零戦 搭乗員たちが見つめた太平洋戦争

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零戦 搭乗員たちが見つめた太平洋戦争

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「昭和十五年、第十二航空隊に属して戦ったときは、私のいた十ヵ月の間に、搭乗員の戦死者は一人も出ませんでした。十七年八月から十八年にかけ、ソロモンで戦った第二航空隊は、補充を繰り返しながら一年で壊滅、しかし一年はもちました。
 ところが、十九年六月に硫黄島に進出した二五二空は、たった三日の空戦で全滅しました。続いて十月、再編制して臨んだ台湾沖航空戦では、戦いらしい戦いもできなかった。
 そんな流れで戦った搭乗員の立場からすると、フィリピンでの特攻というのは、ある意味、もうこうなったらやむを得ないと納得できる部分がありました」
 こう語るのは、中国大陸での零戦初空戦の頃から熟練の搭乗員として活躍し、終戦の日、特攻出撃を待機していた角田和男さん。この戦争を通じて、零戦がどのような存在であったかを端的に表す証言である。
 著者の神立氏、大島氏は、晩年を迎えた、最前線で戦った多くの搭乗員たちの肉声を聞くことができた。それゆえ、本書では、初空戦では、撃墜27機、損害0機で圧勝した、惨敗と言われたミッドウェイ海戦で搭乗員の戦死者は米軍の方が圧倒的に多かった、ラバウルで活躍した二〇四空の零戦搭乗員は、75%が戦死しているのに対し、特攻専門部隊として編制された二〇五空の戦死者は34%であるなど、これまで語られてきたイメージを覆す、太平洋戦争の生々しい実像が描かれている。


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書誌情報

紙版

発売日

2013年12月10日

ISBN

9784062187435

判型

四六

価格

定価:1,760円(本体1,600円)

ページ数

378ページ

著者紹介

著: 神立 尚紀(コウダチ ナオキ)

報道写真家。1963年、大阪府生まれ。日本大学芸術学部写真学科在学中の1985年、写真週刊誌全盛時代の講談社「フライデー」でカメラマンとしてデビュー。卒業後の1986年に同誌専属となり、主に事件、政治経済、スポーツ取材等の分野で報道の第一線に立つ。1995年、元零戦搭乗員との出会いをきっかけに戦争当事者のインタビュー取材を始め、1997年、フリーに。その後は主に人物ドキュメンタリーや戦史取材に力を注ぐ一方、カメラ・写真雑誌でも記事や作品を発表している。著書に『祖父たちの零戦』(講談社)、『零戦の20世紀』(スコラ)、『零戦最後の証言1、2』、『撮るライカ1,2』『零戦隊長~宮野善治郎の生涯』(いずれも光人社)などがある。社団法人日本写真家協会(JPS)会員。

著: 大島 隆之(オオシマ タカユキ)

1979年、東京生まれ。東京大学文学部(考古学専攻)卒業。2002年NHKエンタープライズ入社。災害や戦争などをテーマにドキュメンタリー番組を制作。主な番組に、NHKスペシャル「ウォーター・クライシス――水は誰のものか」(2005)、BSドキュメンタリー「チェルノブイリ20年目の歌声」(2006)、NHKスペシャル「シリーズ インドの衝撃・膨張する軍事パワー」(2009)、NHKスペシャル「巨大津波・その時ひとはどう動いたか」(2011)、シリーズ証言記録・兵士たちの戦争「特攻の目的は戦果にあらず――第二〇一海軍航空隊」(2011)、シリーズ証言記録・東日本大震災「第1回・陸前高田――消防団が見た巨大津波」(2012)、「第3回・南相馬――原発危機 翻弄された住民」(2012)、「巨大戦艦大和――乗組員たちが見つめた生と死」(2012)など。

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