講談社文庫作品一覧

日本共産党の研究(二)
講談社文庫
強大な国家権力をまえにして、党幹部たちはどう行動し、党はなぜ崩壊していったのか。特高やスパイとの闘い、銀行ギャング事件、なだれを打って続々出てくる転向者など──厳しい弾圧の戦時下で革命をめざして闘った日本共産党の激動の歴史を追う。人と事件を中心とした画期的な通史。全3冊。

愛すれどひとり
講談社文庫
みずみずしい感性が捉えた女の愛と孤独ーー亜木子の躰のなかを駈け抜けていった愛の季節は、何だったのか? なりたての夏のようにキラキラした俊輔への想いは? 結婚の形の中で佐々木に尽した喜びは? 愛をもってしても埋められない心の淋しさを胸に、私の回転扉から秋の街に独り歩き出す。いまを生きる女の愛と喪失、旅立ちをしなやかに描く長編。

戻り川心中
講談社文庫
大正歌壇の寵児・苑田岳葉は2度の心中未遂事件で2人の女を死なせ、その情死行を歌に遺して自害する。女たちを死なせてまで岳葉が求めたものとは?滅びの歌に秘められた男の野望と道連れにされる女の哀れを耽美に描く秀作「戻り川心中」(日本推理作家協会賞受賞)他、花にまつわるミステリー4編。

緋の記憶
講談社文庫
明かるい秋の日ざしの中、ふらりと立ち寄った画廊で見かけた1枚の絵は、日本海で起こった恐るべき殺人事件の謎を秘めていた(「暗緑の時代」)。東京の高田馬場にオフィスを構える名探偵、ご存じ三影潤が解き明かす多彩なミステリー。ほかに、富豪の美少女が夢に見た赤い花の謎を解く表題作、「アイボリーの手帖」、「沈丁花の家」など短篇推理5篇を収録。

結婚の四季
講談社文庫
白無垢の花嫁衣裳、ハワイのハネムーン、夢のような蜜月が過ぎてしまったあとに残るものはなに? 家風の違い、嫁と姑、果ては夫の浮気……和子は様々な事件に傷つきながらもひたむきな愛情で立ち向かっていく。新婚1年の和子の愛と惑いの日々を、独特の温もりある筆致で描き爽やかな感動を呼ぶ傑作長編。
白無垢の花嫁衣裳、ハワイのハネムーン、夢のような蜜月が過ぎてしまったあとに残るものはなに?家風の違い、嫁と姑、果ては夫の浮気……和子は様々な事件に傷つきながらもひたむきな愛情で立ち向かっていく。新婚1年の和子の愛と惑いの日々を、独特の温もりある筆致で描き爽やかな感動を呼ぶ傑作長編。

怨霊孕む
講談社文庫
乱に明け乱に暮れる南北朝末期、南朝に味方して敗れた熊谷義直の一党は伊那谷を急襲した。残虐非道の限りを尽くし、近郷を斬り従えるしか、彼らが生きのびる道はない。だが、奪い取り、妻に直した女が山伏に犯されたとき、義直の心に狂気が宿った。――当代の鬼才西村寿行が放つ、初の長編時代伝奇ロマン。

よそ者の目
講談社文庫
外国からどう見られているかに過敏な日本人を、同じアジア人の視点であえて語る快著。中国的立場から作家の目で見た日本人論ーーよそ者(外国人)が日本について発言するとき、たいてい強い反撥を喰う。放っておいてくれ、というわけだ。そのくせ、外国からどういう目で眺められているか、日本人はひどく気にする。島国からくる過敏性であろうか。中国的なものの考え方から、同じアジアの日本人の動向を綿密にとらえる、深甚なるエッセイ集。

完全犯罪研究
講談社文庫
完全犯罪の論理と美学を推理小説として構築した、佐野ミステリーの新境地。人間の注意力の限界と死角を巧みについた“死体運搬の怪”をみごとに暴く「死体移動」、嫉妬と狂気にとりつかれた妻の心の真実を追及した「心理殺人」など、完全犯罪と人間の推理力との息づまる競りあいを描いた、傑作6編を収録。

日本共産党の研究(一)
講談社文庫
戦前の共産党の実態はどうだったか。その成立のいきさつ、コミンテルンによる支配、資金の出所、組織、相次ぐ転向者など──戦時下の弾圧による党崩壊までの激動の歴史を実証的に追い、当時の関係者の証言を記録する。理論や主張としてではなく、生きた人間研究としての初の本格的な通史。全3冊。

覇権の構図
講談社文庫
外国資本の上陸を前に、自動車業界再編の覇者を目指し、しのぎを削る男たちの壮絶な闘い。自動車産業の内幕をえぐる経済人必読の書! 「高度成長の申し子のような自動車産業では、国際競争力強化という唯一絶対の錦の御旗を掲げて、昭和四十六年までに九つの再編成劇をくり拡げてきた。それは中原に覇を求める企業の弱肉強食の修羅場でもあった。そしてそこに壮大な人間ドラマを現出させたのである。」(「序文」より抜粋)

続 ちょっとキザですが
講談社文庫
真の国際人となるためには、おのれを知り、相手を理解しなければならない。アメリカ、フランスなどの特派員生活と、NHKの人気ニュース番組「ニュースセンター9時」のキャスターとしてブラウン管を通じて数千万の視聴者と接してきた経験から、政治、社会問題をはじめ、料理、ファッションに至るまで、ホンモノを求める著者の好評エッセイ第2弾。ミスターNHKの実践的国際人養成講座!

中年族の反乱
講談社文庫
幸せな家族を夢みる若者にも、社会の現実は甘くない。だれもが、やがては中年になる。勤める会社の倒産や失業、病気や借金苦、わが子の不良化や暴力問題など、生活の重荷を一身に背負うようになる中高年の男性たちは、この危機にどうするか。人生の破局と転落のドラマを綿密に追った、衝撃のレポート。危機に直面した男たちは、どう決断し、どう乗り越えたのか?

風花のひと
講談社文庫
わたしと結婚にしたいなら、あの女と寝てみせて──奈見子が提案した。一介の自動車セールスマンでは納まらない裕也の野望に火がつき、世界がぐるっと廻りはじめる。奈見子は地方財界の大物の1人娘、あの女は金沢そのもののような由佳。風花舞う街に若い野心がたぎり、新旧の愛が息づくハード・ロマネスク。

画文集 花の肖像
講談社文庫
四季おりおりに日本列島を彩る花の貌。比較的私達の眼になじみ易い花58種を選び、ボタニカル アート(植物画)の第一人者・太田洋愛の絵と、登山家で詩人・エッセイスト・哲学者と多方面に活躍の串田孫一が、その花の想い出を透徹した眼差とふくよかな抒情で綴る画文集。

志賀直哉私論
講談社文庫
近代の日本文学史にそびえ立つ《小説の神様》志賀直哉。その知友、父母、祖父ら一族の人びとの過去へ遡りつつ、直哉との関わりのひとつひとつの襞を解きほぐして、作品の核心に迫る。のちには自分自身の一族をあつかった名作『流離譚』を発表するにいたるまでの著者独自の方法意識が書かせた、作家・作品論の白眉。作家が鋭い感性で作家を論究する、小説的評論=長編エッセイの魅力。

雪に埋もれていた物語
講談社文庫
夫婦・親子などの関係の中に、さりげなく気高い人間の生き方を探求する傑作短編の数々。さりげなく輝かしい生き方を探る名作集ーー金沢の旧家へ、子連れで後妻に入った雛子。「よく出来た奥さん」の評判を得ている彼女に、一夜、晩餐のもてなしを受けた「私」は、他日、意外にも彼女の隠された顔を、実の息子から知らされる、という表題作。他に、「音戸の瀬戸」「初めての旅」「泥川の杭」「藤」など、男と女、夫と妻、親と子などの、人間関係を描いた10編を収録。

江戸芙蓉堂医館
講談社文庫
幕府奥医師の娘・半井千鶴は、「薬師如来の再来」と噂される腕っこきの漢方医。愛らしい顔立ちに似合わぬお転婆で、巷の事件に片っ端から首をつっこんでは大車輪。倒錯、妄想、恋の病いに疝気の虫まで、見事な処方でさらりと解決してしまう。御殿山のお花見、両国の花火など、四季折々の江戸の風物を背景に、娘医者が大活躍する痛快時代小説集。美人でおきゃんな娘医者の花カルテ、江戸情緒あふれる7編。

商社一族
講談社文庫
昭和60年、地球を異常気象が見舞った。ソ連、中国、インドをはじめ、世界は深刻な食糧危機に突入する。アメリカ穀物メジャーを舞台に、各国の存亡を賭けた血みどろの争奪戦が始まった。この日あることを見越して着々と手を打ってきた東洋物産の津島ら日本人商社マンの双肩に、一億の生命は委ねられた……。食糧パニックの危機を防ぎ、米ソなどの野望から日本を守る男たちの勇姿をえがく、企業情報小説の傑作。

万年太郎
講談社文庫
万年太郎が九州から東京本社へ転勤になった。彼の評判はすこぶる悪い。酒と女にだらしなく喧嘩っ早い。これが彼に貼られたレッテルだ。しかし、それが大いなる誤解にもとづいたものだとは誰も知らない。いよいよ上京の当夜、太郎はさっそく噂を実証してしまう……。純情多感な快男児、颯爽たる奮闘を描く明朗長編小説。
万年太郎が九州から本社に転勤してくる。喧嘩早くて酒と女に目がないとの噂どおり、上京当夜、酒席で大株主の息子と大立廻り。女子社員は戦々兢々……。純情多感な好青年の颯爽たる活躍を描く明朗長編。

匠の時代 第6巻
講談社文庫
人口補助肝臓、人工腎臓、人工血管。不治の病を癒そうとする医師と技術陣の不撓の努力。人工臓器の開発と取りくむ医師と技術陣ーー医療に最新技術を導入することで、難病に苦しむ患者を救う……。人口補助肝臓の開発に成功した倉敷中央病院とクラレ技術陣、人工透析装置に飛躍的前進を達成した東京女子医大「腎センター」と東レ、東大胸部外科医師の執念の人工血管の開発。患者と医師と技術者の、生命への挑戦をドラマチックに再現して描く。<全12巻>