民俗学

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民俗学

ミンゾクガク

講談社学術文庫

民俗学って何だ? 戦後の民俗学を発展させた泰斗による、決定的テキスト。
人々の日常への探究は、いかに始まり、どう展開し得るか。これを読めば全体像がわかる!

ハレとケ、山民/海民、カミとホトケ、ケガレ、女性と子ども……。
人々の営みを学として探究するための最重要事項を、初歩から核心まで明快平易に講義。
近世の萌芽から柳田国男、南方熊楠、折口信夫らに至る研究史をふまえ、
さらには都市の民俗などアクチュアルな学問としての可能性を展望する。

【本書より】
 民俗学は二〇世紀後半、世界の文明民族の間で必然的に起こった学問である。イギリス、ドイツ、フランスなどヨーロッパ文明社会の知識人たちが、同じ民族の内部で、キリスト教以前の文化や、先住民族の遺習などに気づき、それらが辺境の地域社会に残存していることを研究対象にしてスタートさせた。日本においては、ほぼ同時期に、本居宣長や平田篤胤、菅江真澄などの国学者や知識人たちが、田舎の習慣に古代を求めたり、他界観、神観念についての考えを深めたりしており、さらに明治時代末に至り日本の近代化、工業化に対する批判の姿勢をもった柳田民俗学が出発したのであった。
 各国の民俗学のあり方には、それぞれ特徴があり、一括することは難しい。しかし共通している点は、古習の残存をとらえるという観点ではなく、むしろ現代社会に現実に生きている民俗の意味を問うということであり、日本の民俗学にはそのための枠組みとして、「常民」や「ハレ・ケ」の概念が用意されたが、近年それだけでは不十分であることからつぎつぎと修正意見もだされてきている。民俗学は出発の時点においてまず都市化を経験しており、民俗が外在的にも内在的にも変容しつつあることを大きな前提としていた。民俗はつねに変化しているからこそ、変化の相のなかにプロトタイプや変化のプロセスを探ることが可能になっている。民俗の消滅は変化の仕方であり、そこに原則をとらえる必要があるだろうし、一方に民俗の再生、再生産、創造という認識もなされてくる。近代化・都市化に応じての民俗のあり方が現代民俗学にとって不可欠の視点となっているのが現状の認識といえるだろう。

【本書の内容】
1 民俗学の成立と発達
2 日本民俗学の先達たち
3 常民と常民性
4 ハレとケそしてケガレ
5 ムラとイエ
6 稲作と畑作
7 山民と海民
8 女性と子ども
9 老人の文化
10 交際と贈答
11  盆と正月
12 カミとヒト
13 妖怪と幽霊
14 仏教と民俗
15 都市の民俗

※本書の原本は、1990年に放送大学教材として刊行されました。


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書誌情報

紙版

発売日

2019年12月12日

ISBN

9784065181355

判型

A6

価格

定価:1,056円(本体960円)

通巻番号

2593

ページ数

240ページ

シリーズ

講談社学術文庫

電子版

発売日

2019年12月11日

JDCN

06A0000000000167924J

初出

本書の原本は、1990年に放送大学教材として刊行されました。

著者紹介

著: 宮田 登(ミヤタ ノボル)

1936-2000年。神奈川県に生まれる。東京教育大学文学部卒業。同大学大学院修了。筑波大学教授,神奈川大学教授などを歴任。筑波大学名誉教授。元日本民俗学会会長。文学博士。専攻は民俗学。民間信仰,都市民俗はじめ広汎なテーマで、歴史学等の周辺分野とも連携しながら業績をのこした。『日本の民俗学』『ミロク信仰の研究』など著作多数。

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