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2022.02.25発売
無と宗教経験 禅の比較宗教学的考察
創文社オンデマンド叢書
「無」という概念を、自己否定の徹底が自ずから根底的な自己肯定へと至る事態と見做し、主に禅を題材にして意味、言語、意識などの角度から人間存在の根源事象を探った野心作。禅の原典テキストまで遡り精確な文献解釈を行いつつも、そこに表れるものを宗教経験の事柄として生きた姿を吟味、さらに西洋神秘主義など他の宗教経験との比較を通じて禅の特殊性と普遍性を浮き彫りにする。
【目次より】
序論 本書の目的
第一章 肯定としての無 禅言語の二つの次元
はじめに
第一節 牛頭宗における「無」
第二節 無が無でなくなる構造
第三節 即非の論理と空の次元
おわりに
第二章 禅言語の逆説構造 ウィトゲンシュタインの規則論を手がかりに
はじめに
第一節 問いが発せられる条件
第二節 対法と事物一般の相対化
第三節 意外性の感覚
おわりに
第三章 宗教経験と悟り ウィリアム・ジェイムズと白隠との比較から
はじめに
第一節 ジェイムズにおける「意識の神秘的状態」
第二節 「実在の感覚」と見性
第三節 「無」についての諸解釈
第四節 実在性の空解
おわりに
第四章 見性の心理構造 白隠を中心に
はじめに
第一節 見性に先行する条件
第二節 見性の諸特徴
第三節 自らを信じるという問題
第五章 臨済の「無事」について 悟りと空の経験
はじめに
第一節 開悟の経験の内実
第二節 絶対無と空
第六章 禅と本覚 『大乗起信論』における所説をめぐって
はじめに
第一節 『大乗起信論』の本覚思想の内容
第二節 本覚と頓悟との関係 『起信論』から禅ヘ
第三節 空寂知としての頓悟 宗密の荷沢禅解釈
第七章 荷沢神会の「衆生心」について 禅における自然と頓悟の問題
はじめに
第一節 荷沢神会における「衆生心」の概念
第二節 禅における頓漸の実際
おわりに
付論 デウス・空・救済 不干斎ハビアンの思想について
あとがき
初出一覧
参考文献

2022.02.25発売
(訳註)中国近世刑法志(下)
創文社オンデマンド叢書
十世紀以後の中国の正史刑法志すべてについて原文を掲げ、現代日本語に訳し、更に詳細な注を施した基本資料の集大成。本冊は元と明を収める。元史刑法志は一千条を超す法文からなる。とかく元代には漢民族王朝のような整備・系統だった法典は編纂されなかったと思われがちである。しかし元朝八十年の法典編纂の苦悩は、宋代からの同じ悩みを継承し、やがて明初の新しい立法に結実してゆく重要な過程であった。また、明史刑法志は厖大な法制資料をコンパクトにまとめ主な問題点や特徴を要領よく抑えて、明代史の流れの中で刑政概念を掴むのに役立つ。法制や刑罰の、各時代における生きた立体像とともに、時代を超えて存在する「中国的な法」を浮かび上がらせる必読文献。既刊の上冊は五代、宋、遼、金を収録。
【目次より】
はじめに 解題にかえて(下)
譯注 元史刑法志
譯注 明史刑法志
あとがき

2022.02.25発売
(訳註)中国近世刑法志(上)
創文社オンデマンド叢書
「律令は文辞古質にして看覧する者もって詳明しがたし。格勅は条文繁多にして検閲する者あるいは疑誤あり」(旧五代刑法志)。法文は旧中国知識階層においても取りつきにくく、その法制理解はもっぱら「刑法志」に基づくものであったと言われる。従来とかく見過ごされがちだが、刑法志とは法律そのものではなく、各王朝の総合的な歴史の一部分としての法制や刑罰の歴史である。本書は正史のうち十世紀以後の刑法志すべてについて原文を掲げ、現代日本語に訳し、更に詳細な注を付す基本資料の集大成。時代ごとの特色とともに、その根底に流れ常に意識されてきた中国法の立体的理解へと導く必読の書。下冊は元と明を収録する。
【目次より】
序
はじめに 解題にかえて(上)
譯注 奮五代史刑法志
譯注 宋史刑法志
譯注 遼史刑法志
譯注 金史刑志

2022.02.25発売
先秦の社会と思想(中国学芸叢書) 中国文化の核心
創文社オンデマンド叢書
秦に先行する夏殷周の時代(BC.2000頃~.BC220年頃)とは、中国独自の文化が形成された「原中国」であった。本書は、諸子百家の系譜を辿るという従来の手法を排し、最新の考古学的資料と伝来文献を有機的に結びつけ、原中国の社会の全体像と人びとの日常的な心のあり方を、明確なイメージをもって共感的に描き出す。彼らの強固な祖先観念と血族意識は一族や国家の長存、「天地長久」を願う熱い思いの現れであった。当時の支配層の意志決定に参与した史官は文字を独占する最高の知識人であり、天地人についての歴史の知識を蓄積する過程で万物の運行を司る天道を見出した。そして『老子』とは、天地長久の統治と処世を実現する教訓、格言、警句を、天道をも越える「道」の立場から編集整理したものに他ならなかった。豊富な史料と明快な論証により、中国文化の本質解明に一石を投じる画期作。
【目次より】
はじめに 本書の目的と立場
第一節 先秦とはいかなる時代か、いかに理解すべきか
第二節 史料について
第一部 血族社会の世界観
問題の提示
第一章 古代人と髪
第一節 髪と刑罰・兵士俑の髪型
第二節 髪の機能
第三節 髪の意味
第四節 原中国における髪の意味
まとめ
第二章 人間と植物の類比的認識
第一節 土毛・不毛
第二節 文王孫子、本支百世
第三節 『詩経』と類比的認識
まとめ
第三章 血族の長期的存続
第一節 世という文字
第二節 生命の継起的連続
第三節 舜の子孫
第四節 血縁の長期存続と祭祀
第五節 世系・世本
第六節 世の意識
第七節 不死鳥の陳国
第八節 祭祀継続の理由
まとめ
小結 戦国時代へ
第二部 『老子』思想の歴史的研究
問題の提示
第一章 『老子』思想の本質とその背景
第一節 『老子』の本質
第二節 再読「鄭伯、段に〓に克つ」
第三節 『老子』的処世の遍在
第四節 范氏一族の処世
第五節 支配層の意志決定
まとめ
第二章 歴史と『老子』
第一節 歴史とは
第二節 他族の歴史の教訓
第三節 鑑としての歴史・のっとるべき善
第四節 敬の処世
第五節 敬と『老子』
第六節 敬の具体化
第七節 歴史の事実の抽象化と『老子』思想
第八節 『老子』的思想の遍在
まとめ
第三章 天道と道
第一節 史官なるもの
第二節 道と『老子』
第三節 史官の直筆
第四節 シャーマンから史官へ 夏后啓とその子孫
まとめ
おわりに
あとがき

2022.02.25発売
フランス・スピリチュアリスムの宗教哲学
創文社オンデマンド叢書
本書は、メーヌ・ド・ビランの投げかけた宗教哲学的問いに対する創造的回答として、フランス・スピリチュアリスムという思想潮流の全体像を描く。この思想潮流を、〈直観のスピリチュアリスム〉と〈反省のスピリチュアリスム〉の二系統に区別する視点から明快に論じて、スピリチュアリスムの現代的意味と現代における宗教哲学の新たな課題を提示する。
【目次より】
序
第一章 フランス・スピリチュアリスムの名称と定義
第一節 フランス・スピリチュアリスムの登場
第二節 フランス・スピリチュアリスムの二系統
第三節 スピリチュアリストの自己規定
第四節 心霊主義とレアリスム・スピリチュアリスト
第二章 メーヌ・ド・ビランの思索と課題
第一節 ビランの思想の基本的特色
第二節 ビランの思想の問題と方向性
(a) 二つの身体と二つの能力 (b) ビランの思想の問題点 (c) ビランの思索の方向性
第三節 自我と精神的生
第四節 反省と意志的シーニュ
第三章 ラヴェッソンにおける自由の媒介としての自然
第四章 努力観の深化としてのベルクソンの宗教哲学
第一節 「新しいスピリチュアリスム」としての『物質と記憶』
第二節 『物質と記憶』の努力論
(a) 逆円錐の比喩における「努力」の問題 (b) 『物質と記憶』第四章における「努力」 (c) ドゥルーズのベルクソン理解
第三節 努力観の深化
(a) 『創造的進化』の努力観 (b) 『二源泉』における努力観 (c) 努力の現実的次元と潜在的次元
第四節 ベルクソンにおける行為と宗教
第五章 ラシュリエの反省哲学とその問題点
第六章 ブロンデル『行為』における反省と宗教
第一節 行為の自己反省
第二節 反省の出現
第三節 身体への反省の展開
第四節 反省の展開とシーニュ
第五節 行為と宗教
第七章 ベルクソンとブロンデル
第一節 ベルクソンにおける無と存在
第二節 ブロンデルにおける無と悪
第三節 両者の思考の触れ合い
第八章 リクール解釈学の由来と展開
第一節 自由と自然との宥和と破綻
(a) 身体と自由 (b) 過ちと自由
第二節 反省と解釈
(a) 反省哲学と解釈学 (b) ナベールとリクール (c) 『過ちやすき人間』の人間学
第三節 リクールの解釈学と〈反省のスピリチュアリスム〉
(a) イニシアティヴの相違 (b) リクールの現象学受容 (c) リクール解釈学の生成
あとがき
註
引用および参照文献表

2022.02.25発売
井伊直弼 修養としての茶の湯
創文社オンデマンド叢書
近世の為政者階級である武家として文武にわたる〈なすべき業〉の修養に勤める直弼は、同時に徳川家のために先陣を駆って死に向かう戦う武士を夢みていた。本書はこれまで誰もなし得なかった、政治家井伊直弼と文人井伊直弼の統合を修養としての茶の湯の視点から試みて、政治と茶の湯との関わりを魅力的な叙述で見事に描いてみせる。1851年から1860年までの44会の茶会記録から、理念と歴史的現実が鋭く相克するシーンを丹念に解読し、文人の内面世界と政治家の思想と行動を考察するアプローチは独創的である。その上で、これまで未紹介の原資料に注目するとともに、晩年の著述『茶湯一会集』を武家のための〈総合的茶の湯作法集〉と評価し直すことにより、転換期を生きた井伊直弼を茶道史においても新たに位置づけ直す。第12回茶道文化学術奨励賞(財団法人:三徳庵)受賞。
【目次より】
はじめに
第一章 理想の武士と「なすべき業」
第一節 若き日の苦悩と弘道館
第二節 なすべき業 武道と文芸
第二章 埋木舎時代の茶の湯 なすべき業としての茶の湯
第一節 石州流と井伊家の茶の湯
第二節 埋木舎時代の茶の湯
第三章 世子時代の茶の湯 「行」としての茶の湯
第一節 世子時代の茶の湯著述
第二節 茶の湯における食事と表記の歴史
第三節 石州流と「懐石」表記
第四章 藩主時代の茶の湯 武家の茶の湯の完成
第一節 『茶湯一会集」の評価
第二節 『茶湯一会集』
第三節 「一期一会」と「独座観念」
第五章 直弼の茶会 大名茶会と草庵茶の湯
第一節 直弼の茶会記録
第二節 大名/数寄屋坊主の会
第三節 ”草庵茶の湯“の実践
第四節 直弼の茶会 総括 大名茶会と草庵茶の湯
結語
注
あとがき
井伊直弼(茶の湯)関連年譜
文献目録
索引
英文概要
英文目次

2022.02.25発売
政治の隘路 多元主義論の20世紀
創文社オンデマンド叢書
本書は、政治学の視野から、自由民主主義体制の中心理論である多元主義論の歴史的展開を、哲学的分野から実証的分野まで広範な領域を射程に収め通史的に分析する。フィッギス、バーカー、ラスキをはじめとする20世紀初めのイギリス多元的国家論が、第二次大戦後隆盛を極めたアメリカ多元的民主主義論を経て、フーコーに代表される近年のポスト・モダンへと到る流れを克明に描写し、いまや隘路にはまりつつある20世紀の政治の成果と限界を浮かぶ上がらせ、ボーダレス化する冷戦後の世界に鋭い問いを投げ掛ける。
【目次より】
序 政治が失おうとしているもの
序章 二〇世紀末の多元主義論
一 多元主義とリベラル・デモクラシー
二 多元主義と「政治」
三 本書の構成
第一章 イギリス多元的国家論
一 伝統の形成とリベラリズムの革新
二 多元的国家論の萌芽
三 伝統の再生へ 多元的国家論の諸相
(1) ジョン・N・フィッギス (2) アーネスト・バーカー (3) ハロルド・J・ラスキ (4) G・D・H・コール
四 多元的国家論の終息
第二章 多元主義論の変転
一 アメリカにおける多元主義論の受容
(1) 「国家」と「人民」 (2) 病理から批判理論へ
二 多元的国家論への対応
(1) 初期の受容と論点の形成 (2) 選択的受容と全面的批判
三 多元主義論と「科学」
四 多元主義論と「政治」の動揺
第三章 多元的民主主義論と政治科学
一 多元主義論の定着と政治科学の台頭
(1) 多元主義論の定着 (2) 政治科学と多元主義論
二 ロバート・A・ダールと多元的民主主義論
(1) 市場社会主義からポリアーキーへ (2) ポリアーキーの定式化 (3) ポリアーキーの分析 (4) 多元的民主主義論における「政治」
三 多元的民主主義論への批判
四 多元的民主主義論の変容
(1) 問題の析出 (2) 多元的民主主義論の修正 (3) 「保守化」批判の功罪
第四章 多元主義と多元化
一 文化的多元主義論と市民社会論の射程
二 多文化主義論と「政治」の相克
(1) 多文化主義論と集団の権利 (2) 「差異の政治」と集団のアイデンティティー
三 ポスト・モダニズムと「主体」の問題
(1) 個人のアイデンティティーと集団のアイデンティティー (2) ボスト・モダニズムの「主体」批判
四 ポスト・モダン多元主義論
(1) 「リベラル・プルーラリズム」への批判 (2) ポスト・モダン多元主義論の諸要素
終章 政治の陰路と政治的想像力
註
あとがき
参考文献

2022.02.25発売
アウグスティヌスにおける教育
創文社オンデマンド叢書
古代の教育を来るべき新時代の方向へと転換させた「西洋の教師」アウグスティヌス。彼のキリスト教的人間観と、教育の中心にある説教の新しい教授法、さらに教師と学習者についての考え方を考察。異教徒文化、教養の基礎である自由学芸をキリスト教的哲学と聖書註解のための基礎教養として位置づけ、キリスト教と異教文化との融合を図って西欧的教養の基礎をすえた歴史的意義を解明する。
【目次より】
凡例
まえがき
引用著作一覧
序章 教師アウグスティヌスの形成
第I部 アウグスティヌスの教育活動
第一章 回心前のアウグスティヌスの教育活動
第二章 回心後のアウグスティヌスの共同生活と教育活動
第三章 修道者アウグスティヌスの教育活動
第四章 聖職者アウグスティヌスの修道生活と教育活動
第五章 聖職者アウグスティヌスによる入信者の教育
第六章 聖職者アウグスティヌスの一般信徒への説教
第II部 アウグスティヌスの教育論
第一章 アウグスティヌスの人間観と教育
第二章 アウグスティヌスによる教授と学習『教師論』を中心に
第三章 アウグスティヌスによる教授(説教)法(I)
第四章 アウグスティヌスによる教授(説教)法(II) バシリカ、絵画・彫刻、歌唱による
第五章 アウグスティヌスによる記憶と学習
第六章 アウグスティヌスによる自由学芸と哲学
第七章 アウグスティヌスによる自由学芸と聖書解釈 『キリスト教の教え』を中心に
補遺 カッシオドルスによる修道生活への自由学芸の導入
あとがき
注

2022.02.25発売
クザーヌスの世界像
創文社オンデマンド叢書
神の創造物であるにも拘わらず、世界は何ゆえ分裂と相異に満ちたものなのか。本書はその著作のみならず説教をも駆使して、その思想の全体的構造を明らかにする。哲学の目的は愛によって神の真理に到達することであるとした彼は、脱中心・二極性・楕円の思考といった独自の方法で自らの思惟を相対化し、現実の世界が〈協和〉に向かって存在することを探究する画期的業績。
【目次より】
目次
序章 本研究の目的と方法
第一章 クザーヌスにおける〈哲学〉
第一節 「学としての哲学」
第二節 哲学と神学をめぐるヴェンクとの応酬
第三節 『覚知的無知について』と『推測について』における〈哲学〉
第四節 〈知恵〉への思索
第五節 〈Amor sapientiae〉としての〈哲学〉
第六節 〈知恵の狩〉
第二章 〈多様性〉問題
第一節 クザーヌスの思惟の根本動態
第二節 〈多様性〉問題への取り組みの発端
第三節 『覚知的無知について』と『推測について』における〈多様性〉問題
第四節 『創造についての対話』における〈多様性〉問題
第五節 中期以降における〈多様性〉問題
第三章 方法としての〈反対対立の合致〉
第一節 〈反対対立の合致〉の思惟をめぐるミリュー
第二節 前期における〈反対対立の合致〉
第三節 『神の観について』を中心とする〈反対対立の合致〉
第四節 〈媒介〉としての〈反対対立の合致〉
第四章 楕円の思考
序節
第一節 〈脱中心の思考〉
第二節 クザーヌスの〈思考の二極性〉
第三節 楕円の思考
第五章 〈神の現れ〉の諸相
序説
第一節 世界という〈神の現れ〉
第二節 〈秩序〉という〈神の現れ〉
第三節 人間という〈神の現れ〉
第六章 〈協和〉としての世界
序節
第一節 〈個物〉における〈協和〉
第二節 〈水平的協和〉と〈垂直的協和〉
第三節 〈協和〉としての認識
終章 〈多様性〉から〈協和〉へ
あとがき
注
文献目録
欧文要旨

2022.02.25発売
教父と古典解釈 予型論の射程
創文社オンデマンド叢書
ギリシア教父たちは西洋古典の内にも救世主像を見出そうと試みた。異教文化受容を巡る教父の神学理解と、写本の筆写に携わる修道士や聖職者の隠れた努力を支えた修道院の精神とは何か。それが近代ルネサンスの先駆けともなったことを示す本書は、古典研究と教父学を総合的に考察して、中世哲学と古典学の領域に新たな視座を提供した。
9~10世紀ビザンティン時代の人文主義(特にアレタス)から遡って、教父時代における古典の受容と精神的境位がそれら後世のヒューマニズムに合致するものであることを実証し、キリスト教的人文主義の根底に潜むものを普遍的な相において探った。ホメロスなどの作品の解釈と伝承を分析し、西洋古典文献学を実証的写本伝承史のレベルから再構成。教父学の視点から異文化受容のあり方に光を当て、それがキリスト教ヒューマニズムの淵源であることを明らかにする。
地中海学会ヘレンド賞受賞。
【目次より】
序章 本書の構成と目的について 古典文献伝承と教父神学
第一部 ビザンティン時代における人文主義の成立と神学
第一章 地中海世界における書物史 カイサレイアのアレタスまでの文献史
第二章 アレタスの人文主義的神学 『黙示録注解』を中心に
第二部 カッパドキア教父たちの古典観と神学
第三章 バシレイオスと「ルネッサンス」 神学と人文主義の関係をめぐって
第四章 ニュッサのグレゴリオスにおける「神の像」理解の変容 人間性の再構築
第三部 終末論と予型論
第五章 オリゲネス的終末論の展開と証聖者マクシモス アポカタスタシスを中心に
第六章 証聖者マクシモスにおける終末論と神化 旧約聖書解釈との関連で
第四部 教父神学から古典解釈ヘ
第七章 アレクサンドレイアのクレメンスによる『オデュッセイア』解釈 古典の神学的受容
第八章 コンスタンティノス大帝とウェルギリウス『牧歌』第四歌 「異教予型論」と古典の受容
結章 人文主義的教父神学の地平と終末論的予型論の射程 総括と展望
あとがき
注
参考文献表

2022.02.25発売
イスラーム家族法 婚姻・親子・親族
創文社オンデマンド叢書
独特の規定から成るイスラーム法の世界をもっとも色濃く写し出す家族法の領域に焦点を当てた、本邦初の体系的概説書。イスラーム最大宗派・スンナ派の四法学派の家族法を網羅的に紹介、詳細に比較検討した本書は、イスラーム社会を理解するうえでの必読文献となろう。第13回尾中郁夫・家族法学術奨励賞受賞。
【目次より】
はじめに
序論
第1章 婚姻
第1節 総論
第2節 婚姻の成立
第1項 求婚 第2項 契約当事者と婚姻締結の態様 第3項 契約に関わる条件 第4項 証人の立会い 第5項 婚姻障害 第6項 確定要件
第3節 無効な婚姻
第1項 曖昧性の法理 第2項 婚姻の無効の定義 第3項 無効な婚姻の効果 第4項 効力未定の婚姻
第4節 婚資
第1項 婚資の性質 第2項 婚資の設定・条件・相場額 第3項 婚資債権の発生・確定と履行
第5節 扶養請求権その他の妻の権利
第1項 扶養請求権 第2項 住居の手当て 第3項 夫が妻の許で時を過ごすことを求める権利
第6節 夫の権利
第2章 婚姻の解消
第1節 主体から見た婚姻解消の分類
第2節 態様から見た婚姻解消の分類
第1項 各学派における各婚姻解消の態様 第2項 取消可能な離婚と取消不能な離婚 第3項 婚姻解消の形式または原因とその態様の対照表
第3節 待婚期間
第1項 定義と期間の計算 第2項 待婚期間中の夫婦間の権利義務関係 第3項 待婚期間に服する女性の婚姻や性交
第4節 婚姻解消のさまざまな形式
第1項 一方的離婚 第2項 イーラー離婚 第3項 背中離婚 第4項 委任による一方的離婚権の行使等 第5項 身請離婚 第6項 仲裁による離婚 第7項 選択権の行使による婚姻の解消 第8項 呪詛の審判による婚姻の解消 第9項 後発的無効原因の発生 第10項 約款違反を理由とする婚姻の解消 第11項 夫婦の一方の死
第3章 親子・親族
第1節 親子関係
第1項 子 第2項 養子 第3項 棄児 第4項 女奴隷の子の父性の推定とその身分 第5項 保護関係
第2節 授乳
第3節 監護
第1項 監護権の性質 誰の権利か 第2項 監護権者の範囲と就任の順位 第3項 監護期間の終了と爾後の子の住所
第4節 扶養
第1項 総則 第2項 ハナフィー派 第3項 マーリク派 第4項 シャーフィイー派 第5項 ハンバル派 第6項 婚姻の斡旋 第7項 奴隷と動物の扶養
第5節 財産後見
第1項 禁治産制度の概容 第2項 財産後見
注
文献目録

2022.02.25発売
明清戯曲演劇史論序説(東洋学叢書) 湯顕祖『牡丹亭還魂記』研究
創文社オンデマンド叢書
湯顕祖「牡丹亭還魂記」について、先行研究では究明されてこなかった、作品と作者自身、そして受容者との関わりに視座を据え、後代における演変の様相をも視野に入れ、該書を総合的かつ複合的に読み解く試み。才子佳人の夢と現実、生と死を超越した情の結実を描いた萬暦年間の名品『牡丹亭還魂記』。それは湯顕祖の反骨精神から生まれ、古文辞派への反発や李しなどの明末思想に支えられたものであった。執筆意図、創作理念、さらに読書人や一般庶民層における受容史など、総合的視点からその戯曲演劇史上の位置づけを試みた労作。巻末に詳細な索引を付す。
【目次より】
序章 中國近世戯曲演劇史における『牡丹亭還魂記』の位相
第一章 『牡丹亭還魂記』における柳夢梅像の設定
第二章 『牡丹亭還魂記』における梅花の形象
第三章 『牡丹亭還魂記』における杜詩の受容
第四章 『牡丹亭還魂記』における集句詩について
第五章 『牡丹亭還魂記』における真と仮の問題
第六章 『牡丹亭還魂記』版本試探
第七章 馮夢龍『墨〓齋重定三會親風流夢伝奇』における『牡丹亭還魂記』の変改
第八章 清代における『牡丹亭還魂記』の演変
第九章 子弟書における『牡丹亭還魂記』故事の変容
結章 湯顕祖の創作理念とその影響
あとがき(初出誌一覧)

2022.02.25発売
ベギン運動とブラバントの霊性
創文社オンデマンド叢書
一二世紀の都市の勃興とともに都市には多くの女性が流入した。中でも現在ベルギーであるブラバントの諸都市には、手仕事や病人の看護などをしながら、相互扶助の敬虔な協同生活を営む女性信徒の一団が自然発生的に形成され、ベギン運動として展開していった。自由な生活形態を許す在俗の信徒集団である彼女らの運動は、異端視されることもあったが二〇世紀に至るまで存続した。本書はサン=ティエリのギヨームを源泉として、神の接触を求め霊的一致へと向かう霊性の系譜を、女性史をも視野に入れて考察した霊性史の先駆的試み。
【目次より】
凡例
目次
序言
第I部 サン=ティエリのギヨームの霊性
第一章 サン=ティエリのギヨームとその時代
一 ベルナールとの出会い
二 修道院の改革
三 方法をめぐる異議申し立て
第二章 サン=ティエリのギヨームの霊性
一 愛と理性
二 経験の学問
三 オリゲネスの発見
四 人との出会い 霊的一致
五 愛による知
第II部 ベギン運動とその霊性
第一章 ブラバントのベギン運動
一 研究史と初期のベギン運動
二 ベギンの語源
第二章 ワニーのマリと初期のベギン
一 『ワニーのマリ伝』とカタリ派
二 キリストの人性の信心
三 ベギンと教会
第三章 ハデウェイヒの霊性
一 生涯
二 作品
三 ハデウェイヒの霊性
第III部 ルースブルークの霊性
第一章 ルースブルークの生涯と作品
一 伝記史料
二 ブリュッセル時代
三 グルーネンダール時代
四 ジェルソンの批判
第二章 霊性の系譜 サン=ティエリのギヨーム・ハデウェイヒ・ルースブルーク
一 ルースブルークとサン=ティエリのギヨーム
二 ルースブルークとベギン
結論
あとがき
註
文献目録
略号表

2022.02.25発売
メルロ=ポンティ 超越の根源相
創文社オンデマンド叢書
メルロ=ポンティにとって比類のない問題とは、存在論的・価値論的変革者としての「超越概念の変革」であった。古典的優越の相対化・ニヒリズムの超克という問題提起を試みる、通念に囚われない新たなメルロ=ポンティ解読。『知覚の現象学』刊行から半世紀以上、夥しい研究が蓄積されたが、著書によればこれら半世紀に及ぶ研究の歴史は、根本的な誤解と無理解の歴史であった。その根本的な誤解とは彼の思想を現象と存在、一元論と二元論といった古典的な枠組みに嵌め込もうとすることであり、無理解とは彼の哲学の核心である〈超越の根源相〉を掴めていないことである。メルロ=ポンティにとって真の問題とは〈超越概念の変革〉であったことを示すことにより、古典的超越の相対化(ニヒリズムの超克)という問題提起を試みた第一級の業績。
【目次より】
書名略号一覧
序論
第1章 メルロ=ポンティは読まれているか
序
第1節 知覚の優位性
第2節 一種の永遠
第3節 実りある矛盾
第4節 存在論的偶然性
第5節 生きられる独我論
第2章 メルロ=ポンティ自身はどう読むか
序
第1節 メルロ=ポンティの読解論
第2節 アランと「幾何学以前」
第3節 ラシエーズ・レイと「メノンの問い」
第4節 ラヴェルと「表現の問題」
第3章 メルロ=ポンティをどう読むべきか
序
第1節 メルロ=ポンティの〈自己批判〉
第2節 現象学の現象学
第3節 デュフレンヌによる読解
第4節 マリオンによる論及
第4章 区別か結合か
序
第1節 デカルトにおける観想と実践
第2節 区別による統一
第3節 メルロ=ポンティと創造的実践
第4節 超越による結合
第5節 価値論的変革
あとがき

2022.02.25発売
メルロ=ポンティの意味論
創文社オンデマンド叢書
メルロ=ポンティの言語論には、全体論的言語観の内包主義的・表象主義的傾向に対するはっきりとした批判が含まれていた。彼にとってラング(記号体系)とは観念の体系でもなく、脳の記憶痕跡でもなく、それは微分化してゆく行動の構造(身体図式)にほかならなかった。広く今日の"認知科学"や"心の哲学を視野に捉え、メルロ=ポンティの言語論を全体論的行動主義と解釈し、その先駆性を位置づけた画期作。
【目次より】
序 言語の全体論とメルロ=ポンティの哲学
第一章 構造主義言語学の意味論とその問題点
一 ランガージュ・ラング・パロール 二 記号の体系としてのラング 三 ラングと恣意性の原理 四 構造主義における意味論的閉鎖性 五 構造主義の指示理論とその問題点 六 メルロ=ポンティと言語の哲学
第二章 メルロ=ポンティの初期言語思想
一 『知覚の現象学』における経験論と主知主義の批判 二 所作としての言葉 三 言語所作理論の問題点
第三章 中期思想とソシュール
一 『知覚の現象学』における言語の分類 二 メルロ=ポンティのソシュール解釈 三 パロールとラングの二重の意味 四 ラングと言語の「図式」
第四章 身体図式と習慣
一 幻影肢とデカルト 二 ヘッドの「図式」による幻影肢の解明 三 シルダーの「身体像」 四 メルロ=ポンティの身体図式論
第五章 身体図式と言語
一 対人関係としての言語と身体図式 二 身体図式と習慣としてのラング 三 メルロ=ポンティのソシュールの誤読 四 中期思想の問題点
第六章 言語と存在
一 後期言語思想における知覚と言語 二 分節化の体系としての知覚と言語 三 転換可能性・次元・肉 四 身体の転換可能性と言語 五 「無言のコギト」について
第七章 行動と構造
一 「行動」という概念 二 古典反射学説の批判 三 高等な行動とゲシュタルト 四 学習の理論 五 構造をもった行動と意識
第八章 指向性と知覚的意味
一 指向性と知覚 二 知覚主体としての身体と「作動している指向性」 三 ゲシュタルト理論の構成主義批判 四 知覚の構造性 五 指向性と制度化 六 知覚的意味の発生
第九章 メルロ=ポンティの意味論
一 メルロ=ポンティの言語論の進展 二 状況における発話と指示の発生 三 言語の理解と表現としての行動 四 象徴的形態の行動と知覚と言語の転換可能性 五 言語と他者
第十章 結論と考察
一 メルロ=ポンティの意味論と開かれた全体論 二 メルロ=ポンティの意味論の射程 三 考察
あとがき
注
文献表

2022.02.25発売
欧陽脩 その生涯と宗族
創文社オンデマンド叢書

2022.02.25発売
福沢諭吉 文明と社会構想(現代自由学芸叢書)
創文社オンデマンド叢書
「この間、日本の家族の変化は驚くほどである。フェミニズムは、近代という時代に生きる中で女性が感じてきた生きにくさは、女性が家族という領域に縛り付けられてきたことに起因すると論じた。しかし、家族の抱える問題は、女性だけをめぐる問題ではなく、近代という時代の作り出した社会構造全体に関わるものであろう。私たちは、いま、社会全体の構想を必要としている。本書で提示する福沢の議論が、そのヒントになることを願って議論を始めたい。」家族の関係および家族と社会との関連に注意しながら、福沢の議論を綿密に読み直し、福沢の文明論に迫る。
【目次より】
序
凡例
第一章 『文明論之概略』と文明化の道
第一節 基本的人間像と社会契約論
第二節 『文明論之概略』における転換
第三節 日本の独立と文明化の戦略
第四節 非合理な「情」と外向きの国権論
第五節 文明史の原理の再確認
第六節 立論の転換
第七節 学者と経世家への分裂
第二章 文明化のなかの女性と男性
第一節 文明化における女性のあるべき姿
第二節 男性の品行に関する現状改革論
第三節 男女交際のあるべき姿とその方便
第四節 人間のあるべき姿と人間関係の原理論
第五節 近代化のなかの家族
第三章 文明における個人と家族
第一節 西洋文明化における女性と家族
一 独立した〈個人〉の権利と女性
二 女性をめぐる家族内の人間関係
第二節 近代を超える福沢諭吉の思想
一 福沢の社会構想と家族
二 近代政治理論の到逹点
三 福沢の社会構想の意味
注
あとがき
文献リスト

2022.02.25発売
唐代の思想と文化(東洋学叢書)
創文社オンデマンド叢書
唐代は伝統的儒家思想が衰え、仏教と道教が知識人の思想の中に浸透していき、従来の思想史=経学史という枠組みでは、捉え切れない時代である。著者はその枠組みを見直し、資料の枠を拡大して、自伝や遺言など個人の自己表白や人間関係を通してその時代の精神風土を明らかにする。新しい視点と、墓誌銘や僧伝など思想史研究では見落とされていた新しい資料を駆使して、唐代知識人の文化的側面に総合的な光を当てることにより、唐の思想と文化を全体的に解明した問題作。
【目次より】
序
第一部 劉知幾と『史通』
第一章 劉知幾の歴史意識
第二章 劉知幾 史評者の立場
第三章 宋代における『史通』
第二部 中唐の思想
第一章 権徳輿とその周辺
第二章 『陸文学自伝』考
第三章 劉禹錫の思想
第三部 習俗
第一章 唐代の葬俗 特に葬法について
第二章 『千唐誌斎蔵誌』に見える唐代の習俗
第三章 舎利信仰と僧伝『禅林僧宝伝』の理解のために
第四部 遺言
第一章 古代中国の遺言 その形式面よりの概観
第二章 韓愈の遺言をめぐって
あとがき

2022.02.25発売
アリストテレスの第一哲学
創文社オンデマンド叢書
アリストテレスの第一哲学は、普遍的な学としてのオン(存在)の学と神学という二側面からなる。オンの学はあらゆる学問の基礎をなし、それを基に自然学や倫理学など部分的な諸学としての特殊学が成立する。神学はこれら諸学を統一する要をなし、更にオンの学と神学とは実体論を介して関連づけられる。これら存在・神・実体の諸概念の関連を全体的に考察するとともに、プラトンのイデアの離存性との対比を交えつつ、アリストテレス哲学の基本構造を明らかにした本格的業績。ヨーロッパの学の基本に関わる本書の考察は広くヨーロッパの思想文化を考えるうえでの基本文献となろう。
【目次より】
著作名略記一覧
序
第一章オン(on)の学について
1 第一哲学におけるオンの学と神学との関係
2 pros en(プロス・ヘン)形式
3 基礎論としてのオンの学 部分的な学との関係で
など
第二章 実体論1 実体の三層について
1 より先ということの意味の確定
2 第一実体(e prste ouiia)は三つの層において言われる
3 属性的存在との対比で、基体(可感的実体)は第一実体と言われる
4 基体を第一実体とすることから、基体の構成要素たる形相を第一実体とすることへの移行
5 形相は質料より先とされている箇所
6 形相は質料より先であることの根拠 その一
など
第三章 実体論2 「普遍的なものは実体ではない」ということについて
1 プラトンのイデア論をアリストテレスはどのように捉えているか
2 『形而上学』Z巻一三章で、「普遍的なものは実体ではない」ということがどのように論じられているか
3 「普遍的なものは実体ではない」ということについての別の観点 類と質料との類比関係
など
第四章 神学 自然概念が神概念との関係でいかに規定されているか
1 不動の動者とピュシス(pusis)について
2 ピュシスについての規定
3 総観されたピュシス
など
第五章 神学2 現実態の質を問うこと、自足性概念、倫理学との関係で
1 『自然学』Th巻と『形而上学』L巻とにおける神概念
2 運動とは何か
3 魂の働きは運動ではない
など
第六章 アリストテレス哲学におけるヒュポテシスについて
1 ゆるやかな意味では、ヒュポテシス、定義、テシス(thesis)は区別されていないこと
2 ヒュポテシスと同類の語あるいは事柄
3 アリストテレス哲学における原理的命題がヒュポテシスとされている具体例
注記
あとがき
使用文献表

2022.02.25発売
唐宋の文学(中国学芸叢書)
創文社オンデマンド叢書
中国文学のピークをなす唐宋の文学。その文学空間に飛翔した多彩な表現。定型的な見方から自由になって、真実・魔力・快楽という新たな視点から中国文学の魅力に迫る。著者は中唐から宋代への文学意識の転換を踏まえ、文学作品の枠にとらわれずに文学者の逸話など幅広い素材を、日本や西洋の作品をも視野に入れて、自在に語る。「空の空なるもの」に過ぎない文学が、いかに大切であるかを明らかにして、格好の文学案内となった。
【目次より】
まえがき
目次
第一章 詩と真実
第一節 華山遭難
第二節 半夜鐘
第二章 文学の魔力
第一節 栄光と受難 文学作品の効用
一 栄光
二 受難
第二節 文学創作の説話
一 夢と詩才
二 作詩の指導
三 推敲
第三節 詩識 ことばの魔力
一 六朝時代の詩識
二 唐代の詩識
三 宋代の詩識
四 詩識をめぐる議論
第四節 作家と作品
第五節 恐ろしい文学
第三章 快楽としての文学
第一節 古文の修辞学
一 象徴としての登山 「始得西山宴遊記」
二 数字の魔術 「捕蛇者説」
三 愚者の美学 「愚渓詩序」
四 文体と認識
第二節 怪奇の文学 韓愈
一 独創性の追求
二 暴力と破壊
三 醜悪の美
四 唐から宋へ
第三節 娯楽の文法
一 暗号
二 脱出
三 対決
四 時の旅
五 トリック
六 試練
第四節 詩学の発見
一 不尽の意
二 換骨奪胎と点鉄成金
三 興趣
四 景と情
五 読みの快楽
六 知の冒険 王安石の集句について
第五節 快楽の思想 蘇軾を中心に
一 快楽の思想
二 快楽の思想を支えるもの
三 快楽の思想の源流
四 もうひとつの桃源郷 相対化への志向
注
あとがき