文芸(単行本)作品一覧

池辺の棲家
池辺の棲家
著:加藤 幸子
文芸(単行本)
いのちの連環を描く秀作短篇連作集 探さなければ、ここにいる。 都会の片隅にある池のほとりで、いきものたちと共にめぐる季節と満ちてゆく人生の時間――。 満天の星の数ほどの存在が、千亜子を咀嚼している。もの凄いスピードで。 サクサク シャリシャリ ポソポソ パリパリ。 咀嚼する歓びと咀嚼される歓びが共鳴する。 意識以外の千亜子のすべては、他のものたちと平等に咀嚼され、吸収され、押しだされる。 結果として、落葉の土、鴨の土、鷺の土、猫の土、コウモリの土、油蝉の土、千亜子の土、夫の土となり……。池のほとりに住むことに、なぜ自分たちがこだわりつづけてきたのか。――本文より
タブロイド時評
タブロイド時評
著:泉 麻人
文芸(単行本)
大見出しの陰で見つけたいまどきの出来事。 僕が「新人類」だった頃から20年。ビミョーな事件最新100コラム。 夕刊フジの人気連載「通勤快毒」を単行本化。 アイボの登場、小泉ショップ、サッチーブーム… 数年前の出来事が、やたら昔に思えてくる。 日常のB級なニュースを毒を効かせて切り取ったコラムの単行本化第6弾
江利子と絶対
江利子と絶対
著:本谷 有希子
文芸(単行本)
23歳の才能、衝撃のデビュー作! この年齢でここまで書くか。この年齢だから書けるのか。――朝日新聞文芸時評 関川夏央氏 悪意、ユーモア、溢れる想像力。 やっぱり、おもしろくなければ文学じゃない! 引き籠もりの少女・江利子と“絶対”と名付けられた犬のコンビが繰り広げるぬるい日常を、姉の視線から描く表題作『江利子と絶対』。 頭髪に問題を抱えた中年男・多田と、その隣人の帰宅を生垣に潜んで待つ女、アキ子。ふたりの悲惨な愛の姿を過剰なまでのスケールで描き出した『生垣の女』。 問題児でいじめっ子の波多野君と、その手下の僕と吉見君。3人の小学生が迷い込んだ、窓のない屋敷は……。手に汗握る殺人鬼との攻防を描く、ホラー傑作『暗狩』の3編を収録。
LAST
LAST
著:石田 衣良
文芸(単行本)
直木賞受賞第一作 崖っぷちの人間をダーク&ビターに書きました。ぼくの別な顔に、震えてください。――石田衣良 もう後がない!追いこまれた7人のそれぞれのラスト! ・LAST RIDE(ラストライド)……運転資金に苦しむ街工場主が闇金の返済期日にとった行動とは? ・LAST CALL(ラストコール)……零細企業のサラリーマンが旧式のテレクラで垣間見た地獄。  ――ほか、全7篇。
医者と侍
医者と侍
著:二宮 陸雄
文芸(単行本)
涙なくして読めない医学歴史小説の秀作 エゾ地警衛に当たるひとりの青年医!酷寒の地に次々倒れる津軽藩士たち。 文化年間に津軽藩が幕府の命によって数次にわたり藩士をエゾ地に派遣したのは、ロシア船のエゾ地襲撃に対する警衛のためであった。斎藤勝利はその津軽藩警衛隊の一員としてソウヤを経てシャリで越冬警衛し、その顛末を日記に記録した。恐ろしい寒気の中で壊血病のためにほとんどの藩士が死んでゆく。記述は、まことに鬼気迫るものがある。この『松前詰合日記』を読み、現地の砂丘とハマナス茨と荒波を見ると、私はこの僻地で、無援の越冬を強いられた百人余の津軽藩士の孤立した無意味な努力と襲い来る姿なき病魔の恐怖、絶望、望郷の想い、家族への切ない愛を痛いほど感じざるをえない。身を凍らせながらも、武士としての倫理を守ろうとするその姿は、すでに失われている日本人の姿である。――〔あとがきから〕
真夜中のユニコーン 伊集院大介の休日
真夜中のユニコーン 伊集院大介の休日
著:栗本 薫
文芸(単行本)
名探偵が偽りの楽園を彷徨う。 寂れた遊園地<ユニコーン・パーク>で起きた迷子騒ぎ。 だが見つかったのは子供ではなく……。 伊集院大介と稔クンはパークの裏側に踏み込んだ! 教授との恋に破れた。 半ばやけ気味に 閉鎖寸前の遊園地で アルバイトを始めた聡子は、 園を愛する青年・諒、古参女子バイトの憧れ・氏家らと出会う。 楽しいはずの場所で発生した不可解な事件とは。
青豆とうふ
青豆とうふ
著・装丁:和田 誠,著・装丁:安西 水丸
文芸(単行本)
二人がかわりばんこに文と絵をかいた、楽しさあふれるしりとりエッセイ。 タイトルは村上春樹さんが付けてくれました。 描下ろしカラーイラストレーション満載! ショーン・コネリーのハゲ頭から始まった話は、ロボットから美空ひばり、ニューヨークのキングコング、寺山修司、ビートルズとつながり、UFOを見て、カラオケ、IVYファッションを語り、ローマでの無銭飲食となっていき……。
ファッション ファッショ
ファッション ファッショ
著:山田 詠美,著:ピーコ
文芸(単行本)
オープントウの靴にストッキング、パーティドレスにバーキン、ゆるゆるのサッシュベルト、ジャストウエストのパレオ――憎むべきアイテム撲滅のために、今日も二人は愛ある毒を吐き散らす。
異形の城
異形の城
著:東 秀紀
文芸(単行本)
畏怖すべきは安土城! 人間崩壊したのは、信長か光秀か? 不思議なほど見事に清潔な魔の城。 歴史文学賞受賞作家で建築家の傑作 ――信長的精神 東秀紀―― 建築は構想する者の思想や夢の表現だといわれるが、安土城はその壮大さ、華麗さ、そして不可思議さにおいて、まさに信長をデザイナーとするにふさわしい。―― 信長がいなければ、日本が統一されるのはもっと遅れていただろうし、中世の古いしがらみから脱け出すこともできず、徳川幕府下での長い平和も築かれなかったであろう。江戸時代に花開いた文化や経済も、根は信長の開明政策に求められるし、幕末維新から明治に至る近代化、戦後日本の高度成長などは、われわれ日本人の心にある信長的精神が、時として封印から解き放たれた結果ではないだろうか。
火薬と愛の星
火薬と愛の星
著・写真:森 健
文芸(単行本)
第46回群像新人文学賞受賞作 ・なるほど、20年後の『風の歌を聴け』はこうか――選考委員 加藤典洋氏 ・この作者は「新しい人」なのかもしれないと思った。――選考委員 高橋源一郎氏 この作品には、読んでいてところどころ、おっというような光る個所がある。いわゆる女たらし系の若い男が、いろんな女性をナンパしつつ、1人の恋人に出会ってここで「死のう」と思うという、『童話100万回生きたねこ』を下敷きにした小説だが、その最後の恋人との出会いが語られず、手で隠されているところ、しかし別の形で小説に現れているところ、そういうところに熱さとともに冷静さをひめた小説家の資質を感じた。 ――選考委員 加藤典洋氏(選評より)
いつも君の味方
いつも君の味方
著:さだ まさし
文芸(単行本)
かけがえのない人がいて、もう会えない人もいる。 笑い、泣き、勇気づけられて、ずっと歩いてきた。 仕事仲間、旅先で出会った人たちとの心温まる最上のひととき。 27時間テレビで話題沸騰となった「退職の日」に出会った新幹線の車掌さん。 永遠のヒーロー「ナガシマシゲオ」への熱き想いと今だから明かせるエピソード。 一生のエールとなる言葉を残し、若くして亡くなったバンドの仲間…… さだまさしがその半生の中で、特に心に残った人と出来事を綴ったエッセイ11篇。
浮世道場
浮世道場
著:群 ようこ
文芸(単行本)
「解体新書」はプロジェクトXだ! 「風姿花伝」は人生の指南書だ! いま読むと、こんなに面白い古典の数々。 浮世の身すぎに悩んだら、すべての答えはここにある! ・日本人は昔からマニュアル大好き「女重宝記 男重宝記」 ・落としたおかずを拾い食いする坊さん!?「典座教訓・赴粥飯法」 ・今もいるいる、きっついタカビー女「蜻蛉日記」 ・実は煩悩まれだった「方丈記」の鴨長明 ・大江戸ナンパガイド「紫の一本」 ・エリート女性の孤独「紫式部日記」――他全12編
明治ちぎれ雲
明治ちぎれ雲
著:平山 壽三郎
文芸(単行本)
知恵と才覚で牛鍋屋を開き、新しい暮らしを手に入れる女と、 それを支える元士族の男が生きた、動乱の幕末・明治。 「東京城残影」「明治おんな橋」に続く明治3部作の書下ろし時代長編。 ――あれよあれよと言おうか、夢のようだと言おうか、人々は、この明治の世を御一新と呼ぶが、よく言ったものだ。龍之介は思う。――誰にも彼にも、なんとも目まぐるしい3年だったが、考えてみれば、3年まえのおれたち夫婦も、みんなといっしょになって右往左往していた口じゃねえか。
浪々を選びて候
浪々を選びて候
著:岩井 三四二
文芸(単行本)
いつか必ず信長に勝つ! あえて浪人となった美濃斎藤家の勇将・日根野弘就。流浪の果てに行き着いた先は……。 強大な権力に抗う中年の不安を、松本清張賞受賞の実力派が描く、書下ろし時代長編。 永禄10年、日根野弘就37歳。 美濃斎藤家で勇将として聞こえていたが、主家が織田信長に滅ぼされた。 信長に屈することを拒んだ弘就は、一族を連れて関東に下るが、仕える先々で主家が信長に潰されていく。 中年になって禄を離れる不安、新しい主君への処世術、家族との葛藤、強大な権力に身をゆだねる喪失感……揺れ動く男の心情を克明に描く。
9月11日からの僕のこと
9月11日からの僕のこと
著・その他:小林 紀晴
文芸(単行本)
あの日、僕はそこにいた。 あの事件をニューヨークで体験した小林紀晴が描く“僕たちの9.11”。 等身大の9.11がここにある。 今日、何が変わったのか。突然、何が、何によって変えられたのか。あの煙を目にしただけで、人は何かを知ることなどできるのか。何かを正確に言葉にすることなどできるのか、そして、していいのか。僕にはわからない。僕にはうっすらとこうばしい匂いを漂わせながら青空にひろがっていく白い煙のことがよくわからない。――(本文より)
せちやん―星を聴く人―
せちやん―星を聴く人―
著:川端 裕人
文芸(単行本)
くじら座のフーガ。 銀色ドーム。 十二光年の孤独。 『夏のロケット』の著者が、星に魅せられた少年の「その後」を描いた長編小説。 ぼくはいつもここにいて、訪ねてくれる人を待ちながら、空を見つめている。
殺し屋はバスに乗る
殺し屋はバスに乗る
著:山本 音也
文芸(単行本)
新宿にいたサムライ! コールガールとヒモ、喋れない青年と老刑事……小悪党たちのヤクザ殺しに感動の結末 清張賞作家初の切ないクライムノベル カナコは彼らに目を止めてからガーシーを仰いだ。 「明日、長距離バスに乗ろう。分かる?言ってること。 一生懸命やったから、もうこれ以上困ったこと起きないよ……。」――本文より
日曜日たち
日曜日たち
著:吉田 修一
文芸(単行本)
芥川賞「パーク・ライフ」 山本周五郎賞「パレード」 最注目の新鋭!待望の受賞後第1作。 <東京>の地図の上で交差する、男と女の5ストーリーズ。 最高の連作長篇小説! きっといつかは忘れてしまう、なのに忘れようとするほど忘れられない。 ありふれていて特別な、それぞれの日曜日――。 東京ひとり暮らしの男女5人、それぞれの物語に同時代の<生=リアル>を映す、長篇最高傑作!
ウッふん
ウッふん
著:藤田 紘一郎
文芸(単行本)
ウンコとセックスのふか~い仲。 みんな秘密にしたがるけれどもっと、もっと愛してみよう。 超清潔志向社会に待ったをかける、緊急書下ろしエッセイ。 きたないものは大キライ。だから生きる力が弱ってる。 寄生虫やバイ菌などは、「ウンコ」と共に、きたないものの代表です。しかし、私たちが普段きたないと思っているものが、ほんとうはきたなくなく、反対にきれいだと思っていたものが実はきたないということがわかってきました。このことを「ウンコ」を通して探ってみようと思ったのです。
ひさしぶりにさようなら
ひさしぶりにさようなら
著:大道 珠貴
文芸(単行本)
いちど入ったら抜けられない、こわくてたのしい家族の生活。 新・芥川賞作家が贈る[無敵の家族小説]! ずっと怠惰に生きてきたら、怠惰同士がめぐり合い、結婚し、その後も怠惰なのだが、どこかでちゃんとまわりから、認められ、夫婦らしくなってきたのだった。そうして、ときが経つにつれ、赤ん坊もこうしてちゃんと成長した。まわりが言うほど、しっかりしていないわけでも、危なっかしいわけでもない。――(本文より)