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〈主体〉のゆくえ-日本近代思想史への一視角
シユタイノユクエニホンキンダイシソウシヘノイチシカク
- 著: 小林 敏明

「主体」はもちろんsubjectの翻訳語である。明治以降、この語がわが国に入ってくると、「主観」「主体」「主語」などさまざまな翻訳語があらわれる。たとえば西田幾多郎は、初期は「主観」をつかっているが、後期になると「主体」しか出てこなくなる。この移行ははたして何を意味するのだろうか。戦後には、「主体性論争」がわき起こり、たとえば学生運動では「主体性」という言葉がキーワードとなった。明治期の受容から、戦後、そして現代に至るまで、それぞれの時代の趨勢となった思想に伏流する「主体」を追い続け、日本近代思想史にあらたな視座を提供する、知的興奮にあふれた1冊。
【目次】
序章 「体」のシニフィアン群
第一章 subjectの由来
第二章 翻訳語創出
第三章 主観から主体へ
第四章 先駆ける歴史的人間学
第五章 主体・身体・国体
第六章 戦後主体性論争
第七章 叛乱/氾濫する主体
終章 主体の消失?
あとがき
参考文献一覧
- 前巻
- 次巻
目次
序章 「体」のシニフィアン群
第一章 subjectの由来
第二章 翻訳語創出
第三章 主観から主体へ
第四章 先駆ける歴史的人間学
第五章 主体・身体・国体
第六章 戦後主体性論争
第七章 叛乱/氾濫する主体
終章 主体の消失?
あとがき
参考文献一覧
書誌情報
紙版
発売日
2010年10月09日
ISBN
9784062584838
判型
四六
価格
定価:1,760円(本体1,600円)
通巻番号
482
ページ数
260ページ
シリーズ
講談社選書メチエ
著者紹介
1948年、岐阜県生まれ。1996年、ベルリン自由大学学位取得。ライプツィヒ大学教授資格取得を経て、ライプツィヒ大学東アジア研究所教授。専攻は、哲学・精神病理学。著書に『精神病理からみる現代思想』(講談社現代新書)、『西田幾多郎 他性の文体』(太田出版)、『西田幾多郎の憂鬱』(岩波書店)、『廣松渉 近代の超克』(講談社)、『父と子の思想』(ちくま新書)などがある。
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