講談社文庫作品一覧

霧の中の少女
講談社文庫
夏休みに旅行中の学友・英吉が、由子の故郷に突然訪ねてきた――。東北の田舎町の風土が滲み出た両親や兄弟の歓迎ぶりに由子は幸せいっぱい……。若者の「性」を霧の中に包んでみせた表題作ほか「危険な年齢」「冬山の幻想」など全6編の短編集。

ある日わたしは(2)
講談社文庫
大助さん、さようなら!――とゆり子はつぶやいた。恋人・大助の父と結婚前の母との関係を、母の臨終の告白によって、はじめて知ったゆり子は、大助を愛しても結婚はできないと悟ったのだった――。主人公・ゆり子を取り巻く恋愛模様を明るい筆致で描く全2巻・完結編。映画化、テレビドラマ化もされた作品。

ある日わたしは(1)
講談社文庫
「わたし――白い冷たい雪の中にひとりぼっちでいたとき、もし金子さんが傍にいたら抱いてもらいたいと思ったわ……」とゆり子がいうと、金子はふいに不思議な力でゆり子を抱き、烈しい接吻をした――。主人公・ゆり子を取り巻く様々な恋愛を描く全2巻。映画化、テレビドラマ化もされた作品。

女の顔(2)
講談社文庫
もし、この人が悪人なら、私も一緒に沈もう。それが私の愛情の運命だから……と、和子の想いはますます募る。感情と本能に支配されやすい女の、ひたむきな愛のはかなさ、もろさを謳いあげる……。全2巻完結編。映画化、テレビドラマ化も。

女の顔(1)
講談社文庫
「あなたは、ほんとに亡くなった英夫さんに似ています。でもそれだけに坂本先生はあなたにお会いするかどうか……」と和子はこたえながら、恋人だった英夫に生き写しの安雄を見て胸をときめかす……。ひたむきな愛を描く全2巻。映画化、テレビドラマ化も。

妖星伝 第二部 外道の巻
講談社文庫
鬼道衆をはじめ、田沼意次までがつけ狙う黄金城。そのありかを解くべき絵馬は妖僧日円のふところに入る。日円は鬼道衆の襲撃をかわすのに、時間を停止させる沈時術を駆使した。だが、この怪僧の動きを正確に監視している何者かが存在するのを日円は知らない。退廃に走る江戸の暗黒世界で鬼道は揺れる!

中国笑話集
講談社文庫

目こぼし歌こぼし
講談社文庫
下級武士の息子・足柄七十郎は、ふとしたことから、城下の居酒屋「とろろ」で起きた、不可解で恐ろしい殺人事件にまきこまれた。事件の渦中におかれ、謎の古地図をふところに、仇討ちに出た七十郎は、藩の非人間的な搾取のからくりを知る――人間が真に人間らしく生きる自由と平等の問題を追求した、意欲的な長編時代小説。

夢声自伝(中)昭和篇 1
講談社文庫
昭和4年、日本にトーキー映画が上陸、弁士は無用になってしまう。そこで古川ロッパらと「笑の王国」を結成、演劇に乗り出した。映画にも出て、役者業は順調に。だが徳川夢声の名を一躍全国的にしたのは、発展途上のラジオ。昭和14年秋放送の「宮本武蔵」は、彼を放送界のスターに仕立てた。放送史の裏側を語る。<全3巻>

夢声自伝(上)明治・大正篇
講談社文庫
東京府立一中から、旧制一高を受験。エリートへの花道だったが、寄席通いが過ぎて挫折、福原少年は活動写真の弁士になる。異例の大転回だ。映画館を転々とするうち、大辻司郎らの良き仲間を得た。関東大震災はあったものの、大正リベラリズムにひたり、すばらしい青春だった――徳川夢声なる芸人誕生の頃の回想。<全3巻>

火炎城
講談社文庫
天文十九年、相続をめぐる大凶変の末、大友家二十一代目の主となった義鎮(宗麟)は野性味あふる九州男児だった。九国平定をめざして毛利と争うかと思えば、キリスト教に入信し、仏教徒の奥方と壮烈な夫婦喧嘩、正に異色の大名であった。この怪物の生きざまと戦国時代とを劇的に描いた会心作。

能登路悲恋
講談社文庫
愛を失い恋に傷ついた美しい画学生は、いとこの詩「愛の空 恋の森」に触発されて、能登へ旅立つ。彼女がそこで邂逅したのは、野性的な若者だった。いつしか二人の心は激しく燃え、火の接吻を……。が、その若者には罪深い過去のあることを知る。能登半島を舞台に、人間とは?美とは?を問うた、新鋭の悲恋物語。
豊臣秀吉(三) 異本太閤記
講談社文庫
竹中半兵衛との密約が成って、稲葉山城攻略に成功した藤吉郎は、信長の妹お市の方に恋慕したため、一転して伊勢高岡攻めを命ぜられれる。信長はお市の方を北近江の浅井長政に嫁がせて北の守りを固めるが‥‥。〈全六巻〉

花と波濤
講談社文庫
紀代子を、秋の苔寺と広隆寺に誘った、中年紳士。ふと知り合った彼の素直で飾り気のなさに、彼女は、たちまち魅了される。2人の青年から求愛されている紀代子だが、思いは中年紳士につのるばかり。しかし、その彼を慕う女性が2人もいた。……古都を舞台に、3人の男女が織りなす愛の世界を、詩情豊かに描く長編ロマン。

忍びの女(下)
講談社文庫
関ヶ原と二度の大阪攻めで豊臣家は根絶、徳川の天下となって、戦場を駆ける武士たちの世は終った。福島正則は幕府の謀略にかかり、老残の身を信濃に逼塞、忽然と現われた小たまの腕の中で、悔恨を胸に淋しく息絶える。豪雄福島正則の奮激の生涯と、彼を愛で、戦国の世を疾駆した天性の女忍者の活躍を描く傑作長編。

忍びの女(上)
講談社文庫
秀吉没後、諸大名の暗闘が募り、天下分け目の決戦は必至。豊臣家の猛将福島正則に接近した徳川方の女忍者小たまの探索が始まった。ところが、武辺一方の無邪気な正則をいつしか愛しく想うようになる……。覇権をめぐる男たちの野望がついに関ヶ原に激突。戦国の世を疾駆する女忍者の活躍を描く傑作長編。

今昔物語ふぁんたじあ
講談社文庫
人の世の移りかわりは激しく大きい。しかし、変わらぬものは人の世が織りなす喜怒哀楽である。古今多くの作家を魅了し材をとらしめた、わが国最古最大の説話集『今昔物語』。その1200余編に著者独自の観点から立ちむかい、地獄と浄土の両極に揺れうごく人間の真の姿を今の世に問いなおす秀編16を収めた。
未完への脱走
講談社文庫

濡らされたいの
講談社文庫
芥川賞作家から官能小説作家へと進んだ大ベテランが独身OLの性生活を描いた、評判の「あたし」小説ーーあたし、初体験をすませたばかりの新入社員OLで、名前はユリ。いろんなことに興味がありすぎて、好奇心のカタマリみたいな女の子なんです。このあいだも、遊びに行った千葉の家で、義兄にハダカを見られちゃったり、夜は夜で義兄夫婦の声で眠れなかったり、とっても楽しかった。それに夏の海水浴。途中の電車の中や海の家で、男の人にネラわれちゃった。あたしって、男の人の欲望をとってもそそるみたい。いろいろと危険な目に会っちゃって、あたし心も身体もだんだん成熟してゆくんです。独身OLの性生活を描いた評判の「あたし」小説最新作。<「あげちゃいたいの」続編>

あげちゃいたいの
講談社文庫
芥川賞作家から官能小説作家へと進んだ大ベテランが、現代っ子OLの性体験をあからさまに描いた官能長編。好評「あたし」小説ーーあたし、今年やっと成人式を迎えるOLなんです。名前はユリ、自分でいうのも変だけど、グラマーで美人、それにまだ処女なんです。そのせいかしら、新年早々満員電車のなかで、二人のチカンに前後をはさまれちゃった。もちろん会社の男性にもモテモテなんです。陰険な上役の課長には、新宿の飲み屋のお座敷で犯されそうになっちゃうし、スキーバスの中では、マジメ社員の鈴木さんのアレを見せられたり、もう散ザン。でも、あたし、心の中ではヒソカに楽しんじゃってるんです。