文芸(単行本)作品一覧

夢、草深し
文芸(単行本)
父母の姿が去来する草芒々の夢の曠野
夢はどうしてそれほどまでに有無をいわさずに、私の全身をソウルや済州島やの朝鮮の夢の海に沈めるのか。この故国の地以外を一切近寄らせぬ夢の跳梁は十日間続いて、私をへとへとに打ちのめした。――(本文より)

七十の手習ひ
文芸(単行本)
温かいまなざし典雅なユーモア
阿川弘之の名随筆38編
溢れ出るユーモアと達意の文章の珠玉随筆集
志賀直哉の弟子として、師を語り、友人として吉川淳之介を送る──。大好きな船や鉄道の旅に眼を輝かせ、愛すべき友を描く。

沈黙の艦隊解体新書
文芸(単行本)
軍事面に政治面、各界の専門家(プロ)が徹底解剖!「セキュリタリアン」(防衛庁広報誌)連載企画を単行本化!劇画を、そして世紀末をより深く理解する全10章!
漫画は夢想の世界です。ですがこの本の内容は現実です。――かわぐちかいじ
孤島
文芸(単行本)
埴谷雄高・鮎川哲也の推薦の三部作の第2弾母の死んだ“島の病院”に入院しようとする主人公は、狼を捜したり、汚れた自分のレインコ-トを手放さない。人生とは何か。人間存在の不条理を浮彫るミステリ。

シニアの国の青木功
文芸(単行本)
そこは、人生のバックナインだった。
ノンフィクション“世界のアオキ”50代の挑戦
50歳の誕生日を迎えたその夏、青木功は前言を撤回し、突然のアメリカ・シニアツアーデビューを果たした。人生の岐路に立ったプロゴルファー青木功、その逡巡と決意、そして勝利への軌跡を追い続けた同世代の目。本書はその水平な視線が生んだ会心のノンフィクションである。
折々の憎悪
文芸(単行本)
日常に漂う憎悪を見事に描いた推理短篇集。大岡信の『折々のうた』の一首をモチ-フにして織りなしていく推理の綾。今日の市民生活の日常に陽炎のように漂う憎悪をあざやかに形象化した秀作推理短篇集。

おとこのこのこ 4人の息子と母の日記
文芸(単行本)
子育ては親育て
親子っていいな男の子の愛らしさがいっぱい
子供たちは時折、臆面もなく愛の言葉を口にする。「お母さんはかわいい。世界一きれい。大大大ーっ好き」って。
子どもというのは親に似てほしいところは似なくて、似てほしくないところはきっちり似てくれる。
子どもってやつは、いればうるさいし、いなけりゃさびしい。本当に困ったもんだ。――(本文より)
推理小説代表作選集1995年版
文芸(単行本)
’94年秀作推理短篇16作による推理年鑑歌野晶午、加納朋子、香納諒一、貫井徳郎ほかの新進気鋭から佐野洋、逢坂剛、泡坂妻夫ほかのベテランまで16人による短篇推理アンソロジ-。各賞受賞一覧資料付

介子推
文芸(単行本)
神気をたたえた名品の誕生!
介山のつかいか、一貫して重耳を守った青年剣士介子推の気概。「つらい、と何度か泣いた体験は、この小説が初めて」と著者が語る品格高い会心作!
どうも清明節のあたりにはよく雨が降るらしい。それはともかく、寒食というのは、1日中火をもちいない日で、その日は食べ物に火を通せないので、あらかじめ寒食用に料理をつくっておくのである。寒食の翌日、すなわち清明節から新しい火をもちいるのである。なぜそんな風習があるのか。それは中国全土の人々が介子推を悼んでいるというあらわれである。介子推が山にかくれたあと重耳が山に火をかけ、介子推のあらわれるのを待った。ところが介子推は下山せず、木を抱いてついに焼死したという伝説がある。後世の人々は介子推の忠節とこころざしの高さに感動し、その死を哀痛しつづけるため、火をつかわない日を国民的行事としてもうけたのである。なんという国民であろう。──「あとがき」から
恋愛小説名作館(1)
文芸(単行本)
大人のための愛の名作短篇小説アンソロジ-井上靖、向田邦子、藤原審爾、森瑤子、北方謙三、山田詠美、立原正秋、田辺聖子、水上勉の傑作短篇に連城三紀彦の書下ろし短篇を収録した、大人のための愛の物語
異花受粉
文芸(単行本)
香港で失踪したルリに秘められた生の傷とは突然失踪したルリを追う私が知ったルリの知られざる側面。売春や麻薬との関わり、偽りの経歴。そしてルリの友人も死亡。香港の裏社会にルリは呑み込まれたのか?

惨劇のアテナイ
文芸(単行本)
乱歩賞作家の新しい魅力が溢れる異色作品集。ナチス台頭下のベルリンでの日本人子爵の孫娘探しを描く「ベルリンに消えた女」ほか、古代ロ-マ、アテナイ、ロンドンを舞台に繰り広げられる歴史ミステリ-集。
朝焼けの輪舞
文芸(単行本)
新劇界に変革を。若い力が六本木で躍動する演劇座は50年の歴史を背負い、今や組織は硬直、変革を目ざして新作「ファウスト」に期待がかかる。恋愛あり、失意あり、若い力が六本木の街を駆ける青春小説。

幻覚の鯱 神軍の章
文芸(単行本)
ゼロが消え、十樹(とおき)吾一が消え、ステルス爆撃機までが消失。〈幻覚鬼・醜男(しこお)〉対〈鯱軍団〉の時空を越えた戦闘!──待望のシリーズ第10弾。
仙石文蔵は目を閉じていた。脳裡に醜老人の貌が懸かっている。ひどい矮男(こおとこ)だ。凹(くぼ)んだ眸が左右ちぐはぐについている。その眸にはどんよりと澱んだ沼が浮かんでいる。物がみえる眸にはみえない。しかし、それだけに淵は底無しに深い気がする。その眸が仙石文蔵をみている。妖怪めと、仙石文蔵は胸中につぶやいた。──(本文より)
日本の森と海に未来はあるか
文芸(単行本)
日本列島の病巣を鋭くえぐる最新環境報告!死線上の日本の自然を綿密なフィ-ルドワ-クをもって自ら体感し、その実態を調査。“地球にやさしい”ブ-ムが去った今、あらためて環境保護とは何かを世に問う
赤ひげは死なず
文芸(単行本)
名物外科医が小説、映画、漫画をメスで解剖『レベッカ』とガンの告知、『高瀬舟』と尊厳死、『奥の細道』と芭蕉の痔etc.。第一線の外科医がメスを片手に読むと名作が新鮮になる。独壇場の医学エッセイ

とんぼ
文芸(単行本)
リリカルに、哀しく。7つの愛のストーリー。
圭一と初めて逢ったのは3年前の多摩川堤だった。秋のはじまろうとする頃で岸辺を抜ける風は、夏のふくらみが失せて乾いた秋の気配を漂わせていた。〈本文より〉
新・異色時代短編傑作大全
文芸(単行本)
時代小説の新しい流れ、異色短篇傑作13篇おかしな人物、奇妙な味の時代歴史小説が人気を得ている。新しい作家たちも旺盛な筆力をぶつけて、このジャンルに挑戦してくる。夢も恋も戦慄もある見事な13篇

寿司屋のかみさんうちあけ話
文芸(単行本)
春夏秋冬寿司の“旬”を味わうために――すぐに役立つとっておきの話こっそり教えます
寿司の値段/盛りこみと別盛り/シャリ炊きとシャリ切り/今日のおすすめ/寿司の賞味期限/仕込みの話など
寿司につられて、寿司屋に嫁いでから20年が過ぎた。わが家は10坪ほどの小さな店だが、様々ななりわいのお客さんがおみえになる。この店の中で、お客さんと一緒に、笑ったり、怒ったり、涙ぐんだりしたことなどを、7年位前からノートに書きとめておくようになった。また、寿司がなにより好きな私にとって、四季それぞれに顔ぶれが変る魚(寿司タネ)に出会うのも大きな楽しみで、そのおいしさも書き加えておいた。――あとがきより
境に居て
文芸(単行本)
高橋たか子の文学と魂の軌跡を自身で描く。著者は、高橋和巳と出会い、その死、そして小説家への道から、すべてをすててキリスト教の宗教者へと、驚異的道を歩んできた。そのすべてをここに明らかにす。