火の山 山猿記(下)

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火の山 山猿記(下)

ヒノヤマヤマザルキ

文芸(単行本)

焼け野原に響きわたる、歎きの声と歓びの歌。土地を離れ、悲しみを超え、女たちは語りだす。空を駆ける馬、サファイアの目の子ども、そして石や木の語る物語。
この時代を語りつぐ世界文学の誕生

由紀子もこの絵を知っていることだろう。……
そのときの私には、どうしてもそれは、「燃える石」をくわえた女の像にしか見えなかった。憤怒のアシュラであり、悲哀の老婆であり、イノセントに笑う少女でもあった。
……私には「戦争」という連想は働かなかった。それは笛子の怒り、悲しみ、喜びの姿だった。冬吾に対する愛の姿なのだった。――(本文より)


書誌情報

紙版

発売日

1998年06月01日

ISBN

9784062090919

判型

四六

価格

定価:2,420円(本体2,200円)

ページ数

430ページ

初出

『群像』’96年8月号~’97年8月号

著者紹介

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