講談社文庫作品一覧

日本人への遺言
講談社文庫
文学に生涯をささげた硬骨の作家は、創作の原点という戦争を、どのように見つめてきたのか。そして自らの作品と人生を、いかに振り返るのか。華美に流れず、あるがままを淡々と綴るその文体のように語られる言葉の数々。親子ほどに歳の離れたノンフィクション作家に伝えた、日本人への最期のメッセージ。

わたくし率 イン 歯ー、または世界
講談社文庫
私は奥歯や、わたくし率はぱんぱんで奥歯にとじこめられておる!!
著者第1小説集芥川賞候補、坪内逍遙大賞奨励賞
人はいったい体のどこで考えているのか。それは脳、ではなく歯――人並みはずれて健康な奥歯、であると決めた<わたし>は、歯科助手に転職し、恋人の青木を想い、まだ見ぬ我が子にむけ日記を綴る。哲学的テーマをリズミカルな独創的文体で描き、芥川賞候補となった表題作ほか1編を収録。著者初の小説集。

あじさい日記(上)
講談社文庫
妻の日記を盗み見た自分の浮気を知っている? どうすればいい……
抜き差しならない大人の恋愛模様
新宿でクリニックを開き、何ひとつ不自由なく暮らしている医師・省吾。美人の妻と2人の子供に囲まれ、26歳の愛人・詩織ともうまくやっている。ところが、妻の日記を盗み読んでから状況が一変。妻は自分を疑っているのか。どこまで知られているのか。今後どうすればいい――一気に緊張する大人の恋愛模様。
わたしがいままで、彼と一緒に懸命に守ってきたものは、何だったのだろう。15年間の結婚生活が徒労に感じられる。淋しくて虚しい。――<「発覚」の章 妻・志麻子の日記より>
一見、あどけない顔をして、あれはあきらかに、わたしへの挑戦である。とやかくいっても、わたしは院長先生の寵愛を受けている。そう宣言したいのか。――<「接近」の章 妻・志麻子の日記より>

NECK
講談社文庫
「破壊する男」が紡ぎだした、4つの首の恐怖!
首で分断された想像力が、お化けを作りだすんやで――幼少体験をもとにした「ネック理論」の真実。首から下を埋められた3人の、地獄の1日。山奥に潜む恐怖の首物語。首の長い女の子が巻き込まれた殺人事件……映画原案、舞台原作、そして書下ろしを含めた、4つの「ネック=首」の物語。<文庫オリジナル>

スゴい雑誌 「業界誌」の底知れない魅力
講談社文庫
いったい何がスゴいのか? 読むだけで日本がわかる、「ビジネス書」兼「ウンチク本」。広くて深くて面白い、プロたちの舞台裏! ーー「日本人のカロリー摂取量は'70年代から一貫して減り続けている」って本当? その道のプロに向けて作られる「業界誌」には、新鮮でディープな情報が満載だ。宝石、パチンコ、農業、住職……「こんな雑誌があったのか!」と唸りたくなる10誌の編集長インタビューを通じて、日本の「いま」を描き出す。<文庫書下ろし>

レイニー・パークの音
講談社文庫
「公園裁判が開かれます」
明治36年「日比谷公園」が初の民衆のための公園として造成された。同年夏、元屋夏雄の妻セツは「公園裁判が開かれます」という謎の葉書を受け取る。以来、突然姿を消した夫の過去を尋ねるセツは、かつて「恋愛論」で名を馳せた澤田夫妻の存在に行き当たる。裁かれる罪とは何なのか。明治長編ミステリー。

最後の命
講談社文庫
秘密基地の合い言葉は「世界が終わる」。小学2年生のとき、そこで起こったある事件。以来、何かが起こるきっかけはいつも彼だった。最後に会ってから7年。ある事件がきっかけで疎遠になっていた幼馴染みの冴木。彼から「お前に会っておきたい」と唐突に連絡が入った。直後、私の部屋で1人の女が死んでいるのが発見され、疑われる私。部屋から検出される指紋。それは指名手配中である、冴木のものだと告げられる。(講談社文庫)
最後に会ってから七年。ある事件がきっかけで疎遠になっていた幼馴染みの冴木。彼から「お前に会っておきたい」と唐突に連絡が入った。しかしその直後、私の部屋で一人の女が死んでいるのが発見される。疑われる私。部屋から検出される指紋。それは「指名手配中の容疑者」である、冴木のものだと告げられ--。
【2014年11月8日 柳楽優弥主演で映画化決定!】
【祝!NYチェルシー映画祭で<最優秀脚本賞>邦画、初受賞!】
アメリカで圧倒的な支持を受ける、中村文則の原点。

生きることは愛すること
講談社文庫
「偽りの愛と、真実の愛の違いは?」「運を引き寄せるためには、どうしたらいいですか」「人は死んだらどこに行くのですか」故郷・徳島で若者たちの悩みや素朴な疑問に耳を傾け、未来への不安も語りあった。真摯で率直で愉快な質疑応答集に、母校の高校で行われた講演もあわせて収録。瀬戸内寂聴が贈る勇気と希望の言葉。
人生の疑問に答える!
「偽りの愛と、真実の愛の違いは?」「運を引き寄せるためには、どうしたらいいですか」「人は死んだらどこに行くのですか」故郷・徳島で若者たちの悩みや素朴な疑問に耳を傾け、未来への不安も語りあった。真摯で率直で愉快な質疑応答集に、母校の高校で行われた講演もあわせて収録。瀬戸内寂聴が贈る勇気と希望の言葉。

アサッテの人
講談社文庫
第137回芥川賞 第50回群像新人文学賞 W受賞!
選考委員各氏激賞!
村上龍氏以来、30年ぶりの快挙! 驚異の新人出現!
吃音(きつおん)による疎外感から凡庸な言葉への嫌悪をつのらせ、孤独な風狂の末に行方をくらました若き叔父。彼にとって真に生きるとは「アサッテ」を生きることだった。世の通念から身をかわし続けた叔父の「哲学的奇行」の謎を解き明かすため、「私」は小説の筆を執るが……。
1度読んで楽しむだけでなく、繰り返しめくれば、あちこちに新しい発見がある(中略)個々のエピソードが光っていて、音に身を寄せた精密な言葉送りに頭の中がからからと明るくなった。――多和田葉子氏
日常の文脈を脱臼させる奇声をあげずにいられない「叔父」の、喜劇的にして悲劇的な生の感触が、そこには鮮烈に描出されている。――松浦寿輝氏
――<群像新人文学賞選評より>

髻塚不首尾一件始末 半次捕物控
講談社文庫
大名家同士の意地の張り合いに、増山家に雇われた蟋蟀小三郎。一方の奥平家についた風鈴狂四郎とは古い因縁で互いの手強さを熟知する仲。ちよや半次も巻き込みあの手この手で裏を掻いて対決を避けようとする。収まらない奥平の若殿が謀議をめぐらせて仕組んだ御前仕合で、とうとう真剣勝負に臨むことに。(講談社文庫)
蟋蟀小三郎に強敵現る。その名も風鈴狂四郎拝領地の売買をめぐる悶着に首を突っ込む小三郎。が、相手も劣らぬ使い手ゆえに思い人ちよの知恵で対決を避けた。怒りの収まらぬ若殿は御前試合を仕組んで……。

スリランカの悪魔祓い
講談社文庫
スリランカでは、「孤独な人に悪魔は憑く」と言う。そして実際、病の人が出たら、村人総出で「悪魔祓い」の儀式を行い、治してしまう。著者は、そこに「癒し」の原点を見た。「癒されたい」人から、自ら「癒されていく」社会へ。孤独に陥りがちな現代日本人に、社会や人とのつながり、その重要性を問いかける。
「癒し」の原点の書!
他者を癒す/世界を癒す/自分を癒す
他者とのつながりの回復の中で、人は、はじめて、癒されていく。
スリランカでは、「孤独な人に悪魔は憑く」と言う。そして実際、病の人が出たら、村人総出で「悪魔祓い」の儀式を行い、治してしまう。著者は、そこに「癒し」の原点を見た。「癒されたい」人から、自ら「癒されていく」社会へ。孤独に陥りがちな現代日本人に、社会や人とのつながり、その重要性を問いかける。
20代後半の青年が、スリランカの村々で悪魔祓いを訪ね歩く。
暑い中で汗を拭き拭き来る日も来る日も悪魔祓いを見続けた。あんなに私を引きつけたものは何だったのだろうか。それはその場の熱さ、真剣さと笑いがないまぜになったノイズいっぱいのエネルギー、そして病が癒えていく人たちの喜びと、笑いながらともに喜ぶ村人たちの姿だった。――<文庫版あとがきより>
※本書は、1990年3月、徳間書店から単行本として刊行された『スリランカの悪魔祓い』に、加筆修正した『悪魔祓い』(2000年8月、講談社+α文庫)を、再編集したものです。

卍萌
講談社文庫
貧しい小藩の下級武士、小四郎は剣術は苦手だが、学問はまあまあ得意の若侍。藩剣術指南・杉村家への婿入りが決まり、やっと運が開けつつあった。ところが、家老の馬鹿息子の罪を被り、あわや切腹の窮地に。しかし――、意外にもその日から、許婚(いいなずけ)、女隠密、村娘と、美女三昧の毎日が始まった。好評時代官能第三弾。(講談社文庫)
災難転じて淫となる。忍び時代官能第三弾 下級侍の四男、小四郎は剣術指南・杉村家へ婿入りが決まり、やっと運をつかめそうだった。ところが家老の馬鹿息子の罪を被ることに……。好評時代官能第三弾。

結婚失格
講談社文庫
「ちゃんと愛せていたんだろうか……?」「そうだった そういうとこが好きだった 傷つけ合って別れた人の」――男にとって別れはいつも「寝耳に水」。家の鍵は取り換えられ、妻の雇った弁護士から身に覚えのない非難の文書が……。親権をめぐる裁判所での話し合いは、想像を絶する冷酷な展開に……。子どもたちに会いたい! 男女の温度差が激しいとされる「離婚」を、男の視点で描き、賛否両論を呼んだ、あまりに率直で赤裸々な、衝撃の実録小説、

奏者水滸伝 白の暗殺教団
講談社文庫
米国西海岸のある宗教団体には、国際暗殺組織という別の一面があった。来日する重要人物を狙って、凄腕の中国系3姉妹が入国する。彼女たちが狙う人物が最大の危険に晒(さら)される時、それは奏者の1人、遠田宗春もかかわる茶会だった。姉妹は超常の戦闘力で、要人、そして奏者たちに迫る。果たして彼らは彼女たちを止められるのか!? 『超人暗殺教団』改題。(講談社文庫)
静寂の席を切り裂く美しき刺客。奏者たち、最大の危機!!
茶道家である遠田宗春とその父は来日した米国要人をもてなすことになった。その人物がテロの標的になるという情報が入る。背後に隠された陰謀とは!?
米国西海岸のある宗教団体には、国際暗殺組織という別の一面があった。来日する重要人物を狙って、凄腕の中国系3姉妹が入国する。彼女たちが狙う人物が最大の危険に晒(さら)される時、それは奏者の1人、遠田宗春もかかわる茶会だった。姉妹は超常の戦闘力で、要人、そして奏者たちに迫る。『超人暗殺教団』改題。
今野敏、最初のシリーズ作品。第4話降臨!
<4人の奏者たち>
●古丹神人
北の自然を友とするピアノ奏者。
●遠田宗春
茶道家元御曹司のウッドベース奏者。
●比嘉隆晶
南の島から来たドラム奏者。
●猿沢秀彦
研究者でもあるサックス奏者。

箕作り弥平商伝記
講談社文庫
山深き秋田で、足は悪いが誰よりも美しい箕を作る若者・弥平。初めての行商では1枚も売れず。なんとか商いのコツを掴んだ弥平は勇躍、新天地の関東平野へ足を延ばすが、途方もない壁にぶち当たる。それは箕作りへの理不尽な差別。誇り高き職人がなぜこんな目に……。そして、弥平は1人の少女に恋をした。(講談社文庫)
我が箕は、なして売れん。
大正末期、秋田で美しい箕を編む若き弥平が、新たな行商先で世間の壁にぶちあたる。理不尽な差別、そして、切ない恋……。
山深き秋田で、足は悪いが誰よりも美しい箕を作る若者・弥平。初めての行商では1枚も売れず。なんとか商いのコツを掴んだ弥平は勇躍、新天地の関東平野へ足を延ばすが、途方もない壁にぶち当たる。それは箕作りへの理不尽な差別。誇り高き職人がなぜこんな目に……。そして、弥平は1人の少女に恋をした。

ヨシアキは戦争で生まれ戦争で死んだ
講談社文庫

陰の声 重蔵始末(五) 長崎篇
講談社文庫

大江戸人情花火
講談社文庫
夜空に咲く大輪の華は江戸っ子の夢だ。
1代で江戸1番の花火師に駆け上がった玉屋市兵衛、感動の夫婦の物語。
花火職人清七に降って湧いた鍵屋の主(あるじ)弥兵衛からの暖簾分けの話。なぜ俺が、と考える暇もなく、職人を集め、火薬を調達し、資金繰りに走る。お披露目は夏の大川だ。女房と2人3脚で暖簾を大きくした清七は、玉屋市兵衛と名乗った。大輪の華ひらく一瞬に、すべてを賭けた江戸っ子の心意気が沁みる感動の一代記!

見えない敵
講談社文庫
少年たちは武装する。それぞれの敵に挑むために。そして、戦い続ける少年たち。ーー腕っぷしの強い幼なじみのアキラと、都会から来た知的な転校生カツミ。そのどちらとも友達になったケンジは、ある日、残酷な決断を迫られる。時に誇りに顔を輝かせ、時に苦いくやし涙を流しながら、次々に立ちはだかる見えない敵と、渾身の力をふりしぼって戦いつづける、少年たちの姿を描く、胸に迫る長編小説。

妄邪船 人工憑霊蠱猫
講談社文庫
あの魔書を追って、戦いの舞台は長崎へと遷り、新たな鬼神が姿を現す。白澤の使役者、白石優は、今も失われた研究室の仲間を思い、悲しみを抱えたままでいた。姿を消したままの夏海涼子のことも――。鬼神を操る魔書を巡る有鬼派との戦いは、刑部(おさかべ)を離れ、真夏の長崎へ舞台を移す。白石がたどりついたのは、西の果ての阿留賀島。夏海涼子の故郷でもあった。妖怪伝奇小説“長崎編”。(講談社文庫)
魔書“本草霊恠図譜(ほんそうれいかいずふ)”は西へ。船の影が妖しく漂う海で何が起こる!?
長崎での小夜子たちvs.有鬼派の争い。“白澤(はくたく)”白石優は友を気づかい、苦悩する
巻頭・妄想記述言語新作「船幽霊」清書・京極夏彦
来栖平次郎製作地図「阿留賀(あるが)島全図」
巻末座談会・榎村寛之×香川雅信×化野燐
白澤の使役者、白石優は、今も失われた研究室の仲間を思い、悲しみを抱えたままでいた。姿を消したままの夏海涼子のことも――。鬼神を操る魔書を巡る有鬼派との戦いは、刑部(おさかべ)を離れ、真夏の長崎へ舞台を移す。白石がたどりついたのは、西の果ての阿留賀島。夏海涼子の故郷でもあった。妖怪伝奇小説“長崎編”。