講談社文庫作品一覧

江戸小咄(続)
江戸小咄(続)
編:興津 要
講談社文庫
江戸庶民に広く愛され、人口に膾炙された日本人の笑いの源泉、江戸小咄本。その活々とした会話、ユーモアあふれる柔軟で自由な精神は、日本文化の底流を支えてきた町人の意気を示しているともいえる。本巻収録の作品は、原本のままで理解しやすいものを選び、できうる限り忠実に翻刻、各編毎に解説、訳注を加えた。続巻は、「笑の友」「滑稽好」「吉原巳の種子」など14編を収録。<全2巻>
電子あり
青い鳥  新庄嘉章訳
青い鳥  新庄嘉章訳
著:M・メ-テルリンク,訳:新庄 嘉章,装丁:亀倉 雄策,装画:小坂 しげる
講談社文庫
時代と国境をこえて、世界中の若い魂を魅了しつづける、ノーベル賞作家メーテルリンクの不朽の名作。クリスマスの前夜、貧しい木こりの子供チルチルとミチルの兄妹が、夢に見る旅の物語を通して、人間の求めるほんとうの心の幸福がどこにあるかを暗示した、ファンタスティックな童話劇。流麗な新庄嘉章訳による決定版。幸福の青い鳥は……? 全世界で愛される永遠の名作! クリスマスの前夜、貧しい木こりの子チルチルとミチルが見た夢物語りを通して、幸福の青い鳥は遠い所でなく、身近な日常生活の中にいることを暗示する。華麗でファンタジックな童話劇。
電子あり
坊っちゃん社員
坊っちゃん社員
著:源氏 鶏太,装画:風間 完
講談社文庫
太陽工業株式会社の新入社員・昭和太郎は、根っからの江戸っ子で、自然児のごとく振舞う。田舎のN町の工場に赴任そうそう、芸者と輪タクに相乗りしたり、ボス相手に乱闘したり、その奇行が町でも会社でも話題になる。そして、町での武勇伝が新聞にのり、会社からは要注意人物視される。だが、このアウトサイダーは、いつしか会社にとってかけがえのない重要人物になっていく。その起伏に富んだ過程を描く、ほほえましい痛快小説。 江戸っ子の好漢・昭和太郎は入社早々田舎町へ赴任。芸者と輪タクに相乗りしたり、ボス相手に乱闘したり……。会社では要注意人物というアウトサイダーがいつしかインサイダーになっていく(?)痛快小説。
電子あり
エデンの海
エデンの海
著:若杉 慧,装丁:原 弘,装画:丹阿弥 丹波子
講談社文庫
瀬戸内海にのぞむ女学校に、新任教師として赴任した南条は、教師の間で「問題児」として見られている清水巴に惹かれて行く。複雑な境遇のため祖母のもとで育った巴は、「成熟の側からは不逞にみえ、未熟の側からは可憐にみえる」特異な少女であった。教師として巴に対しながらも南条は、彼女の姿態の中に女を見、はげしい感情にとらえられる。二人の行動は、周囲の好奇の目にさらされて行く……。教え子への想いに、教師としての限界に悩む青年教師と、純粋な感情のままに、奔放にふるまう女生徒との愛の行方を、明るい太陽とひろがる海を背景に描き、青春の光と影を鮮やかに刻む傑作ロマン。
電子あり
そこなし森の話 <佐藤さとるファンタジー童話集1>
そこなし森の話 <佐藤さとるファンタジー童話集1>
著:佐藤 さとる
講談社文庫
「コロボックル物語」の著者・佐藤さとるのファンタジー短編集。日常の世界の向こうにある奥深い神秘の世界を、ちらりとのぞかせてくれる珠玉の短編。「龍宮の水がめ」「四角い虫の話」「不思議なおばあさん」「鬼の話」「掌編三話」「そこなし森の話」「夢二つ」「椿の木から」「きつね三吉」「不思議な不思議な長靴」「わすれんぼの話」「龍のたまご」など収録。
電子あり
井上ひさし笑劇全集(上)
井上ひさし笑劇全集(上)
著:井上 ひさし,その他:内藤 正人,その他:ジャック・カローのエッチング
講談社文庫
意表をつく発想、日本語の面白さと可笑しさをフルに生かした会話、チクリと刺す風刺、登場人物たちの緊迫した「対立」が生みだす拍真のドラマ、微笑させ、苦笑させ、哄笑させる小気味よいオチ。小説に戯曲に「笑い」を探究する井上ひさしが、テレビ界で活躍していた頃、てんぷくトリオの座付作者となって書きあげた笑劇150余編の中から精選した決定版全集。上巻は37編を収録。読む者を笑いの渦に引き込む笑劇の真髄がここにある!
電子あり
ミステリー傑作選(6) サスペンス・ゾーン
ミステリー傑作選(6) サスペンス・ゾーン
編:日本推理作家協会
講談社文庫
推理小説の傾向・ジャンル、手法・スタイルなどが一望でき、絶好のミニ手引きも兼ねた、珠玉の作品15編。 -収録作家-生島治朗・鮎川哲也・戸川昌子・小松左京・佐野洋・都筑道夫・森村誠一・笹沢左保・土屋隆夫・星新一・陳舜臣・松本清張・結城昌治・草野唯雄・三好徹
花はくれない 小説・佐藤紅緑
花はくれない 小説・佐藤紅緑
著:佐藤 愛子
講談社文庫
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私も燃えている
私も燃えている
著:円地 文子,装丁:原 弘,装画:三田 恭子
講談社文庫
ユニークな自我に生きる女流作家の宇女子と、美しく聰明な姪の千晶を中心に、2人が同時に愛する若い原子物理学者の香取耕二、千晶の婚約者である医師の宇津木努、江戸趣味に生きる洒脱な美術評論家・市島克衛、繊細な心情を持つ理論物理学者・小坂部、千晶の父の病院長・弥曾次、母の類子、宇女子ファンの芸者・小千代など、さまざまな恋の姿と、綾なす人間群像が描かれる。この作品は、著者の男性観・恋愛観のすべてを注ぎ、個性的なリアリティを持った円熟の筆に、恋の虚飾と真実を、見事に凝縮し、彩りゆたかに描きつくしている。豊麗な大河の魅力を思わせる傑作長編。
電子あり
小雪―続・絶唱
小雪―続・絶唱
著:大江 賢次,装丁:原 弘,装画:山下 昌也
講談社文庫
最愛の妻・小雪を失って、孤独感と追憶の感情にとらわれている園田順吉だったが、皮肉なことに、彼の小説が映画化され、まわりは華やいだ。小雪の父親・正造は、そんな順吉をみて、もう小雪の残像を捨てて、早く後妻をめとってくれ、と頼む。事実、後妻を彼に、という周囲の努力があったし、娘たちから順吉に接近するというケースもあった。しかし、小雪への思慕は、はるかに大きくて強いのだ。そんな折、順吉は、ユキという女性に出会った。容貌も、そして名もそっくりではないか。順吉はときめく。亡妻・小雪との愛の残光をふり払うため、順吉は、ユキとの新しい愛に生きようとする。小雪に瓜二つのユキだったが、彼女のなかには、小雪と対照的な「女」があった。話題の名作「絶唱」の姉妹篇にあたる書き下ろし長編小説。
電子あり
かぶき大名
かぶき大名
著:海音寺 潮五郎,装丁:原 弘,装画:中 一弥
講談社文庫
天正7年、家康に属して16歳の初陣、武田勝頼軍と戦うを手始めに、小牧長久手に秀吉軍を迎えて大功を樹てながら、父・忠重との不和から退転した三州刈屋3万石の息、豪勇無双の水野藤十郎勝成。持って生れた狂熱の血がさせるのか、秀吉に随身後も喧嘩と女出入りの明け暮れに、佐々、小西、加藤、黒田と主をかえては乱世を押し渡る。秀吉歿し、やがて天下分け目の風雲に際し、家康に帰参がかなった勝成は、父の跡をついだ後、関ケ原、大坂冬夏両陣を歴戦、大和6万石から備後福山11万石の身代に。75歳にしてなお島原ノ乱に出陣した、強悍にして奇矯な戦国男・水野勝成一代記。
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ぐうたら人間学 狐狸庵閑話
ぐうたら人間学 狐狸庵閑話
著:遠藤 周作
講談社文庫
ぐうたら人生の味を開陳する狐狸庵山人の珍妙なる人間学。秀吉の夫婦喧嘩を仲裁する信長に英雄偉人の尻尾を覗き、酒癖のあれこれに人情風俗の妙を知る。権威や独善には背を向け、劣等生的人間に豊かさを見、親愛感を覚える。愛すべきはマヌケ人間、語るべきは気弱人間。人生の味をいかんなく示すエッセイ。
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ポイヤウンベ物語
ポイヤウンベ物語
著:安藤 美紀夫,その他:宮田 雅之
講談社文庫
星の天のおおかみの神の血をひくポイヤウンベは、りりしい若者。ある日、里人を悩ます赤い輪を捕えにいき、オヤルルの里の長の美しい妹オヤルル姫と恋におちる……。アイヌの叙事詩「ユーカラ」に取材して、アイヌ民族の悲しみと喜びを描いた英雄物語。サンケイ児童出版文化賞・国際アンデルセン賞国内賞受賞作。
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北京悠々館
北京悠々館
著:陳 舜臣,その他:川田 幹
講談社文庫
時は清末、日露の風雲急を告げる明治36年、初秋の北京に、ある任務を帯びて下り立つ美術商・土井策太郎。露清撤兵協約の再締結! 批准? 対露開戦の大義名分を失うのを恐れる日本は、巨額の金で清朝要人の買収を工作、舞台は「悠々館」。だがパイプ役は、完全密室で殺害、同時に金も消失し……。腐敗と無策を孕む国家の末期症状で、事件は謎を深める。本格推理と歴史小説が見事に結合結晶した会心の作。
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赤の組曲
赤の組曲
著:土屋 隆夫,その他:斎藤 和雄
講談社文庫
学生時代の知己・坂口秋男が、千草検事の許を訪れ、妻・美世の失跡を告げた。預金30万円が引き出され、伝言板に3つのゼロが記されてあった。一方、長野県・別所温泉の旅館に、赤いネグリジェを遺して消えた挙動不審の女は、美世らしい。失跡の謎に加え、美世の周辺の人間が、殺人者の手にかかり、事件は意外な展開をみせる。
電子あり
「物」の思想「人間」の思想
「物」の思想「人間」の思想
著:小田 実,その他:舟橋 菊男,装丁:亀倉 雄策
講談社文庫
たくましい精神と行動力で、「蒼ざめた」現代文学に衝撃を与え、「ベ平連」のリーダーとして、戦後の反体制運動に新しい方向を打ち出した、〈行動する思想家〉小田実が、激動する歴史と現実の渦中から、あらゆる非人間的なものを拒否し、状況の変革をめざす人びとにおくる、新編評論集の1巻目。65年から70年にかけての代表的評論とルポルタージュ13編を精選。
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魚たちと眠れ
魚たちと眠れ
著:結城 昌治,装丁:原 弘,装画:山下 昌也
講談社文庫
週刊誌記者の矢島が、ファニ―化粧品主催の洋上大学の取材をひきうけたのは、ハワイへ行ける楽しみより、生徒として参加する平均22歳半という100人の美女たちに惹かれた、といったほうがいい。4月中旬、豪華船セントルイス号は、5人の講師、カメラマンなどを加えた114人を乗せて横浜を出航した。しかし、生徒中1、2を争う美女・水島陽子の突然の失踪が、船内の華やいだ空気を一変させることになる。つづいて、講師のファッション・デザイナー及川弥生の変死……。華やかな雰囲気の陰の醜い愛憎の葛藤と意外な真相を、巧妙緻密な推理で解き明かしていく長篇推理小説。
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兵児一代記
兵児一代記
著:海音寺 潮五郎,装丁:原 弘,装画:中 一弥
講談社文庫
椎原真平は、薩摩のボッケモン(勇敢者)である。年少の頃から気に奔った奇行で知られた。薩英戦争では、素ッ裸に赤ふんどし姿で伝令を務め、唯ひとり砲台に居残って、届かぬ弾丸を英艦に射ち続けた。ーー「チェスト!」真平には万事が気合いである。鳥羽伏見の戦では、緊張の対陣のなかで、ノコノコ敵陣に煙草の火を借りに行く。「見事やりとげたら、宮川町の女郎をおごいやんせ」。真平は、中村半次郎と賭けをしていたのであった。ーーやがて、時代は明治維新に転換する。彼は、酒と女に溺れていた。風雲は、西南戦争に向って妖しく流れてゆくのに……。木強かぎりない薩摩っぽを描く「兵児一代記」ほか。
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忠直卿行状記
忠直卿行状記
著:海音寺 潮五郎,装丁:原 弘,装画:中 一弥
講談社文庫
越前宰相・忠直には、沸々たる不満がたぎる。二代将軍・秀忠の兄・秀康の長子に生まれ、大坂の陣にも東軍随一の戦功をたてながら、恩賞は薄かった。「血統から言えば、わしが将軍となって当然の身分ぞ!」忿懣は忠直を酒色に走らせて、やがては狂乱の殺戮をほしいままにする。愛妾の一国とともに罪人の処刑を見物し、鮮血のなかに盃を傾け、果ては罪なき家臣に無理難題をつきつけて成敗する。残虐の裡に無上の快楽を求めていた。忠直の妻は、秀忠の娘・勝姫である。狂気の中に身を滅亡の淵に追い込もうとする夫の行動を、彼女は江戸に告げた。独自の新解釈による「忠直卿行状記」ほか9篇を収録。
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姦の毒 傑作短編集(二)
姦の毒 傑作短編集(二)
著:森村 誠一,装画:南 正雄
講談社文庫
悪徳理事の裏口入学に便宜を図るという甘い誘惑にのった人妻の軽挙が招く、一家崩壊の過程を活写する表題作「姦の毒」、企業合併派の手段を択ばぬ恐るべき陰謀と謀略を衝く「黒い合併」、OLの作り話からエリート課長の殺害事件に発展する「情熱の断罪」、銀行の暗黒部を抉る「殺意の逆流」のほか、「暗合殺人事件」「ステレオ殺人事件」といった、秀作6篇収録の強力選集。
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