文芸(単行本)作品一覧

どの口が愛を語るんだ
文芸(単行本)
のたうちまわって超えていけ、愛。
『流』の直木賞作家・東山彰良が新たに挑む、自由でボーダレスな短編集!
九州の温泉街、小さな街の団地、ニューヨーク、台北、東京ーー。
残酷さとやさしさが隣り合わせるパッとしない世界
それでも生きていくむきだしの人間たち。
「猿を焼く」
さえない温泉街に引っ越してきた中三のぼく。無軌道な不良とよそ者の少年は、なぜ猿に火をつけたのか?
「イッツ・プリティ・ニューヨーク」
クレイジーな同級生カメと、そのアバズレな姉。欲求に翻弄されるぼくと彼らの団地の日常。
「恋は鳩のように」
同性婚が合法化された日、歓声に沸く群衆の中、アンディは詩人の恋人・地下室に電話をかける。
「無垢と無情」
人間じゃなくなった「やつら」から身を潜めるように、おれは画面の中のミーティングルームを訪れた。

古都妖異譚 玉手箱~シール オブ ザ ゴッデス~
文芸(単行本)
ロンドンのウエストエンドに店を構える骨董店「アルカ」の雇われ店主ユウリ・フォーダムは、骨董品についての知識はド素人ながら、この店にあるいわくつきの品々のためにはなくてはならない存在だ。ある日、店に「金色に輝いた小箱」を探していると英国紳士がやってきた。それはこの店に以前あったもので、どうしても手に入れたいという……。古の街を舞台に新たな冒険がはじまる!

ゼロエフ
文芸(単行本)
NHK「目撃!にっぽん」で放送!
被災地を歩き、見て、考えた。あの日から10年、小説家が肉体と思考で挑む初のノンフィクション。
福島のシイタケ生産業者の家に生まれ育った著者が初めて出自を語り、18歳であとにした故郷に全身で向き合った。
生者たちに、そして死者たちに取材をするために。
中通りと浜通りを縦断した。いつしか360キロを歩き抜いた。報道からこぼれ落ちる現実を目にした。ひたすらに考えた。
時間が経たなければ、出てこない言葉がある。
小説家だからこその洞察に基づく震災論にして国家論!
目次
第一部 福島のちいさな森
第二部 4号線と6号線と
第三部 国家・ゼロエフ・浄土
長い後書き

激震
文芸(単行本)
1995年、大地が裂けた。時代が震えた。
阪神淡路大震災、地下鉄サリン事件と未曾有の災厄が相次いだ一年、戦後五十年かけてこの国が築き上げたあらゆる秩序が崩れ去っていく……。
昭和史の闇を抉った傑作『地の底のヤマ』の著者が描き出す平成の奈落。
雑誌記者として奔走した自身の経験が生んだ渾身の力作長編。
年明け早々に阪神地方を襲った大地震に衝撃を受け、被災地に駆けつけたヴィジュアル月刊誌「Sight」記者の古毛は、その凄まじい惨状に言葉を失う。神戸でも火災被害の激しかった長田地区では焼け跡に佇む若い女と遭遇。夕方の光を背にこちらを振り向いたときの眼はかつて戦場で出会った少年兵とそっくりだった。果たして彼女は何者なのか?
「何やってんだろうな、俺達」加納が自嘲ぎみに呟いた。(略)「世間の耳目を引く話題に引っ張り回されて、取材取材に駆け回る。それで終わってみりゃぁ、前に何やってたかも記憶が薄れてる始末だ。(略)世間、てぇお釈迦様の掌で踊らされてる、孫悟空かよ」
「元々、報道なんてそんなものだったのかも知れませんけども」古毛は言った。「特におかしくなって来たのが、あのバブルの辺りからだったような気はします」
「あれで、日本が溜め込んで来たあれこれの矛盾が一気に噴き出して来た感じだな。戦後、営々と築いて来たこの国の神話が次々と崩壊してる、ってところかな」
――本文より

報復の密室
文芸(単行本)
島田荘司選 第13回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞受賞作!
「できるなら過去に遡り君を守ってやりたい」
最愛の娘が大学のキャンバス内で自殺をした。薬学部教授の大日方敏夫(おびなた としお)は、娘の千佳(ちか)が死を選ぶはずがないと真相を探る。千佳は生前、母である優子に、付き合っている人がいると打ち明けていた。しかし、相手の詳細は知らされておらず、ミステリーの文学賞に応募していることだけを伝えていた。敏夫は付き合っていた相手が殺人犯だったのではないかと疑いを持ち、自身の遺伝薬理学の知識を使って犯人を特定することを思いつくーー。
密室殺人、理由不明の空き巣事件、犯人捜しの罠、ハウダニット的密室殺人、数珠つなぎに起きる事件にページをめくる手は止まらず、読み終えた後には家族の愛の物語に心を打たれる。

LAフード・ダイアリー
文芸(単行本)
LA(ロサンゼルス)に渡った映画研究者が、「食」を通して考えたアメリカ。
料理本批評エッセイ『食べたくなる本』で話題を呼んだ著者による、
ユニークな食生活エッセイ&体験的都市論。
「スロー対ファスト」とか「オーセンティック対リミックス」というような、
私自身これまで少なからず囚われてきた対立構図がある。
LAの食には、それを軽々と超える自由闊達な生命力があるようにも思えた。
「多様性」とは何か、それをいま、どう擁護しうるか。
こんにち最も切迫したこの問いに対する貴重なヒントを、
私はここでいくつも得ることになる。(本書「まえがき」より)
【目次】
なぜアメリカへ?
LAフリーウェイとIN-N-OUTバーガー
季節のない寿司
ゲリラ・タコス
カナダの自然食
ヴェニスのエキゾティシズム
ジョナサン・ゴールド
USC
「映画と牛の関係について」
LAの友人
記憶の襞
多様性と画一性

ヴィンテージガール 仕立屋探偵 桐ヶ谷京介
文芸(単行本)
東京の高円寺南商店街で小さな仕立て屋を営む桐ヶ谷京介は、美術解剖学と服飾の深い知識によって、服を見ればその人の受けた暴力や病気などまでわかる特殊な能力を身につけていた。そんな京介が偶然テレビの公開捜査番組を目にする。10年前に起きた少女殺害事件で、犯人はおろか少女の身元さえわかっていないという。さらに、遺留品として映し出された奇妙な柄のワンピースが京介の心を捉える。10年前とは言え、あまりにデザインが時代遅れ過ぎるのだ。京介は翌日、同じ商店街にあるヴィンテージショップを尋ねる。1人で店を切り盛りする水森小春に公開捜査の動画を見せて、ワンピースのことを確かめるために。そして事件解明に繋がりそうな事実がわかり、京介は警察への接触を試みるが……。

走れ、若き五右衛門
文芸(単行本)
遠江に生まれた虎太は母親・右(ゆう)に女手一つで育てられていた。『論語』や『孟子』、算術や刀槍の使い方まで教え込む厳しい母だった。ところが15歳のときに転機が訪れる。家の近所で戦ごっこをしていたところを人攫いに遭ってしまうのだ。同じ境涯の少年たちと西へ向かって連行されていく虎太。人攫いの男たちは京阪から来た盗賊のようだ。天竜川や木曽川の難所を越えて盗賊の本拠にたどり着くと、人買いに売られるのではなく命を懸けた訓練が始まった。どうやら盗賊に育て上げられるらしい。虎太は母・右に鍛えられた勉学や身体能力によってめきめきと頭角を現していった……。

こんな日もある 競馬徒然草
文芸(単行本)
ツキにからかわれるのも、人生長い目で見れば悪いことではない。
年々歳々、馬とともに春夏秋冬をめぐり、移り変わる人と時代を見つめ続けた作家の足跡。
日本文学の巨星が三十余年にわたり書き継いだ名篇エッセイ、初書籍化。
編・解説:高橋源一郎
何年先のことになるやら、たとえばダービーの日のスタンドかテレビの前で、そういえばあの男、このダービーをもう知らないんだ、と生前の私のことをちらりと思い出す人がいるかもしれない、と今からそんなことを考えると、心細いようで、あんがい、慰められる気持ちになる。自分一個の生涯を超えて続く楽しみを持つことは、そしてその楽しみを共にする人たちがこれからも大勢いると考えられることは、自分の生涯が先へ先へ、はるか遠くまで送られて行く、リレーされて行くようで、ありがたいことだ。
(本文より)

出版と権力 講談社と野間家の一一〇年
文芸(単行本)
日本の出版。その草創期にも転換期にも、彼らが関わってきた……。
「おもしろくてためになる!」「これを読めば大学に行かなくても偉くなれる!」
臆面もなく立身出世を説き、一代にして「雑誌王」に成り上がった初代清治。勃興する帝国日本の大衆の心を鷲づかみにした印刷物は、やがて軍部との抜き差しならぬ関係のなかで変貌していく……。そして敗戦後、総合出版社への転換をなしとげ、国民教育(ナショナル・エデュケイション)と出版による世界平和の夢を追いつづけた四代省一。未公開資料を駆使し、近代出版百五十年を彩る多彩な人物群像のなかに野間家の人びとを位置づけた大河ノンフィクション!

不可逆少年
文芸(単行本)
デビュー作『法廷遊戯』が、ミステリランキングを席捲!
弁護士作家、弩級の第2作
<STORY>
若き家庭裁判所調査官・瀬良真昼(せら・まひる)。
どんな少年も見捨てない。
そう決めて彼らと向き合ってきたはずだった。
しかし、狐面の少女が犯した凄惨な殺人事件を目の当たりにして、
信念は大きく揺らぐ。
不可解なことに、被害者は全員同じ高校に縁のある人々だった。
被害者遺族の男子高校生を担当する真昼は、
思わぬ形で事件の真相に迫り――?
圧巻の青春リーガルミステリー!

ガザ、西岸地区、アンマン 「国境なき医師団」を見に行く
文芸(単行本)
世界の矛盾が凝縮された場所――パレスチナ。そこで作家は何を見て、何を感じたのか?同時代の「世界のリアル」を伝える傑作ルポルタージュ!
抗議デモで銃撃されるガザの若者たち、巨大な分離壁で囲まれたヨルダン川西岸地区、中東全域から紛争被害者が集まるアンマンの再建外科病院ーー。「国境なき医師団」に同行して現地を訪ねた作家が、そこに生きる人たちの困難と希望を伝える好評シリーズ最新刊。
「見つめるほうも、見つめられるほうも、その瞬間を生きている。戸惑いの中から漏れる言葉に吸い寄せられた。」武田砂鉄さん(ライター)
「いとうさんだからかけた、ニュースでは見えない人間のドラマ。最前線のリアルが立体的に伝わる一冊です。」白川優子さん(「国境なき医師団」看護師)

高瀬庄左衛門御留書
文芸(単行本)
◎第165回直木賞候補作◎
◎「本の雑誌」2021年上半期ベスト10で第1位!!◎
美しく生きるとは、誇りを持ち続けるとは何かを問う、正統派時代小説。
藤沢周平、乙川優三郎、葉室麟ら偉大な先達に連なる新星、ここに誕生。
「こんな時代小説を待っていた」の声多数!
2021年6月5日(土)朝日新聞「売れてる本」に掲載!
神山藩で、郡方を務める高瀬庄左衛門。50歳を前にして妻を亡くし、さらに息子をも事故で失い、ただ倹しく老いてゆく身。残された嫁の志穂とともに、手慰みに絵を描きながら、寂寥と悔恨の中に生きていた。しかしゆっくりと確実に、藩の政争の嵐が庄左衛門を襲う。
「心が洗われる」というのは、こういう感覚を言うのだと実感した。ーー作家・江上剛(朝日新聞6月5日)
この人がこれから作品をどんどん出していくのがドキドキするし嬉しい。すごい時代に立ち会っている気がする。次回作も必ず読みたい! ーー北上次郎(YouTube「北上ラジオ」)
誰でも歳を取れば、違う生き方もあってのではとの悔悟を抱くもの。その迷いにどう向き合うか。考えさせられた。ーー記者・佐藤憲一(読売新聞1月19日)
私は、作者がこれからの時代小説界をリードしていく存在になることを信じて疑わない。
ーー縄田一男(産経新聞2/21)
美しい物語だ。穏やかで、静かで、そして強い物語だ。ーー大矢博子(「小説すばる」3月号)
生きることの喜び、悲しみ、諦め、希望をすべてのみ込んだ時代小説ーー内藤麻里子(毎日新聞2/7)
主人公もさることながら脇の人物たちもよく書き込まれ魅力がある。ーー川本三郎(毎日新聞2/20)
人はどう生き、どう老いていくべきかの指針となる。(紀伊國屋書店仙台店 齊藤一弥さん)
全日本人に読んでほしい。(旭屋書店池袋店 礒部ゆきえさん【ダ・ヴィンチニュース3月6日】)
心情が清らかに流れ続けながら、激動の大河浪漫があり、心奪われました。ずっと浸っていたいこの至福の感覚を、たくさんに人に味わってもらいたい。(うさぎや矢板店 山田恵理子さん)
様々な制限の中で生き、迷いながら歩み続け、心のわだかまりが少しずつ溶ける有り様に、自分の心にも穏やかな風が入り込んだ。時代小説のすばらしさを感じた。(正文館書店本店 鶴田真さん)
厳しい現実を突き付けながらも生きることの温かさと優しさを感じさせてくれる。(くまざわ書店錦糸町店 阿久津武信さん)
人生に沁みわたり、心に刻まれる、誰もが待ち望んだ時代小説の傑作。
武家もの時代小説の新潮流、砂原浩太朗「神山藩シリーズ」第1作。

旅する練習
文芸(単行本)
第34回三島由紀夫賞、第37回坪田譲治文学賞、ダブル受賞!
中学入学を前にしたサッカー少女と、小説家の叔父。
2020年、コロナ禍で予定がなくなった春休み、
ふたりは利根川沿いに、徒歩で千葉の我孫子から鹿島アントラーズの本拠地を目指す旅に出る。
ロード・ノベルの傑作! 第164回芥川賞候補作。
「この旅のおかげでそれがわかったの。
本当に大切なことを見つけて、
それに自分を合わせて生きるのって、
すっごく楽しい」(本書より)

天を測る
文芸(単行本)
『隠蔽捜査』の著者・今野敏、初の幕末小説!激動のさなか、ただ一点を見据えて正道を進む幕臣がいた。これまで誰も描かなかった、もう一つの近現代史がここにある。

連鎖感染 chain infection
文芸(単行本)
2019年、9月。千葉県にある神宮総合病院では重症患者が次々と運び込まれた。共通するのは、脱水症状を伴う激しい腹痛。抗生物質を投与し、落ち着きを取り戻したかと思った後に突然高熱を発し、命を落とすという悲惨な結末もまた同じだった……。これは人為的な病気=バイオテロなのか。未知のウィルスに対し、援軍も知見もないまま孤立した病院内で医師達の決死の治療が始まる。

二人がいた食卓
文芸(単行本)
良かれと思ったことが、押しつけがましさに。理想を追い求めるあまり、頑なになる。相手への気遣いが、裏目に出る。一番わかってほしい相手に限って自分の努力が伝わらない……。そんな夫婦関係の迷宮に迷いこんだ泉と旺介、きっかけはまさか、食の好みの違い……!
ドリア、生姜焼き、ハンバーグ、キッシュ……出てくる料理は、「食の検定」1級を持つ著者だからこそ表現できる、読むだけで美味しそうなものばかり。だからこそ、夫婦のすれ違いのきっかけとして、鋭く鮮やかな物悲しさを湛えています。
おいしさは恋で栄養は愛? 家族として、好きを越えた関係を築いていく覚悟を持てるのか。泉と旺介、二人の選択とは。

今度生まれたら
文芸(単行本)
70歳になった佐川夏江は、夫の寝顔を見ながらつぶやいた。
「今度生まれたら、この人とは結婚しない」
夫はエリートサラリーマンだったが、退職後は「蟻んこクラブ」という歩く会で楽しく余生を過ごしている。
2人の息子は独立して、別々の道を歩んでいる。
でも、実は娘がほしかった。
自分の人生を振り返ると、節目々々で下してきた選択は本当にこれでよかったのか。進学は、仕事は、それぞれ別の道があったのではないか。
やり直しのきかない年齢になって、夏江はそれでもやりたいことを始めようとあがく。
2大ベストセラー『終わった人』『すぐ死ぬんだから』の著者が放つ最新「高齢者」小説!

悪魔を殺した男
文芸(単行本)
悪魔の象徴「逆さ五芒星」連続殺人事件の犯人はひとり白い密室にいた。孤独な病棟にたたずむ「悪魔」はなにを黙考するのか? 嫉妬、陰謀、欲望、快楽・・・業に塗れた人間が引き起こす事件は、新たな事件を呼び、世界は騒然とする。視えなくてもよいものが視えてしまう「悪魔」を、もうひとりの凶悪な「悪魔」が追い詰める。捜査一課に抜擢された臨床心理士・志津香の奮闘も手に汗を握る。待望の「悪魔と呼ばれた男」シリーズ最新刊。神永学の神業が再び炸裂するサスペンス・ミステリー!
〔初版購入者限定特典ショート・ストーリー付き!〕
神永学が作家生活十五年の集大成として完成させた『悪魔と呼ばれた男』の衝撃を経験してもなお、続編『悪魔を殺した男』を読み終えたいま、こういわずにはいられない。前作は、この作品のための前奏に過ぎなかったのか? と……。「悪魔」と畏怖される男の、四人の人間を殺したうえ、その身体に悪魔の紋様〈逆さ五芒星〉を刻んだ惨たらしい犯行に秘められた真実。そしてある能力の存在が波紋となって広がり、物語はスリリングに激しく波立ちながら、終始読み手を翻弄し続ける。「悪魔」の手口を真似、死体に〈逆さ五芒星〉を刻むのは何者なのか? 警察組織のなかで繰り広げられる暗闘の行方は? クライマックスでの、まさかの展開の果てに立ち上がるタイトルの意味がわかったとき、神永学が「最新作が最高傑作の作家」であることを改めて痛感することだろう。―宇田川拓也(ときわ書房本店・「このミステリーがすごい!」選考委員)

沙漠と青のアルゴリズム
文芸(単行本)
読書と絵画を巡り、現代に生きる主人公の若手出版編集者が、時空さらには虚実を自在に行き来する。夏目漱石、ポオ、サン=テグジュペリ、そしてAI……。すべてが一つの事実に向かって収斂していく先に隠された真実とは?