講談社文庫作品一覧

象を撃つ
象を撃つ
著:井上 光晴,装画:石岡 珠子,その他:廣済堂
講談社文庫
腐った貝を食べ、辺境に置き去りにされた老人たちが、妊婦を輪姦する――自らを「想像力の技術師」と信じこむ入院患者の描く、悪夢のような虚構の世界=小説。いっぽう、その彼が看護婦を妊娠させたという噂が、彼の抗弁をはねつけ、病院内に拡まる。想像力を超える非難と指弾という現実の荒廃を描出し、「小説とは何か」を追求した意欲作。
電子あり
地図のない旅
地図のない旅
著:五木 寛之
講談社文庫
私はこれまで、「風に吹かれて」「ゴキブリの歌」と、二冊の雑文集を出してきた。この「地図のない旅」は、その二冊に比べて、前が陰なら後が陽、あるいは前が鬱なら後が躁という感じである。それだけ原寸大の自分の姿が透けて見えるような気がするのだがどうであろうか。(作者のことばより)
好色演戯
好色演戯
著:川上 宗薫,装丁:原 弘,装画:濱野 彰親
講談社文庫
中年のテレビ俳優である足立家に、ひょんないきさつから、夫婦だと称する若い男女が、住み込みのお手伝いとして同居することになった。この若い網夫婦、仕事は朝から交代でよくするのだが、なにしろ一つ屋根の下に赤の他人の二つ夫婦が寝起きするのだから、なにやら妙な雰囲気だ。男盛りの好きものである足立には、若いカップルの夜が気にかかってしようがない。ある夜、足立は、網夫婦の寝室を秘かにうかがおうとした。ところが、敵もさるもの、網夫婦も足立夫婦の夜をぬすみ見ようとしていた……。意表をついて展開する好色コメディの表題作、ほかに傑作短編3作を収録。
電子あり
ぜったい多数
ぜったい多数
著:曽野 綾子,装丁:原 弘,装画:藤井 瑞子
講談社文庫
暁子は、手術直後の苦痛に歪む秋山の唇に、しずかに自分の唇を重ねた。秋山の胃ガンが絶望的な状態になっていることを知った彼女は、そうすることだけが、友だちとしての祈りであり、励ましであると信じたからだ。彼女自身も、郷里の家の束縛を逃れた東京での彷徨によって、心に深い傷を負っていたのだが……。暁子の冒険にみちた経験をカメラ・アイとして青麦のように、あざやかな色とむんむんする匂いを持つ、折れやすい若者たちの愛と真実を捉えたこの作品は、人生の地層を流れる清冽なものを、多彩な手法で探った、青春文学の名篇である。
電子あり
徳川家康(十八)関ヶ原の巻
徳川家康(十八)関ヶ原の巻
著:山岡 荘八,装画:杉本 健吉
講談社文庫
慶長五年九月十五日、家康の軍勢七万五千と光成の同盟軍十万八千の大軍は、ついに関ヶ原で激突、未明から申の下刻にかけて血闘の結果、東軍の勝利に終わり、光成は京の七条河原で斬られた。大坂城西の丸に入った家康は、諸侯に厳しく賞罰を行い、天下人を目前にした。
徳川家康(十七)軍荼利の巻
徳川家康(十七)軍荼利の巻
著:山岡 荘八,装画:杉本 健吉
講談社文庫
石田三成の陰謀を粉砕しようと決意した家康は、大坂城内に住む秀頼に拝謁後、そのまま城中にとどまって天下の政務を見ると宣言し、群党乱立の政情をおさめるため、上杉景勝の討伐におもむく。が、光成が毛利、宇喜多を語らって挙兵し、伏見城を攻略したとの報に接すると、予定のごとく直ちに軍を返した。
女の都
女の都
著:川上 宗薫,装丁:原 弘,装画:村上 豊
講談社文庫
宮川実は、50歳に手が届こうとしている、情痴小説を書く流行作家である。そのためには、絶えず女体についての研鑽をつまねばならないと思っている。そこで、3度目の妻・周子の眼をごまかしながら、銀座ホステスや女優・タレントたち、高校教師時代の教え子などとの交渉を、セキララに小説にしている。また、天涯孤独の女子高校生・種村津子を渋谷のマンションに住まわせ、その急速な性の開花ぶりに、目を瞠るのだった。しかし、やがて、意外といえば意外、当然といえば当然といえる結末が訪れる……。著者自身と覚しき主人公の行動を通じて、性の深淵を鮮烈に描く爆弾欲情小説。
電子あり
青丘の宿
青丘の宿
著:李 恢成,装画:玉置 正敏
講談社文庫
ふなくい虫
ふなくい虫
著:大庭 みな子,装画:橋本 龍美,その他:まゆら美研
講談社文庫
ふなくい虫。流木に喰いつき、ひとり、隣の虫にぶつかりそうになると、慌てて折れまがり、暗い木のなかを、ばり、ばり、と喰いすすむだけの一生。相手の顔も見ず、尻っぽの先をひらひら泳がせ、孤独に受精するという。孤独のホテルのけだるい倦怠に身を任せる5人の男女は、人類断絶の時代の開始を告げるのか。錯綜する愛欲関係に精神の孤絶感を刻み、現代の予感する終末の世界を、詩的に、残酷に謳いあげた、荒地のものがたり。 孤独のホテルのけだるい倦怠に身を任せる五人の男女は、いま、人類断絶の時代の開始を告げるのか。錯綜する愛欲関係に精神の孤絶感を刻み、現代の予感する終末の世界を、詩的に、残酷に謳いあげた傑作。
電子あり
色即回帰
色即回帰
著:野坂 昭如,装画:村上 豊,その他:まゆら美研
講談社文庫
男の女遍歴を、浮気などといって非難するのは大間違い。そういう気持の強い男こそ、女陰回帰の志、母のもとへも戻りたいという、いわば母を求めて三千里、真実鈴ふり巡礼心の持主なのだ。――山陰は皆生温泉、風呂番の老人が人生哲学を語った「色即回帰」ほか、野坂文学の真骨頂を発揮した作品7編を収録。 老若男女を問わず、我と我が身を忘れ、色に狂う人の世のあさましさ。ああ、この哀しき煩悩――。山陰は皆生温泉、風呂番の老人が人生哲学を語る表題作「色即回帰」ほか、「色指南」「色法師」など七編を収録。
電子あり
虚構の空路
虚構の空路
著:森村 誠一,装画:二本柳 泉
講談社文庫
徳川家康(十五)難波の夢の巻
徳川家康(十五)難波の夢の巻
著:山岡 荘八,装画:杉本 健吉
講談社文庫
文禄四年七月、名護屋から帰った秀吉は、粗暴の振る舞い多く、「殺生関白」と怖れられていた秀次を高野山に自刃させた。上洛した家康が、秀頼への忠誠の誓紙をとられたのは、その翌月のことである。そして慶長三年八月、秀吉は、秀頼の前途を案じつつ「浪花のことは夢の又夢」の辞世をのこして永眠した。
徳川家康(十六)日蝕月蝕の巻
徳川家康(十六)日蝕月蝕の巻
著:山岡 荘八,装画:杉本 健吉
講談社文庫
豊太閤の死後、石田三成は家康に対抗しようとあせった。秀吉に後事を託された家康が、朝鮮からの撤兵を無事に終えるころ、諸将の間に家康に異心ありの噂がひろがり、派閥抗争が激化する。やがて、武断派の加藤清正らにうとまれた文治派の光成はなぜか家康のもとに難を避けてきた‥‥。
海を見ていたジョニー
海を見ていたジョニー
著:五木 寛之
講談社文庫
砂絵呪縛後日怪談
砂絵呪縛後日怪談
著:野坂 昭如,装画:宮田 雅之
講談社文庫
父と母の愛を結びつけた砂絵を唯一のたよりに、父を求めて江戸に来たとみは、極道者の手で殺され、5人の男に回春のための仏なぶりにされる。美しい鈴の音が流れ、砂絵が届けられると、5人の男たちの家々に地獄図が繰りひろげられていく。怨念の炎が華麗なまでに燃上る、怪奇幻想の世界「砂絵呪縛後日怪談」、ほか5編。 回春の秘法“仏なぶり”の犠牲となっ美貌の娘とみ……。だが、奇怪にも、その亡骸から女児が誕生した。怪奇幻想の世界を描く表題作ほか「へのへの茂平次」「継小袖」など四編収録の凄絶な時代小説集。
電子あり
ミステリー傑作選(4) あなたの隣に犯人が
ミステリー傑作選(4) あなたの隣に犯人が
編:日本推理作家協会
講談社文庫
百花斉放のミステリーの諸ジャンルを一望にし、その醍醐味を1冊に凝縮した名短編推理15編を収録。 -収録作家-黒岩重吾・生島治郎・三好徹、結城昌治・樹下太郎、筒井康隆・戸川昌子・笹沢左保・佐野洋・佐賀潜・多岐川恭・松本清張・戸板康二・星新一・菊村到
ミステリー傑作選(3) ちょっと殺人を
ミステリー傑作選(3) ちょっと殺人を
編:日本推理作家協会
講談社文庫
斬新なアイデアのもとに技巧の粋を凝らして贈る、ミステリーの名匠15人の魅力あふれる短編推理の宝庫。 <収録作家>黒岩重吾・陳舜臣・三好徹・笹沢左保・佐野洋・生島治郎・高木彬光・星新一・結城昌治・松本清張・多岐川恭・小松左京・仁木悦子・梶山季之・戸川昌子
どっこいショ
どっこいショ
著:遠藤 周作
講談社文庫
戦争の傷痕がいまだに疼き、おどおどと人生を送っている父親と、そんな父親に反抗する戦争を知らぬ世代の息子。誤解と断絶から生まれる様々なトラブルを通して人間らしさの真実を追求した、ペーソスあふれる長篇小説。
電子あり
モッキンポット師の後始末
モッキンポット師の後始末
著:井上 ひさし
講談社文庫
食うために突飛なアイディアをひねり出しては珍バイトを始めるが、必ず一騒動起すカトリック学生寮の“不良”学生3人組。いつもその尻ぬぐいをさせられ、苦りきる指導神父モッキンポット師──ドジで間抜けな人間に愛着する著者が、お人好し神父と悪ヂエ学生の行状を軽快に描く笑いとユーモア溢れる快作。
電子あり
花氷
花氷
著:松本 清張
講談社文庫
不動産ブローカーの粕谷は、元愛人の登代子と銀行員坂本の仲に目をつけ詭計で支店長黒川を脅迫する。粕谷が狙う一攫千金の野望は国有地の払下げである。資金のメドのついた彼は、臆面もなく政界実力派の代議士に接近……。腐敗する政界裏面と、飽くことのない欲望に奔走する男の黒い構図を描く異色作。
電子あり