講談社文庫作品一覧

死に絶えた風景
講談社文庫
北九州の製鉄の町を訪ねたルポルタ-ジュ。近代日本の100年を旧八幡製鉄の繁栄と衰退と共にした人々の歴史、製鉄労働者たちの生活、公害で汚染する洞海湾などを詳しく記録した著者初期の代表的な作品ーーかつて、明治以来の日本の経済を大きく支えてきた新日本製鉄が、鉄の町・北九州市一帯で君臨し栄えていた頃、そこに働く労働者たちは、どんな厳しい生活をしていたか。町の人たちはどう暮らしてきたか。みずから東田高炉工場で働いた著者が、その体験をもとに記録した、鉄の町・八幡と新日鉄80年の歴史の光と影。

カミの人類学 不思議の場所をめぐって
講談社文庫
われわれは、カミという言葉を忘れようとしている。しかし、未開とよばれる人びとは、夢に実体を見て、日々草木虫魚と語らいつつ、カミとともに生きている。近代文明が切り捨ててしまった不思議の世界にメスを入れ、移りゆく森羅万象の闇の底に、初源の生の姿をとらえる。野性の眼・耳・心をとり戻す、衝撃的な原点の書。自然界に拡がる、人類が創り出す「カミの空間」を探り、失われた心を求める意欲作!

最期のメッセージ
講談社文庫
まじめ人間にとって、恋の相手が悪かった。らつ腕のホステスだったのだ。たちまち貯金をはたき、会社の金に手をつけ、挙句にクビ。むろん女は嬉々として去って行った。男はひそかに報復を計画する。それも5年がかりで……。巧みなプロット、意外な結末で読者を異次元に誘う42編のショートショート。

花怨
講談社文庫
父親を知らずに、祖母に育てられた娘は、素直に、美しく成長した。料亭を営む母親は、色街の特殊な男女感覚を押しつけるが、やがて、1人の男を中に、醜い争いとなる。家出して京都に奔った娘は、再生の地で、男らしく誠実な恋人を得た。不自然な生い立ちを超えて、本当の幸福を手にした女の、半生の物語。

旅人たち
講談社文庫
人生は旅、そして出逢い……。一目惚れの天才というお登紀さん、女ざかりの「人生図鑑」ーー歌うことも生きることも、人を恋うる心に始まり、人に逢えた嬉しさにつきます。一目惚れの天才という「お登紀さん」の、多彩な人々との素晴らしき出逢い……。歌手、妻、母、なにより天性のエコロジストが描く、有名無名38人の横顔。それは、したたかなヒーローたちへの「愛の讃歌」。

戦後欲望史 混乱の四、五〇年代篇
講談社文庫
懐しの人物や事件でつづる戦後史ーー敗戦のあの頃は、みんなどんな生活をしていたのか? 敗戦ショックと混乱の中にも、大衆のエネルギ-が溢れていた4~50年代を、たった昨日のように生きいきと再現した同時代史。戦災による焼け跡、闇市、パンパン、米よこせデモ、メ-デ-事件から、美空ひばり、マッカーサー、力道山、東京ブギウギなど、懐しの人物や話題が鮮やかに甦って、過ぎし日の夢を思う異色の戦後史。全3冊。
報復のバラード
講談社文庫
恋人を輪姦した犯人に炸裂する復讐のパンチ古新聞回収の仕事をしている峰尾は恋人純子を汚した三人の男を見つけ出そうと躍起になるが――。SEXと暴力,義母への思慕が織りなす表題作など珠玉五篇を収録

月と星の首飾り
講談社文庫
南の島を舞台のファンタスチックな愛の物語ーー2月29日。この日、誕生日をむかえた少女さらの前に、公園で二人のふしぎな人たちが……。南の海にうかぶ「花とみつの島」から来たイカダカズラの夫人と金の羽の若者です。二人に出会ったさらは、人間には見えない世界へと旅立ちます。そして、12歳になったさらを待っていたのは……。ふしぎな南の島を舞台にくりひろげられる、心やさしい愛の冒険物語。

水滸伝(六)
講談社文庫
梁山泊に屯集を終えた108人の好漢たちは、いよいよ「天に替って道を行う」義旗を挙げた。一方朝廷の佞奸は、大赦による彼らの帰順をあくまでも阻み、おのれの権力の安泰を謀るが。……宋の徽宗のころ、山東に叛乱を起こして官軍をなやました賊徒の史実をふまえ、雄大に脚色した中国大長編伝奇小説の完訳。

水滸伝(五)
講談社文庫
財をうとんじ義を尊ぶ。梁山泊に集う好漢たちは、誰もがその精神を忘れない。その行動は、あるいは残酷に過ぎたり、過激に走ったりはしても、男の盟約(ちかい)を果たす限り、彼らは全てを許容する。さて、星主宗公明を盟主として日に日に勢いを増す梁山泊。いよいよ108人の好漢は一同に会した。中国大伝奇小説!

いのちある限り ある脳神経外科医の記録
講談社文庫
車に撥ねられ、頭部を強打するという、一瞬の事故。「死んだ方がましだ」と叫ぶ患者を励まし、献身的努力を傾けつづける医師と、絶望的な苦しみに耐えて生きつづけようとする一人の人間をめぐる、愛と悲しみの記録。生命の尊厳、安楽死への疑問、医療と社会とのひずみ、植物人間や後遺症の問題を考える。著者の執刀でかろうじて一命をとりとめた人とその家族との苦闘の日々を描く。増え続ける植物人間、医療のこころを訴える、感動の力作!

いつのまにか晴れた空
講談社文庫
ベストセラー「もう頬づえはつかない」の続編ほか、軽やかなもう一つの見延典子の世界。女子大生の就職難を描く力作など6編の短編小説集ーー就職先の決まらないくり子は、卒業後、大阪に勤務することになった久雄とのことで、岐路に立たされてしまった。女子大生の就職難という腹立たしい現実を背景にした、ベストセラー「もう頬づえはつかない」の続編など、単行本未収録作品「山菜おこわ」を含む6編を収録。軽やかな小説空間をひらく、もうひとつの見延典子の世界。
ビッグアップルは眠らない
講談社文庫
三重殺人の華麗なトリックによる傑作推理.’79年11月,日光中禅寺湖で女社長が水死.’80年6月,ニューヨークで日本人商社マン変死.時空を隔てた二つの事件に奇妙な一致が現れたとき,第三の死が

欲望の海(下)
講談社文庫
スター歌手の座にかけた娘と母親の執念。喝采の魔力に魅入られ、栄光への階段をのぼりはじめたーー打たれても蹴られても、スターの座がまずしい。この身とひきかえにでも、栄光の座がほしい。華やかな舞台の裏で、希望と絶望が交差し、賞賛と中傷が飛びかう芸能界。この欲望うずまく海を、身も心ももみくちゃにされながら、真佐子は泳いでゆく。夢と執念にかけたひとりの少女の青春を描く、力作長編小説。<上下巻>

欲望の海(上)
講談社文庫
栄光のかげにひそむ欲望。はなやかな芸能界にかけた少女と母親、二人の女の夢と執念ーースポットライトを浴びて、華やかに舞台の中央に立つスター歌手たち。だが、その栄光の座にのぼる道は、はるかに遠い。歌が少しうまいというだけの少女だった、真佐子。派手好みの母・静江の執念にひきずられて、欲望うずまく歌謡曲の世界に、とつじょ投げこまれた真佐子が、いつか魅入られたように、あこがれの座への階段を一歩一歩のぼりはじめる……。芸能界の裏表を舞台に、母娘の夢と欲望を描く長編。<上下巻>
ふられ虫がゆく!
講談社文庫
生きる重みを噛みしめる鉄矢の感動エッセイ海援隊の帆を下ろした彼が,俳優という仕事に就いて五年,いま何をつかんだのか。出会った人々の懸命な姿に学びつつ,自分を探して旅に出た航海日誌をここに贈る
一流人 私の好きな言葉
講談社文庫
人生を変えた言葉,糧となる金言の集大成。政界,財界,文化,学問,芸道など諸分野で活躍を続ける120余名の著名人の人生の支えの言葉,坐右の銘とその来歴やエピソードを滋味豊かに紹介したエッセイ集

新名将言行録 幕末維新(二)
講談社文庫
ペリー来航! 泰平の夢は破れた。日本はその日を境いに、騒然たる混乱の渦にまきこまれる。開国佐幕、攘夷尊皇……、国論は真二つに割れ、人々はそれぞれの立場、利害得失に応じて、風雲の乱れを呼ぶ。本巻には、幕府側に立つ井伊直弼、松平容保、小栗上野介、榎本武揚、河井継之助、大島圭介、天野八郎を収録。幕府側立場で幕末史を彩る英傑俊英の相!

新名将言行録 幕末維新(一)
講談社文庫
長い安定政権を誇った徳川幕府も、19世紀を迎えると、さまざまな矛盾を露呈しはじめた。財政難、鎖国による文明の遅れなどなど。そうしたさなか、日本近海には西欧列強の船舶が不気味に出没しはじめ、近代日本を拓く人々の動きも活溌化する。本巻には、高野長英、渡辺崋山、吉田松陰、勝海舟、徳川慶喜を収録。近代日本を拓く傑物・巨人たちの動と静!

わたしの生きがい論 人生に目的があるか
講談社文庫
人生における有益とは何か? 何が有益で何が無益だということを、いったい、だれが決めるのか? いまこそ既成の価値観へ問いを発しなければならない。文明の宿命的進化にブレーキをかけ、「目的の体系」を脱し「無」にかえる、まさにこの「逆進化の発想」が求められているのだ。その「目的の体系」から「逆進化の発想」へ転換するなかにこそ、真の生きがいを探索するすべがある。安易な処生術や精神修養的生きがい論をくつがえす、衝撃の書。あなたの生きがいを真につかみ直そう!