蜘蛛 なぜ神で賢者で女なのか

蜘蛛 なぜ神で賢者で女なのか

クモ ナゼカミデケンジャデオンナナノカ

講談社選書メチエ

蜘蛛が網を作ると、「恋しい人がやってくる」と喜んだ平安貴族。弥生人はその姿を銅鐸に刻み、ペルーの古代人はナスカ台地の砂漠に描き、ギリシアから北米まで、蜘蛛は世界の神話に数多く登場する。
時に畏れ、嫌い、崇め、慈しむなど、評価は極端。なのに、なぜか惹かれずにはいられない……。
人と蜘蛛のそんな不思議な関係を、日本中世史研究家が貴重な図版・史料とともに丁寧に考察。
蜘蛛愛好家の筆者だからこそ見えてくる、新しい歴史研究!

「内容紹介」
清少納言は、現代人よりもはるかに虫好きだったのだ。いささか厄介な虫たち、蠅、蟻、蚊、蚤について、「憎し」と言いながら、面白がってその生態を見つめ、魅力的に描写した女性がいた。清少納言である。(中略)
蜘蛛についても、網にかかった白露を、「をかし」「あはれ」の両方を使って絶賛している。
こうした眼差しは、どこへ行ってしまったのだろうか。いま、人間が虫に対して抱いてきた感情、心性、文化を見直し、つき合い方を考えることは、急務であると思われる。
―――本書 はじめに より

目次

はじめに

第一章 遺跡の蜘蛛・神話の蜘蛛 
1 蜘蛛とはどんな生きものか
2 蜘蛛の考古学
3 世界の神話の蜘蛛たち

第二章 敵の名は土蜘蛛
1 征服神話の中の土蜘蛛たち
2 土蜘蛛は蔑称か

第三章 蜘蛛に寄せる恋の歌
1 蜘蛛に寄せる恋の歌
2 東アジアのめでたいしるし
3 蜘蛛と七夕

第四章 空を飛ぶ蜘蛛
1 雪迎え――空飛ぶ蜘蛛の発見
2 漢詩と和歌に詠まれた遊糸
3 「かげろふ」をめぐる混乱
4 『かげろふ日記』の「かげろふ」とは何か
5 十二単を飾る糸ゆふ

第五章 蜘蛛は神仏のお使い
1 蜘蛛は知る者、賢い者
2 あの人も蜘蛛に助けられた

第六章 妖怪土蜘蛛登場
1 蜘蛛嫌いの萌芽
2 寺蜘蛛の登場
3 よみがえった土蜘蛛

第七章 民俗と遠い記憶
1 相撲を取る蜘蛛
2 蜘蛛の昔話
3 夜の蜘蛛・朝の蜘蛛

おわりに ――蜘蛛はともに生きる仲間

参考文献


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目次

はじめに

第一章 遺跡の蜘蛛・神話の蜘蛛 
1 蜘蛛とはどんな生きものか
2 蜘蛛の考古学
3 世界の神話の蜘蛛たち

第二章 敵の名は土蜘蛛
1 征服神話の中の土蜘蛛たち
2 土蜘蛛は蔑称か

第三章 蜘蛛に寄せる恋の歌
1 蜘蛛に寄せる恋の歌
2 東アジアのめでたいしるし
3 蜘蛛と七夕

第四章 空を飛ぶ蜘蛛
1 雪迎え――空飛ぶ蜘蛛の発見
2 漢詩と和歌に詠まれた遊糸
3 「かげろふ」をめぐる混乱
4 『かげろふ日記』の「かげろふ」とは何か
5 十二単を飾る糸ゆふ

第五章 蜘蛛は神仏のお使い
1 蜘蛛は知る者、賢い者
2 あの人も蜘蛛に助けられた

第六章 妖怪土蜘蛛登場
1 蜘蛛嫌いの萌芽
2 寺蜘蛛の登場
3 よみがえった土蜘蛛

第七章 民俗と遠い記憶
1 相撲を取る蜘蛛
2 蜘蛛の昔話
3 夜の蜘蛛・朝の蜘蛛

おわりに ――蜘蛛はともに生きる仲間

参考文献

書誌情報

紙版

発売日

2025年06月12日

ISBN

9784065395509

判型

四六

価格

定価:2,970円(本体2,700円)

通巻番号

826

ページ数

320ページ

シリーズ

講談社選書メチエ

著者紹介

著: 野村 育世(ノムラ イクヨ)

日本中世史研究者。1960年、東京生まれ。早稲田大学大学院文学研究科(日本史専攻)博士後期課程満期退学。文学博士。高知県立高知女子大学助教授、早稲田大学非常勤講師を経て、現在、女子美術大学付属高等学校・中学校教諭。著書に『北条政子―尼将軍の時代』『仏教と女の精神史』(以上、吉川弘文館)、『家族史としての女院論』(校倉書房)、『絵本女性日本史1 原始・古代・中世』(大月書店)、『ジェンダーの中世社会史』『烏帽子と黒髪―中世ジェンダー考』(同成社)など。

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