文芸(単行本)作品一覧

墓の話
墓の話
著:高橋 たか子
文芸(単行本)
連作短篇小説 フランス・パリを旅して、高橋たか子は、様々な墓に接して何を思ったのか?それぞれの人生を夢想する小説家の力作。 「墓」に近づいた私の年齢ゆえ、「墓」をめぐる話が、おのずから現われ出てきたのであるらしい。生き終った人々への、その人々の人生全体への、言いようもない共感をもつようになっているせいだろう。特に、私が出会ったわけではない、あの西洋全体を掻きまぜた戦争の世紀を通りぬけていった人々についての、思い――。
愛の島
愛の島
著:望月 あんね
文芸(単行本)
誰でもが夢見る島がある。 その島は優しくて幸せに満ちている。 3人の女の子たちの七転八倒、夢の果てへの物語。 『カメレオン島』と紹介されているその島の価格は8500万円。フィジーという、半端じゃなく海の綺麗なとこから200マイル沖にあり、ターコイズブルー、日によってエメラルドグリーンになるという神秘的な海上に浮いている。地形の先端が、カメレオン独特の、「ビローンクルクルッ」という舌に見えるから、そこから名付けられたのかもしれない。「私たちみたい」そう口を揃えたのは、もう1つの特徴のせいだろう。小さな島が寄り添いながら、3つ並んでいるのだ。偶然なんかじゃない。これは運命、というしかない神の仕業だった。……私たちはこの島を手に入れたいと強く願った。――<本文より>
歌説話の世界
歌説話の世界
著:馬場 あき子
文芸(単行本)
歌とは、なんだったのか? 本当に勝れた歌とは、どういうものをいうのか? 『大和物語』『伊勢物語』『今物語』『宇治拾遺物語』『今昔物語』『古本説話』『古今著聞集』『十訓抄』『俊頼髄脳』『無名抄』『袋草紙』等々の歌説話や『古今和歌集』以後の勅撰和歌集……。平安初期から中世にかけて、多くの歌人が記憶に残していた歌説話を中心に、歌とは何だったかを問う。 第17回紫式部文学賞受賞
ルート350
ルート350
著:古川 日出男
文芸(単行本)
目くるめくストーリー世界へスタート! 現実かレプリカか。ルート上の圧倒的なストーリー世界が、心を捉えて放さない。到達するのはスタート地点!──「小説現代」ほか掲載の8編を収録する傑作短編集
刑事の墓場
刑事の墓場
著:首藤 瓜於
文芸(単行本)
傑作『脳男』(週刊文春2000年ミステリーベスト10第1位)から6年、首藤瓜於、ついに再始動!! 「おれは嵌められたのか?」 挫折したエリート刑事の赴任先――そこは“刑事の墓場”と呼ばれた。 やる気ゼロ、プライドなしの「拗ね者集団」が動き出す 署長の右腕として活躍したエリート刑事・雨森の転任先は、開署以来、一度も捜査本部が置かれたことのない小さな動坂署。そこは不祥事を起こした者や無能な警官を飼い殺すための“刑事の墓場”と恐れられていた。不貞腐れて過ごす雨森の、動坂署での初仕事は、痴話喧嘩が原因の些細な傷害事件。だが、やがて県警全体を巻き込む大事件へと発展し、いよいよ拗ね者たちが立ち上がる。江戸川乱歩賞受賞の異能が描く、待望の書下ろし長編小説!
東京ボイス
東京ボイス
著:ヒキタ クニオ
文芸(単行本)
この喘ぎが聞こえるか? ますますヴォルテージを高める「ヒキタワールド」。最新作は――欲望に憑かれて喘ぎ、喉が掠れてしまった東京に巣食う人間たちの「歌声」を集めた連作短編集。 大藪春彦賞・受賞第1作! 今夜は、元美形ソロシンガーの吉本からボイス・トレーニングを受けた生徒たちの「発表会」……。東京で喘いでいた彼らの歌声が流れ始める。 ●カズヤ=大麻(ガンジャ)で潰れた元アイドル ●ユウキ=両性具有のアイドル少女 ●輝美=人生をウソで固めた風俗嬢 ●小夜子=プロダクション社長の愛人 ●エリ子=自分を出せずに生きてきた主婦 ●亜子=夢を捨てきれないキャバクラ嬢 ●行永=すばらしい歌声を持つヤクザ
柳生双剣士
柳生双剣士
著:多田 容子
文芸(単行本)
書下ろし剣豪小説 赤鍔の十兵衛 vs.黒鍔の十兵衛 柳生宗矩の密命が、2人の十兵衛の行く末を翻弄する。 肥前佐賀鍋島藩の杜村新吾丸は、剣がたつうえに、風貌が柳生十兵衛に瓜二つ。杜村十兵衛元厳と名乗っている――その報に、柳生宗矩が動き出す。そして、2人の十兵衛が巡りあったとき、事態は思わぬ方向へと進んでいく。若き日の柳生十兵衛が、兵法の理を極める過程で経験した、不思議な事件。著者、自家薬籠中の柳生を主題にした長編剣豪小説。
SOKKI!
SOKKI!
著:秦 建日子
文芸(単行本)
1980年代の早稲田大学を舞台に、気鋭の新星が描く、スーパー・マイナーな技術「速記」に懸けた青春。 美女に釣られて、速記研究会。 「本多くんはさ――そんなに役に立つことが好き?」「えっ?」「そんなに、『役に立つこと』、好き?」くっきり、はっきり。そして、悪戯っ子ぽい笑顔を浮かべて、更にこう言った。「そういうのって、『豚に喰われろ』――って感じかな」――<本文より>
雲を斬る
雲を斬る
著:池永 陽
文芸(単行本)
人の命を奪うは、獣。ならばいっそ、優しい獣になるがよい。 池永節まさに満開!こんな時代小説を待っていた! 仇を追う身が賞金首に。強くて優しい貧乏浪人・由比三四郎は、江戸下町の人々との暮らしの中で過去を乗りこえるために大空を目指す。 寺子屋の師範をしながら、道場破りで日銭を稼ぎ、仇討ち相手を探し続ける三四郎。ある日、女郎部屋に売られる娘を助けたことから、女衒(ぜげん)の恨みを買い、首に50両の賞金が懸けられてしまった。果し合いを挑んでくる食い詰め浪人、闇討ちの機会をうかがう破落戸(ごろつき)。人に賞金を懸けながら、妙に人なつっこい人買いの男。鳥に憧れ空を飛ぼうとする若者……。江戸の町を舞台に繰り広げられる優しさと切なさの人間模様。 第12回中山義秀文学賞受賞
悪女の美食術
悪女の美食術
著:福田 和也
文芸(単行本)
食べるということには人生のすべてがあります。 菓子パンの昼食で満足しているのは、なぜいけないのか。 洋食屋にいる女性たちは、なぜ美しいのか。 ――読んで必ず人生が美味しく変わる、真・礼儀作法入門! ●1人の食事で「孤独オーラ」を発散しない方法 ●ワリカンで、損をする人、得をする人 ●高級寿司店で口にしてはならないタブー ●旨く、甘く、生きるための“悪”のバイブル! ●不本意な会食から、空腹を守り抜く技術 食をおろそかにすること、食べることに真面目ではないということは、生きることをないがしろにすることです。食べる歓びをもたないということは、それだけで生きることの快さも祝福も否定することになる。――<本文より> 第22回 講談社エッセイ賞 受賞 ※本書は、『悪の対話術』『悪の恋愛術』『悪の読書術』(講談社現代新書)がいずれも大反響を呼んだ“悪シリーズ”待望の美食篇である。
双調平家物語ノート(1) 権力の日本人
双調平家物語ノート(1) 権力の日本人
著:橋本 治
文芸(単行本)
平家は倒れた。だから悪い?平清盛は悪人?では、どう悪いのだろう。“日本のルーツ”平安時代に生きる人々は、実はあまりにも、「現代人」だった。院政、摂関政治、女帝、国家……知らないことだらけの歴史を見直してみる。「諸行無常」で片づけられない日本の歴史。古代の権力世界の住人達から、新しい歴史の広がりを見る縦横無尽の史論。 私たちは錯覚の中で歴史を見ているのだろうか。 平家は倒れた。だから悪い?平清盛は悪人?では、どう悪いのだろう。 “日本のルーツ”平安時代に生きる人々は、実はあまりにも、「現代人」だった。院政、摂関政治、女帝、国家……知らないことだらけの歴史を見直してみる。 「諸行無常」で片づけられない日本の歴史。古代の権力世界の住人達から、新しい歴史の広がりを見る縦横無尽の史論。
電子あり
エソラ vol.3
エソラ vol.3
編:小説現代編集部
文芸(単行本)
物語よ、前へ! 同時代を突きすすむ、14の独創性がほとばしる――。 漫画も小説も、ぜんぶ読み切り、書き下ろし。 言葉と、絵と、空想力と。ピュアな「物語」集。 [小説] 絲山秋子/伊坂幸太郎/吉田修一/ 柴崎友香/山本幸久/唯野未歩子 [漫画] 黒田硫黄/こうの史代/安永知澄/ 五十嵐大介/大庭賢哉/中野シズカ/ 加藤伸吉/杉村藤太
陽の子雨の子
陽の子雨の子
著:豊島 ミホ
文芸(単行本)
思いがけない夏が、いま始まる。 私立の男子中学に通う夕陽、24にしては幼く見える雪枝、15で雪枝に拾われて4年になる聡。初めて夕陽が雪枝の家を訪ねる日、押入れの中には、後ろ手に縛られた聡がいた……。不安と希望の間で揺れる、青春の物語。 「アンタなんか捨てちゃおうと思うのよ」俺と住んで3年経った頃から、雪枝は何かとそういうことを言う。意地悪を言って俺の気を引こうとするのだ、とわかっていたから、大して気にかけることもなかった。この間までは。「夕陽くん」の存在する今となってはわからない。けれどひとまず、「去年から言ってるじゃん、それ」と突っ込んでみた。いつもなら雪枝は、今度こそ捨てるもん、段ボールの箱に入れて「さとし」って書いて捨ててやる、とか子どもじみたことを言ってふくれるのに、今日の雪枝はじっと布団の上の一点を見つめていた。俺が何もできずにいると、雪枝はぽっとつぶやいた。「聡、大きくなりすぎたよ」――<本文より>
半次捕物控 泣く子と小三郎
半次捕物控 泣く子と小三郎
著:佐藤 雅美
文芸(単行本)
世知辛く稼ぐ稼業も楽でなし いつも事件は待ったなし 身形(みなり)も男ぶりもいい病人を助けた母娘が、色と欲につられ全財産を騙し取られた。話を持ち込まれた半次が力を藉(か)すとあの疫病神がしゃしゃり出て…… 御奉行が買った衝立障子の真贋、生きた男の金玉の売買、水夫(かこ)の若者と火消し組の喧嘩話……のっぴきならない事件ばかりで今日も半次は東奔西走。「人助け?笑わせやがる。金儲けのためでしょうが。(略)守銭奴の我利我利亡者の乞食も同然、匹夫下郎(ひっぷげろう)の下種野郎(げすやろう)だとは思っておったが、そこまでやるものですかねえ」――<本文より>
嫁盗み 重蔵始末(四) 長崎篇
嫁盗み 重蔵始末(四) 長崎篇
著:逢坂 剛
文芸(単行本)
26歳にして大人(たいじん)の風格あり。長崎奉行手附出役に任ぜられた重蔵は、抜荷と切支丹の取り締まりに雄飛する。そこに忍び寄る薩摩の影。大評判の本格時代小説新シリーズ突入! 「嫁盗みじゃあ」「おとなしゅうするがよかたい」「それ、引っさらえ」口ぐちにわめき立てながら、男たちは数人がかりでたねの体を、横ざまに抱き上げた。たねが叫ぶ。「なんばすっとか、こん横道者(おうどもん)が」(中略)「奉行所じゃろうが代官所じゃろうが、どげんやつも嫁盗みの邪魔はしきらんたい。すっこんどらんかい」――<本文より>
星に願いを
星に願いを
著:庄野 潤三
文芸(単行本)
ここには穏やかな日常がある。子供が成長し、2人きりの夫婦の時がゆったりと流れる。鳥たちはさえずりハーモニカがきこえる。 「ピノキオ」の主題曲の「星に願いを」があった。(中略)「星に願いをいえばいいんだよ。そうすれば、願いはきっとかなえられるよ」――<本文より>
怪盗グリフィン、絶体絶命
怪盗グリフィン、絶体絶命
著:法月 綸太郎
文芸(単行本)
ニューヨークの怪盗グリフィンに、メトロポリタン美術館(通称メット)が所蔵するゴッホの自画像を盗んでほしいという依頼が舞いこんだ。いわれのない盗みはしないというグリフィンに、依頼者はメットにあるのは贋作だと告げる。「あるべきものを、あるべき場所に」が信条のグリフィンがとった大胆不敵な行動とは!!(第1部) 政府の対外スパイ組織CIA(アメリカ中央情報局)作戦部長の依頼を受けたグリフィンは、極秘オペレーション<フェニックス作戦>を行うべく、カリブ海のボコノン島へ向かう。その指令とは、ボコノン共和国のパストラミ将軍が保管している人形を奪取せよというものだったが……。(第2部)
紙魚家崩壊 九つの謎
紙魚家崩壊 九つの謎
著:北村 薫
文芸(単行本)
待望のミステリ短編集! 優美なたくらみにみちた9つの謎 <収録作品> 「溶けていく」 「紙魚家崩壊」 「死と密室」 「白い朝」 「サイコロ、コロコロ」 「おにぎり、ぎりぎり」 「蝶」 「俺の席」 「新釈おとぎばなし」
びっくり館の殺人
びっくり館の殺人
著:綾辻 行人
文芸(単行本)
とある古書店で、たまたま手に取った1冊の推理小説。読みすすめるうち、謎の建築家・中村青司の名前が目に飛び込む。その瞬間、三知也の心に呼び起こされる遠い日の思い出……。三知也が小学校6年生のとき、近所に「びっくり館」と呼ばれる屋敷があった。いろいろなあやしいうわさがささやかれるその屋敷には、白髪の老主人と内気な少年トシオ、それからちょっと風変わりな人形リリカがいた。クリスマスの夜、「びっくり館」に招待された三知也たちは、<リリカの部屋>で発生した奇怪な密室殺人の第一発見者に! あれから10年以上がすぎた今もなお、事件の犯人はつかまっていないというのだが……!?
ママの神様
ママの神様
著:室井 佑月
文芸(単行本)
つないだ手を放さなければ、こんなあたしでも正しく生きていけるに違いない。 シングルマザーとなって5年。室井佑月は「とにかく正直に」書きつづった。子への、親への、男性への、さまざまな愛の小説集。 あたしが息子を育てているようで、実はあたしが息子に生かされている。みんな誰かの神様なんだ。それは忘れちゃならない大事なことだと、あたしは思う。――室井佑月