高木俊介さん(たかぎクリニック院長/オープンダイアローグ・ネットワーク・ジャパン共同代表) アーロン・ベックさん(認知行動療法の創始者) 田邉友也さん(訪問看護ステーションいしずえ代表) 樋口輝彦さん(国立精神・神経医療研究センター名誉理事長/日本うつ病センター名誉理事長) 野村総一郎さん(六番町メンタルクリニック名誉院長) 和気隆三さん(新生会病院名誉院長)
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世界は経営でできている
世界は経営でできている
著:岩尾 俊兵
講談社現代新書
大反響!たちまち15万部突破! 一度きりの人生を後悔なく経営したいすべての人へ――。 世界の見方がガラリと変わる「新時代の幸福論」 ●老後の人生「大失敗する人」の共通点とは? ●なぜ優秀な部下が無能な上司に変わるのか? ●頑張れば頑張るほど成果が遠のくのはなぜ? ●飲み残しを放置する夫は経営が下手? ●注意書きを増やすと事故も増える理由とは? ●人間とサルの違いは経営にあった? 仕事から家庭、恋愛、勉強、老後、科学、歴史まで、 東大初の経営学博士が明かす「一生モノの思考法」 【本書の主張】 1 本当は誰もが人生を経営しているのにそれに気付く人は少ない。 2 誤った経営概念によって人生に不条理と不合理がもたらされ続けている。 3 誰もが本来の経営概念に立ち返らないと個人も社会も豊かになれない。 「結論を先取りすれば、本来の経営は『価値創造(=他者と自分を同時に幸せにすること)という究極の目的に向かい、中間目標と手段の本質・意義・有効性を問い直し、究極の目的の実現を妨げる対立を解消して、豊かな共同体を創り上げること』だ。 この経営概念の下では誰もが人生を経営する当事者となる。 幸せを求めない人間も、生まれてから死ぬまで一切他者と関わらない人間も存在しないからだ。他者から何かを奪って自分だけが幸せになることも、自分を疲弊させながら他者のために生きるのも、どちらも間違いである。『倫』理的な間違いではなく『論』理的な間違いだ」――「はじめに:日常は経営でできている」より
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正義とは何か
正義とは何か
著:森村 進
講談社現代新書
何が「正しい」のか、わからなくなった時代に。 プラトン、カント、ベンサム、ロールズ……2400年にわたる知的格闘。 人生や社会に関わる切実な問いを、哲学者たちはこう考えた! 法哲学の第一人者があざやかに整理し、切れ味鋭く論じる、「正義」入門の決定版! 【本書の構成】 はじめに――いま、なぜ過去の正義論を見直すのか? 序章 正義論のさまざまなパターン――本書のねらい 第一章 正義とは魂の内部の調和である――プラトン 第二章 正義とは他の人々との関係において現れる徳である――アリストテレス 第三章 正義とは相互の利益になる契約を実行することである――ホッブズ 第四章 正義とは自然権の保護・実現である――ロック 第五章 正義とは慣習によって生じた財産権規則を守ることである――ヒューム 第六章 正義とは非難が適切であるということと権利の保護である――スミス 第七章 正義とは「定言命法」に従うことである――カント 第八章 正義とは功利の原理に役立つ「かもしれない」ものにすぎない――功利主義 第九章 正義とは社会制度の第一の徳である――ロールズ あとがき――文献案内をかねて
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〈私〉を取り戻す哲学
〈私〉を取り戻す哲学
著:岩内 章太郎
講談社現代新書
電車の中や部屋の中、気が付けばいつもスマホをスクロールしている。本当は何が知りたいのか、自分に何が必要なのかわからないままSNSの世界に浸り続け、気が付けば自分自身を見失ってしまった――。 スマホ時代の過剰な繋がりによって失われた〈私〉を私たちはどうやって取り戻すのか。気鋭の哲学者による現代を生き抜くための思考法! 【本書の主な内容】 第1章 デフォルトの〈私〉 ――――動物になるか、善い人になるか ・ミニオンズの憂鬱 ・パッケージ化された善に警戒せよ ・目を閉じて、〈私〉の声を聴く 第2章 〈私〉を取り戻すための哲学的思考 ・「新デカルト主義」宣言 ・判断しなくてよいという判断 ・批判的思考のプロトタイプ 第3章 ポスト・トゥルースを終わらせる ・SNSを気にする学生 ・「正しさをめぐる争い」は終わりにする ・陰謀論は理性と情動に訴える 第4章  ネガティブなものを引き受ける ・対話とネガティブ・ケイパビリティ ・アルゴリズムと自己消費 ・「弱いロボット」から考える
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古代アメリカ文明 マヤ・アステカ・ナスカ・インカの実像
古代アメリカ文明 マヤ・アステカ・ナスカ・インカの実像
著・編:青山 和夫,著:井上 幸孝,著:坂井 正人,著:大平 秀一
講談社現代新書
マヤのピラミッド、ナスカの地上絵、マチュピチュの祭祀、アステカの湖上都市テノチティトラン……。 ヨーロッパ人「発見」以前の新大陸の歴史を私たちは軽んじていないか? 人類史の常識に再考を迫る最新知見がおもしろい! 多くの人が生贄になった!?  大河の流域でないと文明は生まれない!? 無文字社会にリテラシーは関係ない!? 王は絶対的な支配者だった!?――「常識」の嘘を明らかにし、文明が生まれる条件を考える ・欧米には存在しない「世界四大文明」史観 ・最も洗練された石器の都市・文字文明=マヤ ・マヤ最古の公共祭祀建築アグアダ・フェニックスの発見 ・アステカ王国「生贄」の虚像 ・アステカの湖上都市テノチティトラン ・人工知能を用いた「ナスカの地上絵」の分布調査 ・なぜ巨大な地上絵がナスカの縦断ルートに作られたか ・「ワロチリ文書」が語るアンデス先住民の精神世界 ・マチュピチュの石・岩は何を語るか ・統一国家のないネットワーク型文明
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顔に取り憑かれた脳
顔に取り憑かれた脳
著:中野 珠実
講談社現代新書
デジタル時代の今、ネット上は過度に加工された顔であふれている。これはテクノロジーの急速な発展がもたらした、新たな現代病なのかもしれない――なぜ、人間は“理想の顔”に取り憑かれるのだろうか。そのカギとなる「脳の働き」に最新科学で迫る。そこから浮かび上がってきたのは、他者と自分をつなぐ上での顔の重要性と、それを支える脳の多様で複雑な機能の存在だった。 鏡に映る「自分の顔」が持つ、新たな意味にあなたは驚くかもしれない。 【本書のおもな内容】 ・脳の底に横たわる、巨大な「顔認識ネットワーク」 ・加工写真に反応する脳の部位とは ・人が覚えている顔の数は…推定5000人! ・卒業アルバムを懐かしがるのは高度な能力 ・偶然できた模様や形が「顔」に見えるふしぎ ・「つらい時ほど、笑顔」は間違い? ・赤ちゃんはサルの顔も見分けられる? ・「真の笑顔」と「偽の笑顔」 ・まるで実在する人物。人工知能がつくりだす「存在しない顔」 ・顔が果たす「通路」の役割とは 【目次】 第1章 顔を見る脳の仕組み 第2章 自分の顔と出会うとき 第3章 自分の顔に夢中になる脳 第4章 自己と他者をつなぐ顔 第5章 未来社会における顔
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老いと創造 朦朧人生相談
老いと創造 朦朧人生相談
著:横尾 忠則
講談社現代新書
異次元なのに腑に落ちる、唯一無二の人生相談! 「定年後、居場所がなくなるのが不安です」 「子どもの頃から死ぬのが怖いのですが」 「友だちは必要ですか?」 「絵の見方が分かりません」…… などの質問に、文と絵で回答。 横尾忠則の人生観をあらわす50作品をオールカラーで収録! <本書の内容> ――定年後、居場所がなくなるのが怖いのですが。 生きている限り、今、自分の立っている場所が居場所です。 ――衰えていく親を、どこまでケアすべきでしょうか? 僕は、母が家を売って得たわずかなお金を持ってヨーロッパ旅行をし、有り金全部を使い果たして帰ってきたら、 母はがんで入院していました。この質問に答える資格は僕にはありません。 ――孤独が怖いです。どうすればよいでしょうか? 孤独は創造の原点です。孤独を恐れるもの、避けるべきものと決めつけた人は、孤独の何たるかを知らない人です。 孤独の前には、巨大な光り輝く太陽があるのです。 ――絵やイラストを上手く描くコツを教えてください。 インファンテリズム(幼児性)をいつまでも失わなかったのがピカソです。 ピカソに言わせれば、子どものような下手な絵こそ上手い、ということになります。 ――仏教をどのように学びましたか? 僕は毎週、週刊誌を何冊か読みます。 そこには「因果応報」「自業自得」の実例が、スキャンダル記事となって満載されているからです。 
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謎とき 世界の宗教・神話
謎とき 世界の宗教・神話
著:古市 憲寿
講談社現代新書
歴史を学ぶにも、現代を考えるにも、これだけはおさえておきたい知識がゼロからわかる! 「聖書」、ゾロアスター教、北欧神話、『論語』…… 個性豊かな12人の専門家に、古市憲寿が読者に代わって理解の「ツボ」を聞いた! 各宗教・神話の基礎がわかる解説マンガ付き! 【本書の内容】 なぜキリスト教は「長持ち」したのか――佐藤優 ロシアの指導者はなぜ絶対的な力を持つのか――三浦清美 イスラム過激派のテロがなくならない理由――飯山陽 ゾロアスター教が世界宗教に脱皮できなかった理由――青木健 ヒンドゥー教にとっての「神」とは――沖田瑞穂 ジャイナ教はなぜ不殺生を徹底するのか――堀田和義 古い時代の儒教と朱子学はどう違う?――渡邉義浩 玄奘はなぜインドへ向かったか――吉村誠 北欧神話の巨人とは?――松本涼 『万葉集』が最も日本的で、最も中国的である理由――上野誠 日本仏教はなぜ多様なのか――碧海寿広 人びとは宗教から遠のいていくのか――岡本亮輔 構成:斎藤哲也 マンガ:ヤングみやざき 【本文より】 この『謎とき 世界の宗教・神話』は、「本」を通じて世界の宗教や神話の不思議を解き明かそうとする一冊だ。 なぜ「本」なのか。それは多くの宗教が聖典を持つからだ。何かの宗教を理解しようとする場合、『新約聖書』や『コーラン』などの聖典に当たるのがよさそうに思える。 だがここに大きなハードルが立ちはだかる。一人で聖典を読み通すのは、とんでもなくたいへんなのだ。何せ現代と常識や価値観の違う時代に書かれた文章である。現代人から見れば飛躍や矛盾も多い。特にその宗教の信者でないなら、なおさら取っつきにくい。 ではどうすればいいのか。大切なのは「補助線」だと思う。宗教書に限らないが、古典を読むには前提知識が必要である。前提知識という補助線があるかないかで、一気に難解な本も読みやすくなる。 というわけで、一二人の研究者に宗教書や神話の「読みどころ」を聞いてきたのが本書である。結果的に、一冊でキリスト教からイスラム教、ゾロアスター教から北欧神話まで一二の信仰についてざっくりと把握できる良質な入門書になったと思う。良質すぎて、実際の聖典に当たらなくても、読んだフリができるほどである。――「はじめに」より
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ダーウィンの呪い
ダーウィンの呪い
著:千葉 聡
講談社現代新書
ダーウィンを祖とする進化学は、ゲノム科学の進歩と相まって、生物とその進化の理解に多大な貢献をした。一方で、ダーウィンが提唱した「進化論」は自然科学に革命を起こすにとどまらず、政治・経済・文化・社会・思想に多大な影響をもたらした。そして、悲劇的なことに、進化論を曲解した彼の後継者たちが「優生思想」という怪物を生み出した。〈一流の進化学者〉たちによって権威づけられた優生学は、欧米の科学者や文化人、政治家を魅了し、ついにはナチスの反ユダヤ思想とつながり「ホロコースト」という悲劇を生み出すことになる。 第一線の進化学者で、進化学の歴史に詳しい著者は、ダーウィンが独創した進化論は、期せずして3つの「呪い」を生み出したと分析する。「進歩せよ」を意味する〈進化せよ〉、「生き残りたければ、努力して闘いに勝て」を意味する〈生存闘争と適者生存〉、そして「この規範は人間社会も支配する自然の法則だから、不満を言ったり逆らったりしても無駄だ」を意味する、〈ダーウィンもそう言っている〉である。順に、「進化の呪い」「闘争の呪い」「ダーウィンの呪い」である。 本来、方向性がなく、中立的な進化が、なぜひたすら「進歩」が続くと信じられるようになったのか。ダーウィンとその理解者、そしてその志を継いだ後継者たちが、いかにして3つの呪いにかけられていったのか。稀代の書き手として注目される著者が、進化論が生み出した「迷宮」の謎に挑む。 第一章 進化と進歩 第二章 美しい仮説と醜い事実 第三章 灰色人 第四章 強い者ではなく助け合う者 第五章 実験の進化学 第六章 われても末に 第七章 人類の輝かしい進歩 第八章 人間改良 第九章 やさしい科学 第十章 悪魔の目覚め 第十一章 自由と正義のパラドクス 第十二章 無限の姿
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昭和の青春 日本を動かした世代の原動力
昭和の青春 日本を動かした世代の原動力
著:池上 彰
講談社現代新書
[本書の構成] はじめに 第1章 青春の学生運動 第2章 青春の高度経済成長 第3章 青春の昭和文化・社会風俗 第4章 新たな時代を切り拓いた人物たち 第5章 高度経済成長と繁栄の「陰」 第6章 「昭和の青春」世代のこれまでとこれから おわりに
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人はどう老いるのか
人はどう老いるのか
著:久坂部 羊
講談社現代新書
「老い」と「死」は誰にとっても初体験。われわれは例外なく「初心者」である。 慌てふためかないためには、老いの現実を予習することだ。多くの死を看取ってきた医師で小説家の医師が、楽に老いるコツを本音で語る。安易な老い方本ではわからないアドバイスが満載。 「まえがき」より 老いればさまざまな面で、肉体的および機能的な劣化が進みます。目が見えにくくなり、耳が遠くなり、もの忘れがひどくなり、人の名前が出てこなくなり、指示代名詞ばかり口にするようになり、動きがノロくなって、鈍くさくなり、力がなくなり、ヨタヨタするようになります。(中略) イヤなことばかり書きましたが、これが老いるということ、すなわち長生きということです。 にもかかわらず、長生きを求める人が多いのはなぜなのか。それは生物としての人間の本能であり、長生きをすればいいこともいっぱいあるからでしょう。 世の中にはそれを肯定する言説や情報があふれています。曰く、「八十歳からの幸福論」「すばらしき九十歳」「人生百年!」「いつまでも元気で自分らしく」「介護いらず医者いらず」等々。 そのことに私は危惧を深めます。そんな絵空事で安心していてよいのかと。 思い浮かぶのが、パスカルの言葉です。 我々は絶壁が見えないようにするため、何か目を遮るものを前方に置いた後、安心して絶壁のほうに走っているのである。 下手に老いて苦しんでいる人は、だいたい油断している人です。浮かれた情報に乗せられ、現実を見ずに明るく気楽で前向きな言葉を信じた人たちです。 上手に老いて穏やかにすごしている人は、ある種の達観を抱いています。決していつまでも元気を目指して頑張っている人ではありません。いつまでも元気にこだわると、いずれ敗北の憂き目を見るのは明らかです。 老いれば機能が劣化する分、あくせくすることが減ります。あくせくしても仕方がないし、それで得られることもたいしたものではないとわかりますから。そういう智恵が達観に通じるように思います。 多くの高齢者に接してきて、上手に楽に老いている人、下手に苦しく老いている人を見ていると、初体験の「老い」を失敗しない方法はあるような気がします。それをみなさんといっしょに見ていきたいと思います。 第一章 老いの不思議世界 第二章 手強い認知症高齢者たち 第三章 認知症にだけはなりたくない人へ 第四章 医療幻想は不幸のもと 第五章 新しいがんの対処法 第六章 「死」を先取りして考える 第七章 甘い誘惑の罠 第八章 これからどう老いればいいのか
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世界史の中の戦国大名
世界史の中の戦国大名
著:鹿毛 敏夫
講談社現代新書
ポルトガルインド総督に使節を派遣した大友氏。アユタヤ国王との接触を図る松浦氏。カンボジアとの「国交」樹立を目論む島津氏。さらには天正遣欧使節や伊達政宗による慶長遣欧使節。あるいは、その本拠地で花開いた国際色豊かな「コスモポリタンシティー」ーー国の「王」として、狭い冊封体制の枠組みを越え、東南アジアから南アジアへ、そしてヨーロッパへと、対外活動を地球を俯瞰する広範囲へと拡大してゆく戦国大名たち。日本史の文脈を越え、世界史のコンテクストの中から見えてくる、戦国大名のこれまでとはまったく異なった新たな姿を提示する。
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高学歴難民
高学歴難民
著:阿部 恭子
講談社現代新書
学歴があれば「勝ち組」なのか? 月10万円の困窮生活、振り込め詐欺や万引きに手を染める、博士課程中退で借金1000万円、ロースクールを経て「ヒモ」に、日本に馴染めない帰国子女、教育費2000万円かけたのに無職…… 「こんなはずではなかった」 誰にも言えない悲惨な実態! 【目次】 序章 犯罪者になった高学歴難民 第1章 博士課程難民 第2章 法曹難民 第3章 海外留学帰国難民 第4章 難民生活を支える「家族の告白」 第5章 高学歴難民が孤立する構造
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思考の方法学
思考の方法学
著:栗田 治
講談社現代新書
自分の頭で考えるために、必要不可欠な技術を明かそう。 文系も理系も関係ない! まずは、モデルを考える。 課題の解決、目的の達成、本質の究明、将来予測、デマに騙されないために……。 日常生活から学問、ビジネスまで、現実世界での論理的な意思決定に一生役に立つ「モデル分析」の作法をわかりやすく解説する。 (数式は一切用いずに説明しています!) <本書の内容> ●モデル分析とは「捨てる技術」 ●個性的な個体を把握する代表的モデル「台風予測」 ●東京圏の都心から郊外へ向けての人口分布モデル ●人口ピラミッドの予測モデル ●十干十二支というオカルトモデル ●店舗内の客の行動を記述するミクロモデル ●ウイルス感染伝播を予測するモデル ●在庫管理における静的モデルと動的モデル ●飛行機の座席数を決定するための最適化モデル ●「もったいないバイアス」に注意 ●自宅における埋没費用とは ●スマートフォン買い替え候補の「パレート最適」 <「はじめに」より> 本書は「モデルづくり」のノウハウ本ではありません(いくつものモデルのつくり方を述べたので、もちろん参考になるとは思いますが)。 それよりも本書は、モデル分析の本質の理解に重点をおきました。加えて人間を取り巻く組織や社会に関するモデル分析を行う上で、是非とも押さえておくべき手法や概念の紹介につとめました。こうした知識は、モデル分析という思考の技術を豊かなものにするために大いに寄与してくれるはずです。 さらに本書において筆者は特に、文系と理系の垣根を飛び越えることの大切さをお伝えすることに力を注ぎました。(中略) 文系思考と理系思考というステレオタイプの区分けに左右されずに、文理の境界をまたいで方法論や概念を学び、実践することが大切です。
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紫式部と藤原道長
紫式部と藤原道長
著:倉本 一宏
講談社現代新書
『源氏物語』がなければ道長の栄華もなかった!  無官で貧しい学者の娘が、なぜ世界最高峰の文学作品を執筆できたのか? 後宮で、道長が紫式部に期待したこととは?  古記録で読み解く、平安時代のリアル ・紫式部は早くに生母と死別、父は後妻のもとに通う日々 ・道長の権力獲得に欠かせなかった姉・詮子 ・道長最大の政敵が失脚した「長徳の変」 ・紫式部と夫宣孝の「痴話喧嘩」 ・一条天皇は『源氏物語』の愛読者 ・華やかな定子サロンと地味な彰子サロン ・「御物怪が……」彰子出産の記録『紫式部日記』 ・三条天皇と道長の確執 ・彰子と実資の間を取り次ぐ紫式部 ・「この世をば……」が詠まれたとき 24年大河ドラマ「光る君へ」時代考証担当の第一人者が描く、平安宮廷の世界と、交差した二人の生涯!
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日本の歪み
日本の歪み
著:養老 孟司,著:茂木 健一郎,著:東 浩紀
講談社現代新書
この社会の 居心地の悪さは どこからきたのか? 明治維新と敗戦、憲法、天皇、 経済停滞、少子化、巨大地震… 「考えたくなかった」 戦後日本の論点を徹底討論! <本書の内容> 右も左も、いまだに外圧頼り。 内発的に自分たちの価値を肯定し、守るということができていない(東) 天皇が生物学を勉強したのは、正気を保つためにやっていたんでしょう(養老) 日本人は戦争による被害も、人災ではなく天災のように捉えてしまう(茂木) 「シビリアン・コントロール」なんて、 自分の国の言葉にもできないようなものが身につくはずがない(養老) 戦後、この国は、人の心を安定させるものを、かなり潰してしまった。 新興宗教が強いのも、コミュニティの貧しさと関係している(東) 「九条」に限らず、日本は整合性をつけることへの欲望がない(茂木) 日本経済が30年も停滞している理由は、 もう作らなくていい、壊さなくていい、という暗黙の民意なんじゃないか(養老) 被害の記憶を伝えたいなら、震災の日だけでも実際の津波の映像を流したほうがいい(東)
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中流危機
中流危機
著:NHKスペシャル取材班
講談社現代新書
かつて「一億総中流社会」と言われた日本。戦後、日本の経済成長を支えたのは、企業で猛烈に働き、消費意欲も旺盛な中間層の人たちだった。しかし、バブル崩壊から30年が経ったいま、その形は大きく崩れている。 2022年7月内閣府が発表したデータでは、1994年に日本の所得中間層の505万円だった中央値が2019年には374万円と、25年間で実に約130万円も減少した。もはや日本はかつてのような「豊かな国」ではなく先進国の平均以下の国になってしまった。なぜ日本の中流階層は急激に貧しくなってしまったのか。「中流危機」ともいえる閉塞環境を打ち破るために、国、企業、労働者は何ができるのか。その処方箋を探った。 【プロローグ】稼げなくなった中間層 第1部 中流危機の衝撃 第1章 幻想だった中流の生活 第2章 夢を失い始めた若者たち 第3章 追い詰められる日本企業 第4章 非正規雇用 負のスパイラルはなぜ始まったのか 第2部 中流再生のための処方箋 第5章 デジタルイノベーションを生み出せ 第6章 リスキリングのすすめ 第7章 リスキリング先進国ドイツに学ぶ 第8章 試行錯誤 日本のリスキリング最新事情 第9章 同一労働同一賃金 オランダパートタイム経済に学ぶ 【エピローグ】ミドルクラス 150年の課題
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テロルの昭和史
テロルの昭和史
著:保阪 正康
講談社現代新書
青年たちの「義挙」に民衆は拍手したーー。 血盟団事件、五・一五事件、神兵隊事件、死なう団事件、そして二・二六事件……。 なぜ暴力は連鎖し、破局へと至ったのか? 昭和史研究の第一人者による「現代への警世」。 【本書の内容】 ・「安倍晋三銃撃事件」と昭和テロの共通点 ・「正義を守るための暴力」という矛盾 ・現代の特徴は「テロの事務化」 ・ピストルではなく短刀にこだわった将兵 ・「三月事件」と橋本欣五郎 ・「血盟団」井上日召の暗殺哲学 ・五・一五事件の「涙の法廷」 ・昭和テロリズムの「動機至純論」 ・愛郷塾の存在と「西田税襲撃事件」 ・言論人・桐生悠々の怒り ・大規模クーデター計画「神兵隊事件」 ・罪の意識がまったくない相沢一郎 ・血染めの軍服に誓った東條英機 ・「死のう団」のあまりに異様な集団割腹 ・二・二六事件が生んだ「遺族の怒り」 ・一貫してクーデターに反対した昭和天皇  ……ほか 【本書の目次】 序章:昭和テロリズムから見た安倍元首相銃撃事件 第一章:残虐のプロローグ――三月事件から血盟団事件へ 第二章:昭和ファシズムの形成――五・一五事件が歴史を変えた 第三章:暴力の季節への抵抗者たち――ジャーナリスト・桐生悠々と政治家・斎藤隆夫 第四章:「血なまぐさい渇望」のクロニクル――神兵隊事件から永田鉄山刺殺事件まで 第五章:国家暴力というテロリズム――死のう団事件の異観 第六章:テロから戦争への転換――二・二六事件の残虐さが意味すること 不気味な時代の再来を拒むためにーーあとがきにかえて
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