文芸(単行本)作品一覧

一葉
一葉
著:鳥越 碧
文芸(単行本)
報われない愛 胸しめつける孤独 24歳で逝った明治の女流作家・樋口一葉の人生 なみ風のありもあらずも何かせん 一葉のふねのうきよ也けり――樋口一葉
核の柩
核の柩
著:松浪 和夫
文芸(単行本)
首都高速「走る」核爆弾 走り続けるしかない――時速60キロを切れば爆発する、核燃料輸送車に仕掛けられたテロリストの罠。ノンストップの死闘 これは国家の危機だ。 怖いんです。もし爆発したら…。 仲間がまた死んでもいいのか。 我々の目的は殺戮ではない。 パニックを望んだ訳ではありません。 カウントダウンは始まった。
新・考えるヒント
新・考えるヒント
著:池田 晶子
文芸(単行本)
人生を、考える。 小林秀雄と池田晶子、2人の思惟する精神の、宿命的出会いが生んだ<正しく考えるためのヒント> 人生について考えるという、誰もがしているはずのこの当たり前のことが、しかしこれを正しく行なうということは如何に困難なことであるか。繊細に振れる針のような注意力が必要なだけではない。確信を持って把んだものを決して手離さないという忍耐力、裏から言えば、偽りを偽りと看破し去る力強い直観力が必要なのだ。 ――<本文より>
闇のなかの赤い馬
闇のなかの赤い馬
著:竹本 健治
文芸(単行本)
聖ミレイユ学園で神の怒りとしか思えない悲劇があいついだ。ウォーレン神父は校庭の真ん中で落雷に遭って焼け死に、さらにベルイマン神父が密室と化したサンルームで、人体自然発火としか考えられない無残な焼死体となって発見されたのだ。 「汎虚学研究会」はみんなからキョガクの連中とよばれる、ちょっと浮世離れしたメンバー4人で構成されている。部長は僕、室井環。中でも好奇心のかたまり、フクスケは女ホームズと化し、ワトソン役に僕を指名した。ベルイマン神父の死は殺人に違いないというのだ。僕は夜ごと見る、狂った赤い馬の悪夢でそれどころじゃないのだが……。
鬼神伝 鬼の巻
鬼神伝 鬼の巻
著:高田 崇史
文芸(単行本)
京都の中学に転校してきて3ヶ月、天童純に友だちはいない。純の胸には生まれた時から赤紫色のふしぎな形をしたあざがあった。ある日、いじめっ子に追いかけられるうち、純は東山の麓ふかくに建つ古びた寺に迷い込み、密教僧・源雲によって時空を超え平安の都に飛ばされてしまう。胸に勾玉の形をしたあざがある純こそ封印された龍・オロチを解きはなち、鬼を退治するべく選ばれた者だという。桃太郎、一寸法師……。彼らはなぜ鬼を退治するのか。鬼とはいったい何者なのか!?
ミルキー
ミルキー
著:林 真理子
文芸(単行本)
子を産んだ女ほど、いやらしいものはない。 みんな普通の人だから、愛はこんなに奥深い。手に入らない女は美しい。別れたいときの女は恐ろしく、別れられないときには、女はずるい。普通の男女の愛とセックスの深さと不思議を描いた、著者久々の短編集。
ひと美の江戸東京名所図絵
ひと美の江戸東京名所図絵
著:菊地 ひと美
文芸(単行本)
画家 菊地ひと美の新江戸東京物語。 江戸趣味の上々吉は、散歩町歩き。 大江戸案内 皇居散歩/日本橋/人形町/大伝馬町・小伝馬町/銀座・歌舞伎座/築地・佃島/神田・神保町/本郷・後楽園/神楽坂/上野・湯島/根津・谷中/浅草・向島/両国・江戸博/深川・本所/六本木・汐留 [目次から]
黄金蝶ひとり
黄金蝶ひとり
著:太田 忠司
文芸(単行本)
5年生の夏休み、洸は物心がついてから1度も会っていない祖父・白木義明の住む茶木村で過ごすことになった。アサギマダラという蝶が群れとび、鍾乳洞があり、豊かな自然が残る村には、山を守る“テツ”がいるという。 「茶木牧場&白木万能学研究所」なる看板をかかげた祖父は、あらゆることの先生として、村民から尊敬されていた。だが、なにか皆に秘密にしていることがありそうだ。村にかくされているという宝と関係があるのか……。ある日とつぜん祖父が姿を消した。茶木村を観光地化しようと前村長の不良息子が会社社長となって戻ってきたのと、関係があるのだろうか。彼の真の狙いは村の宝にあるのでは……。
魍魎の匣
魍魎の匣
著:京極 夏彦
文芸(単行本)
京極夏彦の不朽の名作 京極ファン必携の豪華愛蔵版第2弾刊行! 相模湖における巨大立方体をめぐる謎。匣にまつわる奇妙なバラバラ殺人。失跡した少女たち。京極堂がすべてを明らかに!日本推理作家協会長編部門賞受賞作。 日本推理作家協会賞第49回長編部門賞受賞作 週刊文春傑作ミステリーベスト10 1995年第4位 このミステリーがすごい! 1996年国内編第4位 「本の雑誌」国内ミステリーベスト10 1996年第7位
生まれる森
生まれる森
著:島本 理生
文芸(単行本)
今度あの人に触れたら、きっとわたしは死んでしまう 初めて知った恋の深い痛みと、ゆるやかな新生を描く20歳の恋愛小説 厳密には、この物語は恋愛小説とは言えないかもしれない。ただ、書き終えてみると自分自身の中にある恋愛のイメージがもっとも強く反映された作品になった。だれかを救いたいと思うこと。その相手の手を放すか、それとも掴むかの一瞬の違いが恋愛の残酷さでもある。そんな恋愛の一面を通して主人公の少女時代の終わりを書きたかった。だれもがかならず最後には森から出て行くことができるはずだと私は思っている。―――あとがきより
松島市兵衛風流帖
松島市兵衛風流帖
著:大野 靖子
文芸(単行本)
犯罪都市江戸捕物情話 八丁堀同心の創りだした、独自のネットワーク。江戸の幸福を求め、底光りする人間の魅力が輝く傑作 [目次から] 多喜の笛 勇魚と呼ばれた男 父と子 八丈綺譚
夜の明けるまで 深川澪通り木戸番小屋
夜の明けるまで 深川澪通り木戸番小屋
著:北原 亞以子
文芸(単行本)
江戸・深川。過去を秘めた心やさしい木戸番小屋夫婦のもとに、今日もひっそりとやって来る男たち、女たち。珠玉の時代小説シリーズ第4作。 第1話 女のしごと 第2話 初恋 第3話 こぼれた水 第4話 いのち 第5話 夜の明けるまで 第6話 絆 第7話 奈落の底 第8話 ぐず 第39回吉川英治文学賞 受賞
黒苺館
黒苺館
著:水木 ゆうか
文芸(単行本)
兇悪の庭にたちこめる死の香り! 戦慄の心理ホラー、美人作家が描く母と娘の葛藤劇。 バス停から続く緩い上り坂が尽きると、やがて古びた煉瓦塀が現われた。樹木の向こうに、矢内原邸の黒い切妻屋根が見える。楡の葉が道に濃い影を落としている場所で、俊子は塀にもたれ、痛む腰を伸ばした。敷地が辺りいったいの住所区画を占有するこの矢内原の家は、先々代の主が昭和の初期に、高名な建築家に依頼して建てたものだという。木組みを外側に見せたスクラッチ壁と大小5つの切妻屋根の重なり、応接間の一部を八角形状に突出させた外観は時を経ても美しく、辺りを威圧する森厳さを湛えている――。(娘の)りさ子が寝ているのはどの部屋だろうと、俊子は2階の窓を仰ぎ見た。
底のない袋
底のない袋
著:青木 玉
文芸(単行本)
豊かに生きる暮しのヒント 知りたがりやの袋は底がない。お勝手道具のこと、ちょっと昔の話、楽しい体験など、色とりどりにつめこんで… 竹内浩一カラー挿絵12点入り 年を取るということは、今迄になかった経験を積むことだと思う。気力体力が入っている小さなお財布を握って、善きにつけ悪しきにつけ、厳に体力の浪費をつつしみ、元気という小金をせっせと溜め込むことである。その一方で昨日より今日、今日より明日と体を動かし続けて勤めれば、だんだんよくなる法華の太鼓、先ずは果報うたがい無しというところだが、さてどんなものだろうか。――あとがきより
私小説
私小説
著:岩井 志麻子
文芸(単行本)
男に会うためだけに海を越えるわたしのいじらしい性欲 ベトナム人のボーイから韓国のホテルマンへ。どこまでも赤裸々に綴る魂の放浪記 わたしは子供の頃から痩せていた。なのにわたしは、いやらしい体付きだとよく言われた。顔立ちもだ。寂しげな、とこれも子供の頃から言われていた。なのに、いやらしい顔だと言われた。――本文より
テクストから遠く離れて
テクストから遠く離れて
著:加藤 典洋
文芸(単行本)
理論編 これが批評だ!世界が見える! いま求められる批評の原理とは?小説の核心的<読み>を通して、テクスト論・ポストモダン理論の限界と文学思想における批評の停滞を超え、新たな普遍性の原理を提示する脱テクスト論の地平へ。 わたしはただの読者として小説を読むということだけを心がけた。この本にもしほんの少しの新しさがあるとしたら、ただの読者が小説を読むという経験だけで、バルト、デリダ、フーコーといった「作者の死」の論者たちの説に、向き合っていることだ。ここに脱テクスト論と呼んでいるものこそ、これまでの作者還元主義批評に対する、ありうべき否定の論、その克服の論なのだと、わたしは考えている。――あとがきより
父は信長
父は信長
著:新井 政美
文芸(単行本)
新視点から描く信長と信忠 トルコ学者が鮮やかに描く、乱世の父と子。信長の胸奥に肉迫する、信忠の痛切な想い! 目次より 子獲り/天下布武/疑惑/浜松城/五徳/迷路/妙覚寺
眼球の毛
眼球の毛
著:青来 有一
文芸(単行本)
静謐な未来都市の無明! 40年後、新しい奇病、変わらぬ男女の煩悶。 芥川賞作家初の書下ろし特別作品 2040年、土曜日の朝、40歳になった教授は、愛宕山の家で、小鳥たちのさえずりを聞きながら目覚める。未来都市東京は、いたる所で木漏れ日が揺れているエコロジー都市である。素粒子論の研究にいきづまっている教授は、土曜日の午後を、研究室の助手である愛人と過ごす時間に、無上のエロスの喜びを見出しているのだが、最近、その愛人と若い研究者の関係を疑い、不安と嫉妬に揺れていた…。
愛妻日記
愛妻日記
著:重松 清
文芸(単行本)
R-18指定の重松清 奥様には隠れて読んでほしいのです。 夫のゆがんだ情欲を描く、初の性愛小説集 「匿名で官能小説を」という「小説現代」編集部の注文を承けて、表題作を書いた。最初は一度かぎりの企画物のつもりだったが、ハマった。2作目以降は、志願して短編を書き継いでいった。全6編。いずれも、夫婦の物語。官能小説。妻に対する夫のゆがんだ――でも、だからこそまっとうでありうるはずの情欲を描いた。小説の書き手として、これらの物語を僕は欲していたのだろう。今後も夫婦や家族の物語を書きつづけたいから、性から逃げたくなかった、のかもしれない。 重松清
豆腐小僧双六道中 ふりだし
豆腐小僧双六道中 ふりだし
著:京極 夏彦
文芸(単行本)
これぞ妖怪。 私は誰、此処は何処。小僧は彷徨(さまよ)う。小僧は進む。 妖怪豆腐小僧がアイデンティティーを捜す!? 「なぜ、手前は豆腐を持っているんでしょうか?」自己の存在理由、存在意義にうすーく不安を抱く小さな妖怪が数々の異種妖怪に出会い、「世間」を知る立志篇!