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憑霊信仰論 妖怪研究への試み
ヒョウレイシンコウロン
- 著: 小松 和彦

「憑く」という語の本来の意味は、事物としてのものにもともと内在する精霊や、異界の神霊などが、別の事物としてのものに乗り移ることを意味していた。本書は、こうした憑依現象を手懸りにして、孤憑き、犬神憑き、山姥、式神、護法、付喪神など、人間のもつ邪悪な精神領域へと踏み込み、憑依という宗教現象の概念と行為の体系を介して、日本人の闇の歴史の中にうごめく情念の世界を明らかにした好著。
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目次
1 「憑きもの」と民俗社会
――聖痕としての家筋と富の移動――
1.はじめに
2.民俗学的研究の若干の問題点
3.「つき」の基礎的概念
4.「つき」と「憑依」
5.聖痕としてみた「憑きもの」
6.聖性(異常性)の形象化としての「憑きもの」
7.「憑きものの筋」と「限定された富」
8 総括と今後の問題
2 説明体系としての「憑きもの」
――病気・家の盛衰・民間宗教者――
1.はじめに
2.高知県物部村の事例
3.説明体系としての信仰
1.病気の説明体系と憑霊
2.家の盛衰と神霊
3.民間の宗教的職能者その使役霊
4.まとめ
4 《呪咀》あるいは妖術と邪術
――「いざなぎ流」の因縁調伏・生霊憑き・犬神憑き
1.はじめに
2.「障り」の病
3.因縁調伏
4.生霊憑き
5.犬神憑き
6.式王子と式法
7.若干の考察とまとめ
4 式神と呪い
――いざなぎ流陰陽道と古代陰陽道
1.はじめに
2.土佐のいざなぎ流陰陽道
3.「呪咀」のための祭文と儀礼
4.いざなぎ流の「式神」
5.呪禁道と陰陽道の伝来
6.陰陽師の活躍
7.陰陽道の「呪い」と「式神」
5 護法信仰論覚書
――治療儀礼における「物怪」と「護法」――
1.はじめに
2.『枕草紙』からの事例
3.調伏儀礼
4.「護法」――験者の呪力の形象
5.憑霊としての「物怪」と「護法」
6.「憑坐」と「夢」
6 山姥をめぐって
――新しい妖怪論に向けて――
1.柳田国男の妖怪論
2.妖怪――祀られぬ神々
3.《神》と《鬼》
4.土佐の「山女郎」
5.「山女郎」の両義性
6.昔話のなかの「山姥」
書誌情報
紙版
発売日
1994年03月04日
ISBN
9784061591158
判型
A6
価格
定価:1,408円(本体1,280円)
通巻番号
1115
ページ数
362ページ
シリーズ
講談社学術文庫
初出
’82年に伝統と現代社から出版したものと、’84年にありな書房から出版しなおしたもの。
著者紹介
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