講談社現代新書作品一覧

私たちはどんな世界を生きているか
私たちはどんな世界を生きているか
著:西谷 修
講談社現代新書
この200年を通して、世界は、そして日本も独特の仕方で、「近代」のもたらした「自由」を解消するような方向に「進化」しているのではないか。政治社会的解放の成果が、テクノロジー経済の自律的発展によって、「新世界」という新たな身分制社会になだれ込んでいるのではないか。 激変する世界の動態を、現代思想の鬼才が解き明かす! 【本書の主な内容】 はじめに 行き先が不透明/急き立てるテクノロジー/底が抜けた状況/真理の崩壊 第1章 今の世界に至る道 1 分断した社会 戦後レジームからの脱却/極端に分離する階層/新自由主義が社会を刷新してゆく 2 ヨーロッパと大戦 ウェストファリア体制と第一次大戦/第二次大戦とフィラデルフィア会議/ル・ペンの国民戦線 3 人権や平等に疲れて 国民は使い捨ての資材に/平等社会は再階層化している 第2章 アメリカの大転換 1 その成り立ちと「自由」 モンロー主義とアメリカの「解放」/所有権に基づく自由/無徴のインターネット・アドレス 2 格差と不満 「アメリカの没落」/アメリカの中国脅威論/白人の被害者感情 3 もうアメリカを見習うな 武器を売ればいい/世界秩序はいらない/赤狩りを生み出すような自由 第3章 日本は朝鮮半島をどう見ているか 1 韓国政府に干渉する日本 米朝会談が不満/日本に三権分立はない/問われなかった戦争責任 2 拉致問題の経緯 右派集団の台頭/「歴史修正主義」の勝利 3 なぜ北朝鮮は核を持つのか 南と張り合っていくために/対米核武装の成功/悪い国でいてもらわないと困る 第4章 日本の明治一五〇年 1 形成と変容の概説 西洋の世界展開と日本の参入/近代日本の進路のずれ/「自発的隷従」の時代へ 2 明治時代とは何だったか 正統性の論理/主権とは何か/民主制と交渉の主体 3 逆のドライブと天皇制 一世一元制/天皇の権威/なぜ元号に固執するのか/宗教の自由と神道 4 昭和の敗戦がもたらしたこと 独自権力になっていく軍部/装置としての天皇制/占領下の改革の受け止め方 5 失われた三〇年としての平成 GHQと日本の支配層/平成の三〇年で失われたもの/神道国家派の大攻勢 第5章 令和の日本と世界のこれから 1 西洋的世界の変質 「テロリスト」の発明/フランスとアメリカの歴史否認 2 ポイント・オブ・ノーリターン 「身分制の方がいいんじゃないか」/全能ではないことがベース/人間が不可能になる 3 新型コロナ禍とパニック 命か経済かの選択?/行政の瓦解/コロナ後の出口
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ペルソナ 脳に潜む闇
ペルソナ 脳に潜む闇
著:中野 信子
講談社現代新書
【発売1ヵ月で10万部突破! 脳科学者の記憶の闇へ潜っていくようなゾクゾクする感覚!】 人間関係が苦手だった私は、その原因を探ろうと、いつしか「脳」に興味を持つようになった――。 親との葛藤、少女時代の孤独、男社会の壁…人間の本質をやさしく見つめ続ける脳科学者が、激しくつづった思考の遍歴。著者初の自伝! 「脳は一貫していることの方がおかしいのだ。自然ではないから、わざわざ一貫させようとして、外野が口を出したり、内省的に自分を批判したりもするのである。一貫させるのは、端的に言えば、コミュニティから受けとることのできる恩恵を最大化するためという目的からにすぎない。 私たちは、複数の側面を内包しながら、これらを使い分けて生きている。私たちの世代はこれを自覚的にできる人が旧世代よりも増えただろうが、人間というのは世代を問わず、そういうふうにできている。仕様だといってもよいだろう。 わたしのペルソナ(他者に対峙するときに現れる自己の外的側面)は、わたしがそう演じている役である、といったら言い過ぎだと感じられるだろうか? あなたが、わたしだと思っているものは、わたしではない。一時的に、そういう側面を見て取ってもらっているだけのことである。 わたしは存在しない。これは悲しいことではない。透明な存在であることを嘆く必要はない。だからこそ、来るべき変化に対応することができるからだ。もう変化のときは来ている」(中野信子) 本書は、一度読めば心を病まずに済む「心のワクチン」である。 【読者からの反響、続々!】 「届くべき人に届いて欲しい。自分が見ている景色は、どうも多数派のそれとは違うらしいと気付いた、孤高の人たちに。そして、孤高の人を因数分解しようと躍起になる、私のような無遠慮な凡人に」(ジェーン・スーさん) 「正義論を振りかざし、こうあるべき論がはびこる生きにくい社会の中において私たちはどこか疲れている。空気を読む脳に疲れた私たちのための一冊」(MARUZEN&ジュンク堂書店梅田店 伊藤由泰さん) 「『女である私は闘わなければならない』という呪いをかけられていたのかもしれない。働く女性として、未婚の女性として……私は闘わない。それが私のペルソナだ」 (くまざわ書店 営業推進部 阿部倫子さん)
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脳から見るミュージアム アートは人を耕す
脳から見るミュージアム アートは人を耕す
著:中野 信子,著:熊澤 弘
講談社現代新書
ウィズ・コロナの新しい生き方を模索し始めた今こそ、私たちに必要な、脳に効く「美」を求めて、ぜひミュージアムに出かけてみてはいかがだろうか? 実は、ミュージアムは「美」が展示されているだけの場所ではない。知れば知るほど、とてつもなく奥が深い世界なのだ。人類の記憶のアーカイブに潜っていくような、(良い意味での)妖しさ、ヤバさがある。 東京藝大には大学美術館があるが、大学美術館准教授の熊澤弘先生はいわば「ミュージアムの達人」で、世界のミュージアムの成り立ち、展示、ミュージアムの持つ資料から博物館学の実習に至るまで、私が教えを乞うている先生の一人である。 ここからは熊澤先生の力をお借りして、仮想ゲームのミュージアムよりも、リアルなミュージアムこそがはるかに熱いのだ――ということを読者の皆さんと一緒に体験していきたい。言ってみれば、探検家・中野信子が、案内人・熊澤弘先生とともに、ミュージアムの深遠なる魅惑の世界に分け入っていこうというわけだ。 この「探検本」を読み終えるころ、読者の皆さんは、世界各地のミュージアムの歴史やそこに所蔵された作品の面白さはもちろんのこと、その舞台裏で静かに働いている学芸員の役割やアートの鑑賞術などの基礎知識も身につけているはずだ。 ミュージアムは、入る前と後とで物の見方が変わる体験ができる場所だと思うが、この基礎知識を身につけることで、ミュージアムに行く体験自体がこれまでよりもより深まるかもしれない。 (中野信子) <主な内容> はじめに ミュージアムは脳に似ている(中野信子) 第1章 ミュージアムの誕生:その華麗にして妖しい魅力に満ちた世界 はじまりは「驚異の部屋」/記憶の三段階/コレクターと「絶対美感」/美術品は誰のものか 第2章 ミュージアム、その陰の部分:論争・ワケあり・ヤバいもの ナチスに翻弄されたコレクション/マインド・パレスを支配する/学芸員の使命/大量殺人犯の作品の展覧会 第3章 実際に鑑賞してみる:どんな作品をどのように観たらよいか? 中村キース・ヘリング美術館の感性/金沢21世紀美術館の賢さ/正しい鑑賞法なんてないか?/ルーヴル美術館で遭難しかける 第4章 これからのミュージアム体験:アートはなぜ必要なのか? アフター・コロナの課題/現代アートはわかりにくい?/アートが社会にもたらす絶大な効果 おわりに 日本は世界に類を見ないミュージアム大国(熊澤弘)
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民主主義とは何か
民主主義とは何か
著:宇野 重規
講談社現代新書
トランプ大統領をはじめとする「ポピュリスト」の跋扈、旧社会主義諸国および中国など権威主義国家の台頭など、近年の世界の政治状況は、民主主義という制度の根幹を揺るがすかのような観を呈しています。日本の状況を見てみても、現行の政権が「民意」の正確な反映、すなわち「民主主義的な」政権だといわれると、頸をかしげる人も少なくないのではないでしょうか。はたして民主主義はもう時代遅れなのか? それとも、まだ活路はあるのか?  それを議論するためには、まず何よりも、民主主義とは、そもそもどのような制度なのかを「正しく」知らなければならないでしょう。今では自明視されている「民主主義」という制度ですが、人が創ったものである限りそれもまた歴史的な制度として、さまざまな紆余曲折を経て現在のようなものになったのであって、決して「自然」にこのようなになったわけでではないのです。 そこで本書では、ギリシア・アテナイにおける民主主義思想の「誕生」から、現代まで、民主主義という制度・思想の誕生以来、起こった様々な矛盾、それを巡って交わされた様々な思想家達の議論の跡をたどってゆきます。その中で、民主主義という「制度」の利点と弱点が人々にどのように認識され、またどのようにその問題点を「改良」しようとしたのか、あるいはその「改革」はなぜ失敗してしまったのかを辿ることにより、民主主義の「本質」とは何なのか、そしてその未来への可能性を考えてゆきます。 またあわせて、日本の民主主義の特質、その問題点についても分析してゆきます。 民主主義という思想・制度を知るための、平易な政治思想史の教科書としても最適です。
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未来の医療年表 10年後の病気と健康のこと
未来の医療年表 10年後の病気と健康のこと
著:奥 真也
講談社現代新書
医療未来学の第一人者が描く、病気と医療の未来予想図、そして健康にまつわる新常識 2025年 初の本格的認知症薬誕生 2025年 病院へのフリーアクセス廃止 2030年 AI診察が主流に 2030年 感染症の脅威から解放 2032年 安楽死法制定 2035年 ほとんどのがんが治癒可能に 2040年 神経難病克服 2040年 糖尿病解決 ★イノベーションで変わる医療 ・人間不要! 診察の主役はAIドクターに ・効く理由はわからなくてもOK! ビッグデータ創薬 ・不整脈も血糖値もうつ病も、スマホでかんたん測定 ・非医療系企業も続々参入! 医療ビジネスは巨大市場に ★健康にまつわる新常識 ・医者と患者で「治る」の意味が違う? ・自前の臓器は「節約」が得策 ・60代からは小太りが健康長寿の秘訣 ・おススメはゆるい運動 ★日本のガラパゴス医療が生き残る道 ・日本は世界の「二番手」でいるのが巧みなやり方 ・日本のお手本は「医療情報管理先進国」エストニア ・外国人観光客への医療提供を本気で考える時期に ・日本流「おもてなし」クラウドで世界へ
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アフター・リベラル 怒りと憎悪の政治
アフター・リベラル 怒りと憎悪の政治
著:吉田 徹
講談社現代新書
不安な暗い時代を生き抜くための新しい見取図! オルタナ右翼、権威主義の台頭、ヘイトクライム、歴史認識問題、テロリズム…… 人びとが合理的になり、民族やナショナリズム、人種から解放され、グローバルな社会が実現し、社会の多様性や個人化が到来するはずだった時代に、なぜ怒りや敵意が政治の世界で繰り広げられるのか?  行き場を失った中間層が疎外感を強め、凶暴になる理由とは。 なぜ有権者は強い指導者を求めるようになったのか。 戦後秩序を形成したリベラリズム崩壊後の「暗い時代」の深淵を、気鋭の研究者が抉り出す。
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はじめての催眠術
はじめての催眠術
著:漆原 正貴
講談社現代新書
【人は簡単に暗示にかかる!】 言葉だけで、立てなくなったり、何かを好きになったり、笑いが止まらなくなったりする……。 そんな不可思議な「催眠」の世界へようこそーー。 人が知覚し体験している世界は、常に何らかの「暗示」の影響を受けている。 催眠についての知識は、自らが依って生きる世界の見え方を一変させます。 催眠とはつまるところ、言葉であり、コミュニケーションの技法です。その意味では誰にとっても知る価値があります。催眠の持つ特別なイメージを破壊して、素朴な面白さを知ってもらうには、「自分で体験する」以上に強力な方法はありません。 ・振り子が動く ・指が近づく ・手が持ち上がらない ・椅子から立てなくなる ・笑いが止まらない     ……など 誰でも実践できる催眠の基本を、わかりやすく解説! 【本書の構成】 はじめに -なぜ「催眠」を学ぶのかー 第1章 【準備編1】催眠とは何か ・催眠とは何か ・催眠のメカニズム ・催眠の歴史 ・催眠への「かかりやすさ」とは ・催眠研究の現在 第2章 【準備編2】催眠を行う前に ・催眠をどのように習得するのか ・ラポールの形成 ・威光暗示 ・安全性の確保 ・催眠のスクリプト ・催眠の解き方 ・催眠を行う上での心構え 第3章 【実践編1】運動暗示 ・腕が上がっていく ・両手が開く ・振り子が動く ・体が後ろに倒れる ・指が近づく 第4章 【実践編2】禁止暗示 ・手が固まる ・腕が曲がらない ・指が離せない ・手が持ち上がらない ・声が出ない ・椅子から立てなくなる 第5章 【実践編3】感覚・記憶暗示 ・ペットボトルが好きになる ・笑いが止まらない ・手が温かくなる ・水の味が変わる ・自分の名前を忘れる 第6章 【応用編】催眠を自由に使いこなす ・上達のためのアプローチ ・暗示文を読む力をつける ・自己催眠を習得する ・自律訓練法のエッセンス おわりに ー催眠のない世界ー
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証券会社がなくなる日 IFAが「株式投資」を変える
証券会社がなくなる日 IFAが「株式投資」を変える
著:浪川 攻
講談社現代新書
社長表彰の常連社員、労組の委員長経験者 海外修練生に選抜された営業成績優秀者…。 将来を嘱望されていた大手証券会社の エリートたちがいま続々と転身している IFA(独立系ファイナンシャル・ アドバイザー)とはいったい何なのか? 2兆円規模ともされる日本のIFAビジネスを 補助線としながら、ネット専業証券の 明暗を分けた理由、 業界が固執する「儲けのカラクリ」に迫る ととともに、次の時代に存続する証券会社の 姿を考える。 日本の証券業界を代表する「野村」は はたして生き残ることができるのか? 【本書の内容】 序 章 証券ビジネスを変える「IFA」とは何か  これまでとは異なる人材流出の動き  相次いで辞めていくエリートたち  米国ではIFA=巨大証券会社の社員に比肩する存在  IFA説明会の実態 ほか 第1章 証券業界が固執する「儲けのカラクリ」  販売手数料無料化の衝撃  「回転売買」と「はめ込み営業」  テーマ型ファンドを保有していない投信会社の元役員  放置されたままの「残骸ファンド」  仕組債「早期償還条項」の罠 ほか 第2章 米国の証券業界で「いま起きていること」  注目すべきはチャールズ・シュワブの「変貌ぶり」  米国で主流の「ゴールベース・アプローチ」とは  常勝軍団「エドワード・ジョーンズ」の独創性  米国では支店長が「どぶ板営業」  激化する買収合戦の中心的存在  あのGSが個人向け無担保ローン事業に進出 ほか 第3章 誰が信頼できる「IFA」なのか  むやみに数は追わない…GAIA 中桐啓貴  相場の話をしない…   ファイナンシャルスタンダード 福田 猛  投信はやらない…   Japan Asset Management 堀江智生  売れる商品でも売らない…いちよし証券 武樋政司 第4章 進化を止めた絶対王者・野村の苦悩  金融業界が色めき立った「野村買収」情報  野村HD前CEOが吐露していた「潰れる恐怖」  ソフトバンクの株式上場時に演じた「厳しい結末」  時代遅れの「日本型総合証券モデル」  野村HD新CEOの考え ほか 終 章 いまの証券会社がなくなる日  IFA転職支援サイトの近況  在宅勤務が助長したIFAへの“民族大移動”  SBIと楽天が勝ち、   マネックスと松井が引き離された理由  玉石混交のIFA法人とプラットフォーマー ほか
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捨てられる銀行4 消えた銀行員 地域金融変革運動体
捨てられる銀行4 消えた銀行員 地域金融変革運動体
著:橋本 卓典
講談社現代新書
利ザヤで稼げた伝統的銀行モデルは崩壊、新型コロナ禍が追い打ちをかけるいま、変わろうとしない地方銀行、信金信組に未来は開けない。すでに変革を進め、実を結びつつある、山形県、長野県、沖縄県、北海道などの実例を紹介する。地域を元気にする、中小企業を助ける以外に地方銀行員が生き残る道はなく、一方で、地銀再生の可能性がまだまだあることを、本書は教えてくれる。 バブル崩壊後の金融破綻で、銀行は企業のリスクから逃げ続けてきた。本来の銀行員は「消えた」のだ。 氷見野良三新金融庁長官は、金融機関に企業のリスクを分担することを強く求める方針を打ち出しつつある。コロナ危機にあえぐ中小優良企業を、リスクを分担して救うことこそ地域金融の役割であり、苦しむ地銀自らを救う唯一の道でもあるのだ。 本書は、徐々に固まっていく新金融庁の方針をスクープレポートする。そして、すでにこの方針を先取りするように動き出している地域金融マンの姿を日本中から紹介する。 面白いのは、これらの金融マンが「地域金融変革運動体」、略称「ヘンタイのカイ」という緩いネットワークで連携していることだ。ヘンタイのカイは、金融マンたちの「心理的安全性」が保たれたネットワークでもある。 遠藤俊英前金融庁長官時代に始まり氷見野良三新長官にも引き継がれる金融行政のキーワード「心理的安全性」(Psychological Safety)は、一見地味だが実は地方銀行はじめとする金融機関が大波を乗り越え、生き残るためには、「じぶんごと」として理解しておかなければならない考え方だ。 金融機関は、顧客(個人にも事業者にも)に対して「心理的安全性」を与えるビジネスをするべき存在だ。 金融機関は、そこで働く人にとっても「心理的安全性」を与える組織でなければならない。 金融庁は、金融機関に対して「心理的安全性」を顧客に与えているかどうかを重要な審査基準とする。 金融機関や元金融マンによる新しいかたちの企業支援が、いま地方でいくつも芽生えている。 その担い手は多くの場合「変人」だが、「心理的安全性」を確保して、常識を超えていく。そして彼らの多くはゆるやかなネットワークでつながっている……。新型コロナ禍以後、「地域の金融」はどう変わるのか、変わらざるを得ないのか。 累計30万部、『捨てられる銀行』シリーズの決定版。コロナ後の地域金融と地方再生に携わるすべての人のヒントとなる!
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問題発見力を鍛える
問題発見力を鍛える
著:細谷 功
講談社現代新書
「2月と8月はものが売れない」「アメリカで流行ったことが1年遅れて日本で流行る」 よく言われるこんな「ビジネスの常識」を貴方は疑ったことがありますか? 「そんなの常識だよ」とわかったふりして思考停止していませんか? デジタルの進化と新型コロナ問題で、もはや何が起こるかわからない、いままでの常識が通じない時代(VUCAの時代というそうです)が一気にやってきました。これに立ち向かうには自分の頭で考えて、問題・課題を発見する能力が不可欠です。 あの『ノートの魔力』で絶賛された『具体と抽象』はじめ、「アナロジー思考」「メタ思考」などを平易に解説したビジネス思考法のベストセラーを書いてきた著者が、「問題発見力」を切り口に、様々な思考法を解説します。 ●「なぜ」をくりかえすことで次元が上がり問題発見になる ●常識を疑え、多数派を疑え、経験はむしろ邪魔 ●「変える」ことに価値がある ●コミュニケーション上の問題は「具体と抽象」のギャップから生まれる ●認知の歪みがあることを常に意識せよ ●自分の頭で考えるとは「具体と抽象」を往復すること ●「こうなればもっとよくなるのに」と考える習慣をつける ●とにかく「なぜ?」と問い続けよう。「Why」は何度も繰り返せる ●「偏在」「ギャップ」を見つけるのが問題発見のコツ ●できるだけ「遠く」から、できるだけ「意外な領域」から真似しよう ●「そんなの常識だ」と言う前にその理由を考える ●自分が見ている風景と他人が見ている風景のギャップを見る ●物事を一つ上の視点から、自分自身を上空から見てみよう ●問題発見力は「鍛える」より「必要以上に殺さない」ほうが重要 ●会議中スマホを見る人、時間を守らない人を怒ってはいけない ●文句ばかり言っている人は意外に貴重 ●「何か考えて提案して」と上司や顧客に言われたら上位目的を考える ●新しいビジネスの多くは「偏りの解決」がヒントとなる などなど、VUCAの時代の「脳の使い方」を解説します。あっという間に読めますが、本が擦り切れるまで繰り返し読んでもらえれば、周りの人より「ビジネス目線」が少し「上位から」に変わってくるはずです。 目次より 第1章 なぜ問題発見力が問われる時代になったのか 第2章 問題発見は常識を疑うことから始まる 第3章 問題発見とは新しい「変数」を考えること 第4章 「ギャップ」に問題発見のヒントあり 第5章 「具体と抽象」を駆使して自分の頭で考える 終章  問題発見力を鍛えるために今後やるべきこと
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苦しい時は電話して
苦しい時は電話して
著:坂口 恭平
講談社現代新書
死にたいほどつらくて苦しい時、人は何をするのが最も良いのか? 躁鬱病を患う著者が、「死にたい人」からの電話を10年受け続けてわかったこと。 【著者メッセージ】 090-8106-4666 これは僕の携帯電話の番号です。 僕は「いのっちの電話」という、死にたい人であれば誰でもかけることができる電話サービスをやっています。もちろん無償です。本家本元「いのちの電話」がほとんどつながらないという現状を知り、2012年に一人で勝手にはじめました。1日に7人ほどかけてきます。なので、1年だと2000人を超えます。もう10年近くやっています。 なんでこんなことをはじめたのか。 なぜなら、自殺者をゼロにしたいと思っているからです。 自殺者がいることが当たり前になってしまっている。そのこと自体が異常なのではないかと僕は思います。もちろん、それぞれの人生はそれぞれに決めることができるので、自ら死にたい人を止めようとするのはどうなのか、それも人間の自由ではないかと思われる方もいると思います。 僕も何度かそう言われたことがあります。そう言われれば、わからないことはありません。いや、どうかな……やっぱり納得できないところがたくさんあります。   なぜなら僕自身も死にたくなるからです。 あなただけではないんです! もちろん、1年に何万人もの電話を受けることはできません。僕にできるのは1日に10人が限界だと思います。そこで、いつも電話で話していることをこの本に書いてみることで、電話だけで対応できない人々にも、死ななくてもいいんだと感じてもらえるのではないか。 そんな気持ちからこの本を書くことにしました。 【目次】 1章 反省禁止! 熱が出ている時と同じ/体からのメッセージ? 2章 24時間、悩める人 すべて僕自身の経験/悩むこと自体は悪くない 3章 不滅のジャイアン 気持ちいいかどうかを確認する/細かな願望に気づく 4章 とても、苦しい時に 10分、悩みまくる/朝ごはんだけ、つくってみる 5章 「いのっちの電話」から 明けない鬱はない/周囲に漏らしていい 6章 自殺者をゼロにする ただの絶望ではない/警察署の刑事からの電話 7章 天下一の生真面目人間だから 暴力をうまく活用する/死にたい人はサボらない 8章 僕の毎日の過ごし方 どんな時も歌を歌う/迷わず仕事をやめていい 9章 苦しみ自体が力となる 企画書をつくる/毎日1時間でいい 終章 悩むのは、才能の一つ 積み重ねが自信につながる
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同調圧力 日本社会はなぜ息苦しいのか
同調圧力 日本社会はなぜ息苦しいのか
著:鴻上 尚史,著:佐藤 直樹
講談社現代新書
新型コロナウイルスがあぶり出したのは、日本独自の「世間」だった!  長年、「世間」の問題と格闘をしてきた二人の著者が、自粛、自己責任、忖度などの背後に潜む日本社会の「闇」を明らかにする緊急対談! ●戦争中から変わらない「国民総自粛」 ●日本人が名刺をもらうとホッとする理由 ●「世間=同調圧力」を生み出す日本独特のルール ●西欧は「社会」、日本は「世間」の大きな違い ●感染者はなぜ謝罪に追い込まれるのか? ●学校でも会社でも「先輩」が強すぎる不思議 ●日本では「批評」がそのまま「人格批判」となる ●言霊の国なのに、言葉が信用されない謎 ●ネット上の匿名が圧倒的に多い日本人 ●若者の自己肯定感が低い理由 ●なぜ出る杭は打たれるのか――芸能人の政治発言 ●不寛容の時代に窒息しないために 生きづらいのはあなたのせいじゃない。世間のルールを解き明かし、息苦しさから解放されるためのヒント。
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ペルシア帝国
ペルシア帝国
著:青木 健
講談社現代新書
なぜイラン高原の辺境から、世界史上に輝く二つの帝国が生まれたのか?  ハカーマニシュ(アケメネス)朝とサーサーン朝、気鋭の研究者がその興亡を描く、世界史ファン待望の一冊! ペルシア悲劇、ペルシア絨毯を生んだ、哀調を帯びた神秘的な桃源郷。 しかし、古代オリエント期のペルシアは、リアリズムの極致というべき世界だった! 急激な都市化、海のシルクロードの掌握がもたらす経済的繁栄。 西アジアからエジプトまで支配するに及んだ壮大な組織力と軍事力。 くりかえされる宮廷クーデターと兄弟間の殺戮……。 そしてリアリズムの塗料が剥げ落ちた時、古代ペルシアに衰亡が忍び寄る――。
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真実の原敬 維新を超えた宰相
真実の原敬 維新を超えた宰相
著:伊藤 之雄
講談社現代新書
こんな総理が、今いたら! 藩閥政府の行き詰まりを打開し、昭和の戦後復興を支えたのは、この男のヴィジョンだった。 混乱の時代における政治家の役割とは何か。政治における優れたトップリーダーの資質とは何か。今まさに問われているこのテーマに、大きなヒントを与えてくれるのが、今年百回忌を迎えた「平民宰相」原敬である。厖大な史料を確かな眼で読み込み、伊藤博文や大隈重信、昭和天皇など近代日本をつくってきた人々の評伝を著して高い評価を得てきた著者は、原を「近代日本の最高のリーダーの一人」と断言する。 原は、朝敵・南部藩に生まれながら、明治新政府への恩讐を超え、維新の精神を受け継いでその完成を目指し、さらに世界大戦後のアメリカを中心とした世界秩序を予見して、日本政治の道筋を見すえていた。その広く深い人間像は、外交官、新聞記者、経営者と様々な経験と苦闘のなかで培われたものだった。志半ばで凶刃に倒れたことで、「失われた昭和史の可能性」とは何か。 著者にはすでに、選書メチエで上下巻930ページにおよぶ大著『原敬―外交と政治の理想』(2014年)があるが、その後の新史料と知見をふまえ、「今こそ改めて原の生涯と思想、真のリーダー像を知ってほしい」と書き下ろした新書版・原敬伝。
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文字世界で読む文明論 比較人類史七つの視点
文字世界で読む文明論 比較人類史七つの視点
著:鈴木 董
講談社現代新書
ラテン文字圏、ギリシア・キリル文字圏、アラビア文字圏、梵字圏、漢字圏-- 五つの文字圏を比べてみると、世界の見方が変わる! ・科挙はなぜ中国社会内部の凝集力を高めたのか? ・日本は長子相続、イスラム世界では? ・箸、フォークとナイフ、右手指食、なぜ違う? ・洋装はいかに非西欧世界に受容されたか? ・なぜ音楽は国境、民族を越えるようになったのか? ・古代ローマと現代アメリカの同化力の限界とは? ・「異才」を育てるための条件とは? ・モンゴル帝国などの開放空間型集団が瓦解した理由 ・文明成熟のためのキーワード「フィードバック」とは? 楽しみながら世界史のツボがわかる!
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クオリアと人工意識
クオリアと人工意識
著:茂木 健一郎
講談社現代新書
「意識」は「コピー」できるか? 人工知能に「意識」は生まれるか? 茂木健一郎が、自身のメインテーマである「意識」と「クオリア」について、 16年の沈黙を破って書き下ろした、新たな代表作にして問題作! 人工知能の研究の進展が目覚ましい。 だが、人間は、なぜ人工知能を生み出すのだろうか? その根底にあるのは、自分の「似姿」をつくろうとする本能である気がしてならない。 人間は、その知性を通して、「万物の霊長」たる地位を確立してきた。 そのような人間の知性の一つの究極の応用として、人工知能の研究、開発がある。人工知能の研究には、もちろん、実用的な意義も大きいが、それに加えて人間が自分自身の成り立ちを理解するという意義もある。 人工知能は、私たちの「鏡」なのだ。 その「鏡」の中には、果たして、「クオリア」に満ちた私たちの「意識」もまた、映っているのだろうか? 人工知能をつくることは、「人工意識」を生み出すことにつながっていくのだろうか。                                              <本文より> ☆本書で考察するテーマの一部 〇眠る前の「私」と、目覚めた後の「私」はなぜ同じなのか? 〇私たちは、「ホモサピエンス」(知性を持つ人間)である以上に「ホモコンシャス」(意識を持つ人間)である。 〇物質に過ぎない脳から、「意識」や「クオリア」が生まれてくる不思議。 〇「意識」は「コピー」できるか? 〇「人工意識」をつくることは可能か?  〇人工知能が生成した文章は、「どこにもたどり着かない」? 〇統計的アプローチでは、「意識の謎」の解明はできない。 〇人工知能をめぐる議論に、ときに驚くほど終末感が漂うのはどうしてなのか? 〇記憶を「外套」だとすると、脳は、その外套を引っ掛けておくための壁に打たれた「釘」に過ぎないという考え方。 〇「私」という「意識」は、この宇宙の全歴史の中で一回だけのものであり、一度死んでしまえば二度と戻らないという「セントラルドグマ」は正しいのか?
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日本人と山の宗教
日本人と山の宗教
著:菊地 大樹
講談社現代新書
日本各地には「霊山」と呼ばれる、信仰の対象になっている山が数多くあります。そしてその山を信仰の対象とする、仏教とも神道ともつかない独特の宗教体系が、それぞれの地域で発展してきました。その形態は世界の宗教史においても非常にユニークな位置を占めています。近年「山ガール」という新語まで誕生したように、日本人の山への愛着には非常に深いものがあります。しかしなぜ、日本人はこんなにも山が好きなのでしょうか、そのルーツはどこにあるのでしょうか? 本書は、日本人と山の「つきあい」の歴史をこれまでにない視点から辿る、ユニークな「山と人との宗教誌」です。
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近現代史からの警告
近現代史からの警告
著:保阪 正康
講談社現代新書
激動の時代を生き抜くために、これだけは言っておきたいーー。 私たちは、近現代史から何を学ぶべきか? ノンフィクション作家・保阪正康による、歴史の大局観を養うための迫真の講義。 ★緊急書下ろし「コロナと近代日本」を収録! なぜ日本は「たった14年」で壊滅したのか? 高度経済成長が「戦争の失敗」を繰り返したのはなぜか? 明治日本はなぜ「帝国主義国家」以外の道を選べなかったのか? 戦前の日本が軍事学を軽視した背景とは? 「天皇がいるけれどいない」大正の5年間は私たちに何を教えるのか? 日本のファシズム体制を形成するプロセス「三段跳び理論」とは? 「コロナ危機」を前に歴史から学ぶべきこととは? 私たちが必ず知らなければならない「歴史の教訓」が、ここにある。
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英語で学ぶ カーネギー「人の動かし方」
英語で学ぶ カーネギー「人の動かし方」
著:木村 和美
講談社現代新書
80年以上読み継がれてきた D.カーネギーによる 世界的ベストセラー『人を動かす』。 世界恐慌後、 不安に陥っている多くの人々を救った この名著の初版(原文)を読んで、 新しい生き方を身につけましょう! 職場や学校で あなたの味方を増やし、 周囲に影響を与える方法とは? 幸せな家庭を築くための法則とは? さっそく明日から実践できる「38の法則」を収録! ・・・・・・・・・・ ■■■世界的名著の原書を読もう!■■■ ■■■英語の辞書がなくても大丈夫!■■■ 全訳と語句の意味がつき、 解説が充実しているから、 英語の原文がスラスラ読めます! ■■■「一石二鳥」の本!■■■ ■■■あなたの人生を変えうる1冊!■■■ 1冊で、あなたのコミュニケーション能力と 英語力を磨くことを目指した構成になっています! ・・・・・・・・・・ 人間の言動について、極めて重要な法則がある。 その法則に従えば、決して問題に巻き込まれることはない。 実際、この法則に従うと数えきれないほどの友人ができ、 いつも幸せになれる。 しかし、この法則を破った途端、なかなか解決しがたい 問題に巻き込まれてしまう。 その法則とは、 「常に、相手に重要だと感じてもらうようにする」 ということだ。 だから、この「黄金の法則」に従おう。 自分がしてもらいたいことを相手にしてみよう。 この「黄金の法則」は、 ほぼ毎日のように、魔法のような効果を発揮する。(本文より) ・・・・・・・・・・ 【本書のおもな内容】 第1章 相手をほめて、重要だと感じてもらうための法則 第2章 相手を理解するための法則 第3章 相手をやる気にさせるための法則 第4章 相手に納得してもらうための法則 第5章 相手に良い印象を与えるための法則 第6章 幸せな家庭を築くための法則 ・・・・・・・・・・
電子あり
戦国大名の経済学
戦国大名の経済学
著:川戸 貴史
講談社現代新書
兵士の装備一式70万円、鉄炮1挺50万円、兵糧米代1000万・・・1回の合戦の費用はしめて1億!「銭がなくては戦はできぬ」 戦国時代はその名の通り、日本全国が戦乱に明け暮れていた時代でした。しかし戦争は、単に個々人が武力に優れていさえすれば勝てるようなものではありません。なによりも必要とされたのはお金です。刀、甲冑、そして新兵器、鉄炮から馬にいたる武器・装備品に始まって、後方兵站への非戦闘力の動員にいたるまで、先立つものはまず「お金」。お金がなければ戦争など、できうるべくもなかったのです。 そのため戦国大名は平時から、自領内での経済力の増大に、つねに意を注がなければなりませんでした。農作物を安定的に収穫するための治水事業や、流通を潤滑にするための道路整備などのインフラ整備、「楽市・楽座」令による経済の活性化、金・銀・銅などを獲得するための鉱山開発、さらにはこの時代に初めて我が国に登場した、ポルトガルなどの海外交易に至るまで、あらゆる手段を講じて「富国強兵」に励んでいました。 資料に限界があるために、当時、個々の案件にどれほどの費用がかかったのかを算出することは難しく、専門家が書いたものとして1冊の新書全体でこの問題を扱ったものは、現在、ほぼ皆無に近い状態です。本書は、戦国時代の経済の専門家があえて蛮勇をふるい、この問題に挑むものです。
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