講談社文庫作品一覧

天使が消えていく
講談社文庫
6月の台風の夜、ホテル玄海で泊り客の男が殺され、あいついでホテルの経営者蟻川国光も不審な死をとげる。そして、重症心臓疾患児ゆみ子の母、神崎志保の凄惨な死。婦人記者砂見亜紀子は、ゆみ子への愛にひかれて事件の真相を探る。3人の死をつなぐ鍵は?福岡を舞台のサスペンスに満ちた長編推理。
枯草の根
講談社文庫

三国志英雄ここにあり(下)
講談社文庫
曹操の大軍を前に、江岸に連合する劉備と孫権――軍師・孔明の鬼謀は、一夜に10万本の箭を作り、江上に季節外れの東南風を呼ぶ。水軍の名将・周瑜の火攻めは、赤壁の猛火となり、曹操を許都へと追落した。かくして魏(曹操)、呉(孫権)、蜀(劉備)の三国が鼎立する。英雄たちはまた、新たな決戦を求め、中原に駒を進めてゆく。<全3巻>
伯林ー一八八八年
講談社文庫
心狸学・社怪学
講談社文庫
心理学はむずかしい、社会学はややこしいという人のために筒井康隆が心をこめて贈る、面白くてタメになる反アカデミック・ドタバタ小説。犬と馬と豚の特徴を備えたSF作家の悲喜劇「条件反射」など、十四編収録。

笛師
講談社文庫
厳しい世襲の笛師の世界――笛師・飛田家の後継者・清浩は、伝統のかたちを解せず、サラリーマンになり、チロルの高峰グロース・ベネディガーに遊ぶが、霧にまかれて遭難した。清浩は、父の作った竜笛を吹き始める……。幕末から現在までという激動する社会に、伝統を追究し続けた人々と、その変転を描きあげた、名作長編。

迷路の旅人
講談社文庫
想像力・思想・文体・文章・テーマ等々、小物を構成する諸々の要素に触れて、何が本物の小説かを論じた長編評論「反小説論」。“異常で病的で幼稚”な今日の文学の風潮を批判した「遊びと文学」。ほかに、ユニークな作家論や折り折りの感慨をつづった随筆を収録。『わたしのなかのかれへ』に続く第二エッセイ集である。

私自身のアメリカ
講談社文庫
美への限りなき旅路を歩む、国際的な画家池田満寿夫が、そのユニークな発想でイメージ豊かに描き出す、素顔のアメリカ! ニューヨークに在住し、愛妻リラン夫人との生活を核に、アメリカの友人たちとの間でおりなされる日常の「アメリカ」は、「日本」との慣習の差異をつぶさに語りかけ、生活の根底を見直させる。
アメリカ女性と生活し、国際的芸術家として広く注目されるイケダは、また個性的な文章家。これはイケダが「朝日ジャーナル」に連載したものに書下しを加え、自筆カバーに自筆カットをそえた一冊。

モンテ=クリスト伯(5)
講談社文庫
モルセール伯はついに自殺。残るヴィルフォールとイタリアに逃亡したダングラールの運命は……? 仇敵のすべてに天罰を与え終って、愛するエデとモンテ=クリスト島をあとに、遠く海のかなたへ旅立つダンテスの胸中は……? つきぬ興趣のうちに、世界文学史上たぐい稀なロマンの巨編、ついに完結!
モルセール伯はついに自殺。残るヴィルフォールとイタリアに逃亡したダングラールの運命は……。仇敵すべてに天罰を与え終わって愛するエデと遠く海の彼方へ旅立つダンテスの胸中は……。〈全五巻〉

病める岸
講談社文庫
美しいチフス菌の毒に魅せられ生体実験を行う医師、異型輸血による死がもたらした父子の真相、オリンピック候補の女子スケート選手が、実は男ではないかと疑念を持たれる事件等、いずれも何等かの病気か、病的状態で悩む人たちを主人公にし、私たちのおかれている今日的状況を描破した力作6編を収録。

三国志英雄ここにあり(中)
講談社文庫
稀世の英雄・曹操が、献帝を擁して丞相の権力を握るには、多くの敵がいた。袁紹・袁術の名門と、一代の猛将・呂布があり、関羽、張飛の豪雄を従えた義将・劉備あり、呉には孫権がいる。敗残の旅を続ける劉備は、待望の軍師・孔明を迎えたが、南征の曹操50万の大軍を前に、孔明の神算鬼謀は如何なる軍略を策するのか。<全3巻>

モンテ=クリスト伯(4)
講談社文庫
自在に変身して、腐敗した権力者たちに挑戦、汚濁の世に正義の不滅を証そうとするモンテ=クリスト伯。その情念は熱く、復讐の手は冷たい。ヴィルフォールは肉親たちの毒殺に遭い、ダングラールは株取引の度重なる損失に呆然、モルセールは政治的陰謀の発覚から窮地に追いこまれて…。巨編の波乱はクライマックスに!
モンテ=クリスト伯の愛人エデはかってギリシアの王女だったが、政治的陰謀にあって一家が破滅、その首謀者こそダンテスを牢獄へ送ったフェルナン、今のモルセール伯だった……。名作のクライマックス編。
銀色ラッコのなみだ 北の海の物語
講談社文庫
ラッコを捕獲しようとする大人たちの企てから、銀色ラッコを逃がしてやるエスキモーの少年ピラーラ。雄大な北の海を背景に、自然と人間の相克を描く。サンケイ児童出版文化賞、NHK児童文学奨励賞受賞

もと夫婦
講談社文庫

花と果実
講談社文庫
見知らぬ大学生をホテルに誘った、美貌の中年女性。自分の行為に自信を喪失し、彼女に激励される大学生。彼の自信を回復させた、恋人の女子学生。三者の手記を通じて、開放的な若者のセックス、同性愛、近親相姦などに、だいたんな照明をあて、性の思想を探った、石坂文学の真髄を示す異色大作。

黒鳥譚 青髯公の城
講談社文庫
ぶらっくすわん。漆黒の翼の下に秘めもつ、純白の風切り翅。火星の如く緋色に燃える、嘴と眼。黒鳥の姿に、降りつむ時間を生きながらえねばならぬ、恥の想いを託したひとつの迷宮「黒鳥譚」。そして「青髯公の城」「死者の誘い」を加えた3篇が奏でる、失寵の響きもまた「虚無への供物」なのであろうか……。

縄目の快楽
講談社文庫
芥川賞作家から官能小説作家へと進んだ大ベテランの、倒錯の性の世界を華麗に描く伝奇趣味横溢の物語集ーー作家である私は、人に顔を知られるのを好まない。私には強い変装趣味があるが、変装は私の官能世界を密度のあるものにしてくれる。私の仮面が見破られた唯一度の例外は、その男に会ったときだ。男はヨット仲間の爽やかで比類のない愛の交歓を告白したのだった。(「縄目の快楽」) 酔いのまわった老検校はうっとりして語る。「いや、昔は遊女にもよかおなごのおりましたな。優しゅうて、男にようつくしてくれて、男が踏んでくれといえば白か柔かか脚で踏んでくれ、蹴ってくれと頼めば優しゅう蹴ってくるるごとおなごの」(「花魁小桜の足」) など、倒錯の性の世界を華麗に描く伝奇趣味横溢の物語集。

モンテ=クリスト伯(3)
講談社文庫
ダンテスを陥れたダングラールは銀行家で男爵に、ヴィルフォールは検事総長で伯爵となり、富と権力に驕っている。シャンゼリゼの一角に邸宅を構えたモンテ=クリスト伯は、巨富を持つ魅惑的な人物としてパリ社交界に出現、巧みな手段で仇敵に近づき、彼らの過去の悪業をあばき出す……。復讐のドラマは核心に――。
パリ社交界の人気を集める謎の人物モンテ=クリスト伯は富と智略を傾け、自在に変身して、目ざす仇敵ダングラールたちの秘密と弱点をつかみ、復讐計画を進めるが……。〈全五巻〉
殺意の演奏
講談社文庫

赤毛のアン 猪熊葉子訳
講談社文庫
老兄妹にもらわれた赤毛の少女アンは、あふれる空想力のために何度も失敗や騒動を引き起しながらも、周囲の愛情と美しいカナダの自然に包まれて少女から乙女へと成長していく――愛情に飢えていた孤児の人間や自然との暖かい交流を描くことによって、生きることのすばらしさときびしさを謳った愛と感動の名作。サンケイ児童出版文化賞などを受賞した猪熊葉子の名訳でお届けします。
老兄妹に貰われた赤毛の少女アンは、空想による失敗や騒動をくり返しながらも、愛情と自然に包まれて女へと成長していく。人間と自然との暖かい交流を通して、生きることの素晴と厳しさ謳った名作。