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東北学/もうひとつの東北
トウホクガクモウヒトツノトウホク
- 著: 赤坂 憲雄

「東北学」を提唱する著者が、その試みを世に問うた作。柳田国男がその一国民俗学の枠組において北辺とした東北を、多数性を豊かに孕んだ最前線と位置付ける。狩猟・採集・焼畑が四季を通じて複合的・総合的に営まれる山の暮らしを、数年に及ぶ聞き書きに拠って掬い上げ、縄文以来、東北に堆積してきた稲作以前の種族=文化の重層的なありようを「腑分け」。<東北・柳田・民俗学>をめぐる知の見取り図を示す。(講談社学術文庫)
「東北学」―東北から「もうひとつの日本」へ歴史的景観を開く―を提唱する著者が、初期、その試みを世に問うた作。柳田国男の「一国民俗学」思想の可能性と限界を問い、柳田がその枠組の北辺とした東北を、南/北の方位に向けての多数性を豊かに孕んだ最前線(フロンテイア)と位置付ける。ブナの森に抱かれ狩猟・採集・焼畑などの畑作が四季を通じて複合的・総合的に営まれる山の暮らしを、数年に及ぶ聞き書きに拠って掬い上げ、縄文以来、東北に堆積してきた稲作以前の種族=文化の重層的なありようを「腑分け」。-東北--柳田--民俗学-をめぐる知の見取り図を示す。
- 前巻
- 次巻
目次
学術文庫版まえがき
はじめに
第一部 森と野はらと畑の世界
第一章 稲作以前とは何か
カンジキという民具の底に
ブナの森に抱かれて
稲作の外部/畑作の復権
枷としての農本主義
第二章 食の文化の深みへ
山に生かされた日々
主食としてのソバとカブ
ヒエをめぐる民族史
米/肉の裂けめに
第三章 山野の民俗誌を織る
山村調査・山形篇から
原像としての北の焼畑
山野の幸の採集
第四章 狩猟の原風景を求めて
春のクマ狩り モノと技術の組織化
民族史の結ぼれ
第二部 それぞれの帰郷の時代
第一章 野辺歩きの旅から
さらば、芭蕉的なるものよ
もうひとつの東北への道
野辺を歩き、野良を耕す
楕円の民俗学へ
第二章 ほんたうの賢治を求めて
村の衰滅のなかで
賢治の東北とは何か
それは可能性の種子である
第三章 可能性としての民俗学へ
巨人たちが去ったあとに
変容の民俗誌のために
一国民俗学を越えて
第四章 棄郷と帰郷のはざまに
柳田国男から内発的発展論へ
変わりゆくムラと都市
あらたな帰郷の文体
村からのエコロジー
おわりに 東北ルネッサンスのために
内在的な批判からの出立
地域、多数性を内に孕んで
辺境史観を越えて
幻の『東北学』創刊の辞
解説…………内藤正敏
初出一覧
書誌情報
紙版
発売日
2014年11月11日
ISBN
9784062922685
判型
A6
価格
定価:1,056円(本体960円)
通巻番号
2268
ページ数
288ページ
シリーズ
講談社学術文庫
初出
本書の原本は、『東北学へ3 東北ルネッサンス』として、1998年に作品社より刊行されました。
収録作品
-
作品名初出
-
作品名
はじめに
初出
書き下ろし
-
作品名
第一部
初出
書き下ろし
-
作品名
第二部 第一章 「さらば、芭蕉的なるものよ」
初出
『山形新聞』1993年12月2日
-
作品名
第二部 第一章 「もうひとつの東北への道」
初出
『T-com』第1号、1994年4月
-
作品名
第二部 第一章 「野辺を歩き、野良を耕す」
初出
『群像』1998年4月号~6月号
-
作品名
第二部 第一章 「楕円の民俗学へ」
初出
『山形新聞』1998年2月3日・2月4日
-
作品名
第二部 第二章 「村の衰滅のなかで」
初出
「新校本宮沢賢治全集」第3巻・月報10(筑摩書房、1996年2月)
-
作品名
第二部 第二章 「賢治の東北とは何か」
初出
『へるめす』1996年7月
-
作品名
第二部 第二章 「それは可能性の種子である」
初出
『山形新聞』1996年5月20日
-
作品名
第二部 第三章 「可能性としての民俗学へ」
初出
『アエラムック 民俗学がわかる。』1997年12月
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作品名
第二部 第四章 「柳田国男から内発的発展論へ」
初出
「鶴見和子曼荼羅4 土の巻」藤原書店、1998年5月
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作品名
第二部 第四章 「変わりゆくムラと都市」
初出
『パースペクティヴ』第1号、1992年11月
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作品名
第二部 第四章 「あらたな帰郷の文体」
初出
『読売新聞』1997年12月3日
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作品名
第二部 第四章 「村からのエコロジー」
初出
『INVICT情報』第37号、1997年3月
-
作品名
おわりに
初出
書き下ろし
著者紹介
1953年, 東京生まれ。東京大学文学部卒 業。学習院大学教授。福島県立博物館館長。 専門は民俗学。著書に『東西/南北考』『異人 論序説』『山の精神史』『漂泊の精神史』『遠 野/物語考』,講談社学術文庫に『境界の発 生』『子守り唄の誕生』『結社と王権』など多数。
関連シリーズ
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死と生の民俗
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日本動物民俗誌
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「大東亜民俗学」の虚実
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風景の生産・風景の解放
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弥勒 宮田登
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今を生きる思想 宮本常一
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包み結びの歳時記
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女神誕生
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世界の音 楽器の歴史と文化
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女人禁制
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日本人の死生観
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埋もれた日本地図
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日本の古式捕鯨
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言霊の民俗誌
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土葬の村
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日本人の原風景 風土と信心とたつきの道
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民俗学
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神主と村の民俗誌
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おとこ・おんなの民俗誌
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江戸東京の庶民信仰
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ニッポンの奇祭
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氏神さまと鎮守さま 神社の民俗史
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神々の精神史
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言霊と他界
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故郷七十年
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滑稽の研究
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「怪異」の政治社会学
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日本古代呪術
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金太郎の母を探ねて
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霊山と日本人
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魚の文化史
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地名の研究
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民間暦
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物語の中世 神話・説話・民話の歴史学
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江戸滑稽化物尽くし
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憑霊信仰論 妖怪研究への試み
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明治大正史 世相篇
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民俗学の旅
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魔の系譜
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年中行事覚書
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日本藝能史六講
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日本の鬼 日本文化探求の視角
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東北学/忘れられた東北
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生態と民俗 人と動植物の相渉譜
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桃太郎の母
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庶民の発見
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蛇
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子守り唄の誕生
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山の神 易・五行と日本の原始蛇信仰
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熊野詣
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金枝篇
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境界の発生
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早川孝太郎 花祭
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花の民俗学
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塩の道
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ももんがあ対見越入道 江戸の化物たち
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ふるさとの生活
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ニライカナイから届いた言葉 声に出して味わいたいウチナーグチ