文芸(単行本)作品一覧

パラノイド・ワルツ
文芸(単行本)
1ヵ月後、あの交叉点で、あなたの人生は終わるのよ
それがあなたの運命なの
彼女がやってきたのは、ある風の強い土曜日だ。濃い色のサングラスをかけ、両手に古めかしい革のトランクをさげていた。傷だらけのトランクだった。あの女占師に予言をきかされた日からちょうど1週間後のことだった。――本文より

飾り花
文芸(単行本)
鮎川哲也賞短篇部門受賞作家が書下ろす渾身の長編ミステリー
事件は、徳川埋蔵金論争から始まった!
「埋蔵金の謎」のうらには、血塗られた怨みと欲望が深く静かに隠され、死の気配が漂っていた。
「徳川埋蔵金の謎」で論争の渦中にいる郷土史家・戌塚洋次郎が死んだ!姪の夏美から報せを聞いて、カメラマン・伍代冬后は、アルバイトで取材につき合った時の、ある光景を思い出した。あの日、中座から戻った戌塚の手には白い封筒があり、中には半紙が1枚、綺麗な筆で〈怨〉の1文字が書かれていた。戌塚の死は事故か、他殺か?

恋する音楽小説
文芸(単行本)
愛のドラマ19篇
名曲に秘められた人間模様
心に響くエスプリあふれる恋物語
NHKFMラジオ「クラシックものがたり」「恋する音楽小説」より

噂
文芸(単行本)
驚愕の最終章!渋谷系ミステリーがいま生まれた。
香水の販売戦略で流した都市伝説のはずだったのに……。ニューヨークから来た殺人鬼が渋谷に出没。ついに女子高校生が足首を切り落とされた。
まったく無名のブランドから発売される香水「ミリエル」。キャンペーンの手法としてやり手の女社長が提案したのは口コミだった。渋谷のファッション・リーダー的な少女を集め、広告代理店が創作したストーリーを流す。「ミリエルのローズをつけていると3ヵ月以内に恋がかなう」「女の子をさらって足首を切り落とす、ニューヨークのレイプ魔が渋谷に出没。でも、ミリエルをつけている子は狙われない」高額なバイト料をもらった少女たちはその話を多くの友人に伝え、ミリエルは大ヒットするが……。

九郎判官
文芸(単行本)
匂やかな幻の男 大型新人の秀作
義経をめぐる清冽な人想いの雅歌!
幻の人の香、匂やかな男の悲劇を描く大型新人の透明な文体。「吉野の弁慶」「西行と頼朝」「太夫黒」「千本桜」ら秀作5篇!

秘画 御書物同心日記
文芸(単行本)
珍本の集まる将軍家には、奇怪な事件も出来(しゅったい)する。
嫁入り道具の絵巻物を担保に、大名家が古本屋に金を借りにきた。目利きを頼まれた御書物同心の丈太郎は、極彩色の春画にうろたえる。
紅葉山御文庫の最大行事「御風干」が始まった。土用の入りから60日かけて行われる、書物の虫干しである。天候が順調なら、連日1千冊を干す。御書物方同心にとって、いちばん忙しい時節だ。日程もあと7日を残すばかりになったとき、9代将軍家重遺愛の巾箱本(きんそうぼん)がなくなった。紛失した書物の名を聞いて、丈太郎はのけぞる。前日古本屋から手に入れたものと同じだったのである。

熊の敷石
文芸(単行本)
芥川賞受賞
いくつもの物語に出会う旅は、フランス人なら誰でも知っているという寓話に辿り着いた。
ながくつきあっている連中と共有しているのは、社会的な地位や利害関係とは縁のない、ちょうど宮沢賢治のホモイが取り逃がした貝の火みたいな、それじたい触れることのできない距離を要請するかすかな炎みたいなもので、国籍や年齢や性別には収まらないそうした理解の火はふいに現われ、持続するときは持続し、消えるときは消える。不幸にして消えたあとも、しばらくはそのぬくもりが残る。――本文より

二人のガスコン 中
文芸(単行本)
圧倒的反響、リシュリューの影
唯エスプリの趣くままに!
だから、女に、愛される。非情なる精神は極めて高い血の温度なればこそ!無双のガスコーニュ人ふたりが、ルーヴル王宮奥深くで見たものは?

早春の少年 伊集院大介の誕生
文芸(単行本)
書下ろしシリーズ最新刊
14歳の名探偵、最初で最大の失敗!?
転向早々、大介が見つけた猫の死骸。それは少年の眼にしか見えない次なる凶行の発端だった。
昭和30年代、静かな田舎町・平野の中学校に転校してきた14歳の伊集院大介。悲劇的な伝説をもつ姫川の周辺で起きた不可解な事件を追う“名探偵のタマゴ”は《透明人間》と対決する。

やみとり屋
文芸(単行本)
異色の書下ろし長編時代小説
刀抜かずに息抜こう心の闇が取れる店
やみとり屋は、無礼講で禁句なし。生類憐れみの令をものともせず、血を流さずに世直しを企てる無頼の徒が群れ集う。
「生類憐れみの令」下の江戸・向島の外れ、森に埋もれた隠れ宿「やみとり屋」では、万七郎と春之介が、鳥を焼いて、浪人や無頼の徒に食べさせている。露見したら死罪も覚悟の危険を冒す彼らは、「剣の力に対して言葉を武器に」を標榜し、御蔭参りに共鳴して公儀に刃向かった。

月夜見
文芸(単行本)
力作長篇小説
家族だけれど他人、他人だけれど家族。
とけあうことない孤独を抱いた女たちの人生が交わるとき。
87歳のママハハが倒れ、生家の古アパートに管理人として移り住んだ小説家の「私」は……

ジャンヌ・ダルクの生涯
文芸(単行本)
〈奇跡〉は起きたのか? 13歳で神の声を聞き、17歳で剣を取って祖国フランスの危機を救い、19歳で火刑台に散ったジャンヌ・ダルク。数々の伝説につつまれた「奇跡の乙女」の実像を追い、その生涯の謎を解き明かす傑作歴史エッセイ!
〈奇跡〉は起きたのか?
13歳で神の声を聞き、17歳で剣を取って祖国フランスの危機を救い、19歳で火刑台に散ったジャンヌ・ダルク。数々の伝説につつまれた「奇跡の乙女」の実像を追い、その生涯の謎を解き明かす傑作歴史エッセイ!

くるみ街道
文芸(単行本)
幸田文、玉、奈緒に受け継がれる豊かな感性と美しい言葉。
初の書下ろし長篇小説
どうして結婚しないのだろう。
充分幸せなのに。充分幸せだから。
恋人が待つドイツと生まれ育った日本の間でゆれる心
空の上の時間
ぽっかり空の上に浮かんだ時間。この時間がなくては、と京は思う。窮屈な飛行機の中に逃げこんでいる間だけは、日本もドイツも、平等におざなりになっている。京はどっちにもいない。本当は両方にいたい。だが一時にどちらかにしかいられない。片方にいるということは、もう一方の国を、京の意志で選択した結果、一時的にせよ捨てていることになる。――本文より

熱血ポンちゃんが来りて笛を吹く
文芸(単行本)
素敵な出会いでいっぱいのエッセイ集
ますますスウィートでデリシャスな第7弾
その笛の音のグルーブは幸せの酔い心地
「ふと気付いた時に流れている音楽が夫婦のようなものだとしたら、わざわざ聴きに行く音楽は恋人との逢瀬に似ているかも」
「酔いは不可能を可能にする?イエーイ、そう来なくっちゃ」――ポン

遍歴と興亡―二十一世紀時代小説論
文芸(単行本)
この10年、大器大才続々!
2人の賢一〔酒見賢一・佐藤賢一〕をはじめ、宮城谷昌光・宮部みゆき・宮本昌孝・高橋直樹・塚本青史・井上祐美子・火坂雅志・諸田玲子・梓澤要ら、なんと新鮮な発想、強い文章、キラ星の如き大器の連続出現よ!
いま、100年以上かけてつくった国家のイメージが、亀裂の入った鏡のようになった時、われわれ日本人は、しばし辺りを、時間と空間を超越して見渡さねばならなくなった。中国の春秋・戦国の時代を、ヨーロッパの中世を、つまり近代国家成立のはるか以前、国家というものの面影が人々の目に判然としない時代に目を転じ、歴史の時空を思いきり遊泳するとき、20世紀を生きてきたわれわれの、全く忘れかけた世界が展開してくる。ヨーロッパとアジアという2大陸に生きた近代以前の人間群を、小説の中に蘇生させ、3、400年を跳び越え、3000年、4000年を振り返ると、そこに何があったか。それは驚異的な現代との近似だ。

推理日記PART9
文芸(単行本)
ベストセラーも受賞作も俎上にのせて物申す。
真保裕一氏との改稿をめぐるやりとり。福井晴敏氏の文章の数量的分析。推理作家協会設立に骨身を削った山村正夫氏への哀惜……。
「作品を発表した以上、毀誉褒貶(きよほうへん)はつきものなのだから、批判をばねにして飛躍してみせてほしい」……私自身も懸賞小説で入賞したころ、「この程度の作品しかなかったのか」という批判を受けている。作品には、批判がつきものだということを知ってもらうためにも、あえて率直な感想を書くことにした。

北京原人の日
文芸(単行本)
『邪馬台国はどこですか?』で鮮烈デビューした著者待望の長編奇想歴史ミステリー
第二次世界大戦の敗戦。その理由は消えた北京原人の化石にあった。
北京原人の化石消失、下山国鉄総裁轢死事件、山下奉文将軍の財宝。現代史の3つの怪事件が驚天動地の真実を浮かび上がらせる。
銀座の交差点に老人が落下してきた。軍服を着たその男は、北京原人の化石を持っていた。現場に居合わせたカメラマン達也と雑誌記者さゆりは、2億円の賞金につられて残りの化石を探しはじめる。2人がたどり着いた仰天の結末とは……。

二人のガスコン 上
文芸(単行本)
構想10年、特別書下ろし大作全3巻
歴史と文学のクリスタライズ!
凄まじい想像力と洞察力。ガスコーニュ人ダルタニャンとシラノは決然と挑むブルボン王朝の最高機密!全く新しい冒険と恋、人間の迫力の秀作!

白山の水 鏡花をめぐる
文芸(単行本)
泉鏡花の華麗を極めた文学の内奥を通じ、物語の広野を渉猟する長編エッセイ!
幽明があらわれる。
エロティックな肌ざわりがあらわれる。
この世ならざるところの空気が、孕まれる。

少子
文芸(単行本)
痛いので、産みたくありません。
このままいけば、西暦3500年には日本の人口は約1人。人気コラムニストが哀感をこめて綴る、滅びゆく祖国への鎮魂歌。
少子・その理由
痛いから
うらやましくないから
面倒臭いから
愛せないかもしれないから
シャクだから
男が情けないから