文芸(単行本)作品一覧

夢の子供たち
夢の子供たち
著:加藤 幸子
文芸(単行本)
あなたを探して夢の中へ……自然の生命が響きあうなつかしくて不思議な場所で私が見つけた大切なもの 母の遺したスケッチブックを手がかりにダムに沈んだ山中の村を再訪する私。封印された記憶の底から、少女の自分と自然の生命力が甦る──芥川賞作家の最新作品集
百合祭
百合祭
著:桃谷 方子
文芸(単行本)
話題沸騰、北海道新聞文学賞受賞の注目作! 老女ばかりの住む高級アパートに、男(79歳)がひとり入居すると……。老いと人間の実体を鋭くみつめる問題作。
道祖土家の猿嫁
道祖土家の猿嫁
著:坂東 眞砂子
文芸(単行本)
土佐の山村で、ワールドワイドな百年物語の幕が開く。 祭りの唄は海を渡り、男と女は血を超えていだきあう。日本人はどこから来て、どこへ行くのか──。濃密な筆致でこの国の根源に迫る大河歴史ロマン! 明治中期、土佐・火振(ひぶり)村の名家、道祖土家(さいどけ)に18で嫁いできた蕗(ふき)。その容貌のため“猿嫁”と陰口をたたかれるが、不思議な存在感で少しずつ道祖土家に根を下ろしていく。近代化への胎動の中、時代は大正、昭和と移ろい、多くの戦の火の粉が火振村にも容赦なく襲いかかって人々の運命を弄ぶ──すべての日本人が得たもの、失ったものを見据え、百年のタイムスパンで壮大に描きあげた、著者の新境地を拓く前人未到の野心作!
A2Z
A2Z
著:山田 詠美
文芸(単行本)
私たち、同じ分量の夜と昼。 男の部屋に通い始めることは、記憶に新たなマップを刻むこと。編集者夏美と郵便局員成生の、とびっきりの恋物語が今始まった! 文芸編集者澤野夏美の勤める会社の向い側にある小さな郵便局、お仕着せの制服でうつむく成生と目が合った瞬間── 恋人の存在を打ち明ける夫一浩への複雑な思い、夏美に心を寄せる新人作家永山翔平との仕事への情熱、たった26文字にこめられた、大人の恋の全て
山河在り 下巻
山河在り 下巻
著:陳 舜臣
文芸(単行本)
上海事変で戦場と化した故郷。抗日論の高まるなか、青年は華僑という運命を生き抜いた。日中15年戦争前夜を描く大河小説、激動の完結編! 北伐成功で南北統一を果たした中国は、人民の悲願である東三省を加えた大統一を目指していた。その前に勢力の増強を図ろうとする日本の存在が立ちふさがる。武力をもって進出を企てる日本への激しい憎悪は、中国全土に燃え上がっていた。中国への愛国心と日本との深い縁のはざまで、世航の心中は複雑に揺れ動く。
ハナコの首
ハナコの首
著:秋元 藍
文芸(単行本)
20世紀初頭、欧州を席巻した日本女性の生涯。 ハナコがフランスのマルセイユの劇場で「芸者の仇討」の女主人公、芸者の菊を演じていた時、ひげを生やした薄汚い老人が楽屋を訪ねてきた。有名なフランスの彫刻家ということだった。衣装をつけたままのハナコを、スケッチしたいという老人の希望に、ハナコは快く応じた。件(くだん)の老人は、「パリで公演の際は、ぜひ訪ねて来てください」と言って、住所と名前を書いたメモをさし出した。そこには、オーギュスト・ロダンと書いてあった。──(本文より)
山河在り 中巻
山河在り 中巻
著:陳 舜臣
文芸(単行本)
孫文の北伐から張作霖の爆殺まで。歴史的事件のひとつひとつが若者を成長させていく。 統一戦争に揺れる中国。愛国の熱情か青春の氾濫か。新しい時代の波に青年の体は顫(ふる)えた。日中15年戦争前夜を描く大河小説、いよいよ佳境に! 貿易商「金順記」一族の歴史をまとめる仕事のため、温世航(おんせいこう)は香港、上海などを遍歴する。孫文は、全国統一を目指す北伐を決意し、日本に理解と支持を求めようとしていた。関東大震災からちょうど1年たった日、世航は香港で同舟会の趙錫堂(ちょうしゃくどう)と再会した。孫文に敵対する「商団」に関わっている錫堂は、「いろんなことがありすぎて10年ぐらいたったように思う」と感想をもらした。
もっとどうころんでも社会科
もっとどうころんでも社会科
著:清水 義範,絵:西原 理恵子
文芸(単行本)
大人気痛快エッセイ 「食べること」「忠臣蔵」「お金」「20世紀とは……」 おもしろくて、ためになる清水ハカセの名講義にご存じ西原セイトの猛毒の突っこみが!
私の通った路
私の通った路
著:高橋 たか子
文芸(単行本)
熱烈な神探求の記録 神の矢に射抜かれて フランスで火の柱を背負ったような神父と出会い、神とともにある生き方を熱烈に追求した魂の軌跡!
大江戸仙花暦
大江戸仙花暦
著:石川 英輔
文芸(単行本)
文政期に〈跳んだ〉科学評論家の速見洋介。手習い見学に火事見物、二十六夜待ち……、お江戸の夏を芸者いな吉と満喫する。 江戸原画60点余の挿絵入り。
項羽を殺した男
項羽を殺した男
著:藤 水名子
文芸(単行本)
垓下(がいか)から烏江(うこう)のほとり、懐かしい覇王の破顔! 項羽を愛し戦った男や女──劉邦・呂馬童・范増・樊カイ・項梁・英布・虞姫等の人間ドラマを描く特別連作! たとえば、戦には滅法強いが政治的手腕には乏しく、非命に斃れる悲運の武将……。そんな英雄像を中国に求めたら、たった1人のそのひと──秦末漢初、彗星の如く登場する項羽という武将以外に、どうしてもその典型を見出すことができない。 項籍なる者は、下相の人なり。字は羽。初めて起ちし時、年24……に始まる「史記」の項羽本紀をはじめて読んだ10代の終わりから今日にいたるまで、私は彼に、長い恋をし続けているといえるかもしれない。 恋にもさまざまな形がある。女が男に寄せる想い。そして、男から男に寄せられる想い。……さまざまな形での、項羽という英雄に対する想いを綴った、これは恋文の連作集だと思っていただければ幸いである。──(あとがきより)
屈折率
屈折率
著:佐々木 譲
文芸(単行本)
新境地を拓く企業恋愛小説 会社は閉める。 俺の事業は失敗した。 兄から引き継いだガラス工場は、売り払って整理するはずだった。だが、元エリート商社マンは、物作りの復権に再起の夢を賭けた。
シェエラザード 下
シェエラザード 下
著:浅田 次郎
文芸(単行本)
奇蹟の船はたったひとりで闘い誇り高く死んだ。 われわれが平和と繁栄のうちに葬り去ったもの。弥勒丸は日本人の良心そのものだった。老人は50年余の沈黙を破り、悲劇の真相を語り始めた。 極限の愛と死を描く巨編、感動の結末へ!
シェエラザード 上
シェエラザード 上
著:浅田 次郎
文芸(単行本)
豪華客船はなぜ沈められたのか。 昭和20年、弥勒丸は嵐の台湾海峡に沈んだ。2300人の命と金塊を積んだまま。総統の密使は喪われた恋人たちに引き揚げを迫った。 人間の誇りと勇気を問う長編、ついに刊行!
ドン・キホーテの「論争」
ドン・キホーテの「論争」
著:笙野 頼子
文芸(単行本)
マスコミVS「純文学」。最前衛の文学的レジスタンス、それは極私的言語の戦闘的保持! 「私はピエロじゃない。私はドン・キホーテ。」はじめに──純文学作家はなぜ怒ったのか マスコミVS「純文学」 最前衛の文学的レジスタンス、それは極私的言語の戦闘的保持! 「私はピエロじゃない。私はドン・キホーテ。」 はじめに──純文学作家はなぜ怒ったのか 発端──マスコミ言語の理不尽 仕掛け・斬り込み──戦う純文学、マスコミイエローへの抵抗 不発・冷笑──黙っている方が大物に見えるか 不戦勝・終結──極私的言語の戦闘的保持 予兆・背景──純文学叩きは10年前からあった 新聞の仕事──「誰も読んでない」、はずはないのだ。 J文学・純文学──勝手な定義はやめてくれ! そして──汚辱の文芸ノートは「消滅」した 後書き──マスコミ批判に、メディアを与えたのもマスコミである もうひとつの後書き──「マスコミイエロー」を実名報道する時
電子あり
さくらささくれ
さくらささくれ
著:中沢 けい
文芸(単行本)
心のささくれにそっと囁きかける10の小品 読む者を時の深みへ誘い込む、魅惑の短篇群 近著『豆畑の昼』で清冽なエロスを典雅な文体で描いて新たな境地を示した著者が贈る最新作品集
水の中のザクロ
水の中のザクロ
著:稲葉 真弓
文芸(単行本)
ああ、ゴクラク、ゴクラクやね。湯の中でほどけてゆく心と体。ケンコウランドで出会う女たちのさまざまな生の形。――「いろんなものを流しにくるよ。家の小さな排水口じゃ流せないものもあるから」と1人の女は言った。「なにを流すの?」「亭主に男」それに、と女は付け加えた。「昔のことは全部流したいねえ」それはなかなか流れてくれない、昔はしつこい、と言った。──本文より
電子あり
戦後的思考
戦後的思考
著:加藤 典洋
文芸(単行本)
『敗戦後論』から『戦後的思考』へ──「戦後」という経験が拓く新しい思想の地平。その核心に、分裂と断絶を超えて普遍へと向かう思考のダイナミズムをとらえた画期的論考。 敗戦体験がどのような世界性をもつか、わたし達の戦後という経験がわたし達の生きる狭義の戦後世界と広義の近代世界の中で、どんな意味をたたえているか、ということを、できるだけ、既成の日本の枠の中にとどまらない、広い視野の中で考えてみた。これを、この間現れたわたしへの批判に対する、回答と受けてもらっても、再挑戦と受けとめてもらっても、構わない。続『敗戦後論』というつもりで構想したが、書き終わってみて、当初考えていたよりも多くのことが考えられた。前著より、遠くまでゆけたのではないかと思っている。──「あとがき」より
30年の物語
30年の物語
著:岸 恵子
文芸(単行本)
岸恵子のこころにパリが刻んだ男と女の物語 ジャン・コクトオから鶴田浩二まで、素敵な男や女との出会いを描き、その背後に横たわるそれぞれの時代の光と影を透視した12の物語。
山河在り(上)
山河在り(上)
著:陳 舜臣
文芸(単行本)
関東大震災から満州事変へ。渦中に生きる青年の眼が捉えた歴史の真実とは。 上海で生まれ日本で育った温世航(おんせいこう)は、25歳のとき東京で関東大震災に遭う。未曾有の天災は世界の同情を集め、それまで緊張状態にあった日中関係も、一転して友好的になるかと思われた。だが、朝鮮人虐殺の報せは、両国関係に暗い影を落とす。さらに、中国人青年の失踪事件が起こり、世航は真相を求めて名古屋へ向かった。