文芸(単行本)作品一覧

いやでも楽しめる算数
文芸(単行本)
これでどうだっ。算数をめぐってハカセとサイバラがバトルを展開。異色爆笑知的入門エッセイ。
「理科」「社会」に続く爆笑コンビシリーズ。算数にまつわる面白話に、多くの読者の苦手だった記憶が消えるどころかますます悪夢となっていく過程がサイバラの猛毒マンガと共に楽しめる、シリーズ最高の激しさ。

満月
文芸(単行本)
母親が犠牲となった四・三事件の謎を追って夢の導きで血の瀑布に……
ことばが躰から離れない、ことばが痛み苦しむ躰といっしょで躰から取れない、やつらにされたことを口で話そうとしても躰が打ち震えて、死ぬように痛んで、ことばが離れない(本文より)

向島
文芸(単行本)
渡辺淳一氏絶賛!
愛と哀しみの秀作!
向島生まれの著者が涼しやかに描く現代の芸者25歳の全く新しい肖像
花街という、一見古くて新しい世界に生きる女性の、成熟と憂愁が、気品ある文体とともに生々しく伝わってくる。――渡辺淳一

湖賊の風
文芸(単行本)
衆を恃(たの)まず、将に屈せず。
歴史は名も無き英雄を生んだ!
琵琶湖の利権を我がものとする、湖賊とおそれられる船道(ふなど)衆とその背後に控える比叡山延暦寺。
己を縛る全ての掟に抗って、戦い続けた男の数奇な生涯。
室町中期、都へ物資を運ぶ水運の要・琵琶湖では、その権益をめぐりさまざまな勢力がひきしめあっていた。とくに最重要地・堅田(かたた)には、湖上の航行権を押し売りする「湖賊」とおそれられる船道衆たちが激しく争い、その背後では延暦寺(山門)が絶対的な権力で君臨していた。さらに蓮如率いる新興の本願寺門徒も、商工民ら全人(まとうど)衆を支え、機をうかがう。
そんな中、諸勢力に全く与しないひとりの異端児がいた。その名は、魚鱗(ウロクズ)。天才的な操船術を持ち、自分を縛るもの全てを嫌い、誰の配下にも属さず、自由に生きようとする。
湖国の王への道を進む男の戦いを描く、怒濤の歴史小説。

海明け
文芸(単行本)
男は、国家百年の計に命をかけ、女は、その男を慕い続けた。
繁栄の絶頂に沸く北の街に、2人の想いが交錯する。
大正期の小樽を活写した長編恋愛小説

迎え火の山
文芸(単行本)
骨太の書き下ろし傑作エンターテインメント!
鬼気迫る、新田次郎賞作家の新境地。
死を覗く女あり。
東北の地、谷間の小村。魅惑の村おこしプランは、古(いにしえ)の採燈祭(さいとうさい)を復活させた。忍び寄る何物かの群。生と死の臨界は、驚愕と戦慄の真実によって破られる!
出羽三山の一峰、月山の頂に“迎え火”がともる。盆供養の祭りを古来より伝わる方式によって復活させた村人たちに、姿なき「魔」の手がのびる。生と死の臨界を破る戦慄の真実。死の裏側を語る女の正体とは?
異世界が現実を侵す時、もはや恐怖は存在しない……

13階段
文芸(単行本)
本年度江戸川乱歩賞受賞作!
選考委員が満場一致で選出!
無実の死刑囚を救い出せ。期限は3ヵ月、報酬は1000万円。
喧嘩で人を殺し仮釈放中の青年と、犯罪者の矯正に絶望した刑務官。彼らに持ちかけられた仕事は、記憶を失った死刑囚の冤罪を晴らすことだった。
最大級の衝撃を放つデッド・リミット型サスペンス!

数学は嫌いです! 苦手な人のためのお気楽数学
文芸(単行本)
数式を見ると虫酸が走る。
公式を開くと悪夢が甦る。
そんなあなた、読みなさい。
私も数学は大の苦手だった。関数だの方程式だの微分だのといっても、基本的な部分は、日常生活の中で普通に暗算しているようなことばかりだ。いきなり抽象的な記号を並べて話をはじめられたのでは、目の前にたちふさがる抽象性の壁の前で立ち止まるほかないのである。――(本文より)

堯帝春秋
文芸(単行本)
堯舜の世の人間讃歌!
中国古代小説に全く新しい風!元芥川賞候補の悠々たる筆致。

現代映画への旅
文芸(単行本)
映画時評1994-2000
誕生から百年を越えて激変する日本の、そして世界の映画の、現代への旅。
本書は月刊文芸誌「群像」1994年1月号~2000年12月号に連載した映画時評が収録されている。(中略)その間、映画生誕百年を迎えたことが感慨深い。百年に過剰な意味を持たせるつもりはないが、大きな区切り目であることは間違いない。19世紀末に生まれた映画は、百年の歩みのなか、途方もなく様変わりしてきた。むろん不変の部分もあって、それこそが映画表現の根底をなすと思われるが、そのことの捉え方はめざましく変容してきたし、いまなお変容しつつある。本書では、ご覧のように日本映画と外国映画を区別することなく、ごっちゃに取り上げている。もともとわたしは日本映画について書くことから出発し、そこに固執してきたが、あるときからそんな自己限定に不満も感じるようになり、少なくとも連載では“横断”ということを一番の課題とした。――あとがきより

ドッグレース
文芸(単行本)
1億円のお○○コ!
下品な強欲オヤジどもが大暴走!
痛烈・異色ノワール小説。
皆でもてあそんだ挙げ句、死んでしまった女は莫大な金を着服していた。
女は埋めろ!金は探せ!
どこにでもある商店街のどこにでもいるオヤジたちが、本性をむきだして大捜索を開始した。
人間なんてこんなもの――痛快な大エンターテインメント誕生!

どこまでもアジアパー伝
文芸(単行本)
貧乏人は強い。
汚ない街で騙されボラレて知る解放感、身体が馴染んでいく快感。
詐欺師、売春婦、スリ、両刀使いの元軍人、ヘロイン中毒……カメラ片手にアジアを巡る鴨ちゃんの温かい文章と天才サイバラの破壊的マンガコンビが出会った怪しい人々。

恋人襲撃
文芸(単行本)
年上の恋人の家庭を急襲する26歳の女!
道新文学賞受賞作家・大型新人が音たてて砕く男女の世界!
『百合祭』で北海道新聞文学賞を受賞した大型新人は、またしても衝撃的な作品を書いた。「恋人襲撃」は、年上の音楽教師の家庭を突然訪れた女性が、男の妻に向かって叫びつづける「修ちゃんをちょうだい」のリフレインが、絶妙!妻や息子たちの住む常識の世界を大胆に揺さぶる、26歳の女の痛ましい程の熱情は、世間を戦慄させずにはおかない。ユニークなユーモア感覚も、この作者の愛嬌であり、財産だ。『百合祭』も映画化され(吉行和子/ミッキー・カーチス主演)公開が待ちどおしい。

裏葉菊
文芸(単行本)
若き藩士・森嶋胖之助は、真の生き方を求めて、凌霜隊に身を投じた。
時代の人柱たらん!会津戦争を戦った都上八幡藩士たちの哀切
幕末動乱期を駆け抜けた若者たちの息づかいが聞こえる、新進気鋭の書下ろし時代長編。

本の背中 本の顔
文芸(単行本)
「カバヤ児童文庫」から「朗読者」までこの1冊で133冊分楽しめる!
本の処分は立派なものから/高い店にこそ安い本あり/異性に古書を贈るのは求愛/古本屋は触って覚える……。
ひっそりと一隅に花を開かせている、野菊のような本の数々を、紹介したいと思うのである。有名出版社から大量に出版された本でないために、あるいは著者が無名なゆえに、また内容が一般人向きでない、宣伝されない、等の理由で、せっかくこの世に誕生したのに、然るべき読者を得ないで、無念の思いで去っていく。こういう本の面倒を見るのが、古本屋の役割なのだ。従って古本屋の私が、世に紹介するのも、決して不自然ではない。――本文より

幽界森娘異聞
文芸(単行本)
猫たちを拾った森で、“彼女”に会った――
文豪の娘にして耽美の祖?!森茉莉と最前衛作家の運命的遭遇
……彼女、彼女、彼女、この故人のこの活字の世界での名をいきなり「森娘」と命名する。本名森茉莉をそのまま使わないのは、決まってる。私の描いているこの故人が、どう考えても本物の森茉莉とはずれた人物だから。鴎外と志けの娘、では決してないから。私が知っている森娘は、……「贅沢貧乏」という1冊の本の中に住まった1体の妖怪だ。私という作家の雑念と思い違いがそこにこごった、活字の怪でしかない。「作家は死んだ時その本の中に転生する」――本文より

マーダー・リング
文芸(単行本)
不倫、欲望、堕落……日常の陥穽で微笑みかけた闇が生む、危険な末路。都市の影で膨張する殺人の円環(マーダー・リング)に、牛尾、青柳刑事らが挑む!
森村誠一ミステリーワールド最新作
就寝前、自分の部屋に入った藤波は、靴を開いた。彼は、おやと首をかしげた。たしかに買ったはずの新刊書が入っていない。そんなはずはない。書店で買って、自分の手で鞄の中に入れたはずだ。本のかわりに、ずしりと手応えのある紙包みが出てきた。なにげなく包みを開いた藤波は、愕然として目を剥いた。紙包みの中身は1万円の札束であった。――「殺意を運ぶ鞄」より

昭和文学史 上巻
文芸(単行本)
10年の歳月著者畢生の書下ろし!
昭和文学の時々刻々をドキュメンタリー風に辿る記念碑的傑作
【本書の特徴】
1.列伝体を採用、“読み物”文学史
2.作品が未読でもわかる工夫
3.タブー「日本とアジア」を検証
4.女性作家の活躍を通史的に網羅・細述
5.大衆文学を独立して記述
6.最新の資料、研究成果を使用

重蔵始末
文芸(単行本)
著者初の本格時代小説シリーズ登場!
博覧強記。傲岸不遜。豪勇無比。機略縦横。
毀誉褒貶(きよほうへん)なかばする、江戸の知られざる傑物・近藤重蔵。その破天荒の生きざまを描く
間宮林蔵、最上徳内と並び称される蝦夷地探検家、近藤重蔵。8歳で四書五経を諳(そら)んじ、17歳で私塾〈白山義学〉を開いた俊才は、人並みはずれた精力家、酒豪であり、傍若無人の奇傑であった。江戸で火盗改に出た若き日の重蔵が、縦横無尽に事件の解決に当たる。
新しい魅力にあふれた本格時代小説、堂々登場!

真名仮名の記
文芸(単行本)
〈書〉をめぐる魅惑の宇宙
命のごとき墨を磨り硯の響きに永遠を聴く筆を索めて人に逢い己と出会う珠玉の連作短篇集
酒盃を手にとって、掌に取りこんでみた。あやういほどの薄さで形をとったものは、天の花模様を溜めている。そして、その器は美しいものを湛えているので、一滴たりとも零すまいと切迫して堪えきれず、かすかに歪んでいた。……
小筆が私を連れ出して行ったついの果ては、陶芸家が千年の時空を超えて再現の冒険をしている耀州窯の世界だった。そこから生まれた盃は、永遠の〈時〉を汲んでいた。――(本文より)