講談社文庫作品一覧

右京介巡察記
右京介巡察記
著:南條 範夫,装丁:原 弘,装画:奈良 葉二
講談社文庫
将軍代替りのたびに、各藩へむけて発向せしめられた幕府巡察使は、しだいに初めの意義がうしなわれ、形骸化してきている。各藩が失政をおおいかくすため、巡察使に対して酒色と賄賂の奸策を用い、その口を封じようとしたからだ。だが、その年の3人の正副使のなかに、ひとりの気骨ある武士がいた。瀬名伝右衛門。巡察の古習を守ろうとする正義のふるまいは、各藩にとって、若々しいかぎりであった。しかし、藩の秘密を守ろうとする奸計にはめられた伝右衛門は、腹を切って果てる。その怨念を承けついで日かげに育った一子・紫右京介は……。神変無想流をきわめた虚無的な瞳の美剣士が、父の仇を討つ時が刻々せまる!
電子あり
ミステリー傑作選(5) 犯人ただいま逃亡中
ミステリー傑作選(5) 犯人ただいま逃亡中
編:日本推理作家協会
講談社文庫
推理小説ファンの増大とともに多様化したミステリーへの絶好の手引き書として定評の名作選。15編収録。 <収録作家>佐野洋・松本清張・星新一・日影丈吉・佐賀潜・結城昌治・戸川昌子・小松左京・筒井康隆・生島治郎・黒岩重吾・陳舜臣・都筑道夫・三好徹・笹沢左保
鉄筋の畜舎
鉄筋の畜舎
著:森村 誠一,装画:佐藤 三千彦
講談社文庫
デパート「赤看板」の社長・保科商平のお抱え運転手・竹場正吉は、保科の息子たちのひきおこした轢き逃げ事件の身代り犯として服役中、獄死した。復讐に燃える竹場のひとり息子・栄一は、被害者の父・直川と謀り、保科一族の抹殺計画を実行に移す。復讐のドラマは刻々と進行するが、行く手に意外な陥穽が待っていた!
電子あり
午後の微笑
午後の微笑
著:曽野 綾子,装丁:原 弘,装画:藤井 瑞子
講談社文庫
神保羊子は、雑誌の編集の仕事をしている。取材で知り合った作曲家・郷雪生の、芸術家ぶらないナイーヴであたたかな人柄に魅かれ、病気で寝込んだ郷を放っておけずに、徹夜で看病する。その夜以来、郷の胸のなかにも、羊子の姿が強く灼きついて、お互いに愛しあうようになる。そして、結婚の約束をしたふたりの前に、郷が貧乏な留学生であった昔の恋人の密石麗華が、今は実業家の国分夫人となって出現する……。虚偽を許さない若い娘の心に写った「傷ついた世代」の苦悩を通じて、つねに裏切り合いながら救いを求めている、人間の魂の深部とさまざまな愛の想いを、鮮やかに、綿密画のように描きあげた長編小説。
電子あり
女神出奔
女神出奔
著:曽野 綾子,装丁:原 弘,装画:藤井 瑞子
講談社文庫
あまり人のいかないハイキング・コースの途中で病気になった楠田は、一軒の草深い古別荘に犬と住む由緒ありげな女に、一夜介抱された。その妖しい魅力にひかれ再び訪ねた楠田と、女は「お茶でものむように」交わる。一方、楠田の恋人・順子は、片貝助教授を知り、その家柄や名声に酔わされる。片貝を取り巻く女性は多い。彼は、財界に名の通った湯浅社長の娘・治子を選び、結婚式を挙げるが、新婚初夜を待たずに、治子は伊豆の別荘から恋人・昭夫と脱走する。そのとき、片貝がそこで幽霊のように見たのは、教え子の楠田に付添われて立つ古別荘の女であった。俗物への諷刺をこめて、愛と真実を追求する長編小説。
電子あり
死んだ時間
死んだ時間
著:佐野 洋,装画:南 正雄
講談社文庫
CMタレント殺害事件の重要参考人・時任杏子は、なぜか自分に有利なアリバイを否定してしまう。大学病院の若き医局員・加賀は、この「愛人」の態度に不審を抱きながらも、事件解決のため奔走する。だが、加賀が真相をさぐればさぐるほど、事件は意外な背景を浮かびあがらせ、思いもかけぬ方向に発展していく……。
電子あり
猫は知っていた
猫は知っていた
著:仁木 悦子,装画:村上 豊
講談社文庫
秘密の抜穴と謎の電話、そして暗闇に突き出た毒塗りナイフと一匹のネコ……。引越し早々に起きた連続殺人事件に、推理小説ファンの兄と私は積極的に巻き込まれた――素人探偵兄妹の鮮やかな推理をリズミカルな筆致でさらりと描き、日本のクリスティと称されてデビューした著者による、今日の推理小説ブームの端緒となった江戸川乱歩賞受賞作。
この地球に生れあわせて
この地球に生れあわせて
著:湯川 秀樹,装画:K・B・K,装丁:亀倉 雄策
講談社文庫
自分の内側に、わざわざ達成できないような理想を温存している…理想と現実の矛盾を生きる糧にしている。と語る著者の創造論との関連での生きがい論文明論。様々な旅の回想等思想と心の遍歴を綴る随筆集。
電子あり
モンテ=クリスト伯(2)
モンテ=クリスト伯(2)
著:アレクサンドル・デュマ,訳:新庄 嘉章,装画:荻 太郎,装丁:亀倉 雄策
講談社文庫
暴風雨の一夜、奇跡の脱獄を決行したダンテスは、亡き獄中の師ファリアに教えられたスパダの莫大な財宝を手に入れ、モンテ=クリスト伯と名乗って、たちまち社交界の花形となる。そして今は、モルセール伯夫人である昔の許婚者メルセデスとの劇的な再会……。「真実以上の真実」を描いて、壮大なロマンはいよいよ佳境に! 暴風雨の一夜、奇跡の脱獄を決行したダンテスは亡き獄中の師ファリアに教えられたスパダの莫大な財宝を手に入れ、モンテ=クリスト伯と名乗って、たちまち社交界の花形となったが……。モルセール夫人となった昔の恋人メルセデスと劇的な再会をする……。ナポレオン失脚後の激動期を背景に物語りはいよいよ佳境に。
電子あり
放浪について
放浪について
著:瀬戸内 晴美,装画:関野 準一郎
講談社文庫
牢屋のような部屋で、刑罰のように物を書く。そして無性に、二条の、西行の、一遍のような放浪に憧れる……。風に背を押され、次の町へ次の村へ、身ひとつになって、たったひとり、無目的の終りのない旅に、という。さまざまな風景の中の、さまざまな出合い、触れ合い、その一瞬一瞬の命の炎を、そして紅葉(もみじ)する中尊寺での得度後、道元の「すててこそ」の境地を得る1年の心の移りを、華麗な筆でつづる。
電子あり
北国の女の物語(下)
北国の女の物語(下)
著:水上 勉,装画:丹阿弥 丹波子
講談社文庫
大正3年、青森県尻尾崎で遭難した船から、ただ一人生き残った赤子があった。その子は沖子と名付けられ、観音堂守りのもとで育てられたが、長じて材木問屋の女中として働くことになる。沖子の美貌と陰日向ない働きぶりは誰からも好かれ、17歳の年に番頭の伊助と結婚するが、運命の悪戯は沖子に無情だった。新婚生活もわずか4ヵ月にして、終止符をうたれた。夫急死の悲しみの中に、翌年生まれた伊太郎を抱えた沖子は、各地を転々する。その伊太郎も、第二次大戦の末期に溺死し、やがて敗戦。沖子は、浅虫温泉の芸妓となって……。不幸な出生、そして残酷な戦争、愛別離苦など、暗い宿命に耐えて生き抜く、沖子の哀しい半生を描いた傑作、哀切のロマン。吉川英治賞受賞作品。
電子あり
北国の女の物語(上)
北国の女の物語(上)
著:水上 勉,装画:丹阿弥 丹波子
講談社文庫
大正3年、青森県尻屋崎で遭難した船から、ただ一人生き残った赤子があった。その子は沖子と名付けられ、観音堂守りのもとで育てられたが、長じて材木問屋の女中として働くことになる。沖子の美貌と陰日向ない働き振りは誰からも好かれ、17歳の年に番頭の伊助と結婚するが、運命の悪戯は沖子に無情だった……。暗い宿命に耐えて生き抜く女の哀しさと美しさを謳いあげる哀切ロマン。〈上下全2巻〉
電子あり
お菓子の家の魔女
お菓子の家の魔女
著:宇能 鴻一郎,装丁:原 弘,装画:金子 國義
講談社文庫
芥川賞作家から官能小説作家へと進んだ大ベテランの、妖美異色の伝奇趣味溢れる短編集ーー妻がお菓子を焼いている間に、男はその会に出席したのだった。4人の驕慢な女性たちの白いお尻が、タイツからハート型に露出して輝いている。男は苦しかった。全く自由を奪われて肉体をもてあそばれているのは、えもいえず快よい。(「お菓子の家の魔女」)…鞍馬の山に鬼が出た、という噂が京にひろまった。雪が消えて炭焼小屋に戻ってきた木こりが、小屋の中に恐ろしいものを見た。髪も髯もぼうぼうとのばしたすさまじい男が、人間らしいものをしっかとかかえこみ、股からむさぼり喰っていた、というのである。(「姫君を喰う話」)…など4編。
電子あり
気が遠くなる
気が遠くなる
著:川上 宗薫,装丁:原 弘,装画:村上 豊
講談社文庫
癒ることのない肝臓ガンに冒され、顔色もすっかり黒ずんでしまったという中年男・沼崎から、死ぬ前にやっておきたいことが一つだけある、と口説かれた銀座ホステス・敏子は、その願いを叶えさせてあげることにした。これまで男性不信の月日を過してきた敏子は、沼崎によって真の女の悦びを知らされたが、その悦びよりも、悦びを与えてくれた男がもうすぐ死ぬという事実の暗い悲しみの方に、押しひしがれていた。しかし、やがて敏子は、ゴルフ場でこの男の意外な素顔をかいま見てしまた……。という表題作のほかに、「裏切る」「秋のロマンス」など4篇を収録する、著者会心の官能小説集。
電子あり
戦いすんで日が暮れて
戦いすんで日が暮れて
著:佐藤 愛子
講談社文庫
強い男、りりしい男はいないのか!弱気な夫と、巨額の負債をしょいこんだ家庭の中で、休む間もない奮闘を続ける、男まさりの“強い妻”を独自の真情と塩からいペーソスで描く――直木賞受賞作。ほかに「ひとりぽっちの女史」、「佐倉夫人の憂愁」、「結婚夜曲」、「ああ男!」などの傑作短編7編を収録。
徳川家康(二十六)立命往生の巻
徳川家康(二十六)立命往生の巻
著:山岡 荘八,装画:杉本 健吉
講談社文庫
豊臣家滅亡の後、家康は徳川幕府永続のための方策を着々と実行に移した。鷹狩りに名を借りて、奥州の梟雄伊達政宗に無言の威圧を加え、心からの臣従を誓わせた。元和二年正月、病を得た家康は、四月十七日駿府城で波瀾に満ちた生涯を終えた。時代を越え、万人の胸に深い感銘を与える壮大なロマン大作完結編。
徳川家康(二十五)孤城落月の巻
徳川家康(二十五)孤城落月の巻
著:山岡 荘八,装画:杉本 健吉
講談社文庫
大坂夏の陣の火ぶたは慶長二十年(元和元年)四月、切って落とされた。濠を埋められた大坂方は城外に出て徳川勢に立ち向かったが、名のある猛将も相次いで斃れ、五月七日には家康の心胆を寒からしめた真田幸村の軍勢も玉砕‥‥。翌八日秀頼と淀君は城中の籾蔵で自害し、豊臣家はついに滅亡した。
突っかけ侍(下)
突っかけ侍(下)
著:子母澤 寛,装丁:原 弘,装画:鴇田 幹
講談社文庫
大政奉還は許されたものの、ひそかに発された討幕の勅を奉じて、薩長軍は怒涛のように東進を開始した。箱根にこれを迎え討った伊庭八郎ら幕軍は、小田原の寝返りで敗北。一方、上野では彰義隊が結成され、幕臣の意気は旺んだが、情勢は日を追って幕軍不利となっていく。こうした中、江戸庶民も一丸となって、反官軍に起ちあがりつつあった……。折りしも、深川高ばし邸では、小笠原長行が消息を絶つ。だが、長行韜晦の陰に、実は金さんらの活躍が……。風雲急な江戸の巷に、善玉悪玉入り乱れて波乱万丈。突っかけ侍の金さんをめぐる人びとの行末は? 移り行く時代の流れに描く人生流転の相。<全3巻・完結>
電子あり
突っかけ侍(中)
突っかけ侍(中)
著:子母澤 寛,装丁:原 弘,装画:鴇田 幹
講談社文庫
天下きっての賢人でありながら、表向き廃人として扱われてきた小笠原長行だったが、激動する幕末の時代の波は、ついにこの人を、政治の表舞台に引き出すことになった……。討幕、討幕! 薩長を代表する討幕論の日ましに高まりつつある中で、勤王か佐幕か、各藩各自の論はいよいよ喧騒の度を増して、国論はすでにまっぷたつにわれている。そんな時世に、例のわざくれ橋の金さんこと松村金太郎、あいかわらず、突っかけ草履の裏金チャリッと鳴らし、世の騒ぎなど知らぬ気だが……。恋慕と怨念と剣雲と侠気と執念が錯綜し絡み合い、熱気をはらんで展開する痛快無比の幕末秘話! <全3巻>
電子あり
突っかけ侍(上)
突っかけ侍(上)
著:子母澤 寛,装丁:原 弘,装画:鴇田 幹
講談社文庫
肥前唐津藩の元御馬廻役・松村金太郎は、今では突っかけ草履の小粋な兄さん、人呼んで「わざくれ橋の金さん」だ。武士稼業はすっぱりやめてはいるけれど、実は、主君・小笠原長行の内命を受けて、ひそかに藩のため働いている……。ある春宵、将監橋の上、唐津藩の内紛で長行の反対派にまわり、藩侯の里方・信州松本藩と手を結んで、藩論を朝廷方に傾けようと企む奸人で、義兄の仇でもある周施方・長谷川番作をバッサリ。ーー粋でいなせな金さんが、同じ脱藩・小南敬助らと協力、小笠原長行を扶けて東奔西走の活躍。剣雲、侠気、哀恋が織りなす、子母澤寛会心の幕末傑作長編! <全3巻>
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