文芸(単行本)作品一覧

カソウスキの行方
カソウスキの行方
著:津村 記久子
文芸(単行本)
第138回芥川賞候補作 好きになったということを仮定してみる 郊外の倉庫管理部門に左遷された独身女性・イリエ(28歳)は日々のやりきれなさから逃れるため、同僚の独身男性・森川を好きになったと仮想してみることに…… 「恋愛はすごいなあおい」 そう口に出して言ってみるが、棒読みだった。気を取り直して、あやかりてー、とごろんと寝返りを打ってみたが、どうしてもやる気のある人の口調にならない。とりあえず、今満足に意思の疎通ができる男性の数を数えてみるが、本社の連中は皆既婚者で、部長にいたっては孫までいる。こっちではコンパなどなく、藤村は悪くないかもしれないがやはり結婚しているし、なまじ付き合っても殴り合いの喧嘩になりそうな予感がする。 「消去法かあ」 森川君かあ、と言うところを、直前で置き換えた。――(「カソウスキの行方」より) 同時収録「Everyday I Write A Book」「花婿のハムラビ法典」
空で歌う
空で歌う
著:中山 智幸
文芸(単行本)
第138回芥川賞候補作 妻に内緒で兄の彼女と旅に出た 現代文学、期待の新鋭が描き出す「自転からはぐれたみたいな」孤独―― 「でも、天の川なら、中学生のときにキャンプで見たことあるけど」 「それは、なんていうか、まがいものみたいなもんだよ。本物は、地球を消してしまう。立ってる感覚が消えて、自分の目で、この身で感じるのは、どこまでも本物になるんだ」 同時収録「木曜日に産まれた」
アメリカの真珠
アメリカの真珠
著:グレース.ミヤコ・ミヤモト
文芸(単行本)
どの挿話も、胸に響き、心温まられずにはいられない。 私は一気に作品世界に没入した。 高杉良氏推奨! アメリカの日系人は、多くの苦難に立ち向かいながら自らの真価を認識させた。 日系三世である著者が、「真珠」のように輝きを放った日系人たちを書いた感動のノ ンフィクション。 アメリカに渡った日本人移民は、現地の人々に敵対視されることもあった。 そんな厳しい環境や潮流にもまれながら、内側から辛抱強く層を重ね、 やがて温かい光を放つ真珠のように、自らの真価を社会に認識されるに至った。 日本人らしく几帳面で礼節を重んじる反面、 大胆な発想とチャレンジ精神で困難を克服してきた「アメリカの真珠」たちの物語。
極秘資金
極秘資金
著:長岡 哲生
文芸(単行本)
高杉良氏絶賛! 息もつかせず読ませるリアルな迫力!! これぞ経済小説の醍醐味だ。 久々の大型作家のデビューに喝采を贈る! 巨大企業にのみ、国から特別に付与されるという「超巨額資金」。 一流企業の幹部はなぜ闇に取り込まれるのか。 元経済誌の編集長が圧倒的な取材力で描く驚天動地の経済ミステリー! 「実は、日本国には『基幹産業特別資金』というのがあるのです。 これは財政法第四十四条と四十五条で言うところの特別の資金にあたるものなんです。 この資金は膨大な財源がバックにありましてね。実は米国も裏で絡んでいる資金で、 一定の条件をクリアした大手企業に毎年一定額を付与するものなんです。」(本文より) 自分は絶対安全だというのは、大企業に守られている者の幻想にすぎない。
新世界より (下)
新世界より (下)
著:貴志 祐介
文芸(単行本)
見せかけの平和がいま崩れる。 人類が手にしたのは、神の力か、悪魔の力か。 空前絶後のエンターテインメント、ついに佳境! 八丁標の外に出てはいけない――悪鬼と業魔から町を守るために、大人たちが作った忌まわしい伝説。いま伝説が、「実体」となって町に迫る。 新しい秩序とは、おびただしい流血でしか生まれないのか。少女は、決死の冒険に身を投じる。 第29回日本SF大賞受賞
新世界より (上)
新世界より (上)
著:貴志 祐介
文芸(単行本)
ここは汚れなき理想郷のはずだった。 1000年後の日本。伝説。消える子供たち。 著者頂点をきわめる、3年半ぶり書き下ろし長編小説! 子供たちは、大人になるために「呪力」を手に入れなければならない。一見のどかに見える学校で、子供たちは徹底的に管理されていた。 いつわりの共同体が隠しているものとは――。何も知らず育った子供たちに、悪夢が襲いかかる! 第29回日本SF大賞受賞
二つの月の記憶
二つの月の記憶
著:岸田 今日子
文芸(単行本)
「かけがえのない快楽には少しの毒のあるユーモアと不思議な愛とエロスが必要です。今日子さんをそのまま食べて下さい。」――佐野洋子(『100万回生きたねこ』作・絵) 病に倒れる直前まで「メフィスト」誌上に連載していた7つの珠玉の掌編を収録。 「オートバイ」 「二つの月の記憶」 「K村やすらぎの里」 「P夫人の冒険」 「赤い帽子」 「逆光の中の樹」 「引き裂かれて」 (収録順)
詩集 「三人」
詩集 「三人」
著:金子 光晴,著:森 三千代,著:森 乾
文芸(単行本)
反骨の詩人、金子光晴 親子3人の未発表戦中詩集! 戦争暴力への激しい嫌悪と深い愛情に満ちた家族へのオマージュ。 ボコよ。 おまへの愛したものは いつまでもおまへを待つてゐるよ。 ――十万人の兵ではどうにもならぬ とボコが口ぐせにいつてゐたが そのとほり、 暴力にはかなはぬよ。 父とチヤコとボコと三人そろひの 厚手の紅茶茶椀の その一つは伏せたまゝ。 ボコとは縁ふかい父とチヤコは けふからボコを待つだけの 待遠い一日一日を送るのだ。――<「待つてゐるよ」より>
Classical Fantasy Within 第一話 ロケット戦闘機「秋水」
Classical Fantasy Within 第一話 ロケット戦闘機「秋水」
著:島田 荘司,絵:士郎 正宗
文芸(単行本)
大河ノベル2008は島田荘司、士郎正宗 超弩級のファンタジー・ワールド、ついに開幕! 戦局が風雲急を告げ、日本の降伏が濃厚となった昭和20年。亡国の危機を打開するため、最新鋭の高速度ロケット戦闘機「秋水」の研究開発に携わる「ミツグ伯父さん」を慕い憧れる少年、「ぼく」。しかしその現実は、奇妙に、そして確実にねじれていく……。 “ゴッド・オブ・ミステリー”こと島田荘司があの士郎正宗とタッグを組み放つ、全12巻!
ひぐらしのなく頃に 第三話~祟殺し編~(下)
ひぐらしのなく頃に 第三話~祟殺し編~(下)
著:竜騎士07
文芸(単行本)
古手梨花、演舞無惨! “悲劇の火種”は、雛見沢すべてを巻き込み最悪の結末へ……!! 昭和58年、雛見沢村。“トラップマスター”北条沙都子を虐待から救うため、奔走する前原圭一。しかし児童福祉司への相談も、何ら変化をもたらさなかった――。出口の見えない状況と、雛見沢に古くから伝わる“オヤシロさまの祟り”が結びついた時、圭一は“ある決断”を下す。そして事態は、さらなる最凶最悪の悲劇へと向かう……!! かつてない恐怖、そして来るべき未来の物語(ストーリーテリング)の可能性を斬新に詰め込み、あらゆるメディアを席捲したゼロ年代の記念碑的一大ムーブメント、『ひぐらしのなく頃に』の最終形態は、今ここに「小説」として結晶する――。 これぞ小説。『ひぐらしのなく頃に』の到達点にして新たな原点!
名探偵夢水清志郎事件ノート そして五人がいなくなる
名探偵夢水清志郎事件ノート そして五人がいなくなる
著:箸井 地図,原作:はやみね かおる
文芸(単行本)
赤い夢への切符――1枚目 “箸井地図×はやみねかおる”のドリームタッグが、そっと“あなた”にプレゼントする――。名探偵・夢水清志郎シリーズ第1弾! ご存じ“教授”こと名(迷)探偵・夢水清志郎と、亜衣、真衣、美衣の3姉妹が挑む、とびきり不思議な謎(ミステリ)!夏休みの遊園地――。謎の人物“伯爵”のメッセージに誘われるように、次々と消えていく子供たち……!サボってばかりの名探偵は、事件を解決できるのか?講談社文庫版『そして五人がいなくなる』のイラストレーター箸井地図が、『ファウスト』連載分3編に、新たに描き下ろしを1編加え、満を持してここに完全漫画化! ――ようこそ、赤い夢の世界へ――
島田荘司 very BEST 10
島田荘司 very BEST 10
著:島田 荘司
文芸(単行本)
This is the BEST! “ゴッド・オブ・ミステリー”が本格ミステリーの地平に放つ10の“奇跡” 島田荘司がその“ゴッド・オブ・ミステリー”とも謳われる25年に亘る全キャリアを通じて発表したすべての短中篇66作品から自ら選んだ“著者選5作品(Author's Selection)”に、講談社BOXとAmazon.co.jpが共同して開催した読者投票にて選ばれた“読者選5作品(Reader's Selection)”をプラスした全10作品をコンプリート。「前書き」に加えて、収録全作品への著者コメントも新たに収録。 これぞまさに「島田荘司 very BEST」。本格ミステリーの地平に放たれた10の“奇跡”! <Reader's Selection> 1 数字錠 2 糸ノコとジグザグ 3 疾走する死者 4 ある騎士の物語 5 最後のディナー <Author's Selection> 1 大根奇聞 2 暗闇団子 3 耳の光る児 4 傘を折る女 5 山手の幽霊 ※Reader's Selectionは、『御手洗潔の挨拶』『御手洗潔のダンス』(講談社文庫)、『毒を売る女』(光文社文庫)、『最後のディナー』(角川文庫)から収録部を抜粋し、加筆訂正のうえ新たに刊行したものです。 Author's Selectionは、『最後のディナー』(角川文庫)、『踊る手なが猿』(光文社文庫)、『溺れる人魚』(原書房)、『UFO大通り』(講談社)、『上高地の切り裂きジャック』(文春文庫)から収録部を抜粋し、加筆訂正のうえ刊行したものです。
名前探しの放課後(下)
名前探しの放課後(下)
著:辻村 深月
文芸(単行本)
思い出してください、青春のせつなさを。 新・学園ミステリの傑作、ここに誕生! 「あいつだ。俺、思い出した」 「あいつ?」 「クリスマス・イヴの終業式の日の自殺者。あいつに間違いないよ。今日、全部、思い出した」 “誰か”の自殺を止めるための“名前探し”も大詰めに。容疑者を見守る緊迫感、友だちと過ごす幸福感の両方に満ちたやさしい時間が過ぎ、ついに終業式の日がやってくる―― ――青春ミステリの金字塔。
名前探しの放課後(上)
名前探しの放課後(上)
著:辻村 深月
文芸(単行本)
思い出してください、青春のせつなさを。 新・学園ミステリの傑作、ここに誕生! 「今から、俺たちの学年の生徒が一人、死ぬ。――自殺、するんだ」 「誰が、自殺なんて」 「それが――きちんと覚えてないんだ。自殺の詳細」 不可思議なタイムスリップで3ヵ月先から戻された依田いつかは、これから起こる“誰か”の自殺を止めるため、同級生の坂崎あすならと“放課後の名前探し”をはじめる―― ――青春ミステリの金字塔。
樹霊の塔 伊集院大介の聖域
樹霊の塔 伊集院大介の聖域
著:栗本 薫
文芸(単行本)
若き日の名探偵、悩む こんどの舞台は、1970年代。30過ぎの伊集院大介が、秘境の村に閉じ込められてしまった、女流作家の救出に向かう。迫りくる忌まわしい影。天災か?祟りか? 「現代の最後の秘境」といわれる原乃村。そこには、不気味な「樹霊の塔」が聳える。聖域を侵したカオルたちは、呪われてしまったのか!――携帯もデジカメもない時代に、名探偵のアナログな推理が冴えわたる!
最愛の君へ。
最愛の君へ。
著:美帆
文芸(単行本)
生を好きになって、教えてもらったこと。 見た目だけで恋愛してきた18歳の高校生、立花将。 愛し愛される喜びを知らない彼が、28歳の女性教師と恋に落ちる。 大勢が涙した、モバゲー小説大賞受賞作。
本当のうそ
本当のうそ
著:石田 衣良,著:谷村 志穂,著:神崎 京介,著:大道 珠貴,著:吉田 篤弘,著:日向 蓬,著:山本 幸久,著:井上 荒野,著:山之口 洋,著:橋本 紡,著:大島 真寿美,著:甘糟 りり子
文芸(単行本)
優しいうそ 切ないうそ 悲しいうそ…… 今、もっとも注目を集める12名の作家たちによる「うそ」をめぐる珠玉の物語集 ●「アイスドール」石田衣良 ●「ジェリー・フィッシュの夜」谷村志穂 ●「たわむれ」神崎京介 ●「最初でも最期でもなく」大道珠貴 ●「イヤリング」吉田篤弘 ●「去勢」日向蓬 ●「舌のさきで」山本幸久 ●「ダッチオーブン」井上荒野 ●「プロパー・タイム」山之口洋 ●「雨、やみて」橋本紡 ●「母の恋」大島真寿美 ●「赤と透明」甘糟りり子
十五万両の代償 十一代将軍家斉の生涯
十五万両の代償 十一代将軍家斉の生涯
著:佐藤 雅美
文芸(単行本)
華美・豪奢にして 江戸時代の黄金期を 創出した未曾有の将軍 53人もの子を成し、「オットセイ将軍」とも呼ばれた 徳川家斉は、自由放任・放漫財政で好景気を演出した。 しかし自らの欲望が高じて生じた、幕府への大いなる代償とは。 「倹約はもう飽きた。贅沢をしたい。贅沢をして思いっきり羽根を伸ばしたい」 側近・水野忠成に命じて、世界経済史上類例のない 画期的な財政再建を行った徳川家斉。 好景気に沸く、爛熟した化政文化を演出しながらも、 自らの欲で、幕府は大きな代償を払うこととなる。
靖国への帰還
靖国への帰還
著:内田 康夫
文芸(単行本)
大切な人を想うこと。ただ未来を、信じること。 日本を代表するベストセラー作家がいま書かなければならなかった物語。 第11回日本ミステリー文学大賞受賞第一作 「これは、私の代表作になるかもしれない。」――内田康夫 あの日の空、あの時の想いは、いまへとつながっている。 若者たちが純粋に生き、散った時代があった。そしていま、信じることを忘れた現代に、彼は何を見るのか。還るべき場所を失くした青年が探し求めた使命とは。 人の生き方、あり方を問う感動の書き下ろし長編小説
本格ミステリ館焼失
本格ミステリ館焼失
著:早見 江堂
文芸(単行本)
森の中の閉ざされた館が崩れ落ち そして誰もいなくなった!? 愛する叔父の死の真相を探る 奈々緒、その驚愕の結末とは?本格ミステリへの愛と蘊蓄に充ちた傑作が誕生――これぞ、21世紀の「ザ・火沼(?)マ-ダー」だ! ニィは、瞳の色とは逆の、冷たく冴えた眼差しで生首を凝視した。/やがて、ニィの唇から、低い唸り声が洩れてきた。/奈々緒がいくら耳をそばだてても、呪文かなにかのようで、意味の一片も聞きとれなかった。/ほどなく、多田野が言った。/「訳します」/そして、始まった。――(本文第1章より) 突如、磯崎の体が宗形の体の上に崩れた。ぴくぴくと足の先がいく度か動いて、それっきりになった。/私は仰天した。/「どうしたんです、海さん」/テーブルの下に入ろうとした。/その時、苦痛が、まるで天井が覆いかぶさってきたかのような苦痛が、私の脳天を襲った。/な な お――(本文第9章より) ――今は亡き作家と編集者に贈る、渾身の衝撃作