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わたしの芭蕉
ワタシノバショウ
- 著: 加賀 乙彦

「芭蕉は美しい日本語の世界に遊ぶ楽しみを私に教えてくれた」。
そう語る加賀乙彦氏は、作家として日本語の表現を、いかに豊かに、簡潔に、美しく磨いてゆくかに砕心してきた。長編作家・加賀乙彦氏が魅了された日本語の美を体現しているのが、十七文字という短い表現法の芭蕉であることが興味深い。
芭蕉の句の、散文の美しさはどのようにしてもたらされたのか。それを三部からなる構成で、具体的にたどってゆく。
第一部では、決定句に至るまでの推敲の跡をたどることで、美しい日本語の探求として俳句の世界を豊かにした事実を示す。
第二部では、推敲よりも、深い愛着の心で自然や人事と交わる芭蕉の姿を見る。
第三部では、芭蕉の人生行路に注目しつつ、俳句をちりばめた紀行や、豊かな俳味を持つ俳文の世界を味わう。
本書は世間に数多ある芭蕉の研究書とは趣旨を異にするものである。加賀乙彦氏が夢中になって読んだ芭蕉の自然を愛でる感性と、美しく奥深い日本語の使い方、その感動を伝え分かち合いたいという気持ちから書かれたものである。
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書誌情報
紙版
発売日
2020年01月30日
ISBN
9784065174319
判型
四六
価格
定価:1,760円(本体1,600円)
ページ数
242ページ
著者紹介
1929年東京生まれ。東京大学医学部卒業後、精神科医として勤務のかたわら小説の執筆をはじめる。67年に刊行した『フランドルの冬』が翌年、芸術選奨新人賞を受賞。73年に『帰らざる夏』で谷崎潤一郎賞、79年には『宣告』で日本文学大賞、86年に『湿原』で大佛次郎賞、98年には自伝的長篇『永遠の都』で芸術選奨文部大臣賞を受賞した。他の著書に『錨のない船』『高山右近』『ザビエルとその弟子』『不幸な国の幸福論』『ああ父よ ああ母よ』『殉教者』など多数。2012年には『永遠の都』の続編にあたる自伝的大河小説『雲の都』の第四部『幸福の森』と第五部『鎮魂の海』を刊行し、ついに完結。毎日出版文化賞特別賞を受賞した。