講談社文庫作品一覧

情報銘柄
講談社文庫
正確な株式銘柄情報に、自分の誇りを感じている佐川にとって、最近は、憂鬱の連続であった。勤め先である<週刊東京情報>に書いている彼の推奨銘柄が、外れ続けているのだ。失意の佐川は、しかしある日、耳寄りな情報を得た。河松製作所に中共から、大量のブルドーザーの発注があったという。佐川はこの情報に、情報屋としての誇りの全てを賭けた。推奨原稿を書く一方、借金して河松を20万株買い込んだのである。……兜町に生きる男の栄光と悲哀を描く標題作のほか、苛烈なビジネス戦争の実態を生々しく描く異色企業小説3篇を収録。

砂糖菓子が壊れるとき
講談社文庫
映画スター・千坂京子は、無名だった頃、お金のためにヌードを撮らせたことがあった。教育のない彼女は、人一倍知的なものに憧れたのに、世間はその1枚のヌード写真のために、彼女に肉体女優の烙印を押した。京子は、あるときは烙印の痛みから逃がれるために、あるときは自分が高められると信じて、つぎつぎに、男の胸の中に顔をうずめた。男たちは、それぞれに、彼女の中に光を放っている純粋さを知っていた。しかし、京子の魂は、どの男によっても、安らぐことができなかった。……幸福を空しく追い求める美貌の女の短い生涯を、乾いた叙情で歌いあげた名作!

虎の牙
講談社文庫
武田信玄の父・信虎の謎の弟、勝沼信友。「山の民」として育てられたその男は、自らに流れる血の運命にのみ込まれていく。一方、罪を犯して流浪の末武田家に仕官した足軽大将の原虎胤は、その武勇から「鬼美濃」と恐れられ、外様ながら家中で重きをなしていく。乱国甲斐の統一を目指す武田信虎を挟んで、二人の男がある「呪」を背負いながら戦場を駆け巡る。最強武田のルーツを描く、女流ヒストリーテラーのデビュー長編、待望の文庫化。〔解説〕平山優。

青の呪い 心霊探偵八雲
講談社文庫
ぼくは貴女のために
殺人犯になった
早朝の教室、呪われた絵画、先生の死体――
一気読み!のち驚愕!
圧倒的筆力の青春×特殊設定ミステリー
☆☆☆
殺人の朝、学校にいたのは君だった。
共感覚をもつ琢海は、”青い”声をした少女・真希と
呪われた絵を調べることに。
その矢先、美術室で先生が殺害される。
真希に関する秘密を抱えた琢海の前に、
孤高のクラスメート・斉藤八雲が現れ――。
累計700万部突破シリーズの異色作にして最高傑作!〈文庫書下ろし〉

大怪獣のあとしまつ 映画ノベライズ
講談社文庫
誰もが知る”巨大怪獣”の、誰も知らない、死んだ後の物語――。
人類を未曽有の恐怖に陥れた巨大怪獣が、ある日突然、死んだ。
国民が歓喜に沸き、安堵に浸る一方で、残された巨大な死体は徐々に腐敗・膨張を進めていた。
爆発すれば国家崩壊――。終焉へのカウントダウンがはじまった。
絶望的な時間との闘いのなか、国民の運命を懸けて死体処理を任されたのは、
警察でも軍人でもなく、3年前に姿を消した過去をもつ男……。
その名は、帯刀(おびなた)アラタ。
アラタに託された使命とは? 果たして、爆発を阻止することができるのか――!?
前代未聞の緊急事態を前に立ちあがった、ある男の”極秘ミッション”を巡る
空想特撮エンターテイメント映画をノベライズ。
帯刀アラタを演じる、山田涼介場面写真を口絵収録。
2022年2月4日公開予定の映画出演キャストは、
山田涼介、土屋太鳳、濱田岳、オダギリジョー、西田敏行。

損料屋見鬼控え 3
講談社文庫
「霊が見える兄」こと損料屋の又十郎は、困っている霊をほっとけない。そして「聞こえる妹」天音の能力が決め手に。温かい時代小説!
損料屋(レンタルショップ)の巴屋に紙問屋の藤屋から注文が入り、葬儀などに使う善と器を貸し出すことになった。巴屋の跡取り息子・又十郎が届けることになるが、案の定、成仏していないと思われる幽霊がいた。又十郎は霊を見ることができ、物に宿った声が聞こえる妹・天音と二人で「見える兄と聞こえる妹」として、江戸では少し有名なのだ。そして藤屋の幽霊。主人の儀兵衛に尋ねると亡くなったばかりの女将の霊だとわかる。又十郎は成仏させてあげたいと提案するが、儀兵衛は次の女将になるはずの嫁のことが気がかりだったのだろうと言って、そのままにしてほしいと断る。幽霊がいると伝えたことを又十郎は反省をする。だがその後、嫁姑問題に絡む思わぬ真相が……。

警告(下)
講談社文庫
レイチェルから協力を断られたマカヴォイは、ニュース・サイトの同僚と協力して事件を追う。
被害者と同じ状態で亡くなっている複数の女性を調べた彼は、彼女たちには他にも共通点があることを掴む。それはある会社に自分のDNA分析を依頼しているということだった。
マカヴォイはジャーナリストとして疑惑の会社を直撃するが、その壁は高く、さらに重要な情報に近づこうとするたびに、相手は次々と死んでいく。
そして、凶悪な連続殺人犯の魔の手は、マカヴォイに、またレイチェルにまで伸びてくる――。
「アメリカの犯罪小説の巨匠による新作ミステリーは、クライマックスに向かって突進し、あなたを心から感動させるだろう……優れた作家であるコナリーは、読者が悲鳴を上げそうになるくらい緊張感を高めていく。あらたなマカヴォイ/ウォリング・シリーズの到来を予感させる見事な作品である」
――ピーターボロ・テレグラフ紙(英国) アレックス・ゴードン

猫のエルは
講談社文庫
ここは不思議な、猫の世界。
ふてぶてしくて、わがままで、かわいくて――
猫を愛する作家によるぜいたくな一冊!
共に暮らす猫とねずみ。
冬に備えておいしい油をとっておきました。
しかし、猫がひとりでなめてしまい、ねずみは怒ります。
言い訳を探す猫は、王子さまが白い馬に乗ってやってくるのを見つけ――(「猫とねずみのともぐらし」)。
猫を愛する著者による、珠玉の作品集。
単行本の扉絵・挿画をフルカラーで収録。
〈収録作品〉
諧和会議
猫とねずみのともぐらし
ココア
猫のエルは
とりあえずこのままいこう
(全5編)

邪神の天秤 警視庁公安分析班
講談社文庫
★★★WOWOW「連続ドラマW」にて2022年2月、ドラマ放映スタート!!★★★
内臓が取り出された惨殺遺体。
心臓と羽根が載せられた天秤が意味するものは――?
現場に残された矛盾をヒントに、猟奇犯の正体を追え!
累計70万部突破の「警視庁殺人分析班」シリーズと対をなす、
「警視庁公安分析班」シリーズ、堂々開幕!!
都内で爆発事件が発生、直後に有力政治家が殺害された。遺体からは内臓が抜かれ、心臓と羽根を載せた天秤が残されていた。公安部に異動してきた刑事・鷹野秀昭は、持ち前の推理力で事件に挑むが、組織犯罪を疑う公安のやり方に馴染めない。苦悩する鷹野は猟奇犯に迫れるのか。緊迫のサスペンス・ミステリー!
★★★ドラマ情報★★★
「連続ドラマW 邪神の天秤 公安分析班」
2022年2月13日(日)スタート(全10話)
毎週日曜 夜10時 放送・配信(第1話無料放送)
青木崇高 松雪泰子 徳重聡 小市慢太郎 福山翔大 瀧内公美 奥野瑛太
渡辺いっけい 段田安則 菊地凛子 筒井道隆

霊獣紀 獲麟の書(下)
講談社文庫
未知の英雄が新しい時代を築く。必読の傑作!――作家 田中芳樹
【中華戦史ファンタジー2ヵ月連続刊行/特別付録:新シリーズ開始記念初回限定SS「青鸞」付き】
終わらぬ戦。天命のゆくえは……
戦に敗れ漢の新王・劉淵の臣下となったベイラ改め世龍。劉淵は世龍を重用し、氏族の娘ナランを妻として授ける。一方、天への光輝を放つ世龍を中原の聖王にするという天命を背負った霊獣・一角だが、激しさを極めてゆく戦争に、虐殺や流血を嫌う体は衰弱していく。いったんは結ばれた二人の心の絆はどこに?【講談社文庫50周年記念書き下ろし作品】
〈天命とは? 人界に降りた霊獣が霊格を上げるためにすべき責務。霊獣は自分自身で天命を見出さなくてはならない〉

僕が死ぬまでにしたいこと
講談社文庫
40歳、独身、フリーライター。「喪失の世代(ロスジェネ)」と言われるけれど、どんな世代もそれぞれの喪失(ロス)を抱えて生きている。再び妻と暮らしたい73歳。突然やくざライターに転身した同級生40歳。普通に憧れる漫画家30歳。仙人志望の15歳。目を背けてきた喪失(ロス)と向き合い僕がみつけた「希望」は。文庫化に際し『ロス男』改題。
幸福って、なんだ?
幸せとか、愛とか、希望とか。
大切なことはどうして曖昧なものばかりなんだ。
答えろ、誰か。
本当の人生を起動したい。
希望を抱かぬ者は、失望することもない ーーバーナード・ショー
若い時、人生はカネだと思った。いま歳を取って、それが真実だと知った ーーオスカー・ワイルド
若い時、人生はカネだと思った。歳を取って、なにがなんだか分からなくなった ーーカンちゃん

警告(上)
講談社文庫
『ザ・ポエット』『スケアクロウ』で凶悪な連続殺人犯に対峙した新聞記者のジャック・マカヴォイ。それぞれの事件を著書にした彼はLAタイムズを辞め、消費者問題を扱うニュース・サイトの記者になっていた。
ある日、一度だけ面識のある女性が殺され、マカヴォイに殺人容疑がかけられる。自分が犯人ではないことを知っている彼は、被害者がデジタル・ストーキングされていたとの情報から、独自に事件を調べ始める。
マカヴォイはかつての恋人であり、現在は探偵・調査事務所を運営している元FBI捜査官のレイチェル・ウォリングに協力を依頼するが――。
「コナリーの不屈のジャーナリスト探偵ジャック・マカヴォイを主人公とするあらたな刺激的な作品、本書は、何年も気づかれずに狩りをつづけてきた残忍な連続殺人犯を暴きだす。世界的な犯罪小説作家のひとりが最高の形で描いた作品であり、スピード感があり、息をのむほどサスペンスに満ちあふれている」
――ウォーターストーンズ書店

追懐のコヨーテ The cream of the notes 10
講談社文庫
平凡な毎日も、すべてが一生に一度のことである。
静かな生活と確かな観察。
生き方を整える大人気エッセィ!
文庫書下ろし
「仕事」というのは、つまり罰ゲームである/
オリンピックをやるかやらないかの議論は、十年遅い/
「中途半端」というのは、それほど悪い状態ではない ほか
「全力を尽くすな」が親父の教えの一つだった――という人気作家が、世の中の不思議な「空気」を正面から考察。庭の芝生について語り、コロナ禍の都会の弱点を衝き、火星を飛ぶヘリコプタに驚く。自由な視点から綴られた100編のエッセィ。冷静な言葉が見えない未来を照らし出す人気シリーズ第10巻!

悪の公式
講談社文庫
赤石定造は、香港で人を買った。定価1円。彼はその男に500ポンドの保険をかけ、阿片を吸わせ女を抱かせることによって彼の精力を涸らし、1週間めに殺すことに成功した。保険金で定造は教会を建て、カトリック信者を装いながら、教会を阿片と売春の巣窟に作りあげた。こうして手始めの「銭」を掴んだ定造は、貿易商社を設立して帰朝し、KK赤石を造りあげ、悪の公式、つまり殺人・脱税・不正輸出などなどによって、あくなき「銭」への欲望を果していく。しかし「悪の公式」は、やはり万能の公式ではない……。「銭」を得るために手段を選ばぬ資本主義の公式を鋭くあばく、長編悪漢小説。

密航
講談社文庫
川口と有賀は、予科練上りの米軍通訳という経歴も同じだったし、年齢・性格も似かよっていた。粗暴な米軍人に対する共通した反感が惹き起したある事件を契機に芽生えた友情は、お互いの体内に欝積していく若さと可能性の残滓を確認しあうことで、さらに強固なものとなっていった。二人の若者にとって、未知の可能性はアメリカにしかないもののようであった。綿密な計画がたてられ豪華船に忍び込んだ二人は、満月のハワイ沖で、デッキから相次いで海中に身を躍らせた……。既成社会のモラルの中で、なお若者のエネルギーの純粋性を主張する、著者の野心作5篇を収録。

海の地図
講談社文庫
晶子は、啓介と、若く物憂い逸楽の夏を、海浜で過していた。ある夕方、残照の中を、喪の半旗を掲げたヨットが、入江に入った。渚へおりた晶子は、初老の船長・外村に出会い、なぜか全身に戦慄を感じた。やがて晶子は、父と外村が、今は亡き母をそれぞれ愛し、叔母もまた外村を愛していた、という隠された過去を知る。ある日、ヨットで沖へ出た啓介と晶子は、突然の嵐で遭難し、偶然、外村のヨットに救われる。外村は、かつて愛した女の遺児との邂逅に運命の手を感じ、晶子もますます、外村に魅かれていった。二人はかたく唇を交すのだが・・・・・・。長編ロマン小説。

汚れた夜
講談社文庫
雨の井ノ頭公園の池に車が落ち、その中で女が死んでいた。残された男もののライターから、婚約者の秋月という男が浮かびあがったが、彼にはアリバイがあった。罠のにおいがした。そのにおいを頼りに、ひとりの刑事が動き始めた。すると、秋月のシロを証明した女が殺され、つづいてその女の部屋で、もうひとり中年の男の屍体が発見された。行方をくらました秋月は、いったい被害者なのか、加害者なのか? ……手さぐりで事件の核心に迫ろうとする刑事の行動の軌跡によって、戦争の傷痕と政治の腐臭とを、生き生きと描き出した、本格的な社会推理小説である。

買占め
講談社文庫
山協証券営業部長の美川道三は、熱海の旅館業者・大林、山県たちと組んで、北千住に工場をもつ東部ゴムの株の買い集めに狂奔した――。減配をうわさされるような業績のふるわない不良会社の株を、なぜ、美川たち一派は買いまくっていったのであろうか……。地下鉄工事にからむ工場買収で、33億円という大金が手に入るという情報をひそかににぎった大林たちが、東部ゴム乗っ取りのための株集めの先鋒として、美川をもひきこんだのであったが……。資本主義の裏側に仕組まれた巨大企業の利潤追求のカラクリに敢然と挑戦する、一匹狼の物語を巧みに描く野心的長編。

時生 新装版
講談社文庫
「あんた、逃げられて当然。
一緒に彼女を追いかけよう!」
あの日共に旅した謎の青年は
未来の息子だった
東野圭吾による切なすぎる奇跡の物語
ーーー
難病の息子を看取る直前、宮本拓実は不意に思い出した。
俺は昔こいつに出会っている――。
どうしようもない若者だった
拓実の前に現れた謎の青年・トキオ。
突然失踪した恋人を彼と共に追ううち、
彼女が巻き込まれた陰謀、
そして拓実を捨てざるを得なかった母や
顔も知らない父の秘密が明らかになっていく。

福の神 大江戸閻魔帳(六)
講談社文庫
困った人は放ってはおけない。
閻魔堂に倒れていた爺さん、麟太郎の貧乏神か、福の神か。
心もあたたかくなる人情始末帳。
元浜町の閻魔長屋に住み、戯作者閻魔堂赤鬼の顔も持つ、南町奉行所も頼りにする青山麟太郎のもとに舞い込む四つの事件。
第一話 御贔屓
麟太郎の筆名に似せた閻魔堂青鬼という者が旗本屋敷の御家騒動を実名で描いた絵草紙を出し、騒動に。作者と疑われた麟太郎は、青鬼の正体をつきとめようとするが。
第二話 権兵衛
閻魔長屋の大工の女房おゆきが必死に閻魔堂に願をかけている。昔の悪い仲間に脅されているのか、もう五日も旦那が帰ってないという。おゆきを影のように護る謎の浪人、権兵衛とは。
第三話 福の神
閻魔堂の中で熱を出し倒れていた老人彦六を助けて以来、麟太郎は金が次々と舞い込み、ツキに恵まれた。いかにも貧乏神のような彦六は、麟太郎にとって福の神に思えたが。
第四話 御隠居
絵草紙が書けない麟太郎に、呉服屋の御隠居のお守りの仕事が。御隠居は老女で、片平祐馬という名の、二十年前、御家取り潰しに遭った御家人の倅の行方を捜していた。