ユングの心理学

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ユングの心理学

ユングノシンリガク

講談社現代新書

「魂の医師」としてユングは、自己内部を深く凝視し、心の深奥、広大な無意識の領域へ踏みこんでいった。そこは、人間の喜怒哀楽の感情を生みだす源泉であり、心のあやういバランスを保つ力も存在している。忘れられたの断片〈影〉、内なる異性像〈アニマ・アニムス〉、母なるものの根源にある〈グレート・マザー〉、そして〈老賢人〉などのイメージは壮大な神話やファンタジーを創りだしつつ、日常のささやかな幸福や人間関係のドラマにも密接に関わっている。ユングの心理学は、生の根底、自己の未知なる内面への旅である。

ファンタジーの創造社――ユングの心理学では、病的な症状はただ治療しなければならない、過去の悪い思い出とつながるだけのものではない。そこにはすでに、これから生まれるべき、別の姿が、一つのヴィジョンとして含まれているはずなのである。病的な状態が生みだす妄想さえも、ユングは決して否定的なものとはとらなかった。あらゆる人間のファンタジーは、心の奥から生まれてくる想像力が形作ったものなのである。その背景には、揺れ動く人間の創造性があって、現実化されるのを待っているというのが、彼の考えである。――本書より


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目次

●二つの夢
●フロイトとの出会い
●根源としての「母」
 フロイトとの訣別
●危機の時代
●内向と外向
 人間のタイプ
●無意識と元型
●ユングと現代
 「子ども」の活性化

書誌情報

紙版

発売日

1982年12月17日

ISBN

9784061456778

判型

新書

価格

定価:792円(本体720円)

通巻番号

677

ページ数

214ページ

シリーズ

講談社現代新書

著者紹介

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