文芸(単行本)作品一覧

ノーカット版 密閉教室
ノーカット版 密閉教室
著:法月 綸太郎
文芸(単行本)
長すぎる。もっと簡潔に。 といった編集者は果して正しかったか!? 「この本は『密閉教室』の700枚の草稿を、ほぼ無修正で(!)活字にしたものである」――(著者まえがき) ……だが、ここには紛れもなく名探偵ではない法月綸太郎がある。――(編集者のことば) 本書は、法月綸太郎のデビュー作「密閉教室」のオリジナル版である。 教室にあるべきはずの48の机と椅子がすべて消え、代りにコピイされた遺書と級友の死体だけが残されていた。しかも教室はガムテープで周到に目張りされ、密室と化していたのだ。 ――受験校3年の工藤順也は熱狂的な探偵小説の愛好家だ。自殺か他殺か。彼が動くにつれ事件は昏迷度を深め、ついに彼が辿りついた苦い真実とは……。本格ミステリと青春小説の美しくも哀切なキメラ。
菊日和
菊日和
著:津村 節子
文芸(単行本)
別れの切なさ 終わりの哀しみ かならずしも幸福ではなかったいくつかの死 誰の胸にもある奥深く秘められた物語 短篇小説を書くほうが好きなのは、元来性に合っているのではないだろうか。身辺に起ったことや、折々に見聞したことを手帳や日記帳に書きとめている。それらが自然淘汰されてゆく中で、消え残っているものが次第にふくらんできたり、ある日突然どうしても気にかかり始めたりする。 今回特に意識したわけではないのに、いずれも“死”というものに遭遇した時の、女の感慨を書いていることに気づいた。――(あとがきより)
亀は行く
亀は行く
著:上野 哲也
文芸(単行本)
ここに新たな伝説が生まれる! 清々しい冒険譚、壮大なファンタジー。 滝は水の竜。稲妻は光の竜。 そして、亀は黄泉の国の竜。 若者は新たな世界を求めて旅立った。 なにか得体の知れない巨大なものが、ぼくらにはどうしようもないものが、迫りきつつある気配に、恐れと興奮を覚えた。沼の生活はあまりにも平穏で、身を持てあますことが多い。食って寝るだけの毎日。季節と添い寝するだけの生活。楽しみといったら爺さまの話と、甲羅干しぐらいのものだ。そんな分かり切った毎日とは違った、もっとわくわくどきどきする日々を送ってみたかった。
ダーク
ダーク
著:桐野 夏生
文芸(単行本)
40歳になったら死のうと思っている。 お前に何が起きた。 お前は何をしに来た。 120万読者を待たせていた、壮大なるミロの物語 MIRO’s EXPERIENCE 最新作! 40歳になったら死のうと思っている。 型に流し込まれたばかりのコンクリートが次第に固まるように、私の決意も日に日に水分や気泡が抜け、硬化していく。死ぬと決めてからの私は、気持ちが楽になった。
道づれは好奇心
道づれは好奇心
著:澤地 久枝
文芸(単行本)
好奇心を道づれに生きてきた 学びながら想う伝えたいこと 愛と指針に満ちた人生エッセイ カタクリの開花を見たいという思いだけで出てゆく一人旅。旅のさきにはかならず未知の世界が待っている。そういうわたしの道づれは、好奇心。貪欲な好奇心がわたしの心を揺さぶり、ひょいと身軽に腰をあげさせる。70歳をこえればそれだけの衰えは確実にやってきている。それでも、好奇心を道づれに遠くまで歩いてきた。好奇心によって生かされた今日までの人生。わたしが特別な人間であるわけはない。――(本文より)
日はまた熱血ポンちゃん
日はまた熱血ポンちゃん
著:山田 詠美
文芸(単行本)
VIVA ME! ポンちゃんは明日もまた昇る。 Somebody Stop PON! ラ・フィエスタな人生をひたすら追求するお待ちかねの8冊目 男に対してはまっぴらだけど、友人に対しては、いつも都合の良い女でいたいね、なんて。――ポン
マドンナ
マドンナ
著:奥田 英朗
文芸(単行本)
いかん、いかん、部下を好きになってはいかんのだ。 42歳の課長さん、17歳年下のキャリアガールに恋をする。おたくの職場、どうよ? ユーモアとリアリティ。新オフィス小説。 部下に恋をする。 息子がダンサーになりたいと言い出す。 同い年の女性が上司になる。 「課長さん」たちは、そんな時どうする? そして、その家族の胸のうちは?
おおきくなりません
おおきくなりません
著:白倉 由美
文芸(単行本)
35歳だけど18歳 僕たちはゆっくりと大人になる…… 「本当におおきくならない?」と訊ねると、おじさんは自信をもって、「おおきくなりません」と言った。 僕はその夜ヒヨコを枕元において眠る。いつまでもおおきくならないヒヨコと大好きな夏の匂いに包まれて。 そして僕は翌日、ヒヨコが冷たく、動かなくなっているのを見るのだ。ヒヨコはおおきくならない。でももう動かない。ふわふわだった体は硬く冷えていた。セミの声が僕の耳の奥でわんわんと反響する。 おおきくならないと死んでしまうんだ、と僕は学び、ヒヨコと同じ色のホウセンカの咲き並ぶ庭の隅にそのピンクのヒヨコを埋める。 幻のまんが家・あの白倉由美の最新小説! 作家・平野月哉の妻・麻巳美は35歳で女子大生、しかも周囲には18歳で通している――! そしてわきおこる奇妙な事件。「おおきく」なれないすべての人が必読。  
ヘンリーたけしレウィツキーの夏の紀行
ヘンリーたけしレウィツキーの夏の紀行
著:リービ 英雄
文芸(単行本)
<名前>という謎を抱えてアメリカから日本、そして中国へ。 国境を越え歴史を遡る、新たなアイデンティティの旅が始まった。 いま最も注目すべき日本語作家・リービ英雄の最新傑作! 1000年前、西洋からシルクロードを渡ってきたユダヤ人は、東洋の京(みやこ)で中国人になった。 地中海のへりから旅立ち、いくつもの砂漠を経て、1つの国にしばらくたたずんでから、またもう1つの国に向って、渡り歩いて、そして住みついた。渡ってきては、なった。李となった。趙となった。ここまで渡ってきたのだから、さらにこちらから遠くない海を越えてもしかしたら日本へ…… 次の路地から、とつぜん、大勢の声が聞こえてきた。 「老外(ローウェイ)!」という、いくつもの高さの声が、同時に石の塀と塀の間でこだました。
熊の場所
熊の場所
著:舞城 王太郎
文芸(単行本)
舞城王太郎第1短編集 何が飛び出すか誰にもわからない最強の純文学! 圧倒的文圧で疾走する表題作『熊の場所』を含む全3編を収録。 僕がまー君の猫殺しに気がついたのは僕とまー君が2人とも11の時、つまり同じ保育所に通っていた僕たちが一緒に西暁小学校に上がり、同じ教室で勉強し始めて5年目の頃だった。――(本文より)
悪戯王子と猫の物語
悪戯王子と猫の物語
文:森 博嗣,絵:ささき すばる
文芸(単行本)
美しくミステリアスな珠玉の20篇 僕は、ずいぶんまえに、僕を被った。それから、僕は僕になった。 鏡をじっと見つめていると、僕のまえの姿が、 目の穴の中に残っていることに気づく。――(本文より)
不眠の都市
不眠の都市
著・写真:到津 伸子
文芸(単行本)
パリ――東京の時差から生れた濃密な記憶の物語(もざいく) 2つの街を往復する25年余の時空のなかで、画家の眼がとらえた変幻する都市のプロフィール。 国の違う2つの都市を移動していると、いつの間にか言葉は破綻を来たす。しかし、イメージと感覚の領域に属することは、言葉よりも早く曖昧に溶け合い、時には美しい混淆を導き出す。自分の作品のことを考える時、いつも地中海と太平洋の間で空中分解を起こし、破綻そのものになればいいと願っている。――(本文より)
ぐずべり
ぐずべり
著:清水 博子
文芸(単行本)
硬く脆い殻の中。少女の機微を清冽に描く。 日常に揺らぐ狂気を新感覚で描く中編作品集。 頭の中の出来事と現実とがかみ合わない少女の視点から日常の機微を描いた「亜寒帯」。希望の持てない未来に少女が密かな復讐を試みる「ぐずべり」の2篇を収録。 中学生になった理子は母親の菜子にかんして、もしいまおかあさんが同級生だったとしてもぜったいにともだちになっていない、なんであんなおもしろくないひとと結婚したの、亜子ちゃんがおかあさんだったらよかったのに、と父親に文句をつける。――(本文より)
奇偶
奇偶
著:山口 雅也
文芸(単行本)
神の名は――。 混迷の中、片目になった推理作家は、自らの墓碑銘を書き始めた。 その墓碑銘は……《偶然》。 『生ける屍の死』以来の大長編1200枚!       が奇妙な偶然の一致だった。    医師(せんせい)、気が狂いそう  で 神 がたとえ、私を   I''''m depressed……        人骨の骰子(さいころ)ということが   まるで盲の  ている。 そんな確率ですべて 猿と 小人が嘲笑う       宇宙の法則だとしても   奇遇いや……奇偶という   だろう ――誰かが骰子(さいころ)を振って、‘この世界を壊す’ことに決めたんだろう……。――(本文より)
中央構造帯
中央構造帯
著:内田 康夫
文芸(単行本)
「全員、名誉ある自決。立派なご最期でありました」 エリート銀行マンを次々と襲う不審死。 「平将門の呪い」を追って、浅見光彦は日本を貫く構造線を駆け抜ける。 待望久しい書下ろし長編ミステリー! 「日本は、生まれ変わりますよ。多くの銀行、多くの企業が破綻するでしょうけど、敗戦と較べればはるかに被害は小さい。今のどん底のような状態の中で、既成の悪徳政治家や官僚や経済人が力を失い、あるいは失脚して、そこから若い力が台頭してくるはずです。僕たちはそれを期待し、新生日本の誕生を信じています」――(本文より)
エコノミカル・パレス
エコノミカル・パレス
著:角田 光代
文芸(単行本)
私はちゃちな恋をした。 私はちゃちな夢を見た。 どこへでも行けるはずだったのに―― バブル青春世代10年後のリアルと恋の夢。 34歳フリーター、同居の恋人は失業中。 どんづまりの私の前に、はたちの男があらわれた――。 生き迷う世代を描いて〈今〉のリアルを映す角田光代の最高傑作。
海霧 下
海霧 下
著:原田 康子
文芸(単行本)
馬を駆る娘がいた 野望を秘めた若者もいた 多彩な一族が織りなす 北の地の物語 〈作者のことば〉 「海霧」は、生家をモデルにした一族の物語である。物語である以上、すべて事実であるわけはなく、虚と実とがないまぜになった小説ということになろう。すべてが虚であり、すべてが実であると作者は言いたいけれど、実の部分について触れるなら生家は女系であった。父親と馬首を並べて根室まで買付けに行き、ときには沖積みまで指図して、26歳の若さで世を去った祖母……。彼女は少女時代の私のヒロインであった。この物語のパン種は、明治の昔に早世した女人にあるのかもしれない。
海霧 上
海霧 上
著:原田 康子
文芸(単行本)
男は霧のなかに夢をさがし女は勁くやさしかった 北辺の地で凛々しく生きた 女三代の物語 -澤地久枝氏激賞- 寝る間も惜しみ、大人の目を逃れてむさぼり読んだ小説の世界。10代はじめの熱狂がよみがえるような醍醐味を久しぶりに味わった。熱く血のさわぐ物語展開にはまり、いつか読書の世界へ導かれていった遠い日がかさなる。 時代は明治の幕開き早々から昭和初年まで。北海道釧路のきびしい自然と時代の変動を背景に、男たちがいかに生き、敗れ、女たちは運命のくびきのもとどのように生活者としていっさいを支えたか。日本の近現代の歩みを人間のこまやかな営みを通して描いている。著者の血につながる人々へのマグマのような思いが、この物語の魅力の源泉になっている。
紫の領分
紫の領分
著:藤沢 周
文芸(単行本)
「世界の限界という奴から脱出したかっただけだ、 ほんの1ミリでいいんだ、1ミリで……」 二つの家庭の間で二重生活をおくる数学教師。 日常の底を抜く狂気と虚無の烈しい誘惑―― 芥川賞作家の傑作長篇小説。 「それでも、少しは、世界の外を見たんだろう?」と、浴衣の前をはだけたまましゃがみ込むと、手代木は少しうつむき加減の女の濡れた髪を指先で触れた。指に纏わりつき、ちょっと抵抗を覚えたと思うと、まとまって抜ける。やっぱり、この女は死んでいるんだ、と思う。 「それは、あなたの方でしょう?こんな所にまでやってきて……」
王様の漢方
王様の漢方
著:牛 波,訳:江戸木 純
文芸(単行本)
映画「王様の漢方」 (日中国交正常化30周年記念作品)原作 読む「薬膳」 中国5千年の歴史が生んだ《美容》と《健康》の秘方を惜しみなく開陳した世界初の漢方小説 倒産寸前の貿易会社社長、市川。仕事先の北京で宿痾が鍼と漢方により完治したことから、日本でインポ、ダイエット、不妊……悩める善男善女を集い「日中友好漢方旅行団」を結成! 治す喜び、癒される感動、そしてなにより健康という幸せ。貴方によく効く「読む薬膳」です。