講談社文庫作品一覧

仮面の君に告ぐ
講談社文庫
目を覚ませば、身体は別人。
しかも“私”は一年前に殺されていた?!
犯人への復讐に燃える恋人を前に、果たして何ができるのか。
――映画化された「ルパンの娘」シリーズが話題の横関大、読後に胸がざわつくミステリー!
涌井和沙は、目を覚ますと病院のベッドにいた。
戸惑っているうちに、「モリさん、目覚めたんですね」と看護師から声がかかる。
沸き起こる違和感に鏡をのぞいた和沙は驚愕する。映っていたのは赤の他人だったのだ。
身体だけが別人になってしまったことにパニックになるなか、
追い打ちをかけるように新たな事実が判明する。
涌井和沙は一年前、何者かに殺害されたというのだ!
衝撃のラストに思わず震える再読必至のミステリー!

この道
講談社文庫
祖先、肉親、自らの死の翳を見つめながら、綴られる日々の思索と想念。死を生の内に、いにしえを現在に呼び戻す、幻視と想像力の結晶。晩年まで勁健な筆を奮い、文学の可能性を極限まで拡げつづけた古井文学の極点。

カエルの小指 a murder of crows
講談社文庫
「久々に、派手なペテン仕掛けるぞ」
詐欺師から足を洗い、実演販売士として生きる道を選んだ武沢竹夫に、
訳ありの中学生・キョウからとんでもない依頼が。
母親が残酷な詐欺被害にあったのを境に、厳しい現実を生きることになったキョウ。
武沢は彼女を救うため、かつての仲間を再集結、大仕掛けを計画する。
シリーズ累計70万部の人気作!

転生の魔 私立探偵飛鳥井の事件簿
講談社文庫
43年前、二重密室から姿を消した女性が国会前のデモの現場に現れた。
当時とまったく同じ容姿で──。
捜索依頼を受けた私立探偵・飛鳥井は「ジン」と名乗っていた彼女の消失事件の調査を引き受ける。
過去の関係者を訪ねるうちに現代日本社会の病理につながる犯罪が浮かび上がる。
新しき社会派ミステリー!

多角関係
講談社文庫
みかけによらず浮気な女の、鳥飼の細君・冴子は、夫に秘密で、他の男の子供を生んだ。しかし鳥飼は、冴子に疑いを抱いていない。子供も自分の子だとばかり信じこんでいる。そのことを、冴子は楽しむように小坂に話した。小坂は、鳥飼たちが結婚する前、冴子と交渉があった。しかも、鳥飼に冴子を紹介したのは、小坂である。ようやく、鳥飼が、冴子に不審を持つようになった。そして、小坂を呼び出し、小坂と冴子の以前の関係に、さぐりを入れてくるようになった。――官能と肉体の神秘を求め、文学の性的世界にユーモアを導入して、新機軸を築く、川上宗薫の傑作短編集。

謀聖 尼子経久伝 青雲の章
講談社文庫
戦国初期に活躍した山陰の雄、尼子経久。「謀聖」と言われるほど計略に優れた人物でありながら、「天性無欲正直の人」と評された得体のしれない個性。そして、東の北条早雲とともに、下剋上大名の代名詞的存在である経久が、旧秩序の破壊を志した本当の狙いとは?
一時は城を追われ、流浪の身となりながらも、山陰、山陽11ヵ国の大大名となった尼子経久の生涯を描く大河歴史小説スタート。
「妖草師」シリーズの武内涼が描く、大河歴史小説シリーズが講談社文庫書下ろしで登場!

コゴロシムラ
講談社文庫
カメラマンの仁科は、雑誌の取材のため、ライターの原田と山深い神社を訪れた。が、篠突く雨が降る夕暮れ、携帯が繋がらない山道で迷い、おまけに原田は足を捻挫してしまう。ようやく古い民家に辿り着き、老婆の厚意で泊めてもらうことになったが…。仁科は、コゴロシムラと呼ばれるその村で、出口のない恐怖に晒される。
木原音瀬が挑んだ、ホラー&ミステリーの傑作。流麗な中村明日美子のイラストや、文庫オリジナルショートストーリーにも注目!

江戸は浅草4 冬青灯籠
講談社文庫
愛すればこそ別れ、愛すればこそ寄り添い合う。
ため息が出るほど色鮮やかな「人情」を描き出す
女性時代小説作家、ますます絶好調!
☆☆☆
身請けが決まった吉原の遊女・冬青は
笛師・大輔の幼馴染みだった。
調べるほど申し分のない嫁ぎ相手に
安心したのも束の間、遊女の足抜けが発生。
郭のご法度の事態に、真一郎へ連れ戻すよう依頼が入る(「冬青灯籠」)。
江戸の人情と色恋が事件となって顔を出す――。
共感必至の筆致で描かれる人気シリーズ!

雑賀のいくさ姫
講談社文庫
イスパニアのイダルゴ(騎士)の家系に生まれたジョアンは、乗り込んだ船での内紛と難破のはてに、紀伊雑賀のいくさ姫、鶴に拾われる。鶴はカラベル船を修復した「戦姫丸」に乗って商いのためにジョアンらと南洋に向かうが、海賊や大名の思惑、そして過去の因縁に巻き込まれていく。雑賀、村上、毛利、大友、島津―戦国の西国大名オールスター水軍が、日本を狙う大海賊と雌雄を決する。戦国の海洋を縦横無尽に駆け巡る、傑作歴史ロマン!

空貝 村上水軍の神姫
講談社文庫
伝説的女武将・鶴姫は、巫女であり総司令官であった。村上水軍を率いて西国最強の水軍を迎え撃つ──数奇な運命を描く長編歴史小説!
1541年6月、西の大国・大内氏の水軍が大三島(おおみしま)に大挙襲来する。迎え撃つ三島(さんとう)村上水軍の奇襲作戦は失敗し、総司令官である陣代の大祝(おおほうり)安房が戦死。実はそれは、安房の若き軍師・越智(おち)安成による大祝家への復讐の始まりだった。大祝鶴姫は平和な今治で巫女として神事に専念していたが、最愛の兄・安房戦死の報に接し、「大内を打倒し仇を討つまでは女を捨て、男として生きる」と宣言する。陣代となった鶴姫は安成と激しく衝突しながらもその献策を採用。鶴姫の天賦の軍才と安成の奇策によって勝利を収める。安成はなおも鶴姫謀殺と三島水軍の壊滅を企むが、鶴姫から危地に陥った己の命を逆に救われるのだった……。

わたしの芭蕉
講談社文庫
日本語の世界に遊ぶ。
時を超えて探訪する、十七文字の風景――。
生涯で一千近くの句を残した「俳聖」松尾芭蕉。
長年作家として豊かで美しい日本語表現を目指してきた著者は、
芭蕉の簡潔で力強い言葉に魅了された。
日本各地を旅した俳人は、どのように自然を見つめ、会心の表現に辿り着いたのか。
言葉の世界を探訪しながら、人の生き方、老いと死の迎え方を考える名エッセイ。
【文字を大きく、読みやすくしました】

電気じかけのクジラは歌う
講談社文庫
圧 倒 す る 想 像 力
震 え る ほ ど 未 来
「AIがもの作りする時代――
じゃあ俺は、何の役に立つ?」
挫折と再生を謳い上げる近未来ミステリー
☆☆☆
絶賛!そして考察の声!
「どんどんと深海に深く深く沈められるため、
ひたすら光が見たくて読み進めさせられる」
「近未来で苦悩する音楽家達の心の叫びを肌で感じるような時間でした」
「AIが自分にとってぴったりの音楽を作り出してくれる世界。
きっとその世界はもうすぐそこまでやってきている」
「音楽・才能に翻弄される様はもの哀しく感じる」
☆☆☆
人工知能の作曲アプリ「Jing」により作曲家が絶滅した近未来。
元作曲家の岡部の元に、自殺した天才・名塚から
指をかたどったオブジェと未完の傑作曲が送られてくる。
彼の残したメッセージの意図とは――。
名塚を慕うピアニスト・梨紗とともにその謎を追ううち、
岡部はAI社会の巨大な謎に肉薄していく。

十七八より
講談社文庫
ある夏、ある少女の「1か月」。
いつかどこかに存在したあらゆる一瞬の堆積が、鮮やかに立ち上がる。
第58回群像新人文学賞受賞作。期待の書き手のデビュー作がついに文庫化。

源平の怨霊 小余綾俊輔の最終講義
講談社文庫
1160年、平治の乱の後、源頼朝は平清盛によって助命される。後に大納言・時忠が、「此一門にあらざらむ人は、皆人非人なるべし」とまで言い放ち、知行国三十余国、荘園五百ヵ所、田園その数を知らずと言われるまでに栄華を誇った平家一門の命運は、この瞬間に窮まった。
後に平氏を滅ぼすことになる頼朝を清盛はなぜ救ったのか?
平氏を滅亡に追い込んだ天才武将・源義経は数々の戦果を挙げたにもかかわらず、兄の不興を買って非業の死を遂げる。その義経が怨霊として祀られていないのはなぜなのか?
二つの謎が解けるとき、源氏と平氏の真の姿が現れる。

連理の宝 Cocoon外伝
講談社文庫
若かりし日の惣右衛門。瑠璃の親友・津笠がひそかに抱いていた苦悩。鳩飼いの頭領になった惣之丞の決意。最終決戦後の五人衆。時には笑い、時には泣ける。ここでしか読めない、黒雲たちの物語!

うちの旦那が甘ちゃんで 鼠小僧次郎吉編
講談社文庫
奉行から月也に「深川飯を食べろ」との奇妙な指令が。沙耶と二人でご当地を探っていると盗賊と会うことに……好評書下ろし時代小説!
文政八年、月也が沙耶を小者にしたばかりの頃、奉行の筒井から奇妙な指令を受ける。沙耶を連れて一番美味しい「深川飯」を探せというのだ。月也は早速沙耶に事情を話し、ご当地の深川に二人で繰り出すことにする。こういう訳のわからぬ指令が出るということは、きっと「訳あり事件」に違いない。沙耶は月也と深川飯を食べ歩くと同時に、音吉や牡丹に協力を要請する。そして、庶民に盗んだ金の一部を与える「義賊」の情報を得、また木づくり職人の次郎吉という男を紹介してもらい、足を洗おうとしている盗賊であることがわかる。おかしな指令が少しずつ結びついていく……。

大天使はミモザの香り
講談社文庫
時価2億のヴァイオリンが消えた。
アラフォー地味美人の光子と天才(?)高校生・拓人に、
このトリックは解けるのか!?
ヨーロッパのラ・ルーシェ公国から来日していた、世界的に有名なヴァイオリンが消えた。
アマチュア・オーケストラのパトロンのマダム、
実直なヴァイオリン職人、
ヨーロッパ貴族、才媛の秘書、
イケメンコーディネーター
誰にも不可能で、誰もが怪しい。
……えっ、私も!?
江戸川乱歩賞作家が描くオーケストラ・ミステリー!

偽神の審判 警視庁公安分析班
講談社文庫
★★★2022年2月スタート! WOWOW「連続ドラマW」原作!!★★★
現場に残された矛盾こそが、「真実」を手にするためのヒントだ!
公安警察 対 殺し屋
手に汗握る激闘の行方は――!?
殺人現場に残される心臓と羽根の載った天秤。有力政治家と大学教授が殺害された二つの事件に見え隠れするのは、公安が長年追ってきた殺し屋「鑑定士」の存在だった。殺人を依頼したと思われる組織の情報を得るため、鷹野秀昭は一般人を協力者(スパイ)として潜入させるよう命じられるが――。
手に汗握る公安ミステリー!
★★★ドラマ情報★★★
「連続ドラマW 邪神の天秤 公安分析班」
2022年2月13日(日)スタート(全10話)
毎週日曜 夜10時 放送・配信(第1話無料放送)
青木崇高 松雪泰子 徳重聡 小市慢太郎 福山翔大 瀧内公美 奥野瑛太
渡辺いっけい 段田安則 菊地凛子 筒井道隆

揺れる女
講談社文庫
深夜、私の部屋の電話が鳴った。「あたし、由香利です。死のうと思ってるの」……電話の主は、青江由香利・18歳。女流作家の私を慕ってくる、六本木のフーテンのひとりであった。その翌朝、由香利は、私の8年来の情人である国井と、心中しているのを発見された。私は愕然とした。なぜ、あのふたりが? 苦悩と懐疑が私を駆り立てた。由香利には、国井を《死》に誘うほどの魅力があったのだろうか。そして、私はついに、由香利の肉体の秘密を知った……。傷ついた心と肉体をもち、荒涼たる現代の夜をさすらう少女を描く「揺れる女」など、全7編。

いじわるな唇
講談社文庫
隣室に住む洋子の声が時々、那可子の部屋まで聞こえてくる。それは、罵詈に属する言葉である。まだ少女のような女に罵られて黙っている男の気持が、那可子には腑に落ちない。男は、50近い年配である。男がいない時、洋子は、若者たちを呼び入れて不埒な行為をしているらしい。ある日、那可子は、男を自分の部屋に誘い入れた。洋子の不謹慎を男に教えたい気持と、男と浮気したい気持を、那可子は、半々ずつ持っていた。男の技巧は、幼稚だった。と、急に男は、顔を踏みつけてくれと那可子に頼んだ……。変態の男と、男を足拭き程度に考えている女の、奇妙な関係を描く表題作のほかに、8編を収録。