文芸(単行本)作品一覧

神の柩
神の柩
著:本岡 類
文芸(単行本)
混迷の現代社会を問う書き下ろし長編サスペンス!生き残るのは非情な神か、驕れる人類か。 世紀末日本に彗星のごとく現れた団体「理性の跳躍」。エリート層を中心に7千名の会員を擁し、膨大な資金力を持つ彼らが主張する強者の理論が人々の心をとらえていく。だが、その陰でひっそりと不可解な死を遂げた男がいた――。
東亰城残影
東亰城残影
著:平山 壽三郎
文芸(単行本)
第9回時代小説大賞受賞作 夫が箱館戦争から生還した夜、妻は大川に身を投げた。江戸から東京へ、混乱の時代をしたたかに生き抜いた男と女を描く感動の長編。
洛陽の姉妹
洛陽の姉妹
著:安西 篤子,装画:深津 真也
文芸(単行本)
男たちが殺し合うなら、女は情を尽くし抜く──。 三国時代が終わり、新たな動乱の世を迎えた。洛陽の都で数10年ぶりの再会を果たした姉妹の上にも、運命は容赦なく襲いかかった……。 表題作ほか「趙氏春秋」「曹操と曹丕」など抒情あふれる中国短編小説集。 明日は都へ入ると思うと、おのずと心が引き締まり、そのために眠れないのだろうかと、春暉(しゅんき)はおのれの心をふり返ってみた。50年、生きてきた間には、幾度も憂い目、辛い目に遭い、人並よりは肝も据わっているつもりだったが、それでもこんどばかりは、いくらか怯(ひる)みを覚えるのだろうか。 もう幾年も、春暉は都にいる妹に、手紙を送り続けてきた。……けれどもただの1度も、返事はなかった。その妹を、春暉は訪ねようとしている。果たして妹に会えるだろうか。──(本文より)
つるつるの壺
つるつるの壺
著:町田 康
文芸(単行本)
随筆。イエイ。ベリークール。 無益なパワーの発散・蒸散・燻蒸・薫煙!町田康の最新爆裂エッセー集。ソーキュート。 カレーの恥辱知らん俺でも、奈落でよいやさ 地獄の鉄板。頑張れ、死ぬるまで。頑張れ、狂うまで。肉・ヌンチャク・肉。因果の爆発おめえ、生きててつらいだろ?ジャンキーに物語は、ほっほっほ、ねえよ勝負茶碗やられのやり日々の吽人間の屑と聖書このようにパンクするわけは……。――(目次より)
三国演義(4)
三国演義(4)
著:安能 務
文芸(単行本)
漢王朝遂に滅ぶ! 関羽そして曹操英雄相次ぎ死し廻る舞台 漢中王に即位した劉備のもとへ届いた訃報。更には魏王曹丕が帝位を禅譲させたという悲報。 麦城で周倉は、関羽が血にまみれた姿で、枕元に立った夢を見た。夢から醒めても身ぶるいが止まらない。 「主公の身に異変があったのではないか?」 と翌朝、周倉は心配して王甫に言った。王甫は泣き出しそうな顔をしたが返事をしない。王甫もまた同じ夢を見たのである。そこへ一隊の呉兵がかなり大きな箱を2つ抱えて投降の勧告に現われた。周倉、王甫、趙累の3人が城の上に登って様子を眺める。箱の中にあったのは、関羽と関平の首級であった。――本文より
故園黄葉
故園黄葉
著:阿川 弘之
文芸(単行本)
凛とした確かなまなざし絶妙のユーモア溢れる卓抜達意の文章 旅の話、本について、亡き友のこと、師の思い出、七十余年の来し方を重ねて味わい深い名随想46篇
呂后
呂后
著:塚本 青史
文芸(単行本)
政略と性愛の夢々(ぼうぼう)輪舞! 高祖劉邦の死の直後、躍動する歴史。呂后・朱虚侯・淮南王・周亞夫。宮廷に充ち溢れる凄絶な人間のエネルギー! 物語は、高祖劉邦の崩御から呉楚七国の乱終結後、周亞夫薨去までの約半世紀を、主人公4人を配しての連作とした。歴史小説を書く醍醐味は、複雑怪奇な人間関係の利害の力学によって起こる、誰も制止できない時代潮流の推移を活写することである。 時代の奔流は、人物個々の思惑などにはいっさい頓着しない名状しがたい運動体となって、だれもがその過旋に翻弄されるがままの人生を送らざるをえない。自らの意志が及ばない、それが運命なのであろう。
最悪
最悪
著:奥田 英朗
文芸(単行本)
なぜ人は平凡な日常から堕ちていくのか? 犯罪に追いつめられる人間の心理を驚嘆の筆力であますところなく描く1999年の話題作。 零細工場主と恐喝(カツアゲ)常習者が「人生の敗け組」という運命に唾を吐いた。 とてつもない新人が放つ比類なき犯罪小説 その町には幸と不幸の見えない境界線がひかれている。 事業拡大を目論んだ鉄工所主・川谷を襲うウラ目ウラ目の不幸の連続。 町のチンピラの和也が乗りこんだのは、 終わりのない落ちるばかりのジェットコースター。 「損する側のままで終わりたくない!」 追いつめられた男たちが出遭い、1本の導火線に火が点いた。
屋烏
屋烏
著:乙川 優三郎
文芸(単行本)
父の死後、健気に生きてきた武家娘に訪れた初恋の行く末……。表題作ほか、武家社会の宿命に抗い、凛然と生きる人々を暖かく見つめる作品集。 ・12年前に別れた許嫁(いいなずけ)の苦境を思いやる智之助の耳に響くつつましい声。 ・父母に代わって弟を育てあげ、ひたむきに生きてきた揺枝(ゆえ)の忍ぶ恋。 ・部屋住みのまま五十路を迎えた与五六は、新思想に燃える姪の輝く眸に出会った。 ・放蕩三味の多一郎は、病に倒れた父と継母の姿に、生きる意味を自問する。 ・仇討ちの旅に出てから34年、過ぎた歳月に関蔵は慄然とする。
極楽とんぼの飛んだ道
極楽とんぼの飛んだ道
著:平岩 弓枝
文芸(単行本)
生いたち、思い出、作品の裏ばなし 直木賞受賞から40年。ミスからミセス、そして、ばあさんに。もの書き人生と数々の出会いを綴った初の半生記。 今年、平成11年は、私にとって直木賞を頂いて40年目に当たる。 それは、私がこれまで生きて来た歳月のおよそ3分の2近くに相当するわけで、その40年の間に結婚をし、2人の娘の母親となり、姑と父親が他界し、そして現在、2人の孫に恵まれている。つまり、ミスからミセス、そして、ばあさんに変化した。 幸いにして大病もしなかったし、プライベートには人生の重大事といった局面にもぶち当たらずにすんだ。私のような極楽とんぼが、まがりなりにも仕事を続けて来ることが出来たのは、そのおかげであった。──(本文より)
堂々たる夢
堂々たる夢
著:真鍋 繁樹
文芸(単行本)
不撓不屈の志で、日本の近代化学工業の基礎を確立した高峰譲吉 「明治」という時代を造りあげた偉人史に、新たな1頁が加わった! 「真似事なら、外国人技術者から学べばいいのです。私がいいたいのは、せっかく留学して学んできた知識と技術を、欧米の真似事ではなく、日本固有の化学工業のために応用したいのです。たしかに真似事も必要でありますが、日本の将来を考えたとき、固有の化学工業を発展させることのほうが、より大切だと思うからです」――本文より
狐のあしあと
狐のあしあと
著:三浦 哲郎
文芸(単行本)
日々の暮らしを彩るささやかな歓び 郷里への想いと忘れ得ぬ面影 かけがえのない人生の恵みを磨きぬかれた文章で綴る名随筆50篇 私は、この十年来、一篇が20枚そこそこの短篇小説を連作する仕事に熱中している。また、持病を制御し損ねて、心ならずも仕事から遠ざかるのを余儀なくされることがしばしばであった。暮らしの余裕から生まれる随筆の収穫が乏しかったのも、仕方のないことだと思っている。 収穫が乏しかったばかりではなく、意に満たないものがすくなくなかったのだが、これもまた冬の朝の狐のあしあとのように、容易ならぬ歳月をとぼとぼと歩きつづけてきた自分自身の消し難いあしあとなのだと思うことにして、せいぜい捨てずに収録した――「あとがき」より
夢の火
夢の火
著:岩橋 邦枝
文芸(単行本)
老いを感じながらも変らぬ恋への憧れ今は心の歓びだけが欲しい いくつかの人生が交わり満たされぬ何かを求めあう微妙に揺れる恋愛のかたち 会ってすごす短い時間が、夢想の中の交歓とかけ離れたものになるのはわかりきっている。そもそも夢想の中のわたしは、若返ってもっと大胆だもの、現実に叶う筈がない。叶えたい欲求も薄いというより、現実には肉体のひけ目で後退りしている……。もう情事よりも、心の歓びが欲しい。それだけでよい、と思うようになってきた。――本文より
熱血ポンちゃんは二度ベルを鳴らす
熱血ポンちゃんは二度ベルを鳴らす
著:山田 詠美
文芸(単行本)
熱ポン・フリークに贈る、愛と意欲のエネルギー第6弾! やるせなくってすごく楽しい、待望のエッセイ集 ポンちゃんが鳴らすベルは福音か、はたまた警鐘か? 年齢は親子以上に離れているけれど、彼女の文章と人柄にはいつも元気づけられる。――塩田丸男 詠嘆、EXCLAIM、大声で言う、絶叫する、そして美しい、詠嘆、ADMIRE、感服する、賞賛する、そして美しい……だって。――井上陽水
ヴァイブレ-タ
ヴァイブレ-タ
著:赤坂 真理
文芸(単行本)
さわりたい……あたしは溶けだすように泣いた。 多くの評論家を唸らせた圧倒的な才能の開花 精神のバランスを辛うじて保っている女の差し迫った切実感を、意識の流れを過剰なまでに再現した高密度な文体で描き切った、三島賞候補作家の瞠目すべき才能!! この作品を本にする過程で、ある女性に「どうして私のことがここに書かれているんだろうと思った」と言われて死ぬほどうれしかった。テーマはと訊かれても、いつも上手に説明できなくてもどかしいが、説明できたら小説書かない気がする。この本を見て、何か少しでも感じるなら、読んでみてください。あなたがいくつであっても男でも女でも、きっとあなたのことが書いてあるから。――(著者)
愚連 GUREN
愚連 GUREN
著:中場 利一
文芸(単行本)
コイツいてもうたら世界一や チュンバ、小鉄の岸和田コンビが殺しても殺しても死なない男に挑む!? 「カオルちゃん対機動隊20人」、これほどすばらしいカードはない。「さすがのカオルも、相手が20人じゃちょっとつらいのォ」「いいや、わからんぞォ。今日のカオルは足の返りがすばらしい」「15分以内やったらカオルやろ。それ以上長びいたら機動隊のもんやな」――(本文より)
薬子の京(下)
薬子の京(下)
著:三枝 和子
文芸(単行本)
京都新聞連載中から、絶賛の嵐! 平安遷都の光と闇。稀代の悪女か、薬子をめぐる愛と王権の行方を描く傑作! 物語が破局に向かって走り始めた頃、電話がありました。 「読者の方から「薬子のお墓は、どこにあるのでしょうか」と問い合わせがありましたが」 意表をつかれて、一瞬、私は狼狽しました。謀反人とされている薬子にお墓のあろうはずはありません。余程身分の高い人でも、死んだ場所の近辺に簡単に埋められるだけです。薬子も、そうされたと思います。薬子は稀代の悪女と見なされて来ましたが、私は彼女をいい女として書きたかった。 昭和20年代の後半から30年代の前半にかけて、私は京都の九条中学と中京中学で教師をしていました。東寺界隈や神泉苑など我が庭のような感じで暮らした一時期があります。京都もずいぶん変わりましたが、それでも、目をこらし、心を尽くすと、「薬子の京」が浮かびあがってきました。――(三枝和子)
薬子の京(上)
薬子の京(上)
著:三枝 和子
文芸(単行本)
桓武天皇、圧倒的な人間の迫力 [薬子の変]の藤原薬子。 東宮を恋慕する母と娘との宿命、宮中の権謀! いまの帝(桓武)が4年前即位なさったとき父種継は参議に抜擢され、興奮して口走ったものだ。 「さあ、わしにも運が向いて来た。これからは娘を入内させねば……」 薬子にはすでに縄主が通って来ていた。しかしいまの帝は大変な精力の持ち主で、身辺に侍っている采女たちには、昼間から下袴なしで白の表袴だけの簡略な服装をさせていらっしゃると聞く。気持ちが動いたとき、直ちにどこででも男と女のことをなさるためだ。 「お気に召せば、臣下の妻でも、お構いなしらしい」 そして暗に、縄主との関係は適当に切りあげるように仄めかした。 薬子は縄主が特に好きというわけではない。16歳のとき通ってきた男を同じ藤原式家の一族として、ふさわしい婿と周囲が認めた。それが今日まで続いている。――(本文から)
満天の星 勇気凛凛ルリの色
満天の星 勇気凛凛ルリの色
著:浅田 次郎
文芸(単行本)
勇気凛凛ルリの色第4弾 泣いて笑ってみんなでサクセス! パリに行った。映画も出来た。そして、税金も納めた。 ぶっちぎり痛快エッセイは不滅です 俺は近いうちにきっと「小説家」になる。30年間、夢に見続けた人生がこの数年のうちに必ず手に入る。だからこの連載エッセイは、「無名の物書きが小説家になるまでのサクセス・レポート」にしよう。――(「あとがき」より)
無情の世界
無情の世界
著:阿部 和重
文芸(単行本)
マスコミ各紙誌で話題沸騰、阿部和重最新作 世紀末を疾駆する気鋭の最新作は、小学6年生男子が父の愛人に書いた手紙だ!!