創文社オンデマンド叢書作品一覧

中世哲学史
創文社オンデマンド叢書
コプルストンの主著「哲学史」は、古代ギリシャから現代に至る西洋哲学の通史で、欧米では定評がある。本書はその中世の部分を訳出したもの。個々の哲学者の輪郭を辞典風に描き、中世哲学思想の展開経路を明快に論述する最も信頼できる本格的通史。
【目次より】
第一章 序論
第一部 中世以前の諸学派
第二章 教父時代
第三章 聖アウグスティヌス(1) ~ 第八章 聖アウグスティヌス(6) 国家
第九章 偽ディオニシウス 第十章 ボエティウス、カシオドルス、イシドルス
第二部 カロリング・ルネサンス
第十一章 カロリング・ルネサンス
第十二章 ヨハネス・スコトゥス・エリウゲナ(1) 生涯と著作 第十三章 ヨハネス・スコトゥス・エリウゲナ(2)
第三部 十・十一・十二世紀
第十四章 普遍の問題 第十五章 カンタベリの聖アンセルムス 第十六章 シャルトル学派 第十七章 サン・ヴィクトル学派 第十八章 二元論者と汎神論者
第四部 イスラムおよびユダヤの哲学、翻訳
第十九章 イスラム哲学 第二十章 ユダヤ哲学 第二十一章 翻訳
第五部 十三世紀
第二十二章 序論 第二十三章 オーヴェルニュのギョム 第二十四章 ロバート・グロステストとヘールズのアレキサンダー 第二十五章 聖ボナヴェントゥラ(1) ~ 第二十九章 聖ボナヴェントゥラ(5) 人間の霊魂
第三十章 聖アルベルトゥス・マグヌス
第三十一章 聖トマス・アクィナス(1) ~ 第四十章 聖トマス・アクィナス(10) 政治理論
第四十一章 聖トマスとアリストテレス、論争 第四十二章 ラテン・アヴェロエス主義、ブラバンのシゲルス 第四十三章 フランシスコ会の思想家 第四十四章 ニギディウス・ロマヌスとガンのヘンリクス
第四十五章 スコトゥス(1) ~ 第五十章 スコトゥス(6) 倫理学
第五十一章 回顧
第六部 十四世紀
第五十二章 デュランドゥスとペトルス・アウレオリ
第五十三章 オッカム(1)~ 第五十八章 オッカム(6)
第五十九章 オッカム主義の動向 第六十章 科学の動向 第六十一章 ハドヴァのマルシリウス 第六十二章 思弁的神秘主義

中世イングランド行政史概説
創文社オンデマンド叢書
12世紀後半から14世紀末までを中心とする、イングランド中央行政に関する簡潔で質の高い、わが国初の概説書。
【目次より】
凡例
序
略語表
第一章 起源 ノルマン人の征服前の国王の宮廷
第一節
執行権能は国王自身に存在 など
第二節
財政機構の萌芽 など
第三節
秘書機構の萌芽 国王の司祭 など
第二章 アングロ・ノルマン期の行政機構の発展
第一節
ノルマン人の征服が中央行政機構に及ぼした影響 など
第二節
ノルマン朝国王の宮廷 など
第三節
大法官の出現 など
第四節
寝所部 など
第三章 アンジュー朝期における行政的クーリア・レーギスの統合 最高法官の時代、一一五四~一二三二年
第一節
この時期の根底にある統一性 など
第二節
アンジュー朝の最高法官職の起源 など
第三節
ヘンリー二世の行政制度 など
第四節
ヘンリーニ世の改革の効果 など
第五節
ヘンリー三世初期における行政制度の連続性 など
第四章 行政制度における連続と変化──政治的反聾の始まり、―二三二─一三〇七年
第一節
アンジュー朝行政制度の復活 など
第二節
―二三二─三四年のいわゆる「ポワトゥ人体制」 など
第三節
ヘンリー三世の行政制度、一二三四─五八年 など
第四節
ヘンリー三世に対する貴族の反対がもくろんだ中央行政制度の改革 など
第五節
エドワード一世の行政制 など
第五章 エドワード二世治世時代における政治的反響と行政改革
第一節
エドワード二世の治世時代 など
第二節
エドワード二世に対する貴族の反対 など
第三節
一三二二年以後の行政改革 など
第六章 部局の発展と行政評議会の生成、一三二七─一三九九年
第一節
行政機構の連続 など
第二節
行政評議会の生成と政治的反響 方法 など
終章 中世の行政からテューダー朝の行政への移行
一五世紀の行政史を調べることの困難 など
付録 中世イングランド行政史研究に対する最近の寄与
訳者あとがき

歴史のなかの経済学 一つの評伝集
創文社オンデマンド叢書
経済学者10名の業績と人物に光を当て経済学の歴史を分析、現代の理論が背景に宿す豊かな水脈を明らかにした第一級の理論家による評伝。
【目次より】
まえがき
I 古典派の二人の巨人
アダム・スミス没後二〇〇年
カール・マルクス
II 近代経済学の創始者たち
ウィリアム・スタンレー・ジェヴォンズ
レオン・ワルラス
フランシス・イシドロ・エッジワース
ヨーゼフ・アロイス・シュンペーター
III ケンブリッジ群像
マーシャル『経済学原理』再訪
ピグウ教授没後四〇年
ジョン・メイナード・ケインズ
哲学者ケインズ
経済学者フランク・ラムゼー
初出一覧

ルターとドイツ神秘主義 ヨーロッパ的霊性の「根底」学説による研究
創文社オンデマンド叢書
エックハルトに淵源する「根底」(Grund)概念を辿ることにより、ルターがドイツ神秘主義のみならず、アウグスティヌスや盛期スコラ神秘主義など多様な伝統を受け継ぎ、独自の神秘主義を展開して後世へ巨大な影響を与えたことを明らかにする画期的業績。
キリスト教思想の土台をなす信仰は、世界に向かっては教義の形成と世界観を生み出し、内に向かってはキリストおよび神との交わりを求める霊性として現れる。エックハルトは、精神の最も内奥にある「根底」(Grund)に、神秘経験の場をみたが、著者はこの「根底」概念を辿ることにより、タウラーからルターを経てベーメやシェリングに、さらにはルターからドイツ敬虔主義を経てシュライアーマッハーに至るドイツ神秘主義の流れを解明し、転換期に立つルターのヨーロッパ精神史上の意義を闡明にする。ルターはドイツ神秘主義のみならず、アウグスティヌスや中世神秘主義などの多様な伝統を批判的に継承し、独自の神秘主義を展開して、後世へ巨大な影響を与えた。本書は中世から近代に至る理性の自律化運動の中で、神秘主義が地下水脈のように滔々と流れつづけたことを、多くの原典に即して明らかにした画期的業績である。理性の道具化にともなう技術文明と産業社会の急速な展開によって、精神的にも物理的にも地球規模の困難に直面する現在、近代ヨーロッパの霊性の源流を見極めることはわれわれに汲めども尽きぬ示唆を与えるであろう。
【目次より】
凡例
序論 近代ヨーロッパ的霊性の源流
第一章 ルターと中世神秘主義の伝統
第二章 ルターとノミナリズムの神秘主義
第三章 シュタウピッツとルターの神秘思想
第四章 「根底」(Grund)学説の受容過程
第五章 初期の聖書講解における「霊」(spiritus)概念
第六章 『ローマ書講義』における神秘思想
第七章 ルターの神観における神秘的なるもの
第八章 キリスト神秘主義
第九章 神秘経験の現象学的考察
第一〇章 ルターと霊性主義者たち
第一一章 ヴァイゲルとアルント ルター派の神秘主義I
第一二章 シュペーナーからシュライアーマッハーヘ ルター派の神秘主義II
第一三章 ヤコブ・ベーメとシェリング ルター派の神秘主義III
あとがき
初出一覧
資料と参考文献

目安箱の研究
創文社オンデマンド叢書
江戸時代・明治初期、政治の困難・危機に際し、為政者はその克服のため強い指導力を発揮して改革を断行した。その際広く民意を聴き、改革政治の参考に資せんとしてしばしば利用されたのが目安箱である。「請願」・「行政改革」・「内部告発」諸制度の前史をなし、官僚統制による統治に大きな役割を果たした目安箱の実態を解明し、その歴史的意義を浮き彫りにした画期的業績。
【目次より】
第一章 江戸時代の目安 「訴えの保障」とその意義
第一節 序
第二節 目安箱の設置状況
第一項 幕府 第二項 藩 第三項 小括
第三節 目安箱に投書して訴えることが認められた事項
第一項 政治に対する提言・意見 第二項 役人の違法・不当な行為・措置についての訴え 第三項 犯罪の申告 第四項 人物についての情報提供 第五項 小括
第四節 目安箱による「訴えの保障」の仕方
第一項 投書して訴えることを認められた者 第二項 投書する場所 第三項 投書可能日、訴状点検日 第四項 記名 第五項 投書して訴えることが認められなかった事項 第六項 小括
第五節 目安箱に投書された訴えの処理
第一項 幕府 第二項 藩 第三項 小括
第六項 目安箱による「訴えの保障」の実態
第一項 広範な人々による投書 第二項 かんばしくない投書状況 第三項 訴えが受けいれられた投書 第四項 訴えの効果 第五項 小括
第七節 目安箱による「訴えの保障」の意図
第一項 目安箱による「訴えの保障」の背景 第二項 困難・危機打開、新政展開と目安箱による「訴えの保障」の意図 第三項 小括 帰服と包摂による挙国一致
第八節 結び
第二章 田原藩の目安箱制度 紛争処理手続の考察
第一節 序
第二節 田原藩の目安箱
第一項 目安箱の設闘、投書を認められた事項 第二項 目安箱の運営 第三項 目安箱設置の背景 第四項 目安箱の廃止と復活
第三節 箱訴の処理手続
第一項 序 第二項 元文四年加治村百姓の箱訴 第三項 天明七年下野田村百姓の箱訴
第四節 結びにかえて
第三章 明治初期の目安箱 京都を中心にして
第一節 序
第二節 目安箱の設置
第三節 目安箱の役割
第一項 序 第二項 建言上書の奨励 第三項 告訴・告発の受理 第四項 役人の統制 第五項 人民救済 第六項 情報の収集
第四節 目安箱の実態
第一項 投書数 第二項 投書の内容 第三項 投書人 第四項 投書の処理 第五項 投書の実効性 第六項 小括
第五節 目安箱の廃止
第一項 目安箱廃止の経緯 第二項 目安箱廃止の理由
第六節 結び
第四章 結語
あとがき

恵みの時
創文社オンデマンド叢書
折々に綴られた言葉は生きてあることの不思議を語り、人間存在そのものが恵みであることを証しする。神への愛に誘う観想の試み。
【目次より】
序言 観想について
道と自由
交わりと孤独
「見ること」の意味
愛のかたち
飢え その影と光
ゆとりと恵み
悔いの苦さと恵み
自然・精神・神
時間
苦悩と人間の尊厳
問題、謎、神秘
言葉の重み 哲学者の遺言をめぐって
限りなき飢え
おきてから愛へ
キリストに目覚める
永遠の出会いをめざして 出来事・行為・恵み
信仰によって生きる
あとがき

無底と意志‐形而上学 ヤーコプ・ベーメ研究
創文社オンデマンド叢書
ドイツ神秘主義の掉尾を飾る体系的思想家であり、ルネサンス期におけるドイツ自然哲学思想の大成者、のちの経験主義やドイツ観念論に多大な影響を与えたヤーコプ・ベーメの生涯と事蹟、その思想を余すところなく開示する。
【目次より】
まえがき
第一部 ヤーコプ・ベーメの生涯と事蹟
第一章 J・ベーメの生涯と事蹟
第二部 無底と意志‐形而上学
第二章 無底・意志・自然 J・ベーメの意志‐形而上学について
第三章 J・ベーメにおける神と世界創造 自然の「七つの性質」をめぐって
第四章 J・ベーメにおける創造と悪の起源
補章 自由と悪 J・ベーメの「無底」をめぐって
第三部 ヤーコプ・ベーメの思想的背景
第五章 ルネサンスの自然観について N・クザーヌスからJ・ベーメヘ
第一節 ルネサンスという時代
第二節 「自然」への関心
第三節 ルネサンス的自然認識の三つの方向
第四節 ルネサンス的自然の原像 N・クザーヌス
第五節 ドイツ自然哲学の特質 パラケルスス
第六節 ドイツ自然哲学の大成 J・ベーメ
第七節 結び ルネサンス自然観の特質
第六章 J・ベーメとグノーシス主義
はじめに
第一節 ベーメにおける「知」の根本性格
第二節 神的本質と神的創造
第三節 天使の創造とルチフェルの堕落
結び
第七章 ベーメとシェリング 神・自然・無底をめぐって
第四部 ベーメ断想
1 『アウローラ』について
2 ゲルリッツ紀行 J・ベーメの生地をたずねて
参考文献
初出一覧

無底と悪 序説
創文社オンデマンド叢書
「無底」とは三位一体の神の根源を、ドイツ神秘主義者ヤーコプ・ベーメがなにものかによって根拠づけることのできない「無底」とした。その無底と悪はどんな関係があるのかに迫る。
【目次より】
第一部
一 ニコラウス・クザーヌスにおける神概念の進展
二 同一性と非他者
三 自由の問題 ニコラウス・クザーヌスに関説して
四 "Theologia Deutsch" における合一とまねび
五 ドイツ神秘主義の詩人ジレジウス
第二部
一 悪霊につかれしもの
二 奇蹟の否定
三 晩餐の話
四 幻を見る
第三部
無底と悪 序説
あとがき

〈無限〉の思惟 ニコラウス・クザーヌス研究
創文社オンデマンド叢書
15世紀ドイツの思想家ニコラウス・クザーヌスの宗教哲学的思想の全体像を「無限の思惟」という独自な視点から把握し、その形而上学的思想の体系的な解明を試みたもの。〈docta ignorantia〉に立脚する「無限」の思惟としてクザーヌスの思想的全体像を構築する。
【目次より】
序
目次
序章 クザーヌスと〈無限〉の思惟
第一章 〈docta ignorantia〉の立場
第一節 クザーヌスと思惟の出発点
第二節 知と無知
第三節 無知からの思惟
第二章 〈docta ignorantia〉の論理 臆測の術」(ars coniecturalis)をめぐって
第一節 臆測(coniectura)について
第二節 「四つの一性」の思想
第三節 一性・他性・関与
むすび
第三章 「数学的なもの」の意味
第四章 神と世界の関係
序
第一節 無限なる神
第二節 世界の無限性
第三節 絶対と縮限
第四節 神・世界・個物
第五章 宇宙論の基礎
第六章 〈人間〉の問題
序 問題の所在と射程
第一節 「縮限的にして絶対的な最大」
第二節 humanitasからchristusへ
第三節 精神(mens)について
むすび
第七章 精神と認識
付論 無限と宇宙 ルネサンス宇宙論の一側面
第一節 「閉じた世界」と「無限の宇宙」
第二節 クザーヌスにおける無限と宇宙
第三節 ブルーノの無限宇宙論
第四節 ルネサンス宇宙論の特質
参考文献

マックス・シェーラーの人間学
創文社オンデマンド叢書
広範な著作群から人間学的主題を抽出して再構成し、綿密な分析を通してシェーラーの難解な思想を初めて体系的に提示する画期的業績。
【目次より】
序論 シェーラー人間学の方法
第一章 シェーラーと現代の人間学
第一節 現代の人間学的状況 第二節 シェーラーと「哲学的人間学」の成立 第三節 『宇宙における人間の地位』における人間学の特色 第四節 プレスナーの哲学的人間学 第五節 ゲーレンの人間学 第六節 批判的考察
第二章 哲学的人間学の構成
第一節 哲学的人間学の萌芽 第二節 『宇宙における人間の地位』の成立 第三節 心的諸機能の段階説 第四節 人間の本質的特性としての精神 第五節 伝統的人間学の批判 第六節 人間学と形而上学 第七節 シェーラーの形而上学と人間学に対する解釈と批判
第三章 他者認識と間主観性理論
はじめに 近代主観性の哲学における他者の喪失と発見 第一節 人間学的構成における自我と人格 第二節 従来の他我知覚の理論への批判 第三節 間主観性についての新しい学説 第四節 シェーラー学説の批判的検討
第四章 愛の秩序
第一節 愛の本質と価値世界との関連 第二節 愛と衝動 第三節 人格の本質と愛の秩序 第四節 批判的考察
第五章 ルサンティマンの人間学
第一節 ルサンティマンの現象学 第二節 ルサンティマンに陥りやすい人間類型 第三節 近代的人間愛と近代社会の批判
第六章 身体論
第一節 心身二元論とデカルト批判 第二節 身体の現象学 第三節 批判的考察
第七章 心情の法則性
第一節 共同感情と愛 第二節 羞恥感情とその現象学的解明 第三節 良心の現象学的解明
第八章 人格と共同体
はじめに 第一節 カントの人格主義 第二節 カントからシェーラーへ 第三節 人格の概念 第四節 個別人格と総体人格 第五節 社会的共同の四形態 第六節 総体人格と連帯(共同)責任 終わりに シェーラーの人格概念の立体的構造について
第九章 知識社会学と人間学
はじめに 第一節 知識社会学の課題 第二節 文化社会学と実在社会学 第三節 社会的作用秩序の法則 第四節 知識社会学の問題 第五節 知識の三類型 第六節 批判的考察 とくにマンハイムの批判を通して
第一〇章 宗教的人間学
はじめに 第一節 時代の精神史的状況とホモ・レリギオスス 第二節 人間(類型)学から見た宗教と哲学との関係 第三節 宗教の本質現象学 第四節 自然的宗教と啓示宗教 第五節 「宗教的作用」の法即性 第六節 「宗教的人間」の人間学 第七節 批判的検討
あとがき
参考文献

マイスター・エックハルト研究 思惟のトリアーデ構造esse・creatio・generatio論
創文社オンデマンド叢書
エックハルトの思惟に見られるある独自な構造に着目し、この構造解釈がエックハルトの思想の全体的眺望を獲得するのに有効な解釈地平であると理解した上で、個々の問題領域、個別テーマへ進んでいく。全く新たな視座から思想の全体的眺望を獲得した画期的業績。
【目次より】
序にかえて
テキストと略称
第一章 存在(esse)をめぐる思惟
1 『三部作への全般的序文』におけるエッセ理解
2 『パリ討論集』におけるエッセ理解
3 『出エジプト記註解』におけるエッセ理解
4 『創世記註解』におけるエッセ理解
第二章 神と被造物のエッセをめぐるアナロギア論
1 問題の所在
2 否定神学とその克服
3 アナロギアの類型
4 『集会の書に関する説教と講義』におけるアナロギア理解
5 結論
第三章 創造(creatio)をめぐる思惟
1 問題の所在
2 神と知性認識の同一
3 エッセに対する知性認識の優位
4 三種の言葉、ロゴスによる創造
第四章 誕生(generatio)をめぐる思惟
1 問題の所在
2 受肉(incarnatio)と人性(natura humana)
3 魂の内における神の誕生
4 離脱と神性
第五章 救済論的一(unum) の通景
1 プロティノスの一者論(Henologie)とエックハルトの神論(Theologie)
2 一者(unum)神論における三つのアスペクト
3 「一(unum)である限りの一(unum)」の観点
4 「区別なきもの(indistinctum)としての一(unum)」の観点
5 「否定の否定(negatio negationis)としての一(unum)の観点
註
あとがき
文献目録

封建制社会の法的構造
創文社オンデマンド叢書
刊行後30数年を経て、西欧封建制社会の権力構造研究の出発点である名著に、批判に応えた2論文と展望的なあとがきを加えた再版。
【目次より】
目次
一 封建制社会の法的構造
まえがき
第一章 序論
第一節 封建制の概念
第二節 封建制社会と国家樟力
第二章 本論
第一節 封建制社会の細胞 古典的グルントへルシャット
第二節 レーエン制による権力の組織化
第三節 国王権力の実力的基礎
第四節 王権の超越的性格
第五節 補論 グラーフの権力と大公の権力
第六節 封建制社会の崩壊
二 封建制をめぐる諸問題
第一節 グルントヘルシャフト細胞論
第二節 シャテルニー細胞論
第三節 十二世紀ルネサンス
第四節 フランス史学とドイツ史学
三 封建制社会をめぐる理論的諸問題
あとがき

ベルクソンの霊魂論
創文社オンデマンド叢書
カントの先験的時間論を批判して現象学から脱出し、新たな存在論の領野を開いたアンリ・ベルクソン。ベルクソンが関説している西洋哲学史の回顧的展望と彼の著作「物質と記憶」についての研究。
【目次より】
序章 エレア派のゼノンとベルクソン ゼノンのパラドックスと形而上学の誕生
第一章 プラトンとベルクソン 永遠真理と時間
第二章 アリストテレスとベルクソン ベルクソン著『アリストテレスの場所論』注釈
第三章 プロティノスとベルクソン ローズ‐マリ・モッセ‐バスティド著『ベルクソンとプロタン』管見
第四章 プロティノスとデカルト グィレルモ・ジビューフ著『神の自由と被造物の自由』とデカルトの永遠真理創造説
第五章 デカルトとベルクソン ジャン‐マリ・ベサード著『デカルトの第一哲学』管見
第六章 カントとベルクソン ベルクソン著『思惟と動き』注釈
第七章 ベルクソンのイマージュ論 ベルクソン著『物質と記憶』第一章・第四章注釈 観念論対実在論
終章 ベルクソンの霊魂論 ベルクソン著『物質と記憶』第二章・第三章注釈 唯物論対唯心論
結論
あとがき

ベルクソン 聴診する経験論
創文社オンデマンド叢書
この私とはいかなる存在であるのか。私が自分ならぬものとして知覚するこの外的世界とは何であり、その客観性とは何を意味するのか。そしてそれらの存在を支える何らかの超越的根拠は存在するのかどうか。古くからのこうした哲学的問いをたずさえて、ベルクソンは我々の豊穣な体験のただ中にそれらの解答を探し求める。錯綜するポリフォニー的な経験を前にして、この卓越した「聴診者」が何を聞きとげ、何を掴み取ってきたのか。聴診の報告書としてのテクストを丹念に辿りながら、同時に過去ならびに同時代の諸思想との交錯を視野に収めつつ、新たに提示される「ベルクソン的省察」の試み。
【目次より】
凡例
序 聴診する経験論
第一章 生成 持続と主観性
本章の課題
第一節 自我の超越?
第二節 『試論』における自由論とその二重性
第三節 カント批判 失われた内在
第四節 ゼノンの逆説と完了相の存在論
第五節 持続・生・内在
第二章 世界 再認と外在性
本章の課題
第一節 イマージュとしての世界
第二節 世界の外在性と身体
第三節 未完の身体論
第四節 再認された世界
第五節 科学論への展開
第六節 知性認識の権利づけと進化論
第七節 生成と真理
第三章 人間 触発と共同性
本章の課題
第一節 自由の二つの亀裂
第二節 美と芸術
第三節 『二源泉』における触発と共同性
第四節 呼びかけとその聴取
結論
あとがき
註
文献について

ヘーゲル現象学の理念
創文社オンデマンド叢書
「私の著書がついに出来上がりました。しかし私の友人たちに本を贈る際にも,出版者と印刷に関わるすべての過程を支配し、しかも部分的に構成そのものを支配した同じ不幸な混乱が生じました。……本来は導入部であるこの第一部の理念に対してあなたが何を言うか、私は知りたいと思っています」(ヘーゲル)。本書はこの現象学の理念への問いに答える試みであり、三つの基本性格(体系の第一部、導入部、歴史)に定位して現象学を「三枚重ねの透かし織り」として読み解くことである。「構成そのものを支配した不幸な混乱」は精神と宗教の章の書き加えによって生じた。この混乱を取り除くことによって本書が浮き立たせた「織物=テクスト」の美しい模様こそ、ヘーゲル現象学の理念である。
【目次より】
略語一覧
序章 現象学の理念
第一章 体系の第一部としての現象学
第一節 原現象学と現象学体系
第二節 意識の経験の学
第三節 絶対知の体系と体系の現象学的危機
第二章 導入部としての現象学
第四節 論理学への導入部
第五節 無限性としての承認
第六節 理性による不幸な意識の克服と国家
第三章 歴史としての現象学
第七節 哲学史に対応する―つの歴史
第八節 感性的確信 知覚 悟性
第九節 自己意識とアリストテレス
終章 ヘーゲル哲学の地平
註
あとがき

文化・文明 意味と構造
創文社オンデマンド叢書
人間活動の総体を、その全体輪郭と基本骨格そして各部分の相互連関について原理論的角度から分析し、人間世界の構造と意味を考察。
【目次より】
目次
まえがき
序篇 文化・文明と人間・活動‐体系
第一篇 目的・活動‐体系
第一章 価値・活動‐体系
第一節 価値の信奉 宗教
第二節 価値の創造 芸術
第三節 価値の逹成 倫理、教育
第四節 価値の擁立 国家
第五節 四種‐価値活動:多元‐協律
第二章 認識・活動‐体系
第一節 事象一般の認識 言語
第二節 人間事象の認識 文学、歴史
第三節 事象の法則の認識 科学、学問
第四節 事象の原理の認識 哲学
第五節 四種‐認識活動:多元‐協律
第三章 機能・活動‐体系
第一節 全体運営の機能 政治、法律
第二節 関係運営の機能 社会、コミュニケーション
第三節 個体運営の機能 経済、技術
第四節 三種‐機能活動:多元‐協律
第二篇 脱‐目的・活動‐体系
第一章 脱‐目的・活動‐体系 遊戯、スポーツ
結篇 四種・活動‐体系:多元‐協律
補論 現代諸思潮の検討
一 ガイア、エントロピー、エコロジー、バイオ、生命倫理学
二 環境造型、都市計画、サウンド・スケープ理論、ジオ・ソシオロジー
三 情報、知識産業、メディア、コンピュータ、人工知能
四 無意識、トランス・パーソナル
五 ポスト・モダーン
六 都市論
七 梅棹文明学
付論 基礎概念の検討
一 文化と文明
二 生活様式、生の様式、行為様式、存在様式
三 自己実現、存在成就
四 意味の体系、意味の現成
あとがき

フランス革命と社会主義
創文社オンデマンド叢書
英国の政治学者であり、労働党の最高幹部であった著者が、フランス革命において社会主義がどのような役割を果たしたのかを探究する。
【目次より】
第一章 理性の時代
第二章 ディドロ
第三章 フランス革命における社会主義的伝統
訳者註
あとがき

比較史の道 ヨーロッパ中世から広い世界へ
創文社オンデマンド叢書
カロリング期荘園制の所領明細帳に基づく研究を中心に、中世社会経済史を専門としてヨーロッパ学界でも活発に発言している著者による比較史の勧め。中世史学の本場ベルギーに留学してジェニコから歴史学の真髄を学び、フルフュルストなどとともに中世初期農村史の見直しを進めてきた著者は、国家や文化の枠に囚われない具体的な比較を志す。2000年夏のオスロで開かれた国際歴史学会議のラウンドテーブル「比較史。モデルと方法」での報告を先頭に11編を収録。
【目次より】
序言 本書成立の経緯
第I部 比較史の現在
第一章 比較史の現在 第一九回国際歴史学会議に向けて
第二章 比較史の現在(続) 第一九回国際歴史学会議での論調から
第三章 国際比較中世史料論の現在 熊本シンポジウム『日英中世史料論』をめぐって
第II部 ヨーロッパ中世から
第四章 イギリス中世初期社会経済史への新しい視角 ヨーロッパ大陸との比較から
第五章 中世荘園制の形成におけるイングランドと大陸 フェイスの新著をめぐって
第六章 個別発見貨の意味 イギリス中世古銭学による問題提起と所領明細帳研究への波及
第七章 収穫率についての覚書 九世紀大陸と一三世紀イギリスの史料から
第III部 広い世界へ
第八章 比較都市史研究の新しい動向 共同研究・国際会議『イスラムの都市性』をめぐって
第九章 古銭学・貨幣史の東と西
第一〇章 封建制概念の現在 第二回日英歴史家会議に向けて
第一一章 市場史の射程 第六五回社会経済史学会共通論題結論
あとがき

人間の内なる社会 社会哲学的考察
創文社オンデマンド叢書
〈人間の内なる社会〉という独自な視点を導入し、個人と社会の対立を超えた第三の領域を示した新しい社会思想概説。
世界は激しく変化し、日常生活もまた価値観の多様性に晒されている。われわれはそれらの身近な現実をいかに理解したら良いのであろうか。本書は伝統や習俗、常識などに依存することなく、社会と人間の関わり方を歴史的・主題的に根本から考察する。〈社会の内なる人間〉という伝統的視点から〈人間の内なる社会〉へと独自な展開を試みることにより、個人と社会の対立を超えた第3の領域としての《間柄》の存在を現象学的に明らかにする。転換期の最中に書き下ろされた新しい社会思想概説。定評の『倫理学講義』の姉妹編。
【目次より】
はしがき
I 人間存在の社会性
1 人間存在のパラドックス
2 「間」の範疇および「相互性」「間柄性」「共同性」
3 個人と社会との関係
4 社会思想とそのダイナミックな歴史的展開
5 「社会の内なる人間」と「人間の内なる社会」
II 社会の内なる人間
1 社会の所与性と原関係性
2 「閉じた社会」と「開いた社会」
3 古代社会の特質
4 古代社会の対立する二類型
5 「閉じた社会」から「開いた社会」へ
III 世俗社会からの解放と「神の国」の理念
1 国家社会を形成している根源への問い
2 キリスト教の社会学説
3 中世社会の成立とその特質
4 アウグスティヌスのキヴィタス学説
5 トマス・アクィナスの法思想
6 キリスト教共同体の終焉と近代への移行
IV 人間によって形成される社会
1 近代社会成立期における人間像の特質
2 近代の合理主義と理性的自律
3 プロテスタンティズムの職業倫理と聖俗革命
4 社会契約説の展開
ホッブズの社会契約説 ロックの社会契約説 ルソーの社会契約説
5 カントの社会学説
V 伝統社会と近代社会
1 共同体の歴史的発展と現代の問題
2 共同体の弁証法的理解
3 共同体の構成論的理解
4 共同体の類型論的理解
VI 近代的主観性から間主観性へ
1 近代の理念とその崩壊
2 近代的主観性に立つ個人主義的合理主義の諸形態
3 カントの超越論的主観性と実存哲学の主体性の問題
4 近代主観性の哲学における他者の喪失と発見
5 現象学における他者知覚の理論
6 対話の哲学
VII 人間の内なる社会
1 日常生活の間主観的性格
2 人間の内なる社会
3 関係行為と人間の内なる社会
注

人間・社会・法(長崎純心レクチャーズ)
創文社オンデマンド叢書
欧米に比べ、法意識が弱いと言われる日本人。私たちにとって法・法律とは何か。著者はまず、法と法律を明確に区別し、国家が定める法律を根拠づける広い意味での法の存在を指摘する。その上で日常生活の中から法や法律の問題を取り上げ、その意義や役割を平易に解説。更には近代国家の成立後わずか一五〇年で西洋法の導入に成功した日本における法の継受の歴史を辿ると共に、日本の法学を批判的に検討、法整備支援や法教育など新しい課題をも紹介する。基本的人権は私たちの生活や社会の仕組みを作る様々な法律の中に規定されているとの考えに基づき、人間と社会と法の関係を説き起こす講演。法に馴染みの薄い人文系読者にも良き入門書となろう。
【目次より】
「長崎純心レクチャーズ」について 片岡千鶴子
目次
はじめに 私たちの生活と法律
法律に対する無関心 生活と法律 法律による規律の意味 人が規範に従う種々相
I 法と法律の区別 日本人は法が嫌いか
言葉の区別 区別の歴史 規範とはなにか、その分類 法と法律の一応の定義 日本人は「法律嫌い」 法への関心 法と道徳
ソフト・ロー 法教育
II 人間・社会における法と法律
一 人間・社会の諸側面
二 法律の規律のしかた 抽象的に
三 法律の規律のしかた 具体的に
四 人間活動と法・法律
a 生存の維持 経済
b 人類の存続 家族
c 人類の安全の確保
d 学問・芸術
e 宗教
III 日本における法・法律と法学
一 日本法の歩み
二 日本の法学の特色
三 まとめ
注
あとがき