創文社オンデマンド叢書作品一覧

中国人の宗教意識(中国学芸叢書)
創文社オンデマンド叢書
六朝隋唐期の中世600年に及ぶ時代を対象に、人々の日常に息づく「罪の意識」に光をあて、幅広く多様な中国人の宗教意識を見事に描き出す。儒・仏・道の三教に亙る広範な文献を渉猟しつつ、罪意識と贖いの儀礼を通して、中国社会に通底する宗教の深層構造を初めて本格的に明らかにした問題作。
【目次より】
序章 『後漢書』楚王英伝から
I 静室 懺悔の場
一 静室の諸相とその展開
二 静室内のしつらえ
三 静室における儀礼
四 精舎と静室
五 請室と静室 俗から聖ヘ
II 罪の懺悔
一 罪目
二 道教徒の懺悔 とくに王義之の場合
三 仏教徒の懺悔 とくに沈約の場合
四 王微の「告霊文」
III 償債と謫仙
一 輪廻応報の思想
二 禅録のなかの償債
三 『高僧伝』のなかの償債
四 道教における償債
五 謫仙
六 『高僧伝』神異篇
七 全真教の場合
IV 宗教に傾斜する心性
一 漢代人の遺言・遺書と沐並の「終制」
二 遺言・遺書のなかの仏教
三 皇侃の『論語義疏』
四 出家の動機
注
あとがき

悲の現象論序説 日本哲学の六テーゼより
創文社オンデマンド叢書
西田幾太郎に始まる日本哲学を、現代哲学のコンテクストのもとで、局処世界、ノエシス的超越、種のアフォーダンスなど六つのテーゼに集約し、新たな第七の「悲のテーゼ」を導き出す。
【目次より】
緒論 「悲の現象論」の構想
一 問題概念としての「日本哲学」
二 「悲の現象論」の予備概念
1 「局処世界」テーゼ 西田哲学あるいは「場所」と論理
一 第一テーゼとその意味
二 ゲーテの詩より
三 西田のハイデッガー批判
四 ザインのトポロギー
五 局処世界
2 「ノエシス的超越」テーゼ 続・西田哲学あるいは「行為的直観」と現象学
一 第二テーゼとその意味
二 自我の反省可能性 フッサールとの対峙
三 「無の場所」の現象学
四 自覚と世界 ハイデッガーとの対決
五 行為的直観の現象学
3 「種のアフォーダンス」テーゼ 田辺哲学あるいは「種の論理」と行為
一 第三テーゼとその意味
二 田辺哲学の「再考」
三 種の論理の論郭づけ
四 「行為」の意味
五 行為的瞬間としての無
六 種の概念の修正
七 種の論理の隠れた動揺
八 種のアフォーダンス
4 「語黙通底」テーゼ 久松真一の禅思想あるいは「覚の哲学」と言語
一 第四テーゼとその意味
二 覚の宗教
三 覚の哲学(一)
四 覚の哲学(二)
五 語り得ないものの語り
5 「自他の回互」テーゼ 西谷哲学あるいは「空の立場」と他者
一 第五テーゼとその意味
二 「負」の大きさ
三 西田と西谷の「近さ」
四 ノエシス的合一
五 西田と西谷の対決点
六 「回互」の構造
6 「超近代」テーゼ 京都学派の思想あるいは「世界史の哲学」と物語行為
一 第六テーゼとその意味
二 京都学派の「世界史の哲学」
三 絶対の「無」と歴史世界の「有」
四 西田・田辺論争
五 超近代 近代との非連続の連続
7 「悲」のテーゼ
一 第七テーゼとその意味
二 「悲」の場所としての局処世界
三 「悲」の通路としての「ノエシス的超越」
四 「悲」の行為的生成としての「アフォーダンス」
五 「悲」の表現としての言語行為
六 「悲」の他者開示
七 「悲」の歴史開示
付論 「悲」と「哄笑」 『ツァラトストラはかく語った』と禅
一 宗教批判の着手点としての「笑い」
二 『ツァラトストラはかく語った』に出てくるさまざまの「笑い」
三 「笑い」の諸解釈
四 ツァラトストラの憧憬
五 禅の「笑い」とキリスト教の「悲」
結語

ドイツにおける大学教授の誕生 職階制の成立を中心に
創文社オンデマンド叢書
職階制の成立を中心に 16世紀に成立する正教授職=職階制と随伴現象を解明、中世から現代に至る大学の歴史を初めて統一的に示す。
【目次より】
まえがき
序章
第一節 基本的問題意識
第二節 先行研究の検討
第三節 本書の方法、構成と概要、本研究の性格
第一章 中世大学の教師と運営機関
第一節 中世大学における学位と教授内容 ヴィーン大学の事例
第二節 中世大学における教師の種類(有給教師と無給教師)と講義との対応関係
第三節 大学教師にたいする経済的援助の形態
第四節 聴講料
第五節 大学教師への道と任命方法
第六節 中世大学の意思決定・運営機関とその構成
第七節 中世大学における教師の序列
第八節 中世ドイツ大学におけるカンツラーと事務職員
第九節 ドイツ大学の構造的二重性
第二章 一六世紀における教授職をめぐる各大学の動向 個別大学史的考察
第一節 ヴィーン
第二節 ハイデルベルク
第三節 インゴルシュタット
第四節 テュービンゲン
第五節 ヴィッテンベルク
第六節 マールブルク
第七節 ヘルムシュテット
第八節 ヴュルツブルク
第三章 正教授職の成立とその随伴現象
第一節 正教授職の成立
第二節 正教授職成立の随伴現象
第三節 寡頭的組織の成立とその特性
第四節 教授職からみたドイツ大学の特徴
第四章 宗教改革期における大学をめぐる状況
第一節 大学教師の独身制の崩壊
第二節 俸給の性格
第三節 授業の形態と学生生活
第四節 教養学部の名称、講義目録、学位
第五節 大学の予備教育機関
第六節 カンツラーと事務職員
第七節 領邦国家による査察
第八節 ドイツ大学史における一六世紀の位置
第五章 大学教師の職階制の歴史的展開とその影響
第一節 一七世紀の「私的教師」をめぐる状況
第二節 職階制成立の影響
第三節 職階制からみた時代区分
終章 ドイツ大学の歴史的性格 「公」と「私」のアスペクトから
序 本章のねらい
第一節 先行研究による性格規定
第二節 大学内部における公と私
第三節 大学と国家との歴史的関係
結語
あとがき
ドイツ大学の発展地図
ドイツ大学史年表
ドイツ語要約

宋代中国の国家と経済 財政・市場・貨幣
創文社オンデマンド叢書
財政・市場・貨幣 国家の経済活動を重視する立場から、当時の貨幣流通の実態を実証的に分析し、市場と国家の関係を明らかにする。
【目次より】
図表一覧
序論 中国貨幣経済論序説
緒言
一 自然経済・貨幣経済の捉え方に関する諸学説
二 中国経済史における貨幣経済をどう捉えるか
小結
第一部 宋代の国家と市場
第一章 北宋の財政と貨幣経済
緒言
一 複合単位と北宋財政
二 北宋財政と全国的流通
三 新法期の貨幣財政
小結
付表
第二章 北宋の都市市場と国家 市易法
緒言
一 市易条文の内容 市易法の本旨
二 市易三法の成立と変遷
三 市易法の性格変化と廃止
小結
第三章 宋代の商工業者の組織化 行
緒言
一 免行法施行の前提 宋初の行役
二 免行法と行
三 南宋の行 免行銭廃止後の行
四 同業組織としての行
小結
第四章 宋元時代の牙人と国家の市場政策
緒言
一 牙人の機能
二 宋朝と牙人
三 元代の牙人
四 元朝の市場政策
小結
第二部 宋代貨幣論
第一章 唐宋時代の短陌と貨幣経済の特質
緒言
一 国家財政に関わる短陌 省陌
二 銅銭と紙幣の交換レートとしての短陌
三 商品流通と短陌
四 短陌対策の変遷
小結
第二章 唐宋時代における銅銭の私鋳
緒言
一 鋳造貨幣の生産費
二 唐五代の私鋳銭
三 宋代の私鋳銭
小結
第三章 宋代陜西・河東の鉄銭問題
緒言
一 陜西の鉄銭
二 河東の鉄銭
小結
第四章 宋代四川の鉄銭問題
緒言
一 宋初の通貨問題
二 新法期以後の鉄銭事情
三 鉄銭の私鋳問題
小結
第五章 宋代の価格と市場
緒言
一 市価の変動と地域差
二 宋代価格の特性
小結
終章 貨幣経済の時期区分
緒言
一 非統一的貨幣経済の時代
二 統一的貨幣経済の時代
結語
あとがき

家郷を離れず 西谷啓治先生特別講義
創文社オンデマンド叢書
京都学派を代表する西谷啓治が、自らの思索を説きあかした最晩年の特別講義と、西谷哲学を解説する著者論文とを収録。
【目次より】
凡例
目次
第一部 「空と即」 西谷啓治先生特別講義
第一景 「空と即」の背景
第二景 住処としての世界
第三景 事々無礙と信の世界
第四景 空と即 海と小波
第五景 科学と禅
第六景 イマジネーション
付録 ハイデッカーと西谷
第二部 家郷を離れず
第一章 考えるということ
第二章 問わるべきこと
第三章 家郷を離れず
第四章 感覚の根源性
第五章 開けへの道
第六章 言葉と有の内景
参考文献
あとがき

睡虎地秦簡よりみた秦代の国家と社会(東洋学叢書)
創文社オンデマンド叢書
第一級の史料を用いて、秦帝国の支配構造と統一過程にみられる法治主義の特質を明らかにする。
凡例
序章 睡虎地秦簡と中国古代社会史研究
第一章 内史の再編と内史・治粟内史の成立
第一節 睡虎地秦簡にみえる内史の問題点 第二節 睡虎地秦簡にみえる内史の構成 第三節 内史の変遷と再編
第二章 秦の都官と封建制
第一節 先学の解釈とその問題点 第二節 秦簡にみえる都官の構造 第三節 都官設置の歴史的背
第三章 秦の領土拡大と国際秩序の形成
第一節 秦の属邦と道制 第二節 前漢における属国と道 第三節 後漢における属国と道 第四節 秦簡における属邦と臣邦真戎君長 むすび
第四章 睡虎地秦簡「日書」の基礎的検討
第一節 「日書」の形態とその内容 第二節 「日書」の占法原理と問題点 第三節 日者と「日書」の関係 第四節 その他の「日書」について
第五章 「日書」を通してみた国家と社会
第一節 語彙分析よりみた甲種と乙種の用字傾向 第二節 「日書」の占辞における地域性をめぐる問題点 第三節 「日書」の語彙分析よりみた国家の諸相 第四節 「日書」の語彙分析よりみた官制の諸相
第六章 先秦社会の行神信仰と萬
第一節 漢代の行神と祖道 第二節 「日書」における行神と祖道 第三節 出行における吉凶の時日とその構造 第四節 帰家の吉凶と通過儀礼
第七章 「日書」における道教的習俗
第一節 中国古代の行旅第二節 放馬灘秦簡「日書」にみえる「律書」と納音 第三節 禁呪の形式 第四節 禹歩と四縦五横
第八章 萬の変容と五祀
第一節 嫁娶日の吉凶にかかわる禹 第二節 治癒神としての禹 第三節 アジールの神としての禹 第四節 行神祭祀と五祀
第九章 「日書」に反映された秦・楚のまなざし
第一節 「玄戈」における秦・楚の占法原理の差異 第二節 「稷辰」・「秦」における楚のまなざし 第三節 建除における楚のまなざし 第四節 「歳」における秦のまなざし
第十章 戦国秦の嗇夫制と県制
第一節 県邑を主管する嗇夫 第二節 県令と県嗇夫・大嗇夫 第三節 「語書」と県・道嗇夫
終章 睡虎地秦簡よりみた戦国秦の法と習俗
第一節 秦律にたいする楚暦の影響 第二節 「封診式」毒言における悪口のタブー 第三節 「封診式」にあらわれた国家と家族・共同体 第四節 「語書」と六国の統一 第五節 戦国秦における法治主義の転換
あとがき
欧文目次

ヘーゲルのギリシア哲学論
創文社オンデマンド叢書
「哲学史講義」の未公刊資料の解読により、ヘーゲルの古代哲学理解を理性の問題を中心に解明し、人文主義的ヘーゲル像を初めて明らかにする。
【目次より】
序論
第I篇 ヘーゲル研究史から見た古代ギリシア哲学問題
第一章 日本のヘーゲル研究史と古代ギリシア哲学問題
第二章 ドイツのヘーゲル研究と古代ギリシア哲学問題
第三章 『哲学史講義』筆記録研究の現状
第II篇 思弁哲学の源泉
第一章 『精神現象学』から『哲学史講義』へ
第二章 ヘーゲルと観想の幸福
第三章 理性をめぐって
第四章 理性の根源
第五章 ヘーゲル元素論と推論の中項 『ティマイオス』篇三二a-b解釈への註釈
第六章 ソクラテスの彫塑的問答法
第III篇 ヘーゲルの新プラトン主義理解
第一章 若きヘーゲルにおける概念と全一論
第二章 ヘーゲルと新プラトン主義の伝統
第三章 ヘーゲルから見た新プラトン主義
第四章 純粋概念の新プラトン主義的根源 『精神現象学』序言の一節への註釈
あとがき
欧文要旨
主要参考文献一覧
資料一 ヘーゲル『霊魂論』翻訳断片
資料二 ヘーゲル「アリストテレス講義」
資料三 ベルリン期ヘーゲル未公刊講義筆記録一覧
資料四 ヘーゲル 古代ギリシア関係研究文献目録
資料五 『精神現象学』日本語文献目録

ノヴァーリスと自然神秘思想 自然学から詩学へ
創文社オンデマンド叢書
ノヴァーリスの主として理論的著作を取り上げ、ノヴァーリスの自然思想を十八世紀末の思想状況において明らかにする。第一に、ノヴァーリスの自然思想を、ルネサンス以来のヨーロッパの「自然神秘思想」の伝統の受容と変奏として検討、第二に、ノヴァーリスの思想における「自然」の問題を体系的にとらえ、とくに、哲学や自然科学をふまえた「自然学」が、なぜ、いかにして「詩学」となるのかを考察する。
【目次より】
はじめに
引用について
第一部 超越と自然
第一章 「ノヴァーリス」の誕生
1 「熱狂の擁護」
2 体験と哲学
第二章 ガイストの顕現としてのこの世界
1 「制約なきもの」と「物」
2 エクスターゼと知的直観
3 「ガイスト」の運動
4 神性への媒介者 宗教
5 表象 哲学
6 森羅万象の相互表象説と新プラトン主義的な世界像 自然学
第三章 世界の意味の喪失と回復
1 世界の意味の喪失
2 黄金時代
3 回復の方法 ロマン化
4 伝統との関わり
第二部 自然学
第四章 マクロコスモスとミクロコスモス 自然と人間
1 マクロコスモスとミクロコスモス
2 自然と人間
3 自然の救い
4 自然とわざの愛の関係
5 魔術師としての人間
第五章 魔術
1 魔術史への興味
2 魔術と観念論哲学の重ね合わせ
3 「未来のシェーマ」としての魔術
第六章 万物の共感の学
1 伝統のなかの共感の学
2 ガルヴァニズム、電気、磁気
3 ブラウン医学
4 動物磁気
5 「ラヴォワジェの革命をこえるもの」
第七章 しるしの学 しるし・記号・象徴
1 自然神秘思想の伝統における「シグナトゥール」
2 近世の記号の学
3 自然の文献学としての自然学
4 しるしとその意味 「外なるもの」と「内なるもの」
第三部 詩学
第八章 心情の表現としてのポエジー
1 自然と人間の内的空間としての心情
2 心情のあり方
3 心情とポエジー
第九章 高次の自然学としてのポエジー
1 自然哲学との関連と相違
2 ゲーテの自然学とノヴァーリス
3 自然と精神のアナロジー
4 光の問題
第十章 文学の理論としての詩学
1 ロマン的ポエジー
2 芸術とポエジー
3 自然とポエジー
第十一章 シンボルとアレゴリー
1 シンボル
2 アレゴリー
おわりに
あとがき
註
引用テクストおよび参考文献

トマス・アクィナスの知性論
創文社オンデマンド叢書
トマスの知性論の特徴である、能動知性の内在の提唱、人間知性としての可能知性の非質量性の提唱に注意を向け、トマス哲学における人間知性の問題を考察する。アヴェロエス主義やアリストテレス的認識を批判し、中世独自の認識論を展開したトマスの知性論を分析する。
【目次より】
序
第一章 真理認識に対する欲求と節度 "naturaliter scire desiderant"の解釈
第二章 『エチカ注解』におけるアヴェロエス説批判
第三章 『デ・アニマ注解』における可能知性の問題
第四章 可能知性単一説に対する論駁
第五章 『存在しているものと本質』序文における《エッセ》の認識
第六章 本質の二義性と知性の《エッセ》
第七章 認識者としての魂の《エッセ》
第八章 魂の不死に関するトマス説とカエタヌス説
第九章 生命を与える魂 存在を与える形相 "Vivere viventibus est esse"の解釈
第十章 第四の道と『存在しているものと本質』
第十一章 第一に認識されるもの
第十二章 トマスのイデア論 神の観念としてのイデア
第十三章 トマス哲学における能動知性の問題
第十四章 トマスの知性論における存在認識
あとがき
註
文献表

熊本藩の法と政治 近代的統治への胎動
創文社オンデマンド叢書
熊本藩の統治機構と官僚制の発達の経過、刑法史、商工業活動に対する規制と庶民の生活上の諸規制、横井小楠を中心とする肥後実学党の実像を明らかにする論文集。
【目次より】
はじめに
序章 熊本藩概況
一 領地と領民 二 家臣団 三 財政状況
第一部 統治機構と官僚制の整備
第一章 藩庁中央機構
一 時代区分および軍事機構と政治機構の関係 二 第一期 寛永九年から延宝八年まで四九年間 三 第二期 天和元年から宝暦元年まで七一年間 四 第三期 宝暦二年から寛政八年まで四五年間 五 第四期 寛政九年から明治元年まで七二年間 六 小括
第二章 町方、特に熊本城下町の統治機構
一 熊本藩における諸町の行政的位置づけ 二 熊本城下町の形成と発展 三 熊本城下町の統治機構 四 小括
第三章 郡村統治機構
一 郡村統治機構の変遷の概要 二 宝暦改革後の郡村支配機構の概要
第四章 統治機構の合理化と官僚制の整備
一 宝暦改革前の機構整備 二 宝暦改革およびその後の機構整備と官僚制の整備
第二部 近代的刑法の誕生と行刑史
第一章 熊本藩刑政の変遷
一 初期の刑政 二 中期の刑政 三 宝暦の改革と刑政 四 後期の刑政 五 小括
第二章 刑罰と行政罰の分離
一 仕置から刑罰の分離独立 二 郡方処罰権と行政罰体系 三 町方処罰の実態 四 小括
第三章 拷問について
第三部 藩民統制
第一章 商工業活動に対する規制
一 商札・職札制 二 問屋制 三 運上 四 藩内流通規制 五 藩外流通規制と国産仕立 六 物価・手間賃・給銀の規制 七 個別業種についての規制例
第二章 都市生活上の規制
一 取り締まり機構 二 種々の生活諸規制
第三章 農村生活上の規制
第四部 幕末政治史の一斑 肥後実学党をめぐって
第一章 天保期熊本藩政と実学党の誕生
一 伊藤石之助・大塚仙之助の乱 二 天保期藩政の実態 三 実学党誕生前夜 四 実学党の誕生 五 むすびにかえて
第二章 横井小楠と長岡監物
第三章 横井小楠覚書
おわりに
付 町方法令集
解題
凡例
「市井式稿」
「市井雑式草書 乾」
「市井雑式草書 〓」

神認識とエペクタシス ニュッサのグレゴリオスによるキリスト教的神認識論の形成
創文社オンデマンド叢書
ニュッサのグレゴリオスによるキリスト教的神認識論の形成〈エペクタシス〉という人間存在の根本態勢からグレゴリオスの神認識論を説く。中村元賞受賞。
【目次より】
まえがき
序論
第一節 問題の所在、及び本研究の目的と方法
第二節 ニュッサのグレゴリオスの生涯
序論 注
第一章 グレゴリオス以前の神認識論
第一節 ギリシャ哲学における神認識論
第二節 グレゴリオス以前のキリスト教における神認識論
第一章 注
第二章 働きからの神認識
第一節 「働きからの神認識」
第二節 「働きからの神認識」とエペクタシス
第三節 結び
第二章 注
第三章 鏡における神認識
第一節 グレゴリオスにおける「鏡」の概念
第二節 「鏡における神認識」の存否について
第三節 『至福論』第六講話の解釈
第三章 注
第四章 暗闇における神認
第一節 「暗闇」という概念
第二節 テキスト分析
第三節 「暗闇」のテキストの解釈
第四節 エクスタシス
第四章 注
補遺 神秘主義的解釈について
第五章 エペクタシス
第一節 『モーセの生涯』第二部二―九節~二五五節
第二節 人間存在としてのエペクタシス
第三節 「完全な生」としてのエペクタシス
第四節 神認識とエペクタシス
第五節 結び
第五章 注
結論
補遺 パレーシア:「自由に語ること」 ニュッサのグレゴリオスにおけるその転換
あとがき

古代ギリシアにおける自由と正義 思想・心性のあり方から国制・政治の構造へ
創文社オンデマンド叢書
思想・心性のあり方から国制・政治の構造へ ポリス的意識と思想の実態に迫り、国制や政治構造を形成する要因を解明。
【目次より】
略記号表
まえがき
第I部 自由
第一章 イセーゴリアとパレーシア 発言の平等と言論の自由
第二章 ヘロドトスにおける〈イセーゴリア〉
第三章 ソロンの政治思想における自由
第四章 アテナイ民主政と自由
補章一 「自由」の語源の考察
付論 自由の語源について
補章二 イセーゴリアの意義 伝クセノフォン『アテナイ人の国制』一・―二について
第II部 ソロン
第五章 ソロンとメガラの民主政
第六章 ソロンの僭主政観
第七章 ソロンの「政治詩」の展開
第八章 ソロンの詩「エウノミア」とポリス思想
第III部 正義
第九章 アリステイデスの正義
第一〇章 アテナイ帝国と正義 伝クセノフォン『アテナイ人の国制』の場合
第一一章 五世紀後期におけるポリス間正義
補章三 伝クセノフォン『アテナイ人の国制』の成立年代
第五節 結論
第IV部 アテナイ民主政の比較考察
第一二章 〈アレオパゴス会議の指導〉とエフィアルテス改革 クレイステネス国制の性格づけのために
第一三章 ギリシア世界におけるアテナイ民主政
補章四 最近の諸ポリス研究 研究ノート
あとがき
参考文献

デモクラシーを生きる(現代自由学芸叢書) トクヴィルにおける政治の再発見
創文社オンデマンド叢書
1831年5月、25歳のトクヴィルは初めてニューヨークに上陸した。旧大陸からの境界を踏み越えることによって、彼は人類が突入しつつある新しい状況を比較の視座において捉えることに成功した。すべての人を平等化し、同質化する巨大な力――彼はそれを「デモクラシー」と名づけた。〈デモクラシーの敵でも味方でもなく、その両義性をふまえて生き抜くこと〉、これが彼の選択であった。個人の個別性や異質性を拘束するものはもはや存在せず、思考と行動は自由であるが、個別性や異質性の基盤そのものが脅かされ、思考と行動の基準は自明でない。そのような状況を、「政治」の働きを再活性化することで、いかに乗り越えるか。本書は、現代社会をもその射程に含むデモクラシーという時代の中で、政治の持つ可能性を探る現代自由学芸の騎士による挑戦の書である。
【目次より】
まえがき
凡例
序 トクヴィルを位置づけ直す
予備的考察 トクヴィルをめぐる三つの文脈
(1) ポスト・ルソーの政治思想
(2) 「自由主義」の諸相
(3) 「一九世紀のモンテスキュー」
第一章 デモクラシーの時代 「個人主義」から「専制」へ
第一節 「個人主義」
第二節 「専制」
第三節 「社会」
第四節 理論的人間の批判
第二章 「政治」の諸要素
第一節 「政治的自由」
第二節 実践・判断・多元性
第三節 歴史と批判
第四節 「政治社会」
第三章 「政治」の実現へ
第一節 「正しく理解された自己利益」
第二節 法律と権利
第三節 習俗
第四節 制度の構想
補論的考察 トクヴィルの宗教観
結び 「政治」の再発見
註
参考文献

魯迅「故郷」の読書史(中国学芸叢書) 近代中国の文学空間
創文社オンデマンド叢書
本書は1920年代に『新青年』に発表された短編「故郷」というテクストを不断に織りなしてきた20世紀中国の読書の歴史を通して70年にわたる国家イデオロギーの変遷を描く。それはテクスト生成過程に映じる近代中国文学の生産・流通・消費・再生産の物語なのである。
【目次より】
目次
はじめに 文学と〈想像の共同体〉
第一部 知識階級の「故郷」 中華民国期その1
I テクストの生産 一九二一年チリコフの翻訳
II 五・四新文化運動と新読者層
III エロシェンコの知識階級批判
IV 新聞文化欄と文芸誌の機能
V 書店網の拡大と『咽腋』の流通
第二部 教科書の中の「故郷」 中華民国期その2
I 「国文」科という制度
II 国語教科書の歴史
III 国語教室の「故郷」
IV 「事実の文学」と「気分の文学」 再生産としての批評
第三部 思想政治教育としての「故郷」 中華人民共和国期・毛沢東時代
I 新しい聖人と「唯人民独尊」
II 「語文」科の誕生と思想政治教育
III 「豆腐屋小町」の階級性
IV 真犯人を探せ
V 文革に追放された「故郷」
第四部 改革・開放期の「故郷」 中華人民共和国・鄧小平時代
I 国語教育の効率化と「文・道」論争
II 豆腐屋小町の名誉回復
III 閏土=犯人説の復活
IV 「私」の挿し絵
V 「主題思想」の復古と新種
VI 上海市中学の国語教室にて
結び 「歴史的懸案」のかなたヘ
あとがき
注
「故郷」関係文献一覧
「故郷」関係年表

ペトラルカと対話体文学
創文社オンデマンド叢書
〈ことばの世話〉を重視するペトラルカの修辞学的対話は知情意の全てに訴える説得の術であった。その珠玉のことばは読者の内奥に強く響く。
【目次より】
まえがき
ペトラルカ原典表
序論 西欧思想史と対話体文学の伝統
はじめに
一 対話体文学の伝統
二 対話体文学の変質
三 ルネサンス対話篇
四 中世対話篇の歴史的背景
五 対話体文学の新しい可能性
六 ルネサンス対話篇の歴史的背景
七 ペトラルカの場合
I 修辞学的対話
一 修辞学的伝統の再評価
二 修辞学的伝統とペトラルカ
三 ペトラルカと修辞学的文化の再生
四 人間形成と理想的人間像
五 フマニタスの人
六 人間形成と文学教育
七 「魂の世話」と「ことばの世話」
八 修辞学的対話
II 対話体文学論 『わが秘密』考
はじめに
一 『わが秘密』における対話の構造
二 著作の背景と時期
三 対話の人物
四 アウグスティヌス像
五 告白としての対話
六 『わが秘密』とルネサンス対話篇
おわりに
III 「真理」の光のもとに
一 自己探究としての対話
二 対話の構造と探究
三 修辞学的対話
四 「真理」の臨在
五 「理解するために信じる」
六 「自己自身を知れ」
七 対話と愛
八 対話の「場」
おわりに
追記
IV 自叙伝と対話篇のあいだ
はじめに
一 自叙伝のもくろみ 山頂の内省
二 「嵐」と「港」
三 未完の自伝 『後世の人に』
四 内なる戦い 『わが秘密』
五 倒錯せる意志
六 書簡体「自伝」と対話体「告白」
V ペトラルカとクザーヌスの対話篇
はじめに
一 執筆の動機と対話の設定
二 対話の人物と対話の構造
三 対話の人物と探究
四 対話の構造と探究
五 「一なる宗教」と宗教的寛容の思想
六 〈告白としての対話〉と〈啓示としての対話〉
VI ペトラルカ研究小史
一 出会い
二 研究ことはじめ
三 研究史の反省的回顧
四 原典へ
五 研究の今後のために
補遺 ペトラルカ関係邦語文献
あとがき
註

アウグスティヌス『告白』の哲学
創文社オンデマンド叢書
人間と神についての省察の記録である『告白』全十三巻を統一的に把握する道を切り開き、その全体像に迫った、わが国初の本格的研究。
【目次より】
まえがき
第一章 『告白』の主題と形式
第一節 執筆の時期と背景
第二節 主題と統一性
第三節 神との対話
第二章 不安と神探究
第一節 不安な心
第二節 『ホルテンシウス』体験
第三章 マニ教の克服
第一節 悪とは何か
第二節 信仰と理性
第四章 ミラノ体験と回心
第一節 ミラノ体験とは何か
第二節 道としてのキリスト
第三節 意志の自由と人格的統一
第五章 内面の世界
第一節 記憶論の構造
第二節 心と内
第六章 永遠と時間
第一節 時間とは何か
第二節 神のことば
あとがき
註
参考文献
英文要旨

哲学の道 初期哲学論集
創文社オンデマンド叢書
思索の核心部を形成する16編の論考を厳選、瑞々しい論述と強靱な知性に支えられた営みは知を愛する端初へと収斂する。
【目次より】
一 ホドスとメトドス 哲学の道について
1 メトドスという語とホドスという語 2 プラトンの哲学の道 3 パルメニデスの道 4 哲学の道について
二 ヘラス・フマニタス・自我 ギリシアのヒューマニズムをめぐる考察
三 肉体 自己認識の問題点
1 真理への途で 問題の提示 2 肉体についてのさまざまな思いなし 問題の展開 3 肉体についての思索 本論
IV 結び factumからfactorへ
四 身体論素描 身体性のAnalytik
1 直立態(stasis) 2 仰臥態(anaklesis)3 着坐態(kathedpa)
五 外・内・外と内を越えるもの
1 奥行きと深み ontische Dimension と ontologische Dimension 2 外なる人(exterior homo)と内なる人(interior homo)
六 何がよいか
1 「何がxか」「xとは何か」 2 「何がよいか」「よいとは何か」 3 「よい」の本性
七 「何かのために」と「誰かのために」
1 目的連関の三型 2 アリストテレスの目的論倫理学
八 プラトンの神学 晩年の哲学体系
1 神学の問題 2 『ノモイ』の神学 3 『ノモイ』の神学の成立
九 書かれた言葉と書かれぬ言葉 プラトン『パイドロス』274cー278bの解釈
十 アリストテレスの矛盾律について
1 論証の原理としての矛盾律 2 対話の成立と矛盾律 3 実体の成立と矛盾律
十一 『分析論後書』における「普遍(katholou)」の把握について
1 問題の呈示 2 科学的知識(episteme)の成立 3 第一のもの(ta prsta) 4 探求の構造 5 科学的知識と排中律
十二 『ニコマコス倫理学』の冒頭箇所の解釈をめぐって
1 冒頭の一文 2 四語の解釈
十三 アリストテレスにおける超越価値の諸相 kalon, dikaion, agathon
1 問題の呈示 2 kalonと agathon 3 選択の対象 4 目的論的倫理学
十四 自己と超越 プロティノスの問題
1 序 2 「われわれ」とは何か 3 「われわれ」の同一性 4 自己意識と自己認識 5 魂の自己認識 6 超越について
十五 白鳥の歌序説 『パイドン』解釈のための一つの試論
1 詩人は何を歌うか 2 哲学者は何を想うか
十六 形の現象 存在の美をめぐる省察
1 存在と形 2 現象と存在 3 形の美
補註

ヘーゲル論理学の基底 反省批判と関係の存在論
創文社オンデマンド叢書

フランス革命と財産権 財産権の「神聖不可侵」と自然権思想
創文社オンデマンド叢書
財産権の「神聖不可侵」と自然権思想 財産権の概念をブルジョワジー・民衆双方の視点から分析し、従来の歴史認識に一石を投じる。
【目次より】
はしがき
表記について
第一部 序論 問題提起 歴史認識の問題点と課題
第一章 憲法学の歴史認識と問題意識
第二章 歴史研究の到達点と問題点
第二部 フランス革命史研究の前提 財産権思想・革命前夜の財産をめぐる状況・革命の全体像
第一章 財産権思想
第二章 革命前夜の財産をめぐる状況
第三章 フランス革命の全体像
第三部 一七八九年宣言と財産権
第一章 一七八九年宣言の成立
第二章 財産に関する諸立法
第三章 一七八九年宣言における財産権の構造
第四章 「神聖不可侵」の財産権の可能性 第四部・第五部への見通し
第四部 民衆と財産権 「生存の権利」の実現と財産権
第一章 民衆の行動と要求
第二章 民衆のイデオローグ
第三章 民衆の財産権の構造
第五部 一七九三年宣言と財産権 民衆の財産権への接近
第一章 一七九三年宣言の成立
第二章 財産に関する諸立法
第三章 一七九三年宣言における財産権の構造
第四章 革命政府とテルミドールの反動 第六部への見通し
第六部 一七九五年宣言と財産権 「社会秩序」の基礎としての財産権の確立へ
第一章 一七九五年宣言の成立
第二章 財産に関する諸立法
第三章 一七九五年宣言における財産権の構造
第四章 フランス革命の終焉
第七部 結論 二つの自然権的財産権論
第一章 二つの自然権的財産権論 ブルジョワジーの財産権と民衆の財産権
第二章 自然権思想と独立小所有の理想 自然権的財産権思想の役割と限界
参考文献一覧

存在の光を求めて ガブリエル・マルセルの宗教哲学の研究(1)
創文社オンデマンド叢書
実存理解と宗教信仰を結節させ「実存から存在へ」を究極目標とした彼の哲学に光をあてる。
20世紀フランスに生きた哲学者・劇作家、ガブリエル・マルセル(Gabriel MARCEL,1889‐1973)について、その思想とキリスト教(カトリック)信仰とをめぐって、著者なりの解釈を施しつつ、その一側面を論じようとするものである。
【目次より】
まえがき
マルセル著作略号一覧
第一部 実存から信仰ヘ
第一篇 カミュの無神論について
第二篇 サルトルの無神論について
第三篇 マルセルの回心をめぐって
第二部 信仰と哲学
第一篇 「問題」と「神秘」
第二篇 「神の存在証明」を超えて
第三部 「前神学」的な宗教哲学
第一篇 パスカルとマルセル
第二篇 マルセルとブーバー
第三篇 マルセルとプロテスタント信仰
第四部 存在の光を求めて
第一篇 「不安」と信仰
第二篇 「苦悩」と「不安」
初出一覧
マルセルについてもっと知りたい方のために マルセル紹介文献一覧
あとがき