文芸(単行本)作品一覧

ザ・ベストミステリーズ2000
文芸(単行本)
日本で唯一最高の短篇ミステリー傑作選。推理小説年鑑2000年版
私は、自分が短篇を読む習慣が持てて、幸福だったと思っている。これほどの知的な刺激は、ほかにあまりない。本書は、1999年に発表された短篇から、19本を選んで、日本推理作家協会が編集したものである。知的な刺激が充溢(じゅういつ)した1冊を、存分にお愉しみいただきたい。──日本推理作家協会理事長・北方謙三

皐の民
文芸(単行本)
遣唐使船に乗り込み唐に渡った日本僧・円仁は、海を自在に駆けめぐる皐の民の力に圧倒され、彼らの手を借りて受難を克服し密教をきわめる。新羅王をも震撼させた皐の民の首領・張保皐、妖艶さと知性を兼ね備えた妓生楼の主・蘭香、したたかな策士の僧・明珍、最新戦闘船を次々に作り出す天才青年・兵六、美しくそして逞しい女船長・メーカナーなど、魅力的な登場人物が壮大な物語を織りなす。

空山
文芸(単行本)
毒に汚された山の悲鳴が聞こえる。
死んだ恋人の面影を追って訪ねた美しい山で、巨大なごみ処理センターの建設が進められていた。立ち上がった女性市議と地元の住民に、何ができるのか。
真の社会正義とは?超弩級書下ろし問題作!

続・垂里冴子のお見合いと推理
文芸(単行本)
史上最も縁遠い名探偵!
女探偵ランキング、堂々2位に輝いた名探偵、垂里冴子の初めての事件簿。縁談が持ちこまれる度に、事件が発生するという奇妙なる星の下に生まれた薄幸の名探偵が4件の「見合い」と事件に挑戦。

幽霊刑事
文芸(単行本)
本格ミステリーと純愛ラブストーリーの協奏曲(コンチェルト)
警察官射殺事件。フィアンセを残して俺は死んだ……はずが、幽霊に!しかも、犯人の上司は密室状況で何者かに殺されて……
頭の冴えた君が好きだった。しかし、須磨子。賢い君は正しくない。神様がいるとか、天国と地獄があるとかまでは俺にも断言できないが、幽霊だけは本当にいるのだ。現に、ここにいる。俺がそうなんだよ。

人生よあなたはまるでこの俺様の子分。
文芸(単行本)
あんたら人生子分にしてますか。
とどまることを知らない、偉大なる「俺様」の圧倒的自信。詩人・三代目魚武濱田成夫の驀進自画自賛エッセイ、待望の初刊行。

もうなつかしい平成の年表
文芸(単行本)
昭和がおわり平成が始まった!作家・清水義範が、世紀末の11年を活き活きと締めくくる。
平成元年1月8日。この日から11年間日本と世界では何が動き、何が起きたか。おもしろくてためになるクロニクル・エッセイ!

成就者たち
文芸(単行本)
ぼくは修業する
秘密金剛乗 六道輪廻 瞑想 透視 幽体離脱……。
イニシエーション シャクティパット カルマ マントラ ナルコグル ポア……。
「お母さん、涅槃で待っています」ぼくはするりと窓をくぐり抜け、大空へ向かって飛翔した。

江戸風流 女ばなし
文芸(単行本)
死ぬ死ぬと泣いてうれしき床の海
女郎買い、密通、秘薬、淫具、竿自慢。江戸の奔放なセックスは現代の男にとっては格好の指南役だ。読めば心も身体も元気が湧く、川柳と小話満載の艶笑エッセイ。

恋情
文芸(単行本)
恋それは女の宿命
貞淑な妻が不倫に堕ちるとき。
おののきながら年下の男に溺れていく女の哀歓と陶酔を描き、人間のエゴイズムをみつめる最新傑作。

エイク
文芸(単行本)
女性の野望と痛みを描く恋愛小説
ヴィヴィアン・リーになろうとした女
「風と共に去りぬ」のヴィヴィアンを愛しつつ、憎んだ女。彼女は自力でスター女優への道を切り拓きながら、体と心で大きな痛み(エイク)を受けとめる!
風を読む 水に書く
文芸(単行本)
「少数者」の文学的地平が日本語を撃つ! 石牟礼道子論永山則夫論中上健次論を中核に、沖縄、アイヌ、ハンセン病、原爆のそれぞれの文学を、現実の風水の荒野から誠実に、しんしに描く文芸評論の傑作。

実朝私記抄
文芸(単行本)
短歌に託した実朝の内面を描き出す
栄西に仏道を学び、前生は中国の僧であったと信じる実朝は、将軍の身で中国に渡るべく船の建造を命じた。

指の時代
文芸(単行本)
ミステリーの巨匠10年ぶりの書下ろし長編!
キャリア優遇、情報隠蔽、虚偽会見。警察の体質を抉り出す問題作!
大藤署にキャリアの新人警部補・桜川雅一がやってきた。副署長が敬語を遣う、エリート中のエリートだ。主任職の私は、桜川の「教育係」を言い渡される。厄介な日々が始まった。

土龍
文芸(単行本)
秘密のつまった穴を掘る。うっかり知ればあの世行き。
口入れ屋で御台場普請を紹介された国太郎と百蔵。「蛙」になって海の底に井戸を掘る。江戸の町では地震が続き、城内までも揺れだした。長編時代サスペンス。

風のように・贅を尽くす
文芸(単行本)
作家の率直な心の独白が鮮明に伝わる名エッセイ!
人の絶えた所で、池面にうつる月を観る!表題作はじめ、歌う院長、「どよよん」とした感じ・名前負け・ロマンの残党・文学館のオープン・御息所か夕顔か・値切りの効用等。
このところ、年に3、4回、外国へ行っているが、帰ってくる度に感じる、どよよんとした感じ。この日本という国全体をおおっている、なにか淀んで気怠いげな雰囲気のことである。──そんなことはない。世界のなかで日本ほど気ぜわしく、人も物も動いている国はない、といわれるかもしれない。でもわたしがいう、どよよんとした感じとは、そうした、日々、人々や車が忙しく動き廻る、あるいは若者の流行や趣向が絶えず変る、といったことを指しているわけではない。そういう表面的な動きの慌ただしさとは別に、より根源的なところでほとんど変らない、むしろ淀んでいる感じさえすることへの物足りなさというか、苛立ちのようなものである。(略)──(あとがきから)

大帝の椅子
文芸(単行本)
ロシア宮廷に響く哄笑。豊かな歴史小説の出現!
大帝ピョートルに、愛人エカチェリーナを捧げた公爵メンシコフ。大帝の死の直後、公爵邸を訪れた東洋人の青年、その奇妙な行動は?
いまこの国の頂点にたった女帝エカチェリーナは、もとはといえばリヴォニアの農家の娘であった。スウェーデンの軍人に嫁いだ彼女は、やがてマリエンブルグの陥落とともにロシアの捕虜になり、最初ロシアの高官シェレメチェフの愛妾となった。当時ロシアの将軍たちは、異国の女を次々に愛人にして、それを互いに交換しあっていた。エカチェリーナは、やがてメンシコフの手に渡り、ついで彼女を見初めたピョートル(大帝)のものになったのである。異国の女を伴侶とすることを不潔と見る癇性や配下の者の手にあった女を娶ることに屈辱を感じる狭量さとは無縁であったピョートルは、まもなくエカチェリーナを正妻に迎えた。──本文より

小説家の起源
文芸(単行本)
今、秋聲を読み直す。
徳田秋聲、日本自然主義文学への硬直したままの通念を破壊し、秋聲のテクストから小説家自身も聞かなかっただろう音を響かせた、意欲的な評論集。
「近代小説」批判そのものを、根本的に問い直した、群像新人賞当選作「あらくれ」論を収録。
私が秋聲について考える勇気を与えてくれたのは、たとえば「エクリチュールを発見しようとか、物語なりを敵として見る人間にとっては、秋聲はちょっと大きかったなという感じがあるんですよ」という中上健次の言葉だった。(中略)私は宙づりにされたままなかったことにされているこの中上の問いに、批評の側から答えてみたい野心にかられた。──「あとがき」より

作家の手紙をのぞき読む
文芸(単行本)
有名作家の意外な素顔
ナボコフ、ヘミングウェイ、G・グリーン……名だたる作家たちの人間くさいエピソードを、彼らの手紙からちょっとだけお見せします。
「手紙を読みとく」というこのテーマ、ふり返ってみると、自分でもフシギなほど魅力的な発見であり、「出会い」でもあった──「あとがき」より
高名な作家の書簡集を読むと、作品からはうかがい知ることのできない人物像が浮かび上がってくる。私信のやり取りの中に垣間見える人間くさいエピソードを拾い、手紙を読むことの思わぬ楽しさを教えてくれる好著。

てんたまおや知らズどっぺるげんげる
文芸(単行本)
文壇妖怪随一の才子で美男。本物の芥川を理想化したかのように、頭も顔もスタイルもオリジナルより上。彼が襲うのは小市民タイプで、芥川の夭折した年齢よりも年上の文士である。「どっぺるげんげるを見たら死ぬ」という俗説に付け込んで最初は本人そっくりの姿で夢に現れ、次第に美男から自殺前の芥川へと風貌を変える。……が、実は純文学を守る妖怪でもある。──(本文より)
バーチャル日本に跳梁する言語妖怪との果てなき戦い。
悪夢か天啓か……「ドッペルゲンガー現わる」!?
文壇妖怪随一の才子で美男。本物の芥川を理想化したかのように、頭も顔もスタイルもオリジナルより上。彼が襲うのは小市民タイプで、芥川の夭折した年齢よりも年上の文士である。「どっぺるげんげるを見たら死ぬ」という俗説に付け込んで最初は本人そっくりの姿で夢に現れ、次第に美男から自殺前の芥川へと風貌を変える。……が、実は純文学を守る妖怪でもある。──(本文より)