文芸(単行本)作品一覧

少女M
少女M
著:野坂 昭如
文芸(単行本)
挑発する少女たちと老いた妄想 無邪気に挑発する美少女に、老女はなおも邪(よこしま)な妄想を抱き続けた。 「私のこと変態だと思ってる?」「いいや。でも、お金に困らないのにどうしてかなと、ちょっと不思議な気はする」──本文より 街を恐怖に陥れた性器噛みきり少女の虚ろな心象風景──「少女M」 売春女子高生と全共闘談義──「少女妊娠」 初恋の女性の訃報で帰郷した作家の喪失感──「恋自縛」など、11の物語を収録。
花腐し
花腐し
著:松浦 寿輝
文芸(単行本)
「花腐し」――芥川賞受賞作。 多国籍な街、新宿・大久保の片隅、夜雨に穿たれた男の内部の穴に顕現する茸と花のイメージ。少女の肉体の襞をめくり上げ見える世界の裏側。腐敗してゆく現代の生と性の感覚を鋭く描く「知」と「抒情」の競演。 「ひたひたと」――芥川賞受賞第1作の特別書き下ろし新作小説。 海に面した町、そこはかつて遊廓だった。少年時代の記憶、娼婦ナミ、行くあてのない人々の心と過去が、主人公「わたし」の中に流れ込んでくる。
麦の海に沈む果実
麦の海に沈む果実
著:恩田 陸
文芸(単行本)
三月以外にやってくる転入生は、学園を破滅に導くだろう。 湿原に囲まれた全寮制学園。謎の失踪をとげる生徒たち。奇妙な学校行事と、図書館にあったはずの謎の本。──夜と昼をあやつり師が築く影絵のごとき大伽藍。
青狼記
青狼記
著:楡 周平
文芸(単行本)
大陸では微妙な力関係で五国のバランスが保たれていた。楽天は一番の小国である。その楽天に大国・奉金より盟約を結びたいとの申し入れがあった。条件は人質の交換。しかし、その裏には各々の国家の、そして重鎮たちの思惑が渦巻いていたのだ。世俗にまみれ、人生に翻弄され、それでもなお愛と勇気を武器に真摯に生きる若者を大スケールで描く感動巨編!
艶めき
艶めき
著:藤田 宜永
文芸(単行本)
人の心に花を咲かせて、あの人は去っていった。 暖かい秋は突然、訪れた。熾(お)き火のような恋に女たちは身をゆだねる。
濁った激流にかかる橋
濁った激流にかかる橋
著:伊井 直行
文芸(単行本)
60年に一度の大逆流がやってくる。 激流に分断された市(まち)、右岸と左岸をつなぐ異形な橋の上でそれぞれの生が交錯する瞬間──。世界を凝縮した連作長篇小説。
雨に紛う
雨に紛う
著:真野 ひろみ
文芸(単行本)
文芸評論家菊池仁氏絶賛!この“切なさ”には得がたいものがある。待ちに待った若い女流作家が遂に現われた。 「隻腕の剣士」伊庭八郎を愛した義妹の礼子は、箱館戦争を共に戦った。書下ろし歴史長編。
もう少しむこうの空の下へ
もう少しむこうの空の下へ
著:椎名 誠
文芸(単行本)
気がつくといつも海にいる「私」の物語。 北へ、南へ。海へ、島へ。都会で事件・事故が続く中、旅を続ける「私」は、遠く離れた家族を想い、変わりゆく島の暮らしを見つめる。楽しくも哀しい「私」小説。
羽根と翼
羽根と翼
著:黒井 千次
文芸(単行本)
純文学長篇 小説的醍醐味に満ちた黒井文学の傑作 「アシザワさんでしょう?クボシマは死にましたよ」黒いマントの女が、俺を時間の闇に誘い込む。 「違う。俺はアシザワを殺すつもりだった」「殺したのか」相手が異様に目を輝かせて身を乗りだした。「殺した」「どうやって」「扼殺」「どうして」「息の根を止めたかった」──(本文より)
楽天屋
楽天屋
著:岡崎 祥久
文芸(単行本)
この世界の迷子たち 群像新人賞作家の最新作 漂泊の魂が声を放つのだ──ここではないどこかへ!と。30過ぎ、臍(へそ)の緒つき。無為徒食のクズ男といかれた女たちのさすらい。独自のユーモアと繊細なセンスで時代の空気を映すあたらしい文学 この世界に生まれ降りたときにわれわれは、いったいどこに立っていたのか?そんなことはわかっている。そこはネパールの言葉で《世界の頂(サガルマサ)》と呼ばれる山のてっぺんによく似た場所であった。──そう、誰もがあそこから出発した。山の頂のあの場所からは、星々が明瞭に見えていた。けれどもわれわれは、山をくだらねばならなかった。それこそがわれわれの運命だったのだ。
メダルと墓標
メダルと墓標
著:外岡 立人
文芸(単行本)
さきがけ文学賞受賞 新しい医学小説登場! 医師は、患者の墓標を立てるのか?現職の医師がみつめる鮮烈な生と死の瞬間!
子どもたちの日本
子どもたちの日本
著:長田 弘
文芸(単行本)
好きなのは、どんな「日本」ですか?伝えたいのは、どんな「ことば」ですか?希望という光を添えていま、問いかける── 日本人の心のありようを映す詩人の静かなエッセー
奇術探偵・曾我佳城全集
奇術探偵・曾我佳城全集
著・その他:泡坂 妻夫
文芸(単行本)
祝魔術城完成。奇術ミステリの歴史的大作堂々刊行。 伝説の女流奇術師・曾我佳城の凄艶に冴える奇跡的推理。奇術&トリックの名手が、20年の時をかけて結実させた珠玉短編の完全版。 「わたしの先生は奇術の神様みたいな人でしたが、少しおっちょこちょいでしてね。ろくに調べもしないでわたしに佳城などという名を付けて得意になっていました。でも、佳城という意味を調べたら、墓場のことだったんです。けれどわたしはそれを知っても、一度もその名が嫌いになったことはありませんでしたわ」──20年の時を経て明かされる曾我佳城の秘密。情熱の焔は激しく、静かに燃えさかる。
写生の物語
写生の物語
著:吉本 隆明
文芸(単行本)
起源以前から“短歌の死後”まで。深くのびやかにひろがる歌謡の空間。文学的啓示に満ちる吉本ファン必読の最新評論! 漱石の短歌はぜんぶあわせても10首にみたない。そして格別の評価をつけられない偶作ばかりだと言えばいえてしまう。(中略)どう言うべきかしらないが、鴎外の短歌とともに、漱石のこんな短歌作品を読むと、何となくほっとするところがある。──「鴎・漱の短歌」より
ギリシア通りは夢夢と
ギリシア通りは夢夢と
著:中薗 英助
文芸(単行本)
静謐な老年の日常に、立ち現れる熱い青春の想い──“戦後派”作家としての到達点を示す秀作6篇 「ほいと……だよ!」(中略)ホームレスの老人さながらの風体への自嘲をこめて朝の第一声、すなわちお早よう代りのあいさつのつもりだった。すると、紅茶を一杯飲んだだけで、朝食を待っていてくれた彼女は、読みかけの朝刊を放り出して椅子から立ち上がってくる。そうして、私の胸に一寸顔を埋める仕草をして見せてから、こう答えるのである。「ふうふ……だよ」──本文よ
画廊の扉をあけて
画廊の扉をあけて
著:栗田 玲子
文芸(単行本)
銀座に画廊をひらいて30年多彩な出会いと美への誘い 扉の向こう側へ/山本容子さんのこと/バブルのときの話/レンブラントがあなたにも買える美術館の楽しみ方 ほか
贈る証言 弁護士・朝吹里矢子
贈る証言 弁護士・朝吹里矢子
著:夏樹 静子
文芸(単行本)
遺産相続!欲望と疑念に翻弄され……そして事件が起きた。 疑惑を見逃さず、心を読み、法廷経験を積んで得た、弁護士としての十余年のキャリアと確信。
オニビシ
オニビシ
著:久間 十義
文芸(単行本)
オニビシとは何か!? 時を越えて、欲にくらむ人間の前に立ち現れる、勇者の魂。 『刑事たちの夏』『ダブルフェイス』と話題作連発中の作家が人間を描きつくした集大成作!
ローズガーデン
ローズガーデン
著:桐野 夏生
文芸(単行本)
直木賞受賞第1作! ミロはエッチな女。村善は裏切り者。そして、博夫は2人の道具。 ポップ(通俗)でダーク(濃い)なミロの世界。俺の知っているミロは決して暗い女じゃない。母親を失って悲嘆に暮れる少女でもなければ義父に犯されて忍び泣く哀れな女でもない。むしろ、解放されたことを喜び、大人の世界に入ったことを認識している自由な女だった。──本文より
古風堂々数学者
古風堂々数学者
著:藤原 正彦
文芸(単行本)
理より情の数学者による教育論 覚えることより忘れないことの方が大切なときもある。自由なアメリカ、伝統のイギリスで暮らして見えてきた日本の良さ。 私は実は外国語が大好きだった。……様々な言語に次々に取り組み精力的に勉強したから、いくつかの言語をスラスラと読むことができるまでになった。この無邪気をいま、やや呆然とした気持ちで眺めている。あの膨大な時間とエネルギーの半分をでも、古今東西の名作名著の精読に向けなかったのが悔まれる。若い時分にもっとこれらに触れ感動すべきだった、と無念に思うのである。──「もっと大切なもの」より