文芸(単行本)作品一覧

カプグラの悪夢
文芸(単行本)
極上のサスペンス作品集。
夢の中の殺人が封じ込めた真実へ私を誘う。
メビウスの輪のように絡まりあう謎。調査員・岡坂神策が心の闇に迫る!
失踪ののち別人となって現れた娘婿の正体は?……「カプグラの悪夢」
第2次大戦中「カティンの森」虐殺事件の真相は?……「暗い森の死」
転落死した女子中学生の隠された素顔とは?……「転落のロンド」
中華料理店のおかみの奇妙な行動の理由は?……「宝を探す女」
女優の愛人が出張先で密会していた相手とは?……「過ぎし日の恋」

六十六の暦
文芸(単行本)
女ひとりしなやかに生きて66歳の爽やかなチャレンジ。
小さな愛をみつけながら今を大切に暮らす倖せ。確かな優しい視線でみつめる人生の光と影。最新エッセイ集。
若き日との再会。
おのれ1人の生きる意味。さらにそれが社会とどうつながり得るかというのが、わたしの根本的な問いであった。いま、わが年齢をふりかえると、信じられない気持さえする。いつの間にかとしをかさねた(老いたとは言いたくない)。そして、若い日とおなじ問いかけが心の底にあることを再確認する日々である。――本文より――

真・天狼星ゾディアック(5)
文芸(単行本)
最高潮!天狼星シリーズの最終決定版!
卒業写真の中から、美貌の少年が大介に挑む。
魔王の教団は進化をとげた!
著者初の月刊書下ろし《全6巻》
「舞台女優連続殺人事件」の犯人の目星をつけた伊集院大介は、「ゾディアック」に狙われる身となった竜崎晶を事務所に匿い、自らは横浜へ向かう。そこで浮かび上がった「ケイ」をめぐる意外な事実――。さらにその夜、六本木のゲイバーで大介を待ち受けていたものは!?ついに、シリーズ最大のクライマックスへ!

千人同心
文芸(単行本)
徳川の禄をいただくものであっても、心の地にはやすのは八王子の人情と文物――。
武蔵・八王子に逃れた武田家旧臣の小人衆。武田家再興を図るか、徳川体制に従うか、千人同心を組織した彼らが選んだ道は!?
郷土色豊かに描く書下ろし長編歴史小説。
(小人衆には)田畑を耕す者もいる。山で木を伐り薪や炭をつくる者もいる。国境に生まれ育った者たちだから、その土地の住民や風物に愛着をもっている。国境を警備するのは、甲斐武田の命令によるものだが、武田の領土を守るというのではなくて、自分たちが生まれ育った土地を守る考えが強いのだ。――(本文より)

聖アントニウスの夜
文芸(単行本)
衝撃の歴史サイコ・ミステリー。
壊したい、女を壊したい……。
続発する幼女猟奇殺人。底なしの不況に沈み、激しく動揺する世紀末のフランス。古都の夜を徘徊する魔の正体とは。

私論・勝新太郎
文芸(単行本)
人間の魅力とは一体何だろう?
昭和の銀幕(スクリーン)を疾風の如く駆け抜けた男の知られざる横顔(プロフィール)。
男には、命を賭けてでも渡らなければならない橋がある。
俺にとって、マリファナは神様だよ。
戦争に勝った国から、戦勝税をとれ。
付き合いがあると言ったって、盃をもらったわけじゃあない。
犯罪がなくなったら、警視庁はメシのくいあげだろう。
俳優(やくしゃ)は、いぶし銀の芸なんて言われるようになったら、お終いだよ。
名前を変えて、運がよくなっちゃったらどうするんだ。
死んだら、一生寝ていられる。――勝新語録(抜粋)

男体動物
文芸(単行本)
おかしくも高貴で愛すべき、汝の名は若旦那。
無自覚、無責任でちゃらんぽらんなのに、なぜか魅力的で女をひきつけずにはおかない「若旦那」という人種。大阪のマルチ才女わかぎえふによる、現代の若旦那辞典。
なんでそんなに若旦那(アホ)やねん!
思わず突っ込まずにはいられない。愛すべき男たちはみんな無自覚、無責任、無節操!

飛魂
文芸(単行本)
女たちは、「虎の道」を求めて、森深く夜を重ねる。
繚乱たるイメージで紡ぎ上げた、幻想的綺譚。
森の奥に亀鏡という女虎使いが住んでいた。彼女を師と慕う若い女たちが、大勢、家を捨てて森に入っていった。女たちは森の寄宿舎で寝食を共にし、「虎」を求めた。さまざまな授業に出席するほか、「原書室」に備え付けの原典360巻を読まなければならない──主人公、梨水は、そこでどんな体験をし、何を見るのか?読者を酪酊させるイメージの奔流。幻想的世界に誘う長篇綺譚。

フォー・ディア・ライフ
文芸(単行本)
新宿の夜を走り続けろ!眠れない男の新・探偵物語
無許可保育園の園長にして、ヤバイ仕事も引きうける私立探偵。ふたつの顔を持つ主人公が、裏社会に生きる男と女の欲望の海に立ち向かった!
チンピラの少年をヤクザから救出しなければいけない!家出した女子中学生を捜さなければいけない!!そして、24時間営業の無許可保育園を運営しなければいけない!!!愛すべき私立探偵、花咲慎一郎の大・大苦闘。

北斗の銃弾
文芸(単行本)
幕末の怪物的侍!鮮やかな傑作長篇
鋭い現代感覚が切りひらく幕末の政治的謀略。海から来た男の怪物性を描く出色の時代長篇!
(なにゆえ、いままで思いつかなんだか……)町方の者に混じって、渡し舟に揺られる釐三郎(りんざぶろう)は、みずからを責めた。その後ろから傘をさしかけているのは、松井音四郎である。しとしとと降る時雨にも、明るさの消えぬ空は、春色というものであろう。遠く雷鳴が聞こえる。人間、万策尽き果てたと諦めたときこそ、天啓というべき閃きを得るものではあるまいか。──向島の隠居とよばれるその人に、釐三郎は正面からぶつかるつもりであった。渡し舟は、白鬚の渡しの左岸の上り場へ着いた。このあたりを寺島村という。──どれほど待たされたであろう、正面の門扉が内側からゆっくりと八の字に開かれた。釐三郎も音四郎も、あっと声をあげそうになった。門内に2人を出迎えたのが、女たちだったからである。──本文・城中総下座より

夜明けの家
文芸(単行本)
古井文学の頂点を示す最高の連作集。
生死の間(あわい)を縫う最高の連作!どこへも、行きはしない。
生者と死者の静まりゆく50年。表題作をはじめ、名品「島の日」「不軽」「草原」等、古井文学の到達点!
若いのに腹の据わった女だ、とその始末の手際に舌を巻いた。夜の戸外の気温のことを考えると、老人の彷徨はその夏頃からのことだったのだろう。老人の出て行くのを寝床の中から耳にしながら女性はもう止めずにいる。(略)
老耄が人の自然なら、長年の死者が日々に生者となってもどるのも、老耄の自然ではないか。なぜ故人は死んでいて、自分は生きているのか、その区別が恣意のように感じられる時があっても不思議はない。殊に夜明け頃に生死の境はゆるむのだろう。寝覚めして境がゆるむのではなくて、境がゆるむので寝覚めする。故人を迎えに行かなくてはならない。──本文より

木瓜の夢
文芸(単行本)
武士の論理か女子(おなご)の情か――。
織田木瓜の旗印のもと、故郷の山河を駆けめぐった日々――。歴史に生きた男と女を流麗な筆致で綴った短編小説集。
直木賞・女流文学賞受賞作家が描く抒情あふれる短編歴史小説。
おかるは、西も東もわからない少女ではない。最愛の夫勘平と甘い生活を送ってきた。それがいまにわかに引き離されて、見知らぬ男たちの相手をさせられるのである。その心身の葛藤は並大抵ではあるまい。……(略)
武士は、申し分けが立たないといって腹を切る。おかるは腹を切る代りに、体を売るのである。──(『おかる』より)

真・天狼星ゾディアック(4)
文芸(単行本)
ついに新たな敵の名が明らかに!?裏切り者は粛清された。次なる生贄にも魔の手が!
一夜にしてスターの座についた竜崎晶を祝う伊集院大介のもとに、ニューヨーク市警の捜査官が訪れた。彼らとの情報交換や、ダンサー・速水喜代志の証言から明らかになる牧村レオナのすさんだ行状──。大介は大胆な推理を展開し始める。そして、晶の周辺では、またも新たな殺人事件が!

本のある自伝
文芸(単行本)
「本は私の大学だ」
幼いころ見た武蔵野の風景、予感された大人の世界、青春の闘いと挫折。そこにはいつも本があった。昭和の波にもまれながら、文学に、ビジネスに、ひたむきに生きた半生。
これは私のはじめての「自伝」である。
いままで書く機会がなかった訳ではないが、いつもそれを避けてきた。理由は客観的に書ける自信がなかったからである。その禁を破ったのは、熱心にすすめられたからでもあるが、「本のある自伝」という形式を思いついたからである。その頃、どんな本を読んでいたかを思い出して、その記憶にこと寄せて書くことで、ある種の、一定の客観性が保てるのではないかと考えた。──あとがきより

水の抱擁
文芸(単行本)
繊細緻密な秀作長篇小説
愛はうつろいやすく家族のつながりはもろくあやうい
夫婦とは、親子とは、愛とは何か?
幼い日の記憶と交錯し、微妙に揺れる心
1年前まで桝田五郎とわたしは夫婦だった。一緒に暮らしたのは3年と数ヵ月だけだったが、内情はともかくモエを中に表向きにはしごく円満らしく家庭生活を営んでいた。それを解消してわたしとモエは、これも離婚して独り身になったばかりの佐山完と暮しはじめた。なにやら2組の男女が、適当に家族ゲームを繰り広げたような結果になってしまって、正直なところ当事者たちもこの1年ほどのあいだ、それぞれに落ち着かない思いでやってきたことはたしかだ。──本文より

義侠娼婦 風船お玉
文芸(単行本)
新境地を拓く長編歴史小説
異郷の地でふわりふわりと自由に生きた女がいた。
日露戦争前後のアメリカ、娼婦となりながらも前向きに生きた日本人女性の旅路
明治30年代のアメリカ。静子は雑貨店経営者の妻として、サンフランシスコで暮らしていた。しかし詐欺師の富井の陰謀で中国人が経営する娼館に売られてしまう。自殺まで考えた静子だったが、やがて本来の明るさをとり戻し、風船のように自由に生きていこうと、“風船お玉”と名のる。富井を追って全米を旅するお玉は、マフィアと戦い、日本人を助けるうち、“義侠娼婦”と呼ばれるようになった。

夜のかけら
文芸(単行本)
ひとりの男のすべてはいらない。
愛するには気に入ったところだけ。
だから私は、ひとりだけなんて選べない。
新しい愛のかたち、最新長篇小説
「私は何に飽きているのだろう?」
ルックス、優しさ、セックス、やすらぎ……。
5人の男それぞれとの逢瀬を楽しむ利保子32歳。
何不自由なく暮らしながら、自分を持て余しつつ日々を送る彼女が、すべてを託せる男性は現れるのか?

「妖しの民」と生まれきて
文芸(単行本)
無頼の精神とは、死んでもいいがタダでは死なんぞという精神であり、この本には全編それがみなぎっている。
佐高信氏絶賛!!
「仁義なき戦い」には興奮した。
身体中の血を逆流させて、あの映画を見た。
これはその脚本を書いた著者の、すさまじい半世紀である。
モデルとなった暴力団の元組長が同じ大竹海兵団の生き残りだったことがわかって、映画化の同意が得られたといった“秘話”もちりばめられている。
軍隊、そして映画と、尋常ならざる世界に生きてきた著者のあふれるエネルギーは、貧血気味の日本の現在(いま)に、ほとばしるものを注ぎ込む。
無頼の精神とは、死んでもいいがタダでは死なんぞという精神であり、この本には全編それがみなぎっている。──佐高信

密告
文芸(単行本)
待望の最新長編サスペンス!
夢を追う男と女は修羅を生きる。
元オリンピック射撃候補の内勤警察官に降りかかった密告者の汚名。警察組織内の暗闇に迫る問題作。
「おまえ以外に誰がいる。こんな浅ましい真似をするやつが!」
生活安全総務係に勤務する元射撃選手の萱野は、上司であり、選手時代のライバルでもあった矢木沢に面罵される。
贈収賄まがいの過剰接待疑惑を密告したと思われたらしい。
しかし、何を根拠に……。
萱野の存在を面白く思わない者がいるのか……。
署内で次第に孤立していく萱野、汚名をすすぐために残された道は、本当の密告者を自らの手で捜し出すことか。

ひとたびはポプラに臥す(2)
文芸(単行本)
宮本輝が往(ゆ)くシルクロードの旅
灼熱の砂漠に道はつづき、天山の白峰は果てしない異国の地へと誘う……待望の長篇紀行エッセイ第2弾
「鳩摩羅什(くまらじゅう)という人間の存在を知った日から20年かかって、俺はいま天山山脈の見えるところへ来た。俺はとうとう来たぞ」──蜃気楼と竜巻のなか広大なゴビの荒野を往く旅は、仏教文化の中心都市・敦煌を経て天山山脈の威容をのぞむ。往古より数知れない人と国とが消えていった砂漠の非情な天の下、民族の境界を越える著者の脳裡に人生の時が甦る──豊富な写真とともに辿る「宮本輝のシルクロード」