文芸(単行本)作品一覧

共生虫
文芸(単行本)
時代のエッジを疾駆する渾身の力作長篇小説
ニュースキャスター坂上美子のホームページの裏サイト「インターバイオ」から届いた招待状。引きこもりの青年が体内に宿してしまった共生虫の謎が明かされる瞬間。
1人の引きこもりの青年が体内に共生虫を飼っている
「……絶滅をプログラミングされた種は、共生虫の終宿主となる。ある種が自ら絶滅をプログラミングするということは、生態系の次の段階を準備するということでもある。例えば恐竜の絶滅は次の生命環境のために、つまり次代の全生物の共生のために不可欠だった。共生虫は、自ら絶滅をプログラミングした人類の、新しい希望とも言える。共生虫を体内に飼っている選ばれた人間は、殺人・殺戮と自殺の権利を神から委ねられているのである──(本文より)」

M1(エム・ワン)
文芸(単行本)
あの金に侵された者は狂い始める。
江戸川乱歩賞受賞第一作
誰も読んだことのない金融パニック・サスペンス
町は闇の通貨に支配されていた。元商社マンの高校教師は、教え子の父の会社を救うために企業王国のドンに戦いを挑んだ。
硬貨に表裏があるように、金にも常に裏の働きがある。裏の働きとは、金を持つ者の心を支配するという働きだ。金の裏と表は、夢と絶望という言葉に置き換えてもよい。

十手人
文芸(単行本)
第10回時代小説大賞受賞作
母親を知らない入れ墨者の源七は、切れ者の同心・弦一郎の下で数々の難事件を解決してゆく。源七の成長と彼をとりまく江戸市井の人情を鮮やかに描いた傑作捕物帖

私の中の中
文芸(単行本)
吸血鬼になるための殺人修業!
一滴残らず女の血を飲み干せ。僕はバンパイアになりたい!
《彼》が耳元で囁いた。「ヴァンパイアにならないか」僕は不老不死となって《彼》を追い払うため、長く険しい修行=吸血殺人を始めた。解説と推薦・風間賢二氏。

沈黙野
文芸(単行本)
元勤務医が暴く大学病院の許されざる実態!
権力闘争、企業との癒着、医療ミス隠蔽……。俗物が蠢めく医師の世界で優先されるのは医療ではない。もはや絶命寸前の大学病院の病巣に鋭くメスを入れる問題作。
病巣があっても症状がでない脳の部分を沈黙野という。大学病院の医者たちは旧弊に流され、自ら改革を拒否し、大学内部には寂寥たる沈黙野が広がっている。しかし、市場開放という名の巨大な波は、銀行、証券会社を呑み込み、いまや医療の世界にも近づいている。日本の医療が崩壊する前に警鐘となる小説を書きたかった。ここに書いたことは近い将来必ず起こることだ。それでも彼らはその日まで沈黙を続けるつもりなのだろうか。──米山公啓

驚典 群ようこ対談集
文芸(単行本)
ハマりかけたら即、教えを乞う!
異才・群ようこがその道の達人と語り尽くす、笑えてタメになる“教典”風味の最新対談集。
ブランドショッピングの要諦──中村うさぎ
麻雀必勝法──安藤満
手づくりの快楽──内田春菊
動物とのつきあい方──野村潤一郎
寿司屋の作法──佐川芳枝
陶芸の極意──島田文雄
同い歳の楽しみ──森まゆみ
古書店の奥義──出久根達郎
編みもの上級編──広瀬光治

遊部 下
文芸(単行本)
全く新しい素材・遊部が縦横に活躍する傑作
古代より天皇家のモガリにかかわりつづけた遊部の連綿たる系譜。隆達節のもの哀しい調べとともに、乱世の男と女の運命は交叉し、正倉院の宝蔵庫の謎がいま開く!

遊部 上
文芸(単行本)
実力十分の新鋭がはなつ書下ろし伝奇長篇!
炎上する大仏殿にはじまる伝奇趣味たっぷりの物語は、信長・秀光・秀吉とつづく覇者の風をはらみ、気宇壮大に展開する。大作『百枚の定家』の作家による傑作長篇

舌の向くまま
文芸(単行本)
「おいしさ」求めてどこへでも!
ジャーナリストで大学教授の著者が日本を、世界を巡り、あらゆる食材と酒を吟味する、「おいしさ」満載のエッセイ集。

少女の領分
文芸(単行本)
未知の世界への心躍る冒険
西伊豆の海辺の疎開生活で次々に起こる出来事。少女の眼で捉えた時代の光と影1945~1948

星踊る綺羅の鳴く川
文芸(単行本)
中空に浮かぶ柩の中身は鶴屋南北の亡骸か!?
小説現代新人賞、角川小説賞、泉鏡花賞を受賞した著書が、自らの存在を問う美に芸に憑かれた人々の物語。篠田節子、京極夏彦氏の最大級の讃辞を得た異色作。

海の底から、地の底から
文芸(単行本)
『火山島』から半世紀後の現在を描く力作
1948年韓国・済州島の四・三事件から半世紀、大阪で行われた鎮魂の巫儀で40年ぶりに出会った過去を抹殺した男、クッの熱狂的なリズムに甦る封印された記憶。

耳すます部屋
文芸(単行本)
わたしのあの子に何をしたの?執拗な電話が女を追いつめる。
叙述ミステリの名手、10年の軌跡、10の短篇。
収録作品より
五重像──医師は眼鏡のフレームに手をやり、ベッドに横たわる彼女の顔をのぞきこむ。そうして、夢は始まるのだ。
のぞいた顔──房子の話してくれたのは、よくある学校の怪談の1つに他ならない。私もその類の話を生徒、あるいは同僚から何度か聞かされたことがあった。
肝だめし──白色仮面には、死ぬほど驚かされた。暗い墓場の間から、いきなり姿を現したおぞましい仮面の男は、津野光男を恐怖で打ちのめしたのである。
Mの犯罪──裕子は、彼女にいたずらをした男はMではないような気がしていた。確かに同じような髪型をしていたが、どこか違うような……。
鬼──百物語が終わると、たいへんなことが起こるというのは怪談本のネタだが、もちろんそんなことを敏樹は信じていなかった。 ほか5編

ー絃の琴(新装版)
文芸(単行本)
宮尾文学の魅力溢れる直木賞受賞の傑作長篇
一絃琴の音色に涙ぐむほどの感動を覚えた幼い日から、人生の全てを琴に託した女の姿を、土佐を舞台に移りゆく歳月のなかに流麗細緻な筆で描く書下ろし傑作長篇。

夏の約束
文芸(単行本)
芥川賞受賞
8月になったらキャンプに行こうって、みんなで約束したのだった。
ゲイのカップルを中心とした若者たちの日常を、抑制の効いた温かい視点で淡々と描く。孤独と欠落感に縁取られた登場人物たちの内面が読む者の心にしみる注目作。

青の時代
文芸(単行本)
名探偵の原点がここに!
学園紛争が終わった’73年、大学生の伊集院大介は人気女優を狙う殺人鬼と対決した。
今から25年前、学園紛争の終わった西北大ではカリスマ演出家率いる小劇団「ペガサス」が人気を集めていた。才能あふれる新人女優・恵麻の周りで起こる不可解な連続殺人に名探偵のタマゴ・伊集院青年が挑む。

夢の子供たち
文芸(単行本)
あなたを探して夢の中へ……自然の生命が響きあうなつかしくて不思議な場所で私が見つけた大切なもの
母の遺したスケッチブックを手がかりにダムに沈んだ山中の村を再訪する私。封印された記憶の底から、少女の自分と自然の生命力が甦る──芥川賞作家の最新作品集

百合祭
文芸(単行本)
話題沸騰、北海道新聞文学賞受賞の注目作!
老女ばかりの住む高級アパートに、男(79歳)がひとり入居すると……。老いと人間の実体を鋭くみつめる問題作。

道祖土家の猿嫁
文芸(単行本)
土佐の山村で、ワールドワイドな百年物語の幕が開く。
祭りの唄は海を渡り、男と女は血を超えていだきあう。日本人はどこから来て、どこへ行くのか──。濃密な筆致でこの国の根源に迫る大河歴史ロマン!
明治中期、土佐・火振(ひぶり)村の名家、道祖土家(さいどけ)に18で嫁いできた蕗(ふき)。その容貌のため“猿嫁”と陰口をたたかれるが、不思議な存在感で少しずつ道祖土家に根を下ろしていく。近代化への胎動の中、時代は大正、昭和と移ろい、多くの戦の火の粉が火振村にも容赦なく襲いかかって人々の運命を弄ぶ──すべての日本人が得たもの、失ったものを見据え、百年のタイムスパンで壮大に描きあげた、著者の新境地を拓く前人未到の野心作!

A2Z
文芸(単行本)
私たち、同じ分量の夜と昼。
男の部屋に通い始めることは、記憶に新たなマップを刻むこと。編集者夏美と郵便局員成生の、とびっきりの恋物語が今始まった!
文芸編集者澤野夏美の勤める会社の向い側にある小さな郵便局、お仕着せの制服でうつむく成生と目が合った瞬間──
恋人の存在を打ち明ける夫一浩への複雑な思い、夏美に心を寄せる新人作家永山翔平との仕事への情熱、たった26文字にこめられた、大人の恋の全て