講談社現代新書作品一覧

日本車は生き残れるか
講談社現代新書
5年後のビジネス構造変化を読み解く、最良の教材は自動車産業だった!
ガソリン車の廃止 世界規模の再編 水平分業の大波 そしてコネクテッド
日本経済の大黒柱は大丈夫か
世界の自動車産業を知り尽くすコンサルタント・ジャーナリストの描く未来
忖度なしに「自動車業界」の現状を描く
(主な内容)
日本車メーカーはなぜ安泰ではいられないのか
100年に一度の大変化――CASEの本当の意味
カーボンニュートラルに出遅れた日本
豊田章男トヨタ社長「渾身のメッセージ」の真意
クルマは「IoT」の「oT」になる
水平分業の大波で衰退した「家電業界」の悪夢再び
自社の技術よりも「社会的課題から考える力」が重要
スマートシティ戦略のフォード、自動運転を取りにいくGM
テスラとGAFAが引き起こした「モビリティ大戦争」
自動運転――日本の技術は本当に世界一か
急遽、会社を一から再編する欧州の自動車産業
下請け(サプライヤー)がメーカーより強くなる時代
もはや大衆車ではない。中国メーカーの高級車路線
「優秀なエンジン」だけでは勝てない現実
トヨタ・日産・ホンダそれぞれの「死角」
日本の自動車産業が克服すべき5つの弱点 ほか
GDPの1割を占める巨大産業の「生存戦略」

ショパンの名曲 ピアノの名曲 聴きどころ 弾きどころ2
講談社現代新書
ピアノファン、ショパンファン待望の1冊! 「エチュード」「バラード」「マズルカ」「ポロネーズ」・・・。世界最高峰、ロシアピアニズムの伝統を引き継ぐ女性ピアニストが、ショパン代表的な名曲を平易に解説。プロにしかわからないユニークな視点が満載、この本を読めば音楽鑑賞の楽しみが倍増すること間違いなし。アマチュアピアニストへのヒントも一杯。全てのクラシック、ピアノ音楽ファンにお勧めです!
著者は、作曲家は基本的に演奏家に親切だといいます。こうしてほしいということは、楽譜の何気ない指示にすべて書き込まれているからです。
プロの見方を知ることで、ピアノを弾く人にはもちろんのこと、ただ聴くのが好きなだけの人も、音楽鑑賞の楽しみがよりいっそう深まること間違いなしの1冊です。

日本人と神
講談社現代新書
なぜ日本人は、草木や山川までもが成仏できると考えるのか? なぜわれわれは「ご先祖様」をお祀りするのか?ーーふだんは当たり前のこととして、何気なく見過ごされている何気ない日常の習慣、思考パターンにも、それぞれに隠された精神の歴史がある。縄文から現代まで。土偶から「ゆるキャラ」まで、日本思想史の第一人者とともに、さまざまな事象の中に「日本人の心の歴史」をたどる。

感じるオープンダイアローグ
講談社現代新書
ただ対話するだけで、
どうしてこころが癒やされるのか?
オープンダイアローグ発祥の国フィンランドでは、
対話によって、精神面に困難を抱えた人の8割が回復。
学校や職場、家庭、議会でも「対話の場」が開かれ、
大きな効果を上げている。
実践に向けて、オープンダイアローグをハートで感じる書!
「その人のいないところで、その人の話をしない」
「1対1ではなく、3人以上で輪になって話す」
ただそれだけのことで、
どうして人は回復していくのか。
日本人医師として初めて、
オープンダイアローグの国際トレーナー資格を得た一人である筆者が、
自らの壮絶な過去とオープンダイアローグに出会った必然、
そして、フィンランドで受けたトレーニングの様子をつぶさに記すことで、
「オープンダイアローグとは何なのか?」
「ただ対話するだけで、どうしてこころが癒やされるのか?」
「どのようにして対話の場が生まれるのか?」
など、様々な疑問に回答する。

生物はなぜ死ぬのか
講談社現代新書
すべての生き物は「死ぬため」に生まれてくる。
――「死」は恐れるべきものではない。
【死生観が一変する〈現代人のための生物学入門〉!】
なぜ、私たちは“死ななければならない”のでしょうか?
年を重ねるにつれて体力は少しずつ衰え、肉体や心が徐々に変化していきます。
やむを得ないことだとわかっていても、老化は死へ一歩ずつ近づいているサインであり、私たちにとって「死」は、絶対的な恐るべきものとして存在しています。
しかし、生物学の視点から見ると、すべての生き物、つまり私たち人間が死ぬことにも「重要な意味」があるのです。
その意味とはいったい何なのか――「死」に意味があるならば、老化に抗うことは自然の摂理に反する冒涜となるのでしょうか。
そして、人類が生み出した"死なないAI"と“死ぬべき人類”は、これからどのように付き合っていくべきなのでしょうか。
遺伝子に組み込まれた「死のプログラム」の意味とは?
■主な内容
・私たちは、次の世代のために“死ななければならない”
・恐竜が絶滅してくれたおかげで、哺乳類の時代が訪れた
・宇宙人から見た「地球の素晴らしさ」とは
・地球上で最も進化した生物は昆虫である
・遺伝物質DNAとRNAの絶妙な関係
・「死」も、進化が作った仕組みである
・ヒトだけが死を恐れる理由
・"若返る"ベニクラゲの不思議
・超長寿のハダカデバネズミは、なぜがんにならないか
・ヒトの老化スピードが遅くなっている理由とは?
・「若返り薬」の実現性
・少なめの食事で長生きできる理由
・老化細胞は“毒”をばらまく
・テロメアの長さと老化は関係ない?
・生物学的に見ると、子供が親よりも「優秀」なワケ
・ヒトが生きる目的は、子孫を残すことだけではない
・“死なないAI”を生み出してしまったヒトの未来
・有限の命を持つからこそ、「生きる価値」を共有できる
――生命の死には、重要な意味がある。
第1章 そもそも生物はなぜ誕生したのか
第2章 そもそも生物はなぜ絶滅するのか
第3章 そもそも生物はどのように死ぬのか
第4章 そもそもヒトはどのように死ぬのか
第5章 そもそも生物はなぜ死ぬのか

発達障害と人間関係 カサンドラ症候群にならないために
講談社現代新書
■■■発達障害の夫や妻、子どもとの関係が
よくなるコツとは?■■■
■■■発達障害の職場の上司・部下とは、どうすれば
うまくコミュニケーションがとれるのか?■■■
□ 発達障害は親の育て方やしつけが原因?
□ その場の話題に合わせるのが苦手?
□ 同時に二つのことができない?
□ 突然の予定変更に順応できず、混乱する?
■■■発達障害の人との人間関係が原因で起こる
「カサンドラ症候群」とは?■■■
第一人者が発達障害にまつわる
「疑問」と「不安」にお答えした、
発達障害の当事者と周囲の人々の
「生きづらさ」「しんどさ」をなくすための本!
・・・・・・・・・・
私は、発達障害の人と周囲の人たちとが
お互いに「なんだか違う」と思いながらも、
わかりあって幸せになってほしいと願い、
臨床を続けてきました。
世間には、子どもの発達障害に関する本、
大人の発達障害に関する本がたくさん刊行されていますが、
本書は発達障害の知識そのものにとどまらず、
「カサンドラ症候群」を補助線としながら、
発達障害の人と周囲の人との関係性や
コミュニケーションに着目しているのが、大きな特長です。
ASDの人たちはふだんどのような悩みを抱えているのか。
最近増加している「大人の発達障害」が、
日常生活を送るうえで周囲に
どのような影響を与えているか。
具体的な臨床例を参考にしながら、
一緒に考えていきたいと思います。
家庭でも職場でも、お互いにわかりあいながら、
違っていても、違っているからこそ、
一緒になって生きていこう――。
そうした社会の実現に向けて、
少しでも前に進むことができたら幸いです。
・・・・・・・・・・
■■本書のおもな内容■■
第1章 発達障害とカサンドラ症候群
1 発達障害の基礎知識
2 いま増加中の「カサンドラ症候群」とは
第2章 職場と人間関係――上司や部下がASDの場合
第3章 家庭と人間関係――家族の誰かがASDの場合
1 夫(父親)がASDのケース
2 子どもがASDのケース
3 妻(母親)がASDのケース
第4章 発達障害と夫婦関係
第5章 発達障害と親子関係
第6章 どうすればラクになれるのか

日本の構造 50の統計データで読む国のかたち
講談社現代新書
50の項目で、日本の「いま」を総点検!
この不安な時代に必要な、すべての議論の土台となる一冊。
Q 日本で10年以上同じ企業に勤続している人の割合は?
(『データブック国際労働比較』2019年)
A ア:75% イ:60% ウ:45%
Q 日本よりも長時間働いている国は?(OECD調査、2019年)
A ア:イタリア イ:イギリス ウ:ドイツ
・男女間、役職者と一般社員、正規と非正規、大卒と高卒……、賃金格差は?
・なぜ日本の開廃業率は他国の3分の1しかないのか?
・高年収家庭は低年収家庭の3倍、学校外教育費に支出
・60代後半の就業率、男性は50%超、女性は30%超
・社会保障給付、高齢者・遺族への給付が51・2%
・なぜ日本では必要な人の10~20%しか生活保護を申請しないのか?
・資産額5億円以上は8・7万世帯
・東京の地方税収入は長崎県の2・3倍
・学力調査トップは秋田県と北陸3県……
数字からいまの日本が浮かび上がる!

百人一首 うたものがたり
講談社現代新書
多くの日本人にとって、もっともなじみのある和歌集といえば『百人一首』。
千年の時を超えて愛されてきた歌集を、現代を代表する歌人・水原紫苑が中世と現代を行き来し、一首ごとにやさしく丁寧にときほぐします。
初学者も大人も楽しめる100のストーリーで、短歌がぐっと親しいものになります。
●百人一首を選んだ、大歌人・藤原定家のプラン
●「恋の歌」が天皇の「使命」だった?
●「鹿」の妻は「紅葉」か「萩」か?
●桜の名歌にみる「生の哲学」
●いかにして小野小町は千年のアイコンとなった?
●『源氏物語』と「あはれ」の美学
●定家の西行に対する嫉妬心
●小野小町のスピリットが宿る俵万智
●赤染衛門と和泉式部、二人の友情
●定家の父が詠んだ「老いのエロス」
●かるた取りに使える「決まり字」
※本書は、講談社のPR誌『本』2018年1月号から2020年1月号まで連載した「百人一首うたものがたり」を元に大幅に加筆しました。
……など、テーマは盛りだくさん。
簡単でいて、読むだけで日本古典文学の神髄まで学べる一冊。
ことばの豊かな世界がここにあります。

戦争の中国古代史
講談社現代新書
群雄割拠! 殷・周・春秋戦国時代に繰り広げられた古代中国の戦争を軸に、「中華帝国」誕生の前史を明らかにする画期的入門書。
「中国」形成史、あるいは華夷思想の形成は国内外の学会でホットなテーマである。また秦の滅亡から漢王朝成立までの過程は、近年日本で活発に研究が発表されている。本書ではこれら最新の研究の成果を随所に取り入れていく。
そしての戦争やその意義だけでなく、軍制、長城などの軍事施設、兵器、軍事にまつわる儀礼や思想、軍事に関わった人物、末端の兵士の状況など、軍事全般を各時代ごとに見ていくことで、文字通り「戦争の中国古代史」を総合的に描き出していくことにしたい。 ――「まえがき」より
【本書の構成】
序章:戦争の起源
第一章:殷王朝 旬に憂い亡きか
第二章:西周王朝 溥天の下、王土に非ざる莫し
第三章:春秋時代 「国際秩序」の形成
第四章:戦国時代 帝国への道
第五章:秦漢王朝 「中国」の形を求めて
終章:「中国」の行く末

仕事と人生
講談社現代新書
ラストバンカー・西川善文が晩年に語っていた「仕事ができる人」とは?
2020年9月に世を去った、稀代の銀行家の遺言。
「鬼上司」「不良債権と寝た男」…悪評を物ともせず、時代の先を見通し、
今何をすべきか腹の底から理解した男は、人の真価を見抜く天才だった。
いつの時代も変わらぬ本物の仕事術がここにある!
◆おもな内容
●仕事ができる人はシンプルに考える
●どんな問題でも、それほどたくさんの急所があるわけではない
●仕事の出来は70点で手を打つ
●何もかも自分で引き受けず、他人の力を借りる
●一つ上の立場で考えるかどうかで差がつく
●部下を育てると同時に自分も成長する
●序列や役職で相手を見てはダメ
●机上でわからないことが現場にある
●やるべきことを断行する勇気を持つ
●特別な人脈より有効な人脈を持つ
●人の目が届かない仕事で甘えてはいけない
●お客に一方的にしゃべってはいけない
●相手は何が得意かを知っておく
●状況が悪いと逃げ出す人間は下の下
●ピンチをチャンスにすれば大きな変化を作り出せる
●見たくない現実こそ直視する
●「一緒に頑張る」はかえって危険
●自分でやるしかないと心に決める
◆目次
第一章 評価される人
第二章 成長する人
第三章 部下がついてくる人
第四章 仕事ができる人
第五章 成果を出す人
第六章 危機に強い人

ハイブリッド戦争 ロシアの新しい国家戦略
講談社現代新書
戦争は戦場だけではない!
いかに低コストで最大限のダメージを敵国に与えるか。執拗なサイバー攻撃、SNSを利用したプロパガンダ、暗躍する民間軍事会社――世界を脅かすプーチン流「現代戦」と日本の安全保障のリスクとは?
ウクライナ、シリアでの民間軍事会社の暗躍、米大統領選でのプロパガンダ工作、ジョージアとの情報戦、アフリカ発のロシア製フェイクニュース、そして東京五輪へのサイバー攻撃――、正規と非正規を組み合わせた21世紀型戦争の実態と、ロシアの外交・軍事戦略の全貌に迫る決定版!

土葬の村
講談社現代新書
これは恐らく、現存する最後といっていい土葬の村の記録である。
村人は、なぜ今も「土葬」を選ぶのか?
日本の伝統的な葬式である「土葬・野辺送り」が姿を消したのは、昭和の終わり頃とされている。
入れ替わるように火葬が増え、現在、日本の火葬普及率は99.9%を超える。
土葬は、日本の風土から完全に消滅してしまったのだろうか?
筆者は「土葬・野辺送り」の聞き取り調査を30年にわたって続け、平成、令和になっても、ある地域に集中して残っていることを突き止めた。
それは大和朝廷のあった奈良盆地の東側、茶畑が美しい山間にある。
剣豪、柳生十兵衛ゆかりの柳生の里を含む、複数の集落にまたがるエリアだ。
日本人の精神生活を豊かにしてきた千年の弔い文化を、まだ奇跡的に残る土葬の村の「古老の証言」を手がかりに、詳らかにする。
【本書の内容】
はじめに
第一章 今も残る土葬の村
第二章 野焼き火葬の村の証言
第三章 風葬 聖なる放置屍体
第四章 土葬、野辺送りの怪談・奇譚
おわりに

サピエンスの未来 伝説の東大講義
講談社現代新書
人類は、分断と災厄を超えて、さらなる高みへと進化する――。
壮大なスケールで描かれるサピエンスの全史。
コロナ禍の暗い時代の前途を照らす知の光明。
現代の困難を乗り越える鍵はここにあった!
伝説の東大講義、遂に成る。
* * *
すべてを進化の相の下に見よ!
物質・生命・脳・宇宙……あらゆるテーマを綜合する立花人間学の集大成。
○すべてを進化の相の下に見よ。人間の現在地をつかみ、未来に備えよ。
○人類の未来を語るなら、数万年のスケールを視野に入れるべし。
○進化の矢の尖端は、すでに新しいステージに突入している。
○来るべき人類は、地球全体をケアするプラネタリーな意識を共有すべし。
○「広さ・深さ・数・比率・質・運動・関係」の7つの感覚を身につけよ。
○べき乗でものを考えよ。
○未来のさらなる進歩を実現するために、必要な準備に汗水を流せ。
○ローカルな迷いからの抜け出したければ、グローバルな情報をつかめ。
○新しいものを真に見るために必要なのは、アルゴリズムを変えること。
○世界の解釈の正しさなしに、世界の変革は不可能である。
[目次]
はじめに
第1章 すべてを進化の相の下に見る
第2章 進化の複数のメカニズム
第3章 全体の眺望を得る
第4章 人間の位置をつかむ
第5章 人類進化の歴史
第6章 複雑化の果てに意識は生まれる
第7章 人類の共同思考の始まり
第8章 進化論とキリスト教の「調和」
第9章 「超人間」とは誰か
第10章 「ホモ・プログレッシヴス」が未来を拓く
第11章 終末の切迫と人類の大分岐
第12章 全人類の共同事業
解説 不安な時代の知の羅針盤(緑慎也)

フォン・ノイマンの哲学 人間のフリをした悪魔
講談社現代新書
21世紀の現代の善と悪の原点こそ、フォン・ノイマンである。彼の破天荒な生涯と哲学を知れば、今の便利な生活やAIの源流がよくわかる!
「科学的に可能だとわかっていることは、やり遂げなければならない。それがどんなに恐ろしいことにしてもだ」
彼は、理想に邁進するためには、いかなる犠牲もやむを得ないと「人間性」を切り捨てた。
<本書の主な内容>
第1章 数学の天才
――ママ、何を計算しているの?
第2章 ヒルベルト学派の旗手
――君も僕もワインが好きだ。さて、結婚しようか!
第3章 プリンストン高等研究所
――朝食前にバスローブを着たまま、五ページの論文で証明したのです!
第4章 私生活
――そのうち将軍になるかもしれない!
第5章 第二次大戦と原子爆弾
――我々が今生きている世界に責任を持つ必要はない!
第6章 コンピュータの父
――ようやく私の次に計算の早い機械ができた!
第7章 フォン・ノイマン委員会
――彼は、人間よりも進化した生物ではないか?
********
ノイマンがいかに世界を認識し、どのような価値を重視し、いかなる道徳基準にしたがって行動していたのかについては、必ずしも明らかにされているわけではない。さまざまな専門分野の枠組みの内部において断片的に議論されることはあっても、総合的な「フォン・ノイマンの哲学」については、先行研究もほとんど皆無に等しい状況である。
そこで、ノイマンの生涯と思想を改めて振り返り、「フォン・ノイマンの哲学」に迫るのが、本書の目的である。それも、単に「生涯」を紹介するだけではなく、彼の追究した「学問」と、彼と関係の深かった「人物」に触れながら、時代背景も浮かび上がるように工夫して書き進めていくつもりである。
――「はじめに」より
********
ノイマンの思想の根底にあるのは、科学で可能なことは徹底的に突き詰めるべきだという「科学優先主義」、目的のためならどんな非人道的兵器でも許されるという「非人道主義」、そして、この世界には普遍的な責任や道徳など存在しないという一種の「虚無主義」である。
ノイマンは、表面的には柔和で人当たりのよい天才科学者でありながら、内面の彼を貫いているのは「人間のフリをした悪魔」そのものの哲学といえる。とはいえ、そのノイマンが、その夜に限っては、ひどく狼狽(うろた)えていたというのである。クララは、彼に睡眠薬とアルコールを勧めた。
――第5章「第二次大戦と原子爆弾」より
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人類史上 最恐の頭脳!

ファクトで読む米中新冷戦とアフター・コロナ
講談社現代新書
巨大化する中国。迎え撃つ米国。
新たな冷戦の水面下で忍び寄る〈七つの戦争〉。
覇権と覇権のはざまを、
日本はこうして泳ぎ抜く!
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コロナ敗戦国、日本。
感染症危機に襲われながらも無為無策で通した我が国は、防衛力、行政効率、政治指導力、ありとあらゆる実力の程度を露呈させ、危機管理能力の欠如を知らしめてしまった。
にもかかわらず日本は、ますます覇権国化する中国と、それを迎え撃つアメリカとのはざまに位置する運命から逃れることができない。
覇権と覇権のはざまで脅かされる新冷戦時代を、我々は泳ぎ抜くことができるのか。
本書は親中でも反中でもなく、
ファクトから米中〈七つの戦争〉を分析し、
日中韓台4か国を俯瞰することで日本のサバイバル戦略を提示する。
【 それでも、日本なら生き抜ける! 】
◆本書の内容◆
【第1章】米中、七つの戦争
習近平の長期政権は「台湾統一」を前提にした了解事項だ――。
(1)貿易、(2)技術、(3)人権、(4)金融、(5)コロナ、(6)外交、そして最後に(7)軍事。台湾有事まで視野に入れて、〈七つの戦争〉の行く末を予測する。
【第2章】「コロナ対応」の東アジア比較
コロナ対応では日本が「一人負け」――。
日本・中国・韓国・台湾、4ヵ国のコロナ対応を比較検討し、日本が克服しなければいけない課題を明らかにする。
【第3章】韓国と台湾を見ると5年後の日本がわかる
韓国と台湾を襲う「激震」に日本もやがて直面する――。
中国の巨大化と米中激突の影響を真っ先にこうむる韓国と台湾はその対応策でも先を行く。日本が学べることは何か?
【第4章】日本は中国とどう付き合うか
アフター・コロナの時代だからこそ「幸福な日本」になることができる――。
日本にとって譲れるもの、譲ってはならないものを腑分けしながら、戦略的な曖昧さを貫徹する方策を提示する。

新しい世界 世界の賢人16人が語る未来
講談社現代新書
海外メディアだから語った!
最高の知性たちが伝える、予測不可能な大転換の時代を生きるヒント
パンデミックの惨禍、拡大する不平等、トランプ現象……。
ハラリ、トッド、ピケティ、サンデル、タレブ、ナオミ・クラインらの目に映る現代世界とは?
「クーリエ・ジャポン」編集部が世界中のメディアから厳選した、回復への道を考えるための16本の必読インタビュー集!
第一章 コロナと文明
ユヴァル・ノア・ハラリ「私たちが直面する危機」
エマニュエル・トッド「パンデミックがさらす社会のリスク」
ジャレド・ダイアモンド「危機を乗り越えられる国、乗り越えられない国」
フランシス・フクヤマ「ポピュリズムと『歴史の終わり』」
第二章 不透明な世界経済の羅針盤
ジョゼフ・スティグリッツ「コロナ後の世界経済」
ナシーム・ニコラス・タレブ「『反脆弱性』が成長を助ける」
エフゲニー・モロゾフ「ITソリューションの正体」
ナオミ・クライン「スクリーン・ニューディールは問題を解決しない」
第三章 不平等を考える
ダニエル・コーエン「豊かさと幸福の条件」
トマ・ピケティ「ビリオネアをなくす仕組み」
エステル・デュフロ「すべての問題の解決を市場に任せることはできない」
第四章 アフター・コロナの哲学
マルクス・ガブリエル「世界を破壊する『資本主義の感染の連鎖』」
マイケル・サンデル「能力主義の闇」
スラヴォイ・ジジェク「コロナ後の偽りの日常」
第五章 私たちはいかに生きるか
ボリス・シリュルニク「レジリエンスを生む新しい価値観」
アラン・ド・ボトン「絞首台の希望」

晩年のカント
講談社現代新書
哲学者は精神の黄昏といかに向かい合ったか。
還暦を過ぎ、ようやく購入した自宅。いっさいの装飾を欠いた空間で、家族とのつきあいも絶ち、老哲学者カントは何を考えていたのか?
三批判書を書き上げ、名声を確かなものとした彼を襲った、ある筆禍事件とは?
同業の哲学者は一度として招待せず、連日四、五時間におよぶ食卓で繰り広げられる会話。女性や人種に対する高慢と偏見の集積。人の名前を覚えられなくなり、アルファベット順の引き出しをこしらえて会見に臨む姿。ケーニヒスベルク市内の年長の高齢者に対する異様な関心――。
ある老哲学者の、ぎこちない下手な生き方を辿る。

教育は変えられる
講談社現代新書
「みな同じ」の一斉教育から、「みな違う」を前提とした、子ども一人一人にカスタマイズされた、「みんなを伸ばす」教育へ。明治以来の教育システムを根本から変える、本当の意味での「これからの教育」。その基本的な考え方と、具体的な実現方法を、著者による東京都杉並区の取り組みを通じて提案する。
「教育は、変えられる」ーー今、私は、そう確信しています。
「そんなこと、できるわけがない」
こう言うと、すぐにそのような反応が返ってくることが予想できます。
けれど、考えてもみてください。
広がる学力格差。増加するいじめ。減らない不登校。拡大する特別な教育ニーズ。そうしたことの総体として機能せずに荒れる学級……。教員の過酷な労働の原因にもなっているこうした教育の問題がいまや限界に達していることは、誰にも否定できないはずです。
では、どうすればよいのか。
私は、杉並区教育委員会のスタッフの一人として、ある、「そもそも」を問い直すことから始めました。
「そもそも、教育は何のためにあるのか」
その答えは、とてもシンプルなものです。
「自らの道を拓く『自立』と、誰もが共に生きる『共生』のため」
「自立と共生のための『学び』を、『すべての人』に届けるため」
自立と共生は、「支え合い」の関係にあります。誰もが共に生きられる世界があればこそ、すべての人が自分の道を拓くことができます。自分の道が拓かれていく実感の中でこそ、すべての人が共に生きることのできる世界の大切さが分かります。
そう、教育には、公的な機関が携わることで、すべての人が学びの機会を確実に得られるようにし、一人一人が自らの道を拓けるようにする意味と、みんなが共に生きられるようにする意味があります。この二つの意味を、分かつことなく支え合うようにして満たすこと。それが、教育の目指すところなのです。
(「はじめに」より)

超解読! はじめてのヘーゲル『法の哲学』
講談社現代新書
『精神現象学』と並ぶヘーゲルの代表作、超解読ついに完成。難解な「ヘーゲル語」をかみ砕き、近代社会の「原理」の書として読み直す。
予備知識なしに、重要哲学書がわかる「超解読」シリーズ!
所有、契約、責任、犯罪と刑罰ーー社会の基礎をなすさまざまなルールは、どのような根拠があれば「正しい」と言えるのか? そして「よき」社会、「よき」国家とは? まさにわたしたちが今生きている世界の「原理」を考える。
ヨーロッパ哲学史上、最も重要にして最も難解なヘーゲルの主著を、おなじみのコンビがわかりやすく読み砕く。

証言 羽生世代
講談社現代新書
■■■彼らはなぜ「強かった」のか?■■■
■■■「一つの時代」は本当に終わったのか?■■■
世代交代が進む中で
天才たちはいま、何を思い、考えているのか。
危機感と劣等感、痛恨と意地
敬意と憧憬、そして誇り―。
羽生善治・渡辺明・谷川浩司・佐藤康光
森内俊之・藤井猛・郷田真隆・久保利明・先崎学ら
計16人の棋士のロングインタビューを収録。
・・
将棋界において30年以上にわたり
その頂点に君臨し続けてきた「羽生世代」。
しかし50歳が近づくにつれて
彼らの成績はゆるやかに下降し始めた。
そして近年は、藤井聡太ら精鋭たちに押され、
以前のような圧倒的な結果を残せなくなっている。
世代交代が現実のものになったのだ。
羽生世代の棋士だけでなく
羽生世代の突き上げを食らった年上棋士
羽生世代の牙城に挑んできた年下棋士たちが
はじめて明かした本音とは。
「奇跡の世代」の深層に気鋭の将棋観戦記者が迫った。
【本書のおもな内容】
■序 章 将棋界で起きた「31年ぶりの一大事」:大きな転換期を迎えた羽生世代
■第1章 羽生世代はなぜ「強かった」のか:突き上げを受けた棋士の視点
谷川浩司 黄金世代と対峙してきた“光速流”の本音
島 朗 「55年組」やいまの若手と彼らは何が違うのか
森下 卓 世代の狭間で気持ちを崩した俊英の告白
室岡克彦 強豪たちに大きな影響を与えた先達の見解
■第2章 同じ世代に括られることの葛藤:同時代に生を受けた棋士の視点
藤井 猛 棋界の頂点に立っても拭えなかった劣等感
先崎 学 早熟の天才が明かす同年代ゆえの「複雑さ」
豊川孝弘 奨励会入会が同じだった年上棋士の意地
飯塚祐紀 タイトル戦で競っていない奨励会同期の思い
■第3章 いかにして下剋上を果たすか:世代交代に挑んだ棋士の視点
渡辺 明 将棋ソフトがもたらした“世代交代”の現実
深浦康市 いまも忘れ難い「控室での検討風景」
久保利明 “さばきのアーティスト”が抱いていた危機感と憧憬
佐藤天彦 難攻不落の牙城を撃破した“貴族”の視座
■第4章 羽生世代の「これから」:一時代を築いた棋士の視点
佐藤康光 人間の限界に挑んできたことの誇り
郷田真隆 定跡を一からつくってきた者たちの痛恨と自負
森内俊之 小学4年からの将棋仲間が「天才」だったことの幸せ
羽生善治 “年相応の難しさ”をどう乗り越えていくか