文芸(単行本)作品一覧

フィルム
文芸(単行本)
気鋭の放送作家にして稀代の通人
小山薫堂、初の本格小説
人と人とが交錯するその一瞬を写し取った珠玉の短編集
ある街で、ある瞬間に偶然出会ってしまった人と人――
時に危険で、悲しく、エロチックに描かれた登場人物たちの仕事、恋、人生――
30年間も音信不通だった父親が死んだ。その遺品の中にあった1本のフィルム。そこに写されていたものとは……!?
静かな感動が胸を打つ表題作「フィルム」ほか9編収録。

女ともだち
文芸(単行本)
「決まっているじゃない、私たちはいつまでも友達よ」
女同士の親密で濃厚な関係の底に沈殿しているのは闇のように黒い何か……。女性の暗部を克明に描く!!
人間の悪意、欲望を描く力作!

極北の狩人
文芸(単行本)
「モンゴロイドの軌跡」旅の終着地、極限状況に生きる人々の「北に生きる民族の誇り」を追う。椎名誠による極北ルポルタージュの決定版。
●ポイント・バローのやけくそ椰子の木
●ツンドラ獰猛蚊とのタタカイ
●アイスプラネット
●イッカククジラをとりにいく
●シベリア・ユピックの心優しき極寒生活
●シベリア・チャプリノ村のアザラシ狩り
【KHB東日本放送提供 シベリア編DVDつき】

書林逍遙
文芸(単行本)
かくも深遠なる本の世界。太宰治・江戸川乱歩・柴田錬三郎・宇野千代・岡本綺堂・川口松太郎・三島由紀夫・舟橋聖一・幸田文・芥川龍之介・川端康成・夏目漱石・柴田翔・吉行淳之介・伊集院静・吉村昭・山田風太郎・小沼丹・向田邦子・近松秋江・武田泰淳……急逝が惜しまれる、稀代の読書家・久世光彦がこよなく愛した文学のかたち、そして初版本との出逢い!
〇書は<時代>を映し、かつての数々の<恥>を呼び覚ます。特に若い日に読んだ書は厄介だ。1冊1冊に恥が纏い付いている書の記憶は、突然蘇って、いまもこの身を苛んで離れない。「右大臣実朝」の顰みに倣うなら、《歳月トハ、怯懦ノ姿デアロウカ》――。<本文より>

Vintage’06
文芸(単行本)
6人の直木賞作家が贈る、芳醇、至高のアンソロジー。
ワインは愛をはぐくみ、愛は物語を生む。
●石田衣良
「父の手」……岩の原ワイン(上越市、岩の原葡萄園)
●角田光代
「トカイ行き」……TOKAJI ASZU HETSZOLO 1995 6put(ハンガリー、トカイ)
●重松清
「ひとしずく」……CHATEAU BEYCHEVELLE 1962(フランス、ボルドー)
●篠田節子
「天使の分け前」……CHEVALIER-MONTRACHET 1990(フランス、ブルゴーニュ)
●藤田宜永
「腕枕」……CHATEAU HAUT BRION 1971(フランス、ボルドー)
●唯川恵
「浅間情話」……登美(甲斐市、登美の丘ワイナリー)

按摩西遊記
文芸(単行本)
孤高の作家が放つ、蠱惑の旅小説
流浪でもなく、郷愁でもなく
60年代末から70年代、パリからユーラシアを東へ東へ。灼熱のインドをさすらい、戦火のサイゴンで身を焦がした……。ヒッピー世代も、いまや五十肩を抱え、腹もでて、髪も薄くなった。されど、老いるには早すぎる! 喧噪のベトナム、9.11ニューヨーク、三蔵法師を追って熱暑の西域へ。私の旅は終わりそうにない。
天女はニコニコと私をベッドに横たえさせ、足指の先から揉みほぐしだした。いや、揉むというよりやはり撫でるに近いのだが、昨日はそれが心地よかった。私はまたそれを期待して、幸せな気分で瞑目し、身をまかせた。彼女の手指はだんだん足裏から足首、ふくらはぎ、太腿と上がってゆき、やがて右足に移る――<本文より>

千の命
文芸(単行本)
命の数だけ、生きていく意味がある。
出産が命がけだった時代、死産の際に、苦しむ産婦を楽にし、母体を救う「回生術」をあみだした賀川玄悦の生涯。
独学で医術を学んだ玄悦には、わからないことが山のようにあった。赤ん坊はどこから出てくるのか。胎児は十月十日、頭を上にしているのだろうか。……不思議に思い始めると、きりがない。西洋医学がほとんど紹介されていない江戸中期に、世界に先駆けて胎児の正常位置を発見した賀川玄悦の偉業は、医学史の中で、燦然と輝いている。書下ろし長編小説。

テッキーヤ!
文芸(単行本)
テキヤだってLOVE&PEACE!
『石鹸オペラ』(小説新潮長篇新人賞)の注目作家、待望の書下ろし!
テキヤでアルバイトをすることになった女子高生ヒカルは、敵対する遠藤組の若い衆に一目ぼれして気分は勝手にロミオ&ジュリエット。ヒカルの恋と抗争の行方は?激走する青春ストーリー
●欲望のままに「我が道を突っ走る」主人公ヒカル。あっぱれ!思ったことをそのまま行動にうつす実行力には頭が上がりません。ほんとに。10代という若さのなせる業だというのなら、その若さをもらいたいくらい。――[三省堂書店・京都駅店]中澤めぐみさん
●柿澤組の人々がいい!人と人とのつながりから生まれる“あたたかさ”にジンときます。――[八重洲ブックセンター・本店]西田恵美さん
●身一つで稼いで食べていくその姿はたくましくて潔い。そして、たまらなくかっこよかった。そうか、テキヤって夢を売る仕事のことだったんだ。夢中になって読んで、働くってこういうことだよなと原点を思い出しました。――[旭屋書店・池袋店]岩井織江さん

銃とチョコレート
文芸(単行本)
少年リンツの住む国で富豪の家から金貨や宝石が盗まれる事件が多発。現場に残されているカードに書かれていた【GODIVA】の文字は泥棒の名前として国民に定着した。その怪盗ゴディバに挑戦する探偵ロイズは子どもたちのヒーローだ。ある日リンツは、父の形見の聖書の中から古びた手書きの地図を見つける。その後、新聞記者見習いマルコリーニから、「【GODIVA】カードの裏には風車小屋の絵がえがかれている。」という極秘情報を教えてもらったリンツは、自分が持っている地図が怪盗ゴディバ事件の鍵をにぎるものだと確信する。地図の裏にも風車小屋が描かれていたのだ。リンツは「怪盗の情報に懸賞金!」を出すという探偵ロイズに知らせるべく手紙を出したが……。

旅のいろ
文芸(単行本)
欲望の天国、運命の地獄
その女、要注意――。関わった男たちは皆、苦痛に悦びを感じながら堕ちていく。人気作家がエンタテインメント魂全開で送る、衝撃の官能ハードボイルド決定版!
俺はこの女を支配したいのだ、と思う。ほんとうに支配している、と思える時もあった。しかし、錯覚ではないのか。男が女を支配するとは、どういうことなのか。――<本文より>

黒い朝、白い夜
文芸(単行本)
なぜなら私は、好きな男を嗅ぎ分ける女だから――。3人の男たちと、それぞれに続いていく関係。そして生まれた小さな命とその喪失。――たちまち湿る、シマコが開く、私小説。私にはもう、中国の若い男と、ベトナムのセックスが巧い愛人と、韓国のかわいそうな男がいればいい。充分すぎる。それとは違う、永遠の男も欲しい。決して手に入らない、一生逢うことも叶わない、幻の男を。――<本文より>
どの男を最も恋うか請うか乞うか。
なぜなら私は、好きな男を嗅ぎ分ける女だから――。3人の男たちと、それぞれに続いていく関係。そして生まれた小さな命とその喪失。――たちまち湿る、シマコが開く、私小説。
私にはもう、中国の若い男と、ベトナムのセックスが巧い愛人と、韓国のかわいそうな男がいればいい。充分すぎる。それとは違う、永遠の男も欲しい。決して手に入らない、一生逢うことも叶わない、幻の男を。――<本文より>
私が執着するのは、どこにもいない私。

ソウルトレイン
文芸(単行本)
ぐだぐだ&キュン!! ニート文化発の新感覚青春小説!
笑って泣ける、大人気漫画家の初小説!
キラキラしていたあの頃へ――、素敵な時間のプレゼント
バイト天国・深夜のレンタルビデオ店「ソウルトレイン」。そのバックルームで毎夜ぐだぐだトークに興じる童貞フリーター須藤と先輩・野木。ある夜、突然バックルームにキュートな女の子があらわれた! 彼女の天使っぷり=白さにすっかり心を奪われた須藤は、人生初の恋に落ちる!須藤と野木、2人のぐったりとした友情にびみょ~なすれ違いが!

帝都衛星軌道
文芸(単行本)
正直言って、自信作です。――島田荘司
息子が誘拐された。犯人は身代金の受け渡し場所に山手線車内を指定してくる。事件の裏に潜む衝撃の真実!本格ミステリの最高峰がここにある。

東京ゲンジ物語
文芸(単行本)
すべては、ひとつの未解決殺人事件から始まった――
『金田一少年の事件簿』の天樹征丸が描く新感覚サイコミステリ小説
あたしの周りでは、よく人が死ぬ。
ゲンジと呼ばれる謎の美少女に次々と近寄ってくる奇妙な「死」
ひとつの「死」の謎が解かれるたびに、さらに深まる最初の「死」に秘められた恐るべき真実
カギを握るのは美しき死神・冬夜(トウヤ)
そして、ゲンジ自身の記憶――

蒼いみち
文芸(単行本)
さわやかに のびやかに きらめいて
小澤征良 初の青春小説
――なんて深くて、なんて大きな夜だろう。立ち止まった私は、そのまま夜空をあおいだ。気をつけないと、そのまま宇宙の果てに吸い込まれてしまいそうで目眩がした。深い夜空の中で自分という輪郭があやふやになってゆく感覚が心地よかった。わたしは完全な自由を思い切り抱きしめてみる。――<本文より>

漱石の妻
文芸(単行本)
「夫婦の真実の姿」を描く、書下ろし長編小説
夫だけを視つめてきた。
なのに、どうして悪妻と呼ばれるのだろう。
明治の文豪・夏目漱石を支えた妻・鏡子。夫婦とは、最も近くて最も遠い存在なのか。
家庭は断じて憩いの場などではなく、戦場そのものだった。鏡子は手向かい、ずたずたに傷つき悶え呻く毎日だった。そのような鏡子の姿を見て、世間は悪妻と呼んだのか。よもや、そんなはずはあるまい。夫と自分の軋轢の真相を知る者など、誰もいやしない。――<本文より>

蛍の石
文芸(単行本)
幕末から明治の影を描く時代長編。
幸せを望んではいけない、手に余るものだから……。
開港地・横浜の熱を見つめる、薄幸の女 おときの醒めた眼差し。
にぎわう岩亀楼で、おときの周りには、いつも濃い影が差していた。
生人形一座から岩亀楼に売られてきた仲居のおときの前には、何かあると<不如帰>が現れ、「人を信じてはいけない」「幸せを望んではいけない」と言うのだった。生麦事件をはじめとして風雲急を告げる頃、攘夷の志士・桜田が現れた時、おときの人生は大きく舵が取られていく。

紅い桜
文芸(単行本)
愛を信じ、過酷な運命に立ち向かった ある日本人女性。
「文化大革命」激動の時代、疑心渦巻く中国、監禁されてしまう夫、我が身に課せられた強制労働。夫を子をもう一度この手に抱きしめる日まで――愛、そして信念の人、その運命の記録。
第二次大戦直後、中国人と結婚し北京に渡ったある日本人女性。しかし、その後、始まった文化大革命の荒波は、容赦なく一家に襲いかかる。スパイ容疑を掛けられ監禁されてしまう夫、他家へと強制的に預けさせられてしまう子、そして自分に課せられた強制労働。夫、子をもう一度この手に取り戻す日を信じ、ひとり運命に立ち向かったある日本人女性の記録。『海峡を渡るバイオリン』で知られる鬼塚忠の手により描き出された激動の人生。ベストセラー『ワイルド・スワン』を越えた大感動ノンフィクション作品。

ぜつぼう
文芸(単行本)
俺は絶望してるがゆえに俺なのだ
'00年代カルチャーを縦横無尽に疾走する若手女流作家の長編小説!

墓の話
文芸(単行本)
連作短篇小説
フランス・パリを旅して、高橋たか子は、様々な墓に接して何を思ったのか?それぞれの人生を夢想する小説家の力作。
「墓」に近づいた私の年齢ゆえ、「墓」をめぐる話が、おのずから現われ出てきたのであるらしい。生き終った人々への、その人々の人生全体への、言いようもない共感をもつようになっているせいだろう。特に、私が出会ったわけではない、あの西洋全体を掻きまぜた戦争の世紀を通りぬけていった人々についての、思い――。