文芸(単行本)作品一覧

6ステイン
6ステイン
著:福井 晴敏
文芸(単行本)
ファン待望の初短篇集、ついに刊行! 存在を秘匿された組織、市ヶ谷――防衛庁情報局で過酷な任務に身を投じる工作員の男たち、女たち。20世紀にいくつかの「染み」を残した彼らへの、6編の鎮魂歌。 いまできる最善のこと/畳算/サクラ/媽媽/断ち切る/920を待ちながら
アウト オブ チャンバラ
アウト オブ チャンバラ
著:戸梶 圭太
文芸(単行本)
「湯女(ゆな)風呂大好き」の江戸版ダメフリーター・平六は錆びた刀を拾って侍気取り…。 トカジダイ劇全6篇 江戸破壊! 「みゃーお」 身長が120センチにも満たない不潔な小男が、一膳飯屋『大木戸屋』の縄暖簾の前に立って鳴いた。本物の猫と紛うばかりの鳴き声であった。おまけに、ご丁寧にも顔に墨で猫髭を描いてある。猫八は小銭か食い物をもらえるまで、こうして人さまの店の前に鉢を持っていつまでもいる。こんな変な奴は江戸に2人といない、などと甘く考えてはいけない。カオス・シティー江戸には変な奴が溢れているのである。――――<本文より>
シネマ・フェスティバル
シネマ・フェスティバル
著:永田 俊也
文芸(単行本)
若い連中がなにかを「始める」物語って、ほんと、いいなあ。――重松清 国語教師と不良娘、落ちこぼれ高校生たちが挑む自主映画コンクール。感動のラスト!大型新人現る 「電話で言っただろ。絶対に、この映画で裕美子を泣かせてやるって」裕美子は涙でぐしゃぐしゃになった顔を上げた。5人の高校生が爽快な笑みを浮かべて自分を見ていた。――<本文より>
袋小路の男
袋小路の男
著:絲山 秋子
文芸(単行本)
第30回川端康成文学賞受賞 指一本触れないまま、「あなた」を想い続けた12年間。 <現代の純愛小説>と絶讃された表題作、「アーリオ オーリオ」他1篇収録。注目の新鋭が贈る傑作短篇集。 選評より―― <袋小路の男>は純愛物語です。多くの作家が書こうとして、なかなか書けなかったテーマを、絲山秋子は達成しました。――小川国夫氏 大都会の真ん中で育った子供たち特有の、過度なまでの節度、孤立したとまどいと寡黙の出口のない切なさが、読者である私にも迫ってきた。――津島祐子氏 2005年本屋大賞 入賞作
駅までの道をおしえて
駅までの道をおしえて
著:伊集院 静
文芸(単行本)
君が待っている、その駅はどこにあるの。夏の微笑と、祈りをのせて電車は走る。かけがえのない時間に逢える短編集。 友だち以上の、君と見ていた夏の海とまぼろし。夏の宵、長嶋監督がくれた真っ白な贈り物。古都の冬、生体肝移植に見た夫婦の絆。二度と逢えなくとも、想い続ける人たちの物語。
楽園の鳥
楽園の鳥
著:寮 美千子
文芸(単行本)
第33回泉鏡花文学賞 受賞 かくも華麗に夢見られた地獄というものが、あっただろうか。これは香り高き南国の花に飾られた、夜の果ての旅の記録である。――四方田犬彦 その鳥には脚がない。だから、いつも羽ばたいていなければならない。眠るのも空の上。ほかの鳥たちが翼をたたみ、樹木に抱かれて眠る時、その鳥は風に翼を広げ、風のなかで眠る。
Fuck Me TENDER ファック・ミー・テンダー
Fuck Me TENDER ファック・ミー・テンダー
著:大泉 リカ
文芸(単行本)
ヌードモデル・リカ、キャバ嬢・ミキ。2人の疾走する「生と性」 もう、フツーじゃいられない。 衝撃の自伝的デビュー作 同じ大学に通うリカとミキ。2人にはお互いに知らないもうひとつの顔があった。欲望とともに肥大する街・歌舞伎町の中で、2人の性は食い尽くされていく――。やがて暴力の影がだんだんと2人を飲み込み……。女であること、女が生きること、その強烈なリアルを描く。
震災列島
震災列島
著:石黒 耀
文芸(単行本)
東海地震に東南海地震が連動、名古屋に大津波が。そして日本は!? 石黒耀(『死都日本』第26回メフィスト賞)が放つ超大作! 次に地震はこうなる。 文学と科学の見事な融合。 石黒耀は、未来の災害日本を描く第1人者だ。――養老孟司 (このままで済むわけがない)多くの日本人が、内心そう思っていた。そして、その日は来た。――<本文より>
西鶴の感情
西鶴の感情
著:富岡 多惠子
文芸(単行本)
商都大坂に生きた町人、俳諧師・西鶴は、なぜ浮世草子「作者」となったのか。 「銀(かね)が銀をもうける」経済膨張の時代、虚構の業を通して「色」と「遊び」を、女と「世間」の実相を見つめた作家の稀有なる散文精神に迫る傑作評論。 廓とはマコトの通じぬ、ウソがかたまってできた世界だというのだが、そういう虚の世界だからこそ見えてくる「粋」という美遊もあった。ただしそれは、「世界の偽かたまつて」いるのは「廓」の内側に限ることなく、われわれの住む人間世界が同じように虚であるとの認識の前景である。西鶴の「美遊」は、ウソのかたまり―虚のなかに辛うじて在りうる。近松の辞世には、「出自」という「実」へのこだわりが見えるのに、西鶴の辞世は自己の「実」人生を無視したがごときつれなさであり、個人的な伝記資料がほとんど残っていないのもそれと無関係でない。――<本文より> 第16回伊藤整文学賞 受賞 第32回大沸次郎賞 受賞
藁の楯
藁の楯
著:木内 一裕
文芸(単行本)
「生きる価値のない男」を守る。命を懸けて。 2人の少女を惨殺した殺人鬼の命に10億円の値がついた。日本警察史上、最も過酷な任務に投げ込まれた5人の男たち。「人間の屑」の楯になることを拒否した警察官たちが直面する絶望の果ての最悪とは!? 未曾有の殺意が充満する戦慄のサスペンス! 「この男なら殺せる」――――――――犯罪に心が麻痺した日本人に与えられた、公然と人を殺す「動機」。リストラ、倒産、年間自殺者3万人。追いつめられた人間が日本中に溢れている。喰えないヤクザ10万人。急増する外国人犯罪。凶悪化する少年犯罪。我が子を虐待死させる親たち。そして果てしなく続く警察官犯罪――――――――全ての殺意が1人の男に向けられたとき、5人の警察官の孤独な戦いが始まった! 心の暗部を揺さぶり、良心を持つことの意味を問う、警察小説の枠を超えた緊迫のエンターテインメント!
新宿ミルク工場
新宿ミルク工場
著:沙藤 一樹
文芸(単行本)
わたしを救えるのはあなたのぬくもりだけ ある日、ビルの屋上で出会った望月景と中川清香。ある晩、廃工場で出会った椎名純紀と久我誠司。大人たちから逃れるには「死」しかないと追いつめられ、さまよっていた若い男女に訪れた偶然。ふたつの出会いがひとつにつながった時、「奇跡」が起きた―。 日本ホラー小説大賞短編賞受賞作家が放つ渾身の書き下ろし小説 「死ねば、安らぎが手に入ると思った」望月景 「あたしには、あんたが必要なんだ」中川清香 「世界に適応できない者は死んでいく」椎名純紀 「おれはきみを助けたい」久我誠司 絶望の果てに紡ぎ出された「魂の再生」の物語
庭の桜、隣の犬
庭の桜、隣の犬
著:角田 光代
文芸(単行本)
夫婦ってなんだろう?愛でもなく嫉妬でもない、何かもっと厄介なものを抱えて、私たちはどこへ向かうのだろう? 傑作長篇小説 「そうちゃん、私いくとこないんだよ」房子は言った。自分たちのやっていることの馬鹿馬鹿しさを、そう言って房子ははじめて実感した。家はある。35年ローンの家がある。居間にも食卓にも無駄なものがいっさいない、清潔で静かな家はある。なのに自分はほっつき歩き、宗二は4畳半を借りている。「阿呆か」宗二は、自分の馬鹿馬鹿しさには気づかないふうで言う。――(本文より)
亜細亜、骨董仕入れ旅
亜細亜、骨董仕入れ旅
著:島津 法樹
文芸(単行本)
綺麗になった大皿は17世紀に作られ、この島に運ばれた本物の青手古九谷だった。 スリランカの小さな骨董屋で見つけた埃まみれの大皿を巡るスリリングな取引。マハラジャの宝や黄金仏、大航海時代の大砲から乳香まで!お宝ハンター・ノリキが骨董を求めアジアを駆け巡る、痛快体験談。 至高の15品!ご堪能ください。 バイバイ、サラリーマン。転職先はなんと骨董商! 危険地帯(トライバルエリア)をくぐり抜け、ガンダーラ仏を巡る息詰まる駆け引き!インドで出会った男が案内してくれた先は、なんとマハラジャのお城!カトマンズの迷路のような裏道をくぐり抜け辿り着いた国宝級の歓喜天像。フィリピンの島で見つけたスペインの大砲やイエメンの乳香まで。アジアを舞台に繰り広げられる「仕入れ旅」。サラリーマン生活に飽き足らず、骨董の世界に飛び込んだ男の手に汗握る冒険談!
偽りの館
偽りの館
著:折原 一
文芸(単行本)
読者への挑戦! 煉瓦造りの洋館。犯人について取材中の<私>。天井裏から発見された手記。 役者が揃った。 広大な公園に接して立つ3階建ての洋館。建物は周囲に不気味な威圧感を与えていた。人が住んでいれば、また違った印象があるかもしれない。「お、ば、さ、ん」訪問者は、闇に没した建物の奥へ呼びかけた。「な、ん、だ、い?」訪問者の全身が恐怖で硬直した。だが、それは風のいたずらだったのか。首を強く振ると、声は聞こえなくなった。…………
ザ・ハウス・オブ・グッチ
ザ・ハウス・オブ・グッチ
著:サラ.ゲイ・フォーデン,訳:実川 元子
文芸(単行本)
グッチ勃興から、一族の内紛、ルイ・ヴィトンを軸とするLVMHグループとの仁義なき買収戦争まで、ブランド・ビジネスの壮絶なる一大絵巻! デザインにとどまらず、ブランド全体をプロデュースした男、天才、トム・フォードは、いかにしてグッチを復活させたか!? 殺人狂気欲望権力愛情嫉妬 泥沼の裁判から、過酷な企業買収戦争まで。富の象徴グッチ80年の真実!
薔薇密室
薔薇密室
著:皆川 博子
文芸(単行本)
山間の僧院に住まう、1人の男。繰り返される禁断の実験。 物語が歴史を凌駕する。驚愕の書き下ろし長編小説 ドイツ・ポーランド国境に、人知れず建つ古びた僧院。そこは、咲き乱れる薔薇に閉ざされた狂気の世界だった。やがて外界は第二次大戦の波に呑まれ、僧院は接収されるが―― 現と夢幻のあわいを貫く物語が、歴史をも従えて迸る。待望の書き下ろし。
魔王城殺人事件
魔王城殺人事件
著:歌野 晶午
文芸(単行本)
星野台小学校5年1組の翔太たちは、探偵クラブ「51分署捜査1課」を結成した。いくつかの事件を解決し、ついに、町のはずれにある悪魔の巣窟のような屋敷、デオドロス城(僕たちが勝手に名付けた)にまつわる数々の怪しいウワサの真相を確かめるべく探険することに!潜入直後、突然ゾンビ女(?)が現れたかと思うと、庭の小屋の中で謎の消失!新たに女子2人が加わった「51分署捜査1課」は再び城に。今度は小屋の中で乳母車男(!?)の死体を発見してしまうのだが、その死体も消滅してしまう。やはりデオドロス城には何かただならぬ秘密が隠されているのだ。
車掌さんの恋
車掌さんの恋
著:有吉 玉青
文芸(単行本)
大人に憧れる少年、自由に生きたい女子高生、過去にしばられる男。 それぞれの思いを乗せて電車は行く。そこにレールのあるかぎり――。 電車がはこぶ、どこか懐かしい5つの物語。 突然、乗務員室にあらわれた謎の少女。車掌さんは困惑しながらも、その少女に“心のざわめき”を覚える。過去と現在をつなぐ表題作『車掌さんの恋』ほか4篇を収録。
螢 坂
螢 坂
著:北森 鴻
文芸(単行本)
カウンターでゆるり、と時が流れる。≪香菜里屋≫に今日もまた、事件がひとつ。 わだかまっていた謎が、旨いビールと粋な肴で柔らかくほぐされる。 それが当店の「陰謀」なんです。 「螢坂」 すべてを捨てて戦場カメラマンをめざした頃のあの坂道は、どこに消えたのだろうか。 「猫に恩返し」 世田谷線の線路に面して建てられた黒猫ゴン太の顕彰碑。その裏側に、女の顔が浮かぶという噂が……。 「雪待人」 3代続いた画材屋が、いよいよ店を畳むという。待ち続けた1枚の絵は、いつ完成するのだろう。 「双貌」 カウンターの向こうから見つめてくる男の姿が、記憶の底を刺激する。 「孤拳」 若くして逝った「脩兄ィ」の最期の願い――幻の焼酎・孤拳を探し求めてドアを開けた、香菜里屋で明かされた衝撃の事実。
芥火
芥火
著:乙川 優三郎
文芸(単行本)
昨日までとは違う一日を生きる。 負わされた宿命に耐え、新しい人生をけなげに切りひらこうとする江戸の男と女。 隅田の川縁に暮らす人生の哀歌。 下総・行徳生まれのかつ江のささやかな幸福は、8歳で終わった。代わってはじまったのは、食べてゆくための戦いだった。欲しいものは自分の力で手に入れるしかない。下働き、娼婦、妾……出直す、そう告げた背へ、佃町の娼家の主うらは、明るい声をかけてきた。――<「芥火」>