私本太平記（三）

後醍醐の切なるご催促に、楠木正成は重い腰をもち上げた。水分（みくまり）の館（たち）から一族500人の運命を賭けて――。すでに主上は笠置落ちの御身であった。また正成も、2万の大軍が取り囲む赤坂城に孤立し、早くも前途は多難。一方、正成とはおよそ対照的なばさら大名・佐々木道誉は幽閉の後醍醐に近づき、美姫といばらの鞭で帝の御心を自由に操縦しようとする。かかる魔像こそ、本書の象徴といえよう。


二万の大軍が取り囲む赤坂城に孤立した正成。後醍醐帝の切なるご催促に、一族五百人の運命を賭けて、重い腰をもち上げた正成であったが、早くも前途は多難。一方、佐々木道誉は幽閉の後醍醐帝に近づいていく。

目次

■帝獄帖（つづき）
正成出仕
天が下には
赤坂城
雪どろんこ
婆娑羅大将
帝　獄
羅刹谷
■世の辻の帖
罪の暦
人　霞
四ツ目結
児島高徳
院ノ庄
絶　海
夏隣り
木　霊
天王寺未来記
青い痣
十目十指

書誌情報

紙版

• 発売日: 1990年03月05日
• ISBN: 9784061965652
• 判型: A6
• 価格: 定価：880円（本体800円）
• ページ数: 446ページ

電子版

• 発売日: 2014年08月01日
• JDCN: 0619656500100011000S

収録作品

• 作品名
  初出

• 作品名

  私の吉川英治

  初出

• 作品名

  作品紀行

  初出

著者紹介

著： 吉川　英治（ヨシカワ　エイジ）